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モナコ国際バラコンクールで日本のバラが二つの部門で受賞

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受賞したバラは、シェエラザード

写真:シェエラザード 

 今年もモナコ国際バラコンクール(The Monaco International Rose Competition)が5月に開催され、世界から集まった80品種余りの鉢バラの中から、日本で作出されたフロリバンダ系の品種〝シェエラザード〟が芳香賞とフロリバンダ部門賞をダブルで受賞しました。バラとしてその花形や花色、性質だけではなく、香りまでヨーロッパ基準で評価されたというので、作出者の木村卓功(バラの家)さんも心から喜んでいました。

木村さんは言います。「ヨーロッパで認められることを目標に、これまで育種を手がけてきました。そのためにヨーロッパのマネじゃなく、ヨーロッパにない花形や花色、オリジナリティのある花を世に出していきたいと頑張ってきました」

オリジナルなバラをつくる

kimura

写真:木村卓功さん。埼玉県杉戸町で「バラの家」を営む。ホームページはこちら

 オリジナルなバラをつくる、木村さんの目標はそこにありました。生産・販売を営んでいるバラ農家、しかし、その過程で人が作った花では自分自身で納得いかないことも多く、通販サイトの店長ブログが人気になり超多忙な状況にもかかわらず、育種にも没頭したそうです。そんな時期、2008年に生まれた花がシェエラザードでした。その後、育成を重ね2013年ようやく発表にこぎつけました。私も覚えていますが、最初に見たときに今まであまりみたことのないバラの花、という強い印象を持ったことを覚えています。では、そのシェエラザードがなぜヨーロッパでも人気を博しているのでしょう。
 

 「フランスでは〝プリンセス・オリエント〟の名で流通しています。ヨーロッパの品種と比較して、まず、花形や花色がそれまでのヨーロッパであまり見られなかったタイプで、たおやかな感じが気に入られているようです。そして香りもフランスの人たちの好みにあうのでしょう。そういったところを持っている上に、日本で生まれ、シェエラザードといったアラビアンナイトに出てくる名前がついている、といった要素で、この花に東洋的なものを感じる人も多いようです」ヨーロッパの人は」バラにも東洋的な憧れを持っているのかもしれません。

 木村さん作出のバラは「ロサ・オリエンティス」とシリーズ名がついています。ちなみに、シェエラザードの名付け親は『NEW ROSE』編集長の玉置一裕さんです。

木村さんが挑む育種のこれから

写真:木村さんの新作”キルケ”

 モナコ国際バラコンクールはスイスにある時計&ジュエリーの老舗ブランド、ピアジェ(Piaget)が主催し、花と自然を愛したグレース・ケリー妃が設立したモナコ・ガーデニングクラブが運営しています。このコンクールの特徴は、鉢で栽培されたバラが審査対象だということです。つまり、花形や花色、香りの評価も鉢バラとしてという前提ですから、栽培においても評価されたと考えてもよさそうです。過去、第3回大会で、京成バラ園芸の武内俊介氏育種の〝シトロナード〟が受賞しています。

写真:木村さん作出のバラで彩られた第20回国際バラとガーデニングショウの展示 

 世界で通用する日本オリジナルな鉢バラが、これからもどんどん出てくると期待できますが、じゃあ今後さらにどういった育種を目指しているのか、木村さんに聞きました。

 「ヨーロッパに引けをとらないオリジナルな品種の作出を手がけていますが、花形や花色、香りなど多くの点ではすでに高いレベルに来たと実感しています。ただ、バラは多くの品種がそうですが、やはり総じて病気に弱い傾向にあります。特に日本の気候下では病気にかかって株がだめになる経験をお持ちの方はたくさんいらっしゃるでしょう。それが原因でバラを育てることをあきらめてしまう方もいます。目指すは、今まで以上に病気に強い品種、殺菌剤の使用が最小限で済むような、よい条件下では使用しなくても可能な、耐病性にすぐれた品種をつくりたいと思っています。害虫は殺虫剤の使用で解決できますので、目標は耐病性です」

写真:玄関先でたくさん花をつけたシェエラザード (秩父・H邸) 

 バラの人気が高まり、だれもがバラを家庭で育てる時代です。ただ、日本では高温多湿の季節を過ごさなければならないバラたちにとって、そしてそれを育てる方々にとって、今、病気はもっとも大きな課題かもしれません。そんなバラを愛する人たちがもっとバラを楽しく、容易に育てられるような育種を目指しています。こういった育種家たちの夢への挑戦は、日本のバラがこの先、世界の中でさらに大きな飛躍を遂げることを期待させてくれます。

(写真・文 by Deru) 

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