トレニアの育て方!種まき・切り戻し・摘芯・冬越しも

トレニアは、初夏から秋まで長く花を楽しめる、可憐な花姿と鮮やかな色が魅力的な草花です。草丈が低く、他の草花とも調和しやすいため、寄せ植えや花壇の縁取りにもぴったりです。
また、比較的丈夫な性質をしており、特別難しい管理も必要ないため、初心者でも育てやすいです。
今回はトレニアの基本的な育て方や、種まきや切り戻し、摘芯、冬越しなどの年間を通した管理方法をわかりやすく解説します。
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トレニア
学名 Torenia 科名 アゼトウガラシ科 原産地 アジア、アフリカ 分類 一年草、多年草 耐寒性 弱 耐暑性 強 栽培カレンダー
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月開花時期植えつけ施肥
【PlantiaQ&A】植物の情報、育て方をQ&A形式でご紹介
☘263:【Q&A】トレニアの育て方|管理する上での注意点や作業は?水やりや肥料などの管理方法もご紹介
トレニアの基本情報

トレニアは、初夏から秋まで長く花を咲かせる草花で、花壇やプランターに彩りを添える人気の植物です。
紫・青・ピンク・白・黄色など、花色のバリエーションが豊富で、次々と咲く小さな可憐な花が魅力です。
草丈が低く、他の植物と組み合わせやすいため、寄せ植えや花壇の縁どり、プランターでの栽培にもぴったりで、さまざまな場面で活躍します。
トレニアの品種は、アジアからアフリカにかけて約40種類が知られており、大きく分けて「一年草」と「多年草」のタイプがあります。一般的に「トレニア」と呼ばれているものは、「トレニア・フルニエリ」という品種で、一年草に分類されます。
一年草は春に種をまけば発芽や開花の生長スピードが早いものの、秋から冬にかけて枯れてしまう性質をしています。
しかし近年では、多年草に分類される品種「トレニア・コンカラー」も流通しており、寒さ対策をすれば冬越しできます。
さらに一年草や多年草を掛け合わせた品種「カタリーナ」なども登場しており、丈夫で花つきもよいため、より注目を集めています。
トレニアの育て方

ここからはトレニアに適した環境や植えつけ方法、水やりなど日頃の管理の方法について詳しく紹介します。
日当たり・置き場所
トレニアは日当たりや風通しのよい場所で管理します。耐陰性があるため、木漏れ日程度の半日陰や午前だけ日が当たる場所でも育てられます。
ただし、あまりにも日照不足になると、徒長して茎が間延びしたり花がつきにくくなったりするため注意が必要です。
また、一年草タイプのトレニアは、夏の強い直射日光や乾燥に弱いため、真夏の西日が当たる場所は避けるのがおすすめです。
とはいえ、日なたに強い品種も増えてきているので、苗を購入する際に性質をチェックするとよいでしょう。
さらに一年草のトレニアはコンパクトに育つ性質があり、多年草タイプは地面を這うように広がる「匍匐(ほふく)性」の品種が多いのも特徴です。
生長したときの草姿をイメージして、花壇の縁どりや寄せ植え、グランドカバーなど、お好みのスタイルで育ててみてください。
適切な温度・湿度
トレニアの原産地は、東南アジアや南アフリカなどの暖かい地域です。暑さに比較的強いですが、寒さには弱い性質があります。
多年草タイプのトレニアを地植えしている場合、冬前に鉢上げして室内など暖かい場所で管理します。
最適な用土
トレニアは水はけのよい用土が適しています。地植えと鉢植えの用土について見ていきましょう。
地植えの場合
植えつけの2週間ほど前に、あらかじめ土づくりを行いましょう。時間をおくことで、堆肥や肥料成分が土の中でゆっくり分解され、根が張りやすくなります。
水はけが悪い場合は、腐葉土やたい肥を混ぜて耕し、10〜20cmほど周囲より高く盛るのがおすすめです。
また元肥として、緩効性肥料『マグァンプK中粒』も混ぜておきましょう。
鉢植えの場合
鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合で配合するか、市販の『ハイポネックス培養土鉢・プランター用』を使用してもよいでしょう。
植えつけ

トレニアの植えつけ時期は、4月〜8月頃です。この時期になるとポット苗が出回ります。ポット苗は水切れを起こしやすいため、購入したらすぐに植えつけましょう。
種まきから育てている苗の場合は、本葉が8枚〜10枚ほどに増えたら植えつけのタイミングです。
植えつけ時は、根を傷つけないように注意してください。
地植え
- 植えつける2週間前に、堆肥や元肥として『マグァンプK中粒』を混ぜて耕しておきます。深さ・幅ともに20cm〜30cmくらい、匍匐性のタイプなら30cm〜50cmの広さが目安です。
- 根鉢を軽くほぐしてから植えつけます。複数の苗を植えつける場合は、20cm〜30cmほど間隔を空けておきます。
- 植えつけ後は、たっぷりと水やりをします。
鉢植え・プランター
- 1株あたり5号サイズ(口径約15cm)以上の鉢を用意します。60cmのプランターなら、コンパクトタイプだと3株〜4株、匍匐性のタイプだと2株が目安です。
- 鉢底ネットを敷いてから軽石を入れ、鉢の高さ半分のところまで用土を入れます。
- 苗をポットから取り出して、土の表面に置きます。
- 苗のまわりに少しずつ土を被せるようにして植えつけます。水やりしても鉢の上から溢れないように、土の高さは鉢の表面から2㎝〜3cmほどスペースを空けておきます。
- 最後にたっぷりと水やりしてください。鉢底から水が流れ出るくらいの量が目安です。
水やりの方法
トレニアは、水切れを起こすと生長を妨げ、花がつきにくくなるため、乾燥させないように水やりをしましょう。
水やりのポイントは「株元に水を与えること」です。葉や茎に水がかかると蒸れて病気の原因になるため、必ず土の部分に水をあげてください。
夏場は気温の高い日中を避けて、朝や夕方の涼しい時間帯に水やりをします。暑い時間帯に水をあげると、水温が上がって株を弱らせてしまうことがあります。
反対に、多年草のトレニアを冬越しさせる場合、日中の暖かい時間に水やりを行います。夕方以降の水やりは凍結の原因になるため避けましょう。
鉢植えの場合
土の表面がしっかり乾いてから、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えます。
大きく育っている株の場合は乾燥しやすいため、夏場は朝・夕と2回水やりが必要なときがあります。
地植えの場合
根がしっかり張れば、基本的には自然の雨だけで育ちます。ただし、長く雨が降らず乾燥が続くような場合は、水を与えてください。
肥料の与え方
トレニアは初夏から秋まで長く花を咲かせるため、しっかりと肥料を与えることが大切です。
まず、植えつけ時に元肥として、緩効性肥料『マグァンプK中粒』を土に混ぜ込んでおきます。その後は、5月~10月の間に追肥します。
追肥には、緩効性肥料『プランティア 花と野菜と果実の肥料』 を2ヵ月~3ヵ月に1回か、液体肥料『ハイポネックス原液』を1週間~10日に1回を目安に与えます。
元肥だけで終わらせずに継続的に栄養を補うことで、株全体が元気に育ち花つきもよくなります。
切り戻し・剪定

トレニアは、元気に育てるために切り戻しや剪定を行うことが大切です。一年草のタイプは蒸れやすいため、6月〜8月頃に切り戻しを行いましょう。
切り戻す位置は、株の高さの半分から3分の1程度を目安にします。これにより風通しがよくなり、新しい芽の成長も促されます。
ただし葉がなくなるくらいに切り戻しすぎると、株が枯れてしまう恐れがあるため注意してください。
また、匍匐性の品種は、必ずしも切り戻しが必要ではありません。株が大きくなりすぎた場合や形が乱れてきたときは、切り戻すことでコンパクトかつ美しい姿を保てます。
夏越し・冬越し
トレニアの夏越しと冬越しのポイントを見ていきましょう。
夏越し
鉢植えの場合は、直射日光や西日が当たる場所を避けて、半日陰の場所に移動してください。
地植えする場合は、西日の当たらない場所を選んで植えつけてください。カタリーナなどの交雑種であれば、夏でも日なたで育てられるものが多いです。
冬越し
一年草のトレニアは、冬になると枯れるため、特別な管理は必要ありません。
一方、多年草タイプのトレニアは、開花期が終わった11月頃に室内に取り込めば、冬越しして翌年も開花を楽しめます。
地植えにしている場合は、10月頃には鉢に移して室内で管理します。
花がら摘み・摘心

トレニアをより長く美しく咲かせるためには、花がらをこまめに摘むのがポイントです。
トレニアは次々に花を咲かせる性質がありますが、そのまま花がらを放置すると種子をつけようと株の力を消耗してしまい、花がつきにくくなってしまいます。
咲き終わった花をこまめに摘み取ることで、種を作らず次々に花を咲かせてくれるため、長く開花時期を楽しめます。また株まわりを清潔に保つことで、病害虫の予防もできます。
トレニアは、摘心することも大切です。摘心とは、茎の先端の芽を摘み取ることで、わき芽を発生させて株を大きくしたり、花をたくさん咲かせたりする方法です。
苗が小さいうちから摘心を2回〜3回繰り返しておくと、枝がよく分岐します。こんもりとした草姿に仕立てられ、花数を増やせます。
植えかえ方法
多年草のトレニアを鉢植えで管理している場合は、生長とともに根詰まりを起こすため、植えかえが必要です。植えかえの頻度は、1年〜2年に1回が目安です。
- 鉢から株を取り出して、古い根を取り除きます。
- 元の鉢から古い土を出して、新しい土に入れかえてから植えつけます。
トレニアを大きく育てたい場合は、一回り大きな鉢に植えかえてください。なお、一年草のトレニアは植えかえの必要はありません。
増やし方
トレニアは「種まき」や「挿し芽」で増やせます。それぞれの方法を詳しく紹介します。
種まき
種まきの適期は、5月〜6月です。トレニアの種は細かいため、種まき用のセルトレイなどを使用します。
上から水やりせず、水を張った容器にトレイを置いて底面から吸水させるのがポイントです。
- 種はあらかじめ水で湿らせておきます。
- セルトレイなどに土を入れて、水を加えて湿らせます。
- 1穴あたり1粒〜2粒ほどまきます。
- 発芽するには光に当てる必要があるため、種には土を被せないで管理します。
- 発芽するまで乾燥や過湿とならないように、適切に水やりして管理します。
- 発芽するまでに10日ほどかかります。発芽後は、風通しのよい場所で管理します。
- 葉が2枚〜3枚出たらトレイから取り出して、ポットに移します。
- 根が十分に張ったら、鉢や庭など希望の場所に植えつけましょう。
挿し芽
交雑種やトレニア・コンカラーの場合、挿し芽の方法で増やせます。挿し芽とは、植物の茎や枝などを切り取り、それを土や水に挿して新たに根や芽を出すことで増やす方法のことです。
トレニアの挿し芽の適期は、生育が活発な6月〜9月頃です。
- 新しく伸びた茎を10cmほどの長さで、切り口が斜めになるように切り取ります。これが挿し穂です。
- 挿し穂を1時間ほど水につけておきます。
- トレイに新しい土を入れて、水やりして湿らせます。
- 土に穴をあけて挿し穂を挿し、軽く土を被せます。
- 発根するまで明るい日陰で管理し、乾燥させないように注意します。
- 根が張ってきたら、ポットに移して管理します。
- 十分に育ったら、鉢や庭など希望の場所に植えつけましょう。
トレニアの気をつけるべき害虫・病気
トレニアを育てる際は、アブラムシやアザミウマなどの害虫、そして灰色かび病などの病気に気をつけましょう。
アブラムシやアザミウマは、4月~11月に茎や葉、花の汁を吸って株を弱らせます。見つけたら早めに取り除くか、市販の殺虫剤などで対処してください。
灰色かび病は、6月〜10月の湿気が多い時期に発生しやすい病気です。風通しのよい場所に置き、雨が続くときは花がらをこまめに摘み取ることが予防につながります。
トレニアに異変がないか、株のまわりや葉の裏側もチェックして、様子を観察しておきましょう。
まとめ
トレニアは花壇やプランターだけでなく、ハンギングバスケットや寄せ植えにも適しており、幅広いシーンで活躍します。
比較的手がかからず、初心者でも育てやすい点も魅力の一つです。適切な時期に種まきや切り戻しを行うこと、そして日々の水やりや肥料の与え方に気を配ることが、長く美しく咲かせるコツです。
掲載した育て方カレンダーを参考に、四季折々の管理を楽しみながら、庭や鉢でトレニアの花いっぱいの風景を作り上げましょう。
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