【宿根アスターの育て方】プランターでもOK!初心者向け栽培ガイド

アスターには、一年草として楽しめるエゾギクと、毎年花を咲かせる多年草の宿根アスターがあり、それぞれ異なる魅力があります。
庭植えはもちろん、プランター・鉢植えで育てられるため、気軽にガーデニングを始めたい方におすすめのお花です。
本記事では、多年草である宿根アスターの特長や基本的な育て方、病害虫対策、増やし方まで、徹底解説します。
丈夫で育てやすく、晩夏から秋にかけて庭を華やかに彩ってくれる宿根アスターの魅力を探っていきましょう。
- 目次
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- 宿根アスターの育て方|特長と主な品種
- 宿根アスターの特長と魅力
- 一年草アスター(エゾギク)と宿根アスターの違い
- 宿根アスターの育て方|基本的な栽培方法
- 宿根アスターが好む栽培環境
- 土づくり
- 水やり
- 肥料
- 摘心
- 増やし方
- 花がら摘み
- 宿根アスターの育て方|病気・害虫対策
- 主な病気対策
- 主な害虫対策
- 宿根アスターの育て方|楽しみ方のコツ
- 切り花として楽しむ
- 仏花にする
- 寄せ植えのアイデア
- 宿根アスターのよくある栽培トラブル
- 発芽しない原因は?
- 茎が茶色く腐って枯れてしまう原因は?
- 葉に白い粉のようなものがつく原因は?
- 生育が悪く葉が縮れてしまう
- 年々調子が悪くなる原因は?
- 鉢植えで育てた場合に植えかえは必要?
- おわりに
宿根アスターの育て方|特長と主な品種

宿根アスターは、晩夏から秋にかけて咲く可憐で美しい花姿が魅力で、古くから園芸愛好家に親しまれてきました。
一年草として育てるエゾギクとは異なり、一度植えつけると翌年以降も毎年花を咲かせてくれます。
まずは、宿根アスターの特長や主な品種をご紹介します。
宿根アスターの特長と魅力
宿根アスターは、北米を原産とするキク科アスター属の多年草です。
品種によって草丈が異なり、30cmほどのコンパクトなタイプから、180cmを超える背の高いタイプまで、幅広いバリエーションがあります。
細長くすらりとした姿は上品で、夏の庭でも秋の花壇でも存在感を放ち、季節の風景を彩るお花です。
開花時期は8月~11月頃と長く、ほかの花が少なくなる時期にかけて庭を華やかにしてくれます。
その特長を生かし、花壇の後方に植えて高さのあるレイアウトを楽しんだり、寄せ植えのアクセントとして活用したりと、多彩なガーデン・デザインに取り入れられるのが魅力です。
一年草アスター(エゾギク)と宿根アスターの違い
一般的にアスターと呼ばれる一年草は、キク科カリステフス属に属し、和名では「エゾギク(蝦夷菊)」といいます。
春に種をまくと夏から秋にかけて開花し、冬には枯れてしまう一年限りの草花です。
一方、宿根アスターは多年草で、アスター属に分類されます。
冬になると地上部は枯れますが、地下の根は冬越し、翌春に新芽を出して再び花を咲かせます。
宿根アスターの育て方|基本的な栽培方法
宿根アスターを元気に育てるためには、適切な栽培環境を整えることが大切です。
正しい育て方を知っておけば、株は年を重ねるごとに充実し、より多くの花を咲かせてくれるでしょう。
宿根アスターが好む栽培環境
宿根アスターの栽培で重要なのは、しっかりと日光が当たる場所を選ぶことです。
一年を通して直射日光がよく当たる場所で育てましょう。夏の強い陽射しにも耐えるため、特別な遮光対策は必要ありません。
また、宿根アスターは耐寒性も強く、品種によってはマイナス10℃程度の寒さにも耐えられます。
暑さと寒さ、どちらにも強い性質があるので、適した環境に植えつければ、比較的手間をかけずに育てられます。
土づくり
基本は水はけのいい場所を好みます。
鉢植えで育てる場合、市販の草花用培養土『ハイポネックス培養土鉢・プランター用』をそのまま使ってください。
庭植えの場合も、ほかの植物が元気に育っている場所であれば、植えつけ前に土を軽く耕す程度で問題ありません。
より良い栽培環境に整えたい場合は、腐葉土や赤玉土を混ぜることで、水はけと保水性のバランスがよくなります。
水やり
鉢植えの場合、土の表面がしっかりと乾いているのを確認してから、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えてください。
庭植えの場合、真夏の極端に乾燥する時期以外、頻繁な水やりは必要ありません。水を与えすぎると根腐れの原因になるため注意が必要です。
肥料
宿根アスターはそれほど多くの肥料を必要としない植物です。
植えつけ時に緩効性肥料『マグァンプK中粒』を元肥として土に混ぜ込んでおけば、その後の追肥は基本的に要りません。
追肥を行う場合は、株の生育が活発になる春の芽出し時期と、花芽が形成される秋の開花前が最適です。
1ヵ月に2回液体肥料『ハイポネックス原液』を少なめに与えましょう。
肥料の与えすぎは、株を弱らせたり、花つきを悪くしたりすることがあるため、様子を見ながら行いましょう。
摘心
摘心は、春から初夏の新芽がある程度伸びたタイミングで行いましょう。茎の先端を切り戻して脇芽の生長を促します。
この作業により脇芽が増え、自然と花数も増えて、見ごたえのある株に育ちます。
増やし方
宿根アスターは、株分けで簡単に増やすことができます。同じ場所で3年〜4年ほど育てると株が混みあってくるため、そのタイミングが株分けの目安です。
作業を行うのは、新芽が動き出す前の早春が適しています。
株を掘り上げた後、古くなった中央部を避け、生育のいい外側の部分を数個に分割して植えつけてください。
これによって株が若返り、再び元気な花を咲かせます。
花がら摘み
咲き終わった花をそのまま放置すると、株は種を作るためにエネルギーを消費してしまい、新しい花を咲かせる力が弱まります。
こまめに花がらを摘み取ることで、株のエネルギーを新しい蕾の形成に集中させて健康な株を維持できます。
宿根アスターの育て方|病気・害虫対策

ここでは、宿根アスターの病気・害虫対策をご紹介します。
宿根アスターは比較的丈夫な多年草ですが、まれに病気や害虫の被害を受けることがあります。
ここでは、栽培時に注意すべき主な病害虫とその対策についてご紹介します。
主な病気対策
うどんこ病
葉の表面に白い粉をまぶしたようにカビが広がる病気です。
株間を広げて風通しをよくし、蒸れを防ぐことが予防につながります。
発生した場合は、市販の薬剤で対処することがおすすめです。初期であれば、症状の出た葉を取り除いて拡大を防いでください。
宿根アスター菌核病
茎が茶色く腐敗し、最終的には株全体がしおれて枯れてしまう病気です。
土壌中の病原菌によって引き起こされるため、湿度の高い環境や、排水の悪い土壌で発生しやすくなります。
発生すると被害が広がりやすい点が特長です。病気にかかった場合は、被害株を速やかに抜き取り、処分してください。
周囲の株もよく観察し、必要に応じて殺菌剤で土壌処理を行います。
排水性の良い土壌を選び、株が密集しすぎないように植えつけてください。
その他の病気
他にも、春先には茎が腐敗する軟腐病や、秋には葉に斑点が現れる斑点病などが発生することもあります。
異常を見つけたら早めに該当部分を取り除き、被害を最小限に抑えましょう。
主な害虫対策
アブラムシ
アブラムシは新芽や蕾の汁を吸い、株の生育を妨げます。
株の勢いを弱らせるだけでなく、ウイルス病を媒介することもあるため、見つけ次第すぐに対処する必要があります。
数が少ない場合は、ガムテープなどで取り除いてください。数が増えてしまった場合は殺虫剤などで対処しましょう。
ヨトウムシ
ヨトウムシは夜間に活動し、葉や蕾を食べることで植物に大きな被害を与えます。
昼間は土の中や葉の裏などに隠れているため、被害を見てから気づくケースも少なくありません。
被害が出たら、株元や周囲の土をよく確認し、見つけた個体を取り除くか、殺虫剤を使って防除しましょう。
その他の害虫
乾燥する季節には、ハダニやコナジラミといった害虫が発生することもあります。
葉の裏に付着し、汁を吸って株を弱らせるほか、葉に白斑や黄変が現れることもあります。
特にハダニは、細かいクモの巣状の糸を張るため、それが目印となります。
日々の観察を欠かさず、葉の表裏までよくチェックしておくことが早期発見につながります。
宿根アスターの育て方|楽しみ方のコツ

宿根アスターは育てる過程を楽しむだけでなく、咲いた花を暮らしに取り入れることで、魅力はさらに広がります。
ここでは、宿根アスターをより楽しむコツをご紹介します。
切り花として楽しむ
宿根アスターは花持ちがよく、茎もしっかりしているため、切り花として人気が高い花です。
自分で種から育てた色とりどりのアスターで花瓶をいっぱいにすることを目標に栽培するのも、ガーデニングならではの醍醐味といえるでしょう。
仏花にする
日本では古くから、お盆やお彼岸に菊を供える習慣がありますが、アスターも同じく、キク科の植物として仏花に用いられます。
特に、白や紫など落ち着いた品のある色合いの品種は仏花に適しています。
自分で育てた花をお墓や仏壇に供えることで、故人への感謝や供養の気持ちをより深く伝えられるでしょう。
寄せ植えのアイデア
宿根アスターをフジバカマや野菊などほかの秋に咲く草花と組み合わせることで、趣のあるコンテナガーデンに仕上がります。
また、一年草のアスターなら、ゼラニウムやカランコエなど、異なる質感の植物と合わせることで、モダンで華やかな寄せ植えが楽しめるでしょう。
寄せ植えは複数の植物を同じ鉢で管理するため、水の管理が重要です。
過失を嫌う傾向があるため、水のやりすぎに注意し、土が乾いてから与える”乾かし気味の管理″を心がけるのがポイントです。
宿根アスターのよくある栽培トラブル
宿根アスターは比較的丈夫で育てやすい植物ですが、栽培の過程でトラブルが発生することがあります。
これらの問題の多くは、土壌環境や管理方法に原因があるため、適切な対処法を知ることで健康な株を育てることができます。
代表的な栽培トラブルを見ていきましょう。
発芽しない原因は?
種まきの時期や用土の選び方が間違っている可能性があります。
発芽には適度な温度と水分が必要で、気温が低すぎる時期に種まきをすると発芽率が大きく下がってしまいます。
また、水はけの悪い土や古い種を使うと発芽率が下がるとされています。
種まきは気温が安定し、地温が15℃以上の暖かい時期に行いましょう。
さらに、新鮮な種子を選び、通気性や保水性の整った種まき専用土を使用するのが理想です。
まいた後は乾燥させすぎないように管理し、直射日光を避けた明るい場所に置きましょう。
茎が茶色く腐って枯れてしまう原因は?
茎が茶色く変色し、やがて株全体がしおれて枯れてしまう場合、宿根アスター菌核病にかかっている可能性があります。
特に高温多湿の時期に発症することが多いです。
この病気にかかった茎は見つけ次第すぐに切り取り、処分しましょう。
必要に応じて、殺菌剤を使って土壌環境をリセットしてください。
葉に白い粉のようなものがつく原因は?
うどんこ病の可能性が非常に高いです。カビの一種による病気で、日当たりや風通しが悪い多湿な環境で発生しやすいです。
葉に広がった白い粉状のカビが植物の光合成を妨げて生育を衰えさせます。
被害が広がっている場合は、適切な薬剤を散布し、発症した葉を速やかに取り除きましょう。
株間を空けて風通しを確保し、蒸れを防ぐことが予防の基本です。
生育が悪く葉が縮れてしまう
葉が丸まり、しわのように縮れてしまう場合は、さび病の可能性があります。
さび病は特に10月~11月にかけて発生しやすく、葉や茎に赤茶色のさびのような斑点が多数現れるのが特長です。
発病初期に発症した葉は摘み取り、被害の拡大を防いでください。
また、前年の病気が翌年に持ち越されることもあるため、落ち葉や枯葉は丁寧に除去しましょう。
年々調子が悪くなる原因は?
同じ場所でアスターを数年間育てていると、年々花数が減ったり株が弱ったりする場合、”連作障害″が原因と考えられます。
これは土壌の養分バランスが崩れたり、病原菌が蓄積したりすることで生じます。
定期的に栽培場所をかえ、土壌改良を行ってください。また、堆肥や腐葉土をすき込むことで、土壌の通気性や養分バランスを整えることも重要です。
鉢植えで育てた場合に植えかえは必要?
鉢植えで育てている場合、生育が旺盛な宿根アスターは根詰まりしやすい傾向があります。
そのままでは根が詰まり水や養分を吸収しにくくなり、生育不良につながります。
鉢植えの場合、毎年1回を目安に植えかえを行ってください。
おわりに
宿根アスターは、一度植えれば毎年花を咲かせてくれる多年草です。基本的な栽培ポイントを押さえれば、初心者でも手軽に育てられ、長く花を楽しめます。
この花は、切り花や仏花として日常に彩りを添えたり、寄せ植えのアクセントにしたりと、暮らしの中でさまざまに活用できるのも魅力です。
ぜひこの機会に宿根アスターを育て、ガーデニングの楽しみをさらに広げてみてください。
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