【ヒイラギの育て方】魔除けの木を元気に育てるコツとは?
ヒイラギは、鋭いトゲのある葉と香り高い白い花が魅力の常緑小高木です。
日本では古くから魔除けの樹木として親しまれ、節分の柊鰯(ひいらぎいわし)として飾ったり、庭木としても広く栽培されてきました。
この記事では、ヒイラギの基本的な特長から栽培方法、主な品種、病害虫対策まで詳しく解説します。
ヒイラギの育て方|基礎知識
ヒイラギは、寒暖差や病害虫に強い性質を持ちます。園芸初心者の方でも育てやすい植物です。
ヒイラギとは?
ヒイラギは、日本と台湾を原産地とする常緑小高木で、樹高は通常4m~10m程度まで生長します。
「ヒイラギ」という名は、葉のトゲに触れたときの痛みを表す「疼ぐ(ひいらぐ)」が由来とされています。
葉は厚みがあって硬く、濃い緑色で光沢があり、縁には2対~5対の鋭いトゲが並びます。葉のトゲは若い木ほど鋭い傾向があります。
ヒイラギと西洋ヒイラギの違い
名前が似ているヒイラギと西洋ヒイラギ(セイヨウヒイラギ)は、植物学上は異なる科に属する別の植物です。
ヒイラギはモクセイ科モクセイ属、西洋ヒイラギはモチノキ科モチノキ属に属します。
見分けるポイントは葉のつき方です。ヒイラギは対生(向かい合ってつく)、西洋ヒイラギは互生(互い違いにつく)です。
また、花の咲く時期も異なり、ヒイラギは11月~12月、西洋ヒイラギは4月~5月に開花します。
魔除けとしての由来
ヒイラギが魔除けの樹木として用いられるのは、葉の鋭いトゲと花の強い香りが邪気を寄せつけないと信じられてきたためです。
この考え方は、「とがったもの、強い香りのあるものが厄を払う」という日本古来の風習に基づきます。
特に有名なのが、節分の風習「柊鰯」で、焼いたイワシの頭をヒイラギの枝に刺したものです。
鬼が嫌いなイワシのにおいと、ヒイラギのとがった葉を組み合わせて飾ることで、魔よけの意味合いが含まれています。
ヒイラギの育て方|主な品種
ヒイラギには、一般的な緑葉の品種から華やかな斑入り品種、さらには交雑種まで、様々な種類があります。ここでは代表的な品種を紹介します。
標準種・基本タイプ
オニヒイラギ(鬼柊)
ヒイラギの中でもっとも一般的な標準種です。地方によっては正月飾りに使われることもあります。
樹高は2m~8m程度に生長し、庭木として管理しやすいサイズです。耐寒性が高く、比較的育てやすいのも特長です。
マルバヒイラギ(丸葉柊)
葉の縁に鋭いトゲがなく丸みを帯びた形をしています。
トゲがないため剪定作業や手入れが安全で、お子さんのいるご家庭でも安心して植えられる品種です。
葉の光沢は控えめで、柔らかい印象の樹形が魅力です。
斑入り・覆輪系の園芸品種
キフクリンヒイラギ(覆輪)
葉の縁に美しい黄色い縁取りが入り、庭に彩を添える人気の園芸品種です。
葉の中央部分は濃い緑色で、周りの明るい黄色のコントラストが美しく、洋風の庭園によく合い、カラーリーフとして高く評価されています。
ゴシキヒイラギ(五色柊)
緑色、金色、クリーム色など複数の色が美しく混ざり合う華やかな園芸品種です。
葉ごとに色の出方が異なり、株全体で見ると独特の模様が楽しめます。
樹高は約150cmとコンパクトにまとまるため、鉢植えや小さな花壇でも育てることができます。
交雑種
ヒイラギモクセイ
ヒイラギモクセイは、ヒイラギとギンモクセイの交雑種とされる植物です。樹高は4m~7mに達し、10月に白色の花を咲かせます。
移植や大気汚染に強い性質を持つため、公園樹や庭木、生垣などに広く利用されています。庭木として人気があり、剪定や管理もしやすい品種です。
ヒイラギの育て方|基本の栽培方法
ヒイラギは日本で古くから庭木として栽培されてきた樹木です。丈夫で管理の手間が少ないため、園芸初心者の方でも失敗しにくい植物です。
ここでは、ヒイラギの基本的な育て方を解説します。
ヒイラギが好む栽培環境
日当たりから半日陰の場所が最も適しています。日陰でも生長できますが、花つきをよくするには適度な日光が大切です。
乾燥に弱いため、極端に土壌が乾く場所では生長が悪くなったり、枝が枯れたりするおそれがあります。
また、冬の乾いた寒風が当たらない場所を選ぶと安心です。
土質はあまり選びませんが、水はけがよく適度に湿った土壌を好みます。腐植質を豊富に含んだ土であれば、さらに生育がよくなるでしょう。
土づくり
水はけと保水性のバランスがポイントです。
地植えの場合は、掘り起こした土に腐葉土や完熟堆肥を2割~3割程度混ぜ込んで土壌を改良してください。
鉢植えの場合、赤玉土7:腐葉土3の割合で混ぜ合わせた土を使うとよいでしょう。また、市販の庭木用培養土を使用すると手軽でおすすめです。
なお、土壌のpHは弱酸性から中性が適しています。アルカリ性に傾きすぎると葉が黄色くなるため注意してください。
植えつけ
植えつけには、霜の心配がなくなる4月下旬~5月が適しています。
地植えの場合、根鉢より一回り程度大きな植え穴を掘り、改良した土を使って植えつけます。
根についた土は、崩すと傷ついて生育が悪くなるおそれがあるのでそのまま植えましょう。
植えつけ後は、根鉢のまわりにたっぷりと水を注ぎます。棒などでつついて根と植え土をなじませてください。
水やり
地植えの場合、根が張った後は基本的に降雨だけで十分です。ただし極端に乾燥する夏の高温期には、朝か夕方に水やりを行ってください。
乾燥に弱い性質があるため、土壌の状態を観察して必要に応じて水分を補ってあげるといいでしょう。
鉢植えの場合、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。過度な水やりは、根腐れを引き起こすおそれがあるため気をつけてください。
肥料
ヒイラギは肥料をあまり必要としません。栄養が十分な土であれば、特に与えなくても育ちます。
肥料を与える場合は、寒肥として1月~2月に緩効性肥料『ブリリアントガーデン バラの有機肥料』を株元に施してください。
剪定・整枝
剪定の適期は目的により時期が異なります。
樹形を整える程度の軽い剪定であれば、6月下旬~7月に行うと、一次生長の枝を整理し、秋の二次生長による樹形の乱れを防ぐことができます。
一方、枯れ枝や不要枝の整理、強剪定は、芽吹き前の3月に行うとその後の生育が良くなります。
増やし方
ヒイラギの増やし方には種まきと挿し木の2種類があります。
ただし、種まきは植えつけまでに3年程度必要とするため、発根しやすく、成功率が高い挿し木が一般的です。
種まき
秋に熟した黒紫色の果実から種子を取り出し、種まき用の用土にまきます。
苗として鉢や地面に植えかえができるようになるまで2年~3年程度かかります。
挿し木
挿し木に適した時期は6月~7月で、春に芽吹いて伸びた枝を10cm~15cm程度に切り取って挿し穂とします。
切り口を水につけて十分に水揚げをした後、赤玉土や挿し木用土に挿してください。
乾燥させないように管理すれば、2ヵ月~3ヵ月で発根します。
ヒイラギの育て方|病害虫対策
ヒイラギは比較的病害虫に強い性質を持つ樹木です。
しかし、風通しの悪い環境や管理が不十分な場合、害虫や病気が発生することがあります。日頃から観察し、早期発見・対処を心がけましょう。
主な害虫
カイガラムシ
カイガラムシは、ヒイラギに発生する代表的な害虫です。白い粉のような物質に覆われた小さな虫で、枝や幹に付着して樹液を吸います。
放置すると生育不良を起こし、悪化した場合は枝枯れを起こすおそれがあります。
発生初期の数が少ないうちに、竹べらや古歯ブラシなどでこそぎ落と効果的です。
成虫は薬剤が効きにくいため、幼虫期の間に専用薬剤を散布して駆除してください。
ヘリグロテントウノミハムシ
ヘリグロテントウノミハムシは、ヒイラギの葉に深刻な影響をもたらす害虫です。
幼虫は葉肉内に潜り込んで内側から葉を食害するため、被害を受けた葉は茶色く変色し、見た目がひどくなってしまいます。
成虫は3月~5月ごろに樹上に現れて産卵し、6月~7月ごろに幼虫が活発に食害を行います。
この害虫による被害を防ぐには、成虫の発生初期に薬剤を散布するのが効果的です。
主な病気
褐斑病
褐斑病は、葉の周りに褐色の斑点が現れ、次第に白っぽくなって枯れていく病気です。
高温多湿の環境で発生しやすく、特に風通しが悪い場所では注意が必要です。
発病した葉は見つけ次第取り除き、適切な薬剤を散布して拡大を防ぎましょう。
炭そ病
炭そ病は、葉や茎に灰褐色から黒褐色の円形病斑を生じる病気です。
病気が進行すると病斑が広がり、中心部が灰白色になったり同心円状の紋が現れたりします。
多発すると植物の生長に大きな影響を与えるため、特に発生しやすい梅雨や秋雨の時期は注意深く観察をしましょう。
発症した部分は早めに切除し、適切な薬剤で対処してください。
ヒイラギの育て方|よくある栽培トラブル
ヒイラギは比較的育てやすい樹木ですが、栽培環境によっては葉の変色や花が咲かないといったトラブルが起こることがあります。
ここでは、ヒイラギ栽培に関する栽培トラブルと対処法をご紹介します。
花が咲かない理由は?
主な理由に剪定の時期や方法にあります。
ヒイラギは夏頃に翌年の花芽が形成されるため、剪定の適期以降に行うと、すでに形成された花芽まで切り落としてしまうことがあります。
また、強剪定を行うと枝葉は茂りますが、花芽がつきにくくなります。
花を楽しむためにも7月後半以降の剪定は避けましょう。
なぜ葉が落ちたり枯れたりするの?
ヒイラギの葉が落ちる理由には水切れや根腐れがあります。
水切れの場合は上の葉から、根腐れの場合は下の葉から黄色く変化して落ちやすくなります。
日頃から植物の様子を観察し、異変に気づいたら早めに水やりや、根の様子を確認して対処しましょう。
トゲでケガをしないためには?
ヒイラギの葉は鋭いトゲを持つため、作業中にケガをすることがあります。
剪定や植えかえの際は長袖の衣服と厚手の手袋を必ず着用しましょう。
なお、老木になるとトゲが少なくなる傾向があるため、長期間育てることで危険性は軽減されます。
冬の寒さにどう対応する?
寒さから株を守るために地植えの場合と鉢植えの場合で対応を分けましょう。
地植えの場合、株元に腐葉土や堆肥を敷いてマルチングを行い、根を保護します。
鉢植えの場合は、軒下や玄関など霜や冷たい風が直接当たらない場所に移動させてください。
葉が黄色くなるのはなぜ?
葉が黄色くなる原因には、主に水の管理・栄養・環境の3つです。
水切れの場合、上の葉から黄変して葉が落ちやすくなります。
水のやりすぎの場合、下の葉から黄変します。肥料不足や、環境変化によるストレスも黄変の原因となります。
日頃から適した環境づくりを心がけ、調整しましょう。
おわりに
ヒイラギは日本の気候に合った育てやすい常緑樹です。日当たりから半日陰を好み、乾燥を避ける管理がポイントです。
また、用途や好みに応じて品種を選ぶこともできます。庭木や鉢植えとして、ぜひご家庭で育ててみてください。
#ヒイラギ #庭木の育て方 #特集