コデマリの育て方|剪定方法や株分け、仕立て方のコツも紹介

春になると白い小さな花が枝全体を覆うように咲くコデマリは、庭木としてはもちろん、切り花や生け垣にも人気の植物です。
ただし、コデマリを家に迎える際には「どう育てればいいの?」「剪定っていつすればいいの?」と悩む方も多いでしょう。インターネットや園芸書を見ても情報が断片的で、結局どうすればいいか迷ってしまうこともあるでしょう。
この記事では、コデマリを元気に育て美しく咲かせるための基本知識から実践的な管理方法まで詳しく解説します。
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コデマリ
学名 Spiraea cantoniensis 科名 バラ科 原産地 中国 分類 庭木、花木 耐寒性 強い 耐暑性 強い 栽培カレンダー
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月開花時期植えつけ・植えかえ剪定肥料
コデマリの基本情報

コデマリ(小手毬)は、バラ科シモツケ属の落葉低木で、春に小さな白い花が半球状に密集して咲く姿が特徴です。
花の形が手毬(てまり)に似ていることから名付けられました。
耐寒性・耐暑性ともに高く、初心者でも失敗しにくい植物です。地植えはもちろん、鉢植えでも楽しめます。
コデマリの育て方

コデマリは丈夫で初心者でも育てやすい植物とはいえ、水のやりすぎや剪定のタイミングを間違えると、花つきが悪くなることもあります。
ここでは日当たり・用土・植えつけなど、基本的な育て方を詳しく解説します。
日当たり・置き場所
コデマリは日当たりのよい場所を好む植物のため、日照時間が長いほど花つきがよくなり、春の開花時には満開の白い花を楽しめます。
特に地植えの場合は、1日5時間以上日が当たる場所に植えるとよいでしょう。
また、風通しも重要なポイントです。風通しが悪いと葉が蒸れて病気や害虫が発生しやすくなるため、周囲に十分なスペースがある場所に植えると安心です。
コデマリは樹高が1.5mほどまで大きくなるため、鉢植えよりも地植えのほうが管理しやすく適しています。
もし鉢植えで育てたい場合は、 日当たりの良い場所に置き、真夏の直射日光を避けましょう。
適切な温度・湿度
コデマリは耐寒性が高いため、日本の多くの地域で問題なく育てられます。冬に葉を落とす落葉低木のため、寒冷地でも比較的かんたんに冬越しが可能です。
さらにコデマリは、真夏の高温にも耐えられる強さがあります。
ただし、夏場は直射日光が長時間当たる場所に植えると乾燥して花つきが悪くなる可能性があるため注意しましょう。
また、湿度が高すぎると根腐れの原因になるため、水はけのよい環境を整えることも大切です。水やりや土の管理とあわせて、梅雨時期には風通しをよく保つよう意識しましょう。
最適な用土

コデマリは、丈夫なため土質を選びません。地植えする場合は特別な土壌改良は不要で、庭の土をそのまま使用しても問題ありません。
水はけが悪い場合は腐葉土や堆肥を混ぜて改良しておくと安心です。
鉢植えで育てる場合は、「赤玉土6:腐葉土4」の割合で混ぜた培養土が理想的ですが、市販の培養土『ハイポネックス培養土鉢・プランター用』でも十分に育ちます。
根の生育や水はけを考慮して、ふかふかとした土を用意してあげましょう。
植えつけ方法
コデマリの植えつけは、落葉期である10月〜11月が最適なタイミングです。
この時期は植物が休眠期に入るため、根を傷める心配が少なく、定植後にしっかりと根づいてくれます。
まず、植え穴を根鉢より一回り大きく掘り、葉土や堆肥を混ぜておきます。株を植えたら、根鉢の上部が土の表面と同じ高さになるように調整しながら植えつけます。最後に、水をたっぷりと与えましょう。
鉢植えの場合は排水性のよい鉢を選び、底に鉢底石を敷いてから培養土を入れます。根づまり防止のため、1年~2年に一度は植えかえをしましょう。
水やりの方法
コデマリは比較的乾燥に強い植物です。地植えの場合、植えつけの際にたっぷりと水を与えましょう。
その後は雨が降らない日が続いたり、土が極端に乾燥したりする場合にのみの水やりをすれば問題ありません。
乾燥が続く時期や夏場は、朝か夕方に水やりをするとよいでしょう。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるのが基本です。
ただし、受け皿に水がたまると根腐れの原因になるため、余分な水は捨ててください。
また、過湿を避けるため、風通しのよい場所に置く、土の表面を観察して水やりの間隔を調整するなどの工夫が必要です。
冬場のコデマリは生育が鈍り、葉がすべて落ちるため水やりの頻度も控えめにしましょう。
肥料の与え方
コデマリは肥料をあまり必要としない丈夫な植物ですが、花つきや枝ぶりをよくするには適切なタイミングでの施肥が効果的です。
肥料は1月〜2月頃の追肥と5月〜6月頃の追肥の年2回を目安に与えてください。
寒肥
冬に与える肥料は寒肥(かんごえ)と言い、 春の成長を促すための栄養補給となります。
緩効性の有機肥料の『ブリリアントガーデン バラの有機肥料』や、堆肥と緩効性肥料がひとつになった『土を豊かにする肥料』を与えるとよいでしょう。
追肥
春に与える肥料は花が咲き終えたコデマリの体力回復のために大切です。
この時期には、即効性のある液体肥料『ハイポネックス原液』を使いましょう。
鉢植えの場合
月に1回程度、液体肥料『ハイポネックス原液』を補うとさらに元気に育ちます。
肥料の与えすぎは逆効果になり、枝が必要以上に伸びて花つきが悪くなる現象を招くこともあるため注意が必要です。
様子を見ながら、必要なときだけ適量を与えましょう。
剪定・切り戻し

コデマリは栽培を始めてから3年〜5年すると徐々に花つきが悪くなるため、株を若返らせるための剪定を行いましょう。
剪定のタイミングは、花が終わった直後の5月〜6月頃です。コデマリは前年の夏に伸びた枝に翌春の花をつける性質があるため、剪定が遅れると翌年の花芽を切り落としてしまうことになります。
花が終わったら、重なり合った枝や古い枝を株元から間引くように剪定しましょう。これにより風通しがよくなり、病害虫の予防にもなります。
また、樹形を整える目的で、全体の高さを1/3〜1/2ほどに切り戻すのもよいでしょう。
特に鉢植えや狭いスペースで育てている場合は、サイズ調整を兼ねた剪定が欠かせません。
剪定するとその年の花つきがやや悪くなることもありますが、株の若返りにつながるため、数年に一度は思い切った剪定を行うとよいでしょう。
夏越し・冬越し
コデマリには、夏越し・冬越しのための特別な対策は必要ありません。ただし、夏場は高温多湿による葉の蒸れや、根腐れには注意しましょう。
風通しのよい場所に植える、剪定で重なり合った枝を間引く、鉢植えなら半日陰に移動させるなどの対策がポイントです。
冬は落葉するため水やりを控えめにしつつ、根が凍らないように寒風が直接当たらない場所に置きましょう。
地植えの場合は特別な寒さ対策は不要ですが、鉢植えの場合は、冷たい風を避けられる軒下などに移動すると安心です。
特に新しく植えた株や小さな鉢は寒さに弱い傾向があるため、寒冷地では鉢ごと室内に取り込むか、不織布で覆うなどの保護を検討しましょう。
コデマリの増やし方

コデマリは「挿し木」と「株分け」の2つの方法で増やすことができます。
いずれも初心者にも比較的簡単にできる方法で、元気な株から枝や株を分けて新しい苗を育てられます。
挿し木
挿し木は、コデマリを増やす方法の中でも成功率が高く、気軽に挑戦できる方法です。前年に新しく出てきた健康な枝を使いましょう。
枝を10㎝〜15㎝ほどの長さに切り取り、下葉を取り除いたうえで水に1時間ほどつけて吸水させたあとは小粒の赤玉土に挿します。
直射日光を避けて半日陰で管理し、土が乾かないようにこまめに水を与えるのが成功のコツです。挿し木は1ヵ月ほどで発根します。
株分け
株分けは、地植えで大きく育ったコデマリを若返らせながら株を増やす方法です。適した時期は落葉期である11月頃で、葉が落ちたあとに株を丸ごと掘り上げます。
根を傷めないように4本〜5本の枝がつくように分けて、それぞれを別の場所に植えつけます。
分ける際は根と枝のバランスを見て、極端に根が少ない状態にならないように注意しましょう。
株分けをしたあとは水をたっぷり与えて、根が定着するまで日当たりと乾燥に気を配ります。
コデマリの植えかえ方法

鉢植えで育てている場合、1年~2年に一度は植えかえが必要です。
根が鉢の中でいっぱいになってくると水はけが悪くなり、株の元気がなくなってしまいます。植えかえに適した時期は、10月〜11月です。
鉢からそっと株を抜き、古くなった土や傷んだ根を軽く取り除いてから、一回り大きな鉢に新しい培養土を入れて植え直しましょう。
このとき、鉢底に鉢底石を敷いて排水性を確保し、植えたあとは水をたっぷりと与えます。
植えかえ後しばらくは直射日光や強風を避け、風通しのよい場所で管理しましょう。
地植えのコデマリは、植えかえの必要はありません。
コデマリの気をつけるべき病気・害虫
コデマリは比較的病害虫に強い植物ですが、葉が蒸れたり日当たりが悪くなったりすると発生しやすくなります。特に注意したいのは、うどんこ病とアブラムシです。
うどんこ病は白い粉をまぶしたようなカビが葉に発生する病気で、湿度が高く風通しの悪い場所で起こりやすくなります。見つけ次第、病気の葉を取り除いたり、殺菌剤で対処したりしましょう。
アブラムシは春から夏にかけて新芽につきやすく、放置すると株が弱ります。発見したらすぐに駆除し、予防には日々の観察と剪定で風通しをよくすることが大切です。
コデマリを美しく育てるための管理ポイント

コデマリを美しく咲かせるには、「剪定・日当たり・風通し」の3点が重要です。
重なり合った枝をこまめに間引き、日差しと風が届くように管理することで毎年ふわっとした花姿を楽しめます。
大株になったら株分けで若返らせる
コデマリは生長が早く、数年で大きな株になります。根が張りすぎると水や栄養が行き渡りにくくなり、花つきも悪くなりがちです。
そのようなときに行いたいのが株分けです。株全体を掘り上げて、根を傷めないように数株に分けて植え直すことで、株の活力が戻ります。作業の適期は11月頃の落葉期です。
移植後はたっぷりの水やりと、乾燥・寒風対策を忘れずに行いましょう。株分けは、新たに植えたい場所に増やすだけでなく、古くなった株の若返りにもつながる大切な管理方法です。
小さく育てたいときは数年に1回強めに切り戻す
スペースが限られている場所で育てている場合、コデマリの自然な生長によって思った以上に大きくなることがあります。そのようなときは、数年に1度強めの剪定を行いましょう。
剪定のベストタイミングは花が咲いた後の5月~6月で、この時期に枝を根元近くから大胆に切り戻すことで、コンパクトな樹形に整えられます。
ただし、その年の開花する枝が失われるため花つきはやや減る可能性がありますが、翌年以降に向けて整える作業と考え、全体のバランスを見ながら剪定しましょう。
剪定後は肥料を与え、株の回復をサポートします。
コデマリの仕立て方

コデマリは自然に広がる枝ぶりを活かして、ナチュラルな印象の樹形に仕立てるのが一般的です。
特に生け垣や庭木としての利用が多く、春には白い花がライン状に連なる華やかさを演出できます。
また、花の美しさを活かして切り花としても楽しめる点も魅力で、しなやかな枝に花が連なる自然な様子を活用してフラワーアレンジメントでもよく使われます。
仕立て方に決まりはありませんが、伸びすぎた枝や重なり合った部分を整える「軽い剪定」と、数年に一度の「強剪定」で樹形を保つとよいでしょう。
また、鉢植えにして低めの樹高で楽しむことも可能なため、スペースや好みに合わせて自由に仕立ててみてください。
まとめ

コデマリは丈夫で育てやすく、春にはふわふわとした白い花をたくさん咲かせてくれる魅力的な植物です。
日当たりのよい場所と適度な水やり、そして花の後の剪定という基本を押さえれば、毎年きれいな花を楽しめます。
挿し木や株分けで増やすこともでき、大株になったら若返りの剪定も可能です。鉢植えや庭木、生け垣、切り花など、さまざまな楽しみ方ができる万能な植物です。
初めての方でも育てやすいコデマリを、ぜひこの機会にお庭や玄関先に迎えて四季の彩りをお楽しみください。
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