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エビネの育て方|植えかえや水やりの基本を解説

エビネの育て方|植えかえや水やりの基本を解説

エビネは、古くから観賞用として、日本で親しまれてきた植物です。色とりどりの鮮やかな花は、見る人の心を和ませてくれます。

繊細な美しさを持つエビネは、育てるのが難しそう、と思われがちですが、コツさえつかめば初心者でも育てやすい植物です。

この記事では、エビネの育て方を詳しく紹介するとともに、増やし方や育てる際の注意点についてもわかりやすく解説します。

エビネの栽培に挑戦してみたいと考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

エビネの育て方|基本情報

エビネは、ラン科エビネ属の多年草で、原産地は日本をはじめとする東南アジアです。

根茎がエビのような形状をしていることから、「エビネ(海老根)」という名前がつけられました。

かつては日本各地の低山に自生していた花で、江戸時代から鉢植えとしても親しまれていました。

しかし近年は、観賞目的の採取によって数が大幅に減少し、エビネを絶滅危惧種に指定している地域も少なくありません。

エビネには、春咲き品種と夏咲き品種の二種類があり、開花期にはカラフルで繊細な花を咲かせます。

エビネの育て方|基本的な栽培方法

ここからは、エビネの基本的な育て方について解説します。

エビネを初めて育てる方は、ぜひ参考にしてください。

エビネが好む栽培環境

エビネは、明るい半日陰を好む植物です。直射日光の当たらない、風通しの良い場所で育てましょう。

夏の強い日差しや西日は、葉焼けの原因となるのでしっかりと遮光してください。

地植えの場合、常緑樹の木漏れ日が差し込むような、適度に日光が入る場所が適しています。

また、乾燥しすぎず、風通しのよい環境に植えると元気に育ちます。

鉢植えの場合は、風の強い場所は避けて置いてください。

特に、冬の乾燥した北風は葉が傷む原因となるため軒下や建物の影など風をよけられる場所に置くのがおすすめです。

室内で育てる場合は、直射日光の当たらない明るい日陰に置きましょう。

適切な温度・湿度

エビネは比較的、耐寒性・耐暑性のある植物なので、基本的には屋外での栽培が可能です。

ただし、真冬の気温が-5℃を下回る地域では凍結の恐れがあるため、冬の間は屋内に取り込んでください。

地植えの場合、真冬の間は、寒風から守るための風よけ対策を行います。

湿度は、60~70%が理想です。乾燥する冬場は、湿度をキープするのが難しいので、用土が乾燥しないように、適度な水やりを心がけてください。

苗の選び方

苗の購入の際は、鉢植え栽培された園芸品種で、株がしっかりしているのものを選びましょう。

一方で、山採り株(自然から直接採取された株)だと思われるものは無許可で採取されているものももあります。

適切な管理・栽培が行われていない可能性があるため、自然保護の観点からも、購入は控えましょう。

苗を選ぶときは、株元のぐらつきや新芽の傷み、病気の有無をしっかりチェックしてください。

園芸店や販売業者で、専門家のアドバイスを受けながら選ぶのもおすすめです。

最適な用土

エビネは水はけのよい粗めの用土で育てます。

鉢植えの場合は、市販のエビネ用土や東洋ラン専用の用土を使うと失敗も少なく、管理も簡単です。

自作する場合は、中粒~大粒のヤシ殻チップを混ぜたもの、もしくは、ヤシ殻チップ5・硬質鹿沼土小粒3・軽石小粒2、の割合で配合したものを使ってください。

ヤシ殻チップは、水を弾きやすいため、あらかじめ軽く水を含ませてから混ぜ合わせましょう。

植えつけ方法

植えつけの適期は品種によって異なります。

春咲き品種の場合は、開花期の3月または開花直後の9月、夏咲き品種の場合は、新芽発生直後か開花直後に行います。

開花直後に植えつける場合は葉を傷めないように、新芽が出た直後に植えつける場合は新芽を傷つけないよう注意してください。

エビネは、根が横に広がって増えていく性質があるため、浅く横幅のある鉢が適しています。

5号以上の駄温鉢やプラスチック鉢などの、乾きにくいタイプがおすすめです。

植えつけの際は、新芽のある側を広く開けて、偽鱗茎(ぎりんけい)が成長するスペースを確保してください。

根をほぐさず、偽鱗茎の上部が1/3程度出る深さまで覆土します。深植えは生育不良の原因となるため気をつけてください。

水やり

鉢植えの場合、用土が乾いてからたっぷり水を与えてください。

特に夏は乾燥しやすいため、朝だけでなく夕方にも水をやり、温度を下げて湿度を保ちましょう。

冬も用土をこまめに確認し、乾いていたら水をたっぷり与えてください。

地植えの場合、自然の雨で十分育ちますが、気温が高く乾燥が続くような時期には水やりを行い、株を弱らせないようにします。

また、芽が出て葉しっかり成長するまでの間は、芽の上から直接水をかけないように注意しましょう。

芽のくぼみに水が溜まると、軟腐病の原因となってしまうため、株元へ静かに水を与えてください。

肥料

エビネの肥料は、成長期・充実期・休眠期で使い分けるのが一般的で、失敗が少ない方法です。

全体としては少なめを基本に、根が活動する時期に的確に与えると元気に育ちます。

植えつけ後の3月~6月は新芽が伸びる大切な成長期です。置き肥には『プロミック 草花・鉢花用』を月に1回施します。

また、液体肥料『ハイポネックス原液』を1週~10日に1回与えると新芽の成長が促されます。

秋から冬にかけては株が休眠に向かうため、肥料は必要ありません。無理に与えると根を傷める原因になります。

また、開花中も施肥は控え、花が終わるまで肥料を休ませることで花持ちが良くなります。

エビネの育て方|お手入れ・管理方法

エビネは手間が少なく育てやすい植物ですが、株を健康に保ち、美しい花を毎年楽しむためには、季節ごとの管理や適切なお手入れが重要です。

エビネを長く元気に育てるための基本的な方法をまとめています。初心者でも無理なく実践できる内容です。

剪定・切り戻し

エビネは、基本的に定期的な剪定や切り戻しの必要はありません。しかし、花が終わったら枯れた花茎を株元から切り取るようにしましょう。

枯れた花茎は、エビネの美観を損ねるだけでなく成長や花の形成に影響をおよぼす恐れもあります。

しかし、株元からしっかり切り取っておけば、株のエネルギーを新しい芽や根の成長へと注げます。

また、傷んだ部分がある葉は、傷んだ部分のみを清潔なハサミで切り取ってください。このとき、なるべく緑の部分を残しておくのがポイントです。

花がら摘み

エビネの花が半分以上終わったら、花がら摘みをしましょう。花がらを摘むことで、株の生育が弱まるのを防ぎ、新芽の成長を促します。

エビネの株元を押さえながら花茎をねじり、上へと引っ張れば、花がらがきれいに抜け取れます。

花茎が硬くてうまく引っ張れない場合は、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。花がら摘みをした花穂は、切り花としても楽しめます。

はかま取り

エビネ葉の付け根にある筒状の「はかま」は、害虫や病気の原因になることがあります。

葉が生長しきった6月~7月にかけて、はかまが茶色く変色し、乾燥したタイミングで切り取りましょう。

夏越し・冬越しのポイント

鉢植えの場合は、季節ごとの管理が重要です。

夏場は風通しのよい明るい日陰に移動させ、直射日光や強風から守りましょう。

冬場は北風に当たらないよう注意し、ヤシ殻チップを厚さ3~5cm敷いたり、農業用の保護シートをかぶせたりして、露や寒気から植物を守ります。

暖地性の品種を育てている場合は、冬場に日当たりのよい室内へ取り込むなど、寒さ対策を行うことが大切です。

地植えの場合は、耐寒性の高い品種であっても、冬越し用のカバーやマルチングなどで保護すると安心です。

寒さに耐えられるよう、用土はやや乾き気味に管理するのがポイントです。

エビネの育て方|増やし方

エビネの増やし方は、おもに、株分け・バルブふかし法・実生の三種類です。

ここでは、それぞれの方法について解説します。

株分け

株分けは、植えかえと同時に行うのが効率的です。健康で生育の良い株を選び、十分に水やりして株を湿らせた後、根鉢を崩さないよう注意しながら株を分けます。

絡まった根は優しくほぐしてから分け、新しい鉢や地植え場所に植えつけ、周囲の土を詰めて固定し、十分に水を与えます。

株分けの際は、新芽と3個~5個の偽鱗茎を一株として扱うのがポイントです。

バルブふかし法

バルブふかし法は、古くなった葉のない偽鱗茎を2個~3個用意し、切り口に殺菌剤を塗ったあと湿らせた水苔に包んで保管します。

約3~6ヵ月で新芽が出て苗へと生長します。

実生

実生による増殖も可能ですが、自然に採れた種からは親株以上の花を期待できないことが多く、発芽率も低めです。

人工的な方法もありますが、設備や技術が必要なため、趣味で増やす場合は株分けやバルブふかし法がおすすめです。

エビネの育て方|気をつけるべき害虫

エビネを育てる際に特に注意したい害虫は、アブラムシとハダニです。アブラムシは葉や茎の汁を吸い取り、葉の変形や株の生育不良を引き起こすことがあります。

ハダニは葉の裏に集まり吸汁するため、白斑や黄色斑が現れ、葉がしおれてしまうことがあります。

このほか、カイガラムシやケムシも被害の原因となることがあります。

害虫を見つけた場合は、手で取り除くか、ブラシなどで落とすのが基本です。小さな虫だからと放置すると、被害が広がってしまうため注意してください。

手での駆除が難しい場合は、エビネに使える殺虫剤を利用するのも効果的です。被害が広がる前に早めの対応を心がけましょう。

まとめ

エビネは、それほど手間がかからず、初心者でも育てやすい植物です。うまく育てれば、毎年色鮮やかで美しい姿を楽しませてくれるでしょう。

また、鉢植え、地植えのどちらでも育てられるので、家の事情や雰囲気にあわせた栽培方法が選べるのも魅力です。

ただしエビネは、水や肥料の過不足や急激な温度変化に弱いので注意しましょう。特に、直射日光や、冬の乾いた冷たい風には当てないようにしてください。

優雅で美しいエビネの花は、きっと日々の生活の癒しになるでしょう。お部屋や庭を華やかにしたい、と思っている方は、ぜひ、エビネの栽培にチャレンジしてみてください。

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