【バジルの育て方】初心者向けの栽培方法と主な品種は?

バジルは、イタリア料理をはじめとする多くの料理に使われる人気のハーブです。特有の香りと味わいから、家庭でも育ててみたいという方が増えています。
実際、バジルは比較的育てやすく、初心者でもコツを押さえれば長く収穫を楽しめる植物です。
この記事では、バジルの基本的な育て方から、主な品種の違い、植えつけや水やりのポイント、害虫対策、さらには収穫後の保存方法や使い方のアイデアまで、バジル栽培を徹底解説します。
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バジル
学名 Ocimum basilicum 科名 シソ科 別名 バジリコ、メボウキ 原産地 熱帯アジア、インド 分類 一年草 耐寒性 やや弱 耐暑性 強 栽培カレンダー
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月収穫時期植えつけ・植えかえ施肥
- 目次
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- 【PlantiaQ&A】植物の情報、育て方をQ&A形式でご紹介
- バジルの育て方|特徴と種類
- バジルとは
- バジルの栽培時期
- バジルの歴史
- バジルとイタリア料理
- バジルを家庭で育てる魅力
- バジルの育て方|主な品種
- スイートバジル
- アニスバジル
- シナモンバジル
- ダークオパールバジル
- パープルラッフルバジル
- ブッシュバジル
- ホーリーバジル
- レタスバジル
- アフリカンブルーバジル
- レモンバジル
- 観賞用のバジル
- バジルの育て方|基本の栽培方法
- 置き場所
- 苗の選び方
- 土
- 水やり
- 植えつけ
- バジルの育て方|肥料の与え方
- 肥料を与えるポイント
- 肥料が不足したら
- 肥料が過剰だったら
- 元肥
- 追肥
- バジルの育て方|バジルの水やりのコツ
- 水切れ・過湿を防ぐコツ
- 水やりのタイミングは「午前中」
- 「鉢底から流れるまで」しっかり水やりを
- 鉢受け皿の水は捨てる
- 水やりの判断方法
- バジルの育て方|剪定
- 摘芯
- 切り戻し
- 剪定の注意
- バジルの育て方|収穫方法
- バジルの育て方|増やし方
- 土に挿す挿し木
- 水に挿す挿し木
- 種まき
- バジルの育て方|害虫・病気対策
- 基本的な害虫対策
- 防虫ネットを活用する
- 風通しをよくする
- 葉水を与える
- コンパニオンプランツを植える
- 害虫対策
- よくある失敗と原因
- 日照不足による生長不良
- 水やりの失敗
- 害虫被害の見落とし
- 温度管理の失敗
- バジルの育て方|長く楽しむ工夫
- 保存方法
- 使い方のアイデア
- まとめ
【PlantiaQ&A】植物の情報、育て方をQ&A形式でご紹介
☘52:バジルの育て方|水やりや肥料などの日々の管理、剪定方法や収穫方法などご紹介
バジルの育て方|特徴と種類

まずは、バジル栽培に必要な基礎知識を押さえておきましょう。
初めて挑戦する方でも無理なく始められるように、バジルの特徴や名前の由来、栽培に適した時期や注意点について、順を追って解説します。
バジルとは
バジルは熱帯地域を原産とするシソ科の植物で、葉は濃い緑色をしており、品種によって30cm~80cmまで生長します。
日光を好み、寒さが苦手なことから、本来は多年草ですが日本では一年草として扱われます。
バジル(basil)は英語由来の呼び方で、イタリア語由来のバジリコ(basilico)ともよばれます。和名はメボウキですが、日本でもバジルという名のほうが一般的です。
また、食物繊維を豊富に含むことから、ダイエット補助食品としても利用されています。
バジルの栽培時期
バジルの栽培時期は、北海道などの寒い地域では5~6月、関東から中部地方にかけては4月中旬~6月中旬、九州や沖縄は4月~6月上旬が目安となります。
苗を購入する場合、4月の間は遅霜などで気温が急に下がる日もあるので、5月以降の定植をおすすめします。
もし4月中旬までにバジル苗を買ってしまった場合は、ゴールデンウィークの頃までは夜間だけ室内に取り込んだほうが安全です。
また、バジルの種の発芽温度は、20℃以上です。苗を購入するのではなくて種まきからバジルを育てるのであれば、気温が安定して遅霜の心配がない頃にまきましょう。
バジルの歴史
インドや熱帯アジア原産で、英語のBasilならびにイタリア語のBasilicoはいずれも「王」を意味するギリシャ語の「バシレウス」に由来します。
バジルはアレキサンダー大王によってインドからヨーロッパに伝えられたとする説がありますが、実際にはイギリスに16世紀に、アメリカに17世紀に渡来したそうです。
日本には江戸時代に渡来し、当初は種子が漢方薬として輸入されました。
バジルの種子はグルコマンナンを多く含むため、水分を含むと乾燥状態の約30倍に膨張し、ゼリー状の物質で覆われます。
このゼリー状の物質が目の汚れを取り去る目薬とされていたそうです。そのためメボウキ(目箒)の名前がついたといわれています。
バジルとイタリア料理
独特の風味があるバジルは、イタリア料理には欠かせないハーブの一つです。
日本では当初は漢方薬であったバジルですが、日本で普及したきっかけはイタリア料理の普及です。
それまでは、プロの料理人が扱う素材としての認知度でしたが、バブルの頃の「イタ飯ブーム」で一気に普及しました。
バジルを家庭で育てる魅力
バジルはさまざまな料理に利用できます。また、日当たりがよければ室内でも庭でも簡単に育てることが可能なことから、ご家庭で栽培している人も多くいます。
バジルの育て方|主な品種
バジルには、以下の種類があります。
スイートバジル
もっともポピュラーで、単に「バジル」というと、だいたいスイートバジルのことを指します。
イタリアンを始めとする欧米料理に利用され、甘みのある爽やかな香りがします。
アニスバジル
甘草やアニスに似た甘い香りがあり、葉の葉脈が紫色です。葉も花も食用になります。
シナモンバジル
メキシコ産の園芸品種で、スイートバジルに似ていますが、葉は少し小ぶりで特徴的な光沢がなく、花と茎はピンクがかっています。
シナモンに似た甘い香りをもち、クッキーやパンに混ぜたり、シロップやはちみつにつけて香り出しをします。
ダークオパールバジル
熱帯アジアを原産とするスイートバジルの園芸品種です。赤紫色の葉と茎で、7月〜10月にピンクの花を咲かせます。
葉の香りはスイートバジルに似ており、ビネガーやオイルに漬けて葉の色の美しさを楽しみます。
パープルラッフルバジル
バジルの種類の中でもっとも濃い赤紫色の葉を持ちます。ピンクの花を咲かせます。
香りはスイートバジルよりも穏やかで、ビネガーやオイルに漬けると真っ赤な色が出ます。
ブッシュバジル
スイートバジルに似ていますが、葉を小さくしたような小葉のバジルです。矮性で、葉や草丈がコンパクトに育ちます。
その反面香りは強く、枝分かれしてこんもりとブッシュ状に生長することからこの名前がつきました。
見た目が小さくてかわいく、省スペースで育てることができるため、近年人気があります。
ホーリーバジル
タイ料理のガパオライスに刻んで入れられます。別名トゥルシー。インドの伝統医学のアーユルヴェーダでは不老不死の霊薬とされてきました。
スイートバジルとは違った、フルーティなお香のような強い香りがします。
レタスバジル
スイートバジルの変種で、レタスのように大きな葉がつき大型に育ちます。チーズやトマトと相性がよく、料理のアクセントとなります。
アフリカンブルーバジル
一般的にバジルは寒さに弱いのですが、アフリカンブルーバジルは耐寒性が強く0度近くの低温でも育ちます。
葉は紫がかっており、寒さにあたるほど色が濃くなっていきます。色の美しさから観賞用に栽培されることもあります。
レモンバジル
レモンに似た香りがあります。別名にシトラスバジルともよばれます。
葉は小さく、食べるとスイートバジルに似た味がしますが、その後柑橘系の味わいが広がります。魚料理や鳥料理との相性が良く、タイ料理でよく使われます。
観賞用のバジル
このほかにも、主に観賞用とする交配品種があります。ダークカラー系のバジルは食用だけでなく、カラーリーフの素材としても使われます。
食用としてバジルを育てる場合は花を咲かせないですがおうちガーデニングなら花を咲かせて楽しみましょう。
バジルの花は穂状のかわいい花で、夏に開花します。
バジルの育て方|基本の栽培方法

バジルを元気に育てるためには、日当たりや風通し、土の性質、苗の選び方、水やりのタイミングなど、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
置き場所
日当たりと風当たりのよい場所で、たっぷり水やりし、たっぷり肥料を与えることがバジル栽培の大事なポイントとなります。
バジルは丈夫な植物ですが、西日や盛夏の強い日差しと乾燥には弱いです。鉢植えで育てているときは、強光を避けることができ、風通しのよいところに移動させるようにします。
地植えでは移動ができませんので、強い日差しの当たらない風通しのよい植え場所を探しましょう。
苗の選び方
市販のポット苗を購入して育てる場合の、最初の苗の選び方について説明します。
バジルの苗は、園芸店やホームセンター、ネット通販などで入手することができます。
背丈だけが伸びて茎が弱々しくヒョロヒョロしたものや、葉と葉の間が間延びしているものを、園芸用語で「徒長(とちょう)」といいます。
日照や栄養状態に問題があったときにこうなるので、徒長の見られる苗も避けましょう。
よい苗は、しっかり根が張り、ぐらつかず、ずんぐりとして、がっしりとしています。
葉の色が元気な緑色で、茎が太く節が詰まっている苗を選ぶようにしましょう。
土

バジルは、中性~弱アルカリ性を好み、酸性が強い土を嫌います。
保水力が高く、有機質を多く含んだ肥えた土を好みます。おすすめは、『今日から野菜 野菜を育てる土』です。
地植えの場合、畑の土1㎡あたりに苦土石灰100g(コップ1杯くらい)を混ぜて、1週間寝かせます。
その後、完熟堆肥2kgと『今日から野菜 野菜を育てる肥料』を混ぜ込みます。
プランターや鉢植えの場合は赤玉土7、腐葉土3の割合で混ぜたものに、『今日から野菜 野菜を育てる肥料』を混ぜ込んで使用するのがよいです。
最近ではあらかじめ調節されているハーブ用の培養土が市販されているので、それを利用してもかまいません。
水やり
苗を植えたら、鉢の底から水が流れるまでたっぷり水をやります。
水やり後は風通しのよい日向に置きましょう。
ただし季節と実際の日当たりを考慮します。バジルは日光を好むといっても、日差しが強すぎるとバジルの苗に負担をかけます。
日差しの強い季節は、根が落ち着くまで数日の間、明るい半日陰に置いたほうがよいでしょう。
植えつけ

バジルは地植えとプランターのどちらでも栽培可能です。種から苗を自分で育てて、苗を植えつける方法も、そのまま直接栽培する方法もあります。
ここでは苗を購入してきてプランターに植えつける方法をお伝えします。
鉢を選ぶ
平均的なバジルは高さ50~80cm、幅30cmぐらいに育ちますので、適切な鉢のサイズは、容量15Lの丸い深型で直径30cmのものです。
あまり大きく育てたくない場合は、直径15~18cmの5号鉢や6号鉢で育てるやり方もあります。
横長のプランターに並べて育てる場合は、枝張りが30cmぐらいになることを考慮し、大きく育ってもお互いの葉が重ならないようなサイズにします。
バジルは日光を好みますので、お互いの葉が重なると成長を阻害してしまいます。
65cm幅のプランターなら、株間をしっかりとると2株が適切です。多くても3株くらいまでにしましょう。
土を入れる
鉢をきれいに洗い、鉢底石を底が見えなくなるぐらいに敷いてください。
野菜用やハーブ用の培養土、もしくは赤玉土7、腐葉土3の割合で混ぜたものに、元肥として『今日から野菜 野菜を育てる肥料』を混ぜこみましょう。
土はウォータースペースを確保し鉢の上の縁から2cmぐらい下のところまで入れます。
苗を入れる
苗のポットと同じサイズの穴を掘り、じょうろで水を注ぎ入れます。水が土に染み込んだのを確認したら、ポットから苗を取り出します。
苗は、傷つかないように根本を片手で抑えながら、逆さにしてそっと抜き出してください。その苗を穴に入れて埋め戻します。
苗の土の表面が軽く潜るように株元に土をかぶせて、軽く押さえます。
バジルの育て方|肥料の与え方
バジルは適度な施肥でよく育ちますが、与えすぎには注意が必要です。
ここでは、基本的な肥料の与え方や注意点、元肥・追肥の違いなどを解説します。
肥料を与えるポイント
肥料が多すぎると葉っぱが育ちすぎて硬くなってしまうので、一般的には葉っぱを食べるハーブ類は肥料の調整が必要です。
しかし、限度はあるもののバジルは水や肥料をたっぷり与えても大丈夫です。
注意書きをよく読んで、使用量を守って与えるようにしましょう。
肥料が不足したら
バジルは肥料切れを起こすと、下のほうの葉が黄色く変色して、枯れて落ちてしまいます。
この兆候が見えたときは肥料不足ですので、肥料をしっかり与えましょう。
肥料が過剰だったら
バジルは肥料を好みますが、与えすぎると根が肥料やけを起こします。
肥料やけとは、肥料が多すぎて根が萎縮したり壊死したりする現象をいいます。
元肥
バジルを定植する際に、『今日から野菜 野菜を育てる肥料』を土に混ぜ込んでください。
野菜用やハーブ用に調整された培養土ではすでに含まれている場合があります。注意書きをよく読んで、肥料過多にならないよう調整しましょう。
追肥
植えつけの2週間~3週後から追肥を与えましょう。
追肥には2ヵ月~3ヵ月間効果を持続する『今日から野菜 野菜を育てる肥料』などの粒状肥料を株元にバラまいたり、液体肥料『ハイポネックス原液』を1週間~10日に1回程度の間隔で施します。
バジルの育て方|バジルの水やりのコツ

バジルは水を好み、乾燥に弱い植物です。元気に育てるためには、土が乾く前にしっかりと水を与えましょう。
ただし、水をやりすぎて根腐れを起こすケースもあるため、状況に応じた水やりがポイントになります。
水切れ・過湿を防ぐコツ
バジルはプランターや鉢植えで育てる場合、水切れを起こしやすくなります。特に夏場は蒸発も早く、注意が必要です。
ただし、乾燥が怖いからといって常に水を与えていると、逆に過湿になってしまい、根を傷めてしまいます。
土の表面がしっかり乾いてから、鉢の底から水が流れ出るまでたっぷり水を与えてください。
水やりのタイミングは「午前中」
水やりは午前中がおすすめです。気温が上がる前の涼しい時間帯に済ませておくと、日中の蒸れを防ぐことができます。
夏などの成長期には特に水分を必要とするため、朝にたっぷり水を与えても夕方にぐったりしていることがあります。
その場合は、気温が落ち着く夕方以降にもう一度水を与えてください。
ただし、夏の強い日差しの中に置かれていたジョウロやホースの水は高温になっている場合があるため、手で温度を確認しましょう。
「鉢底から流れるまで」しっかり水やりを
水やりの際、表面だけを軽くぬらすだけでは根に水が届きません。
また、勢いよく注ぐと、水が鉢の内側を伝って流れ出てしまい、土が十分に吸収できないこともあります。
水やりは株元にやさしく注ぎ、鉢底穴から水がしっかり流れ出ることを確認しましょう。
鉢受け皿の水は捨てる
水やり後、鉢受け皿にたまった水は必ず捨ててください。溜まったままにすると鉢内が常に湿った状態となり、根腐れの原因になります。
また、受け皿の水を捨てるのが面倒だからといって、毎回の水やりを少量で済ませるのは避けましょう。バジルの健康を損なう要因となります。
水やりの判断方法
水を与えるか迷ったときは、以下の方法で土の状態をチェックしましょう。
- 指で土に触れて乾いているか確認する
- 割り箸などを土に挿し、引き抜いて湿り気があるか確認する
- 鉢を持ち上げ、水やり前後の重さを比べて判断する
また、鉢の大きさや素材によっても乾きやすさは異なります。
置き場所が同じでも鉢によって水やりの必要タイミングは変わるため、鉢ごとの水分状態を把握しておくことが大切です。
バジルの育て方|剪定

バジルの剪定には、脇芽を出して収穫量を増やす「摘芯」と、伸びすぎた茎を整理しバジルの生育を健康に保つ「切り戻し」があります。
摘芯
摘芯というのは、茎の先端を摘むことです。
バジルをはじめ、多くの植物には頂芽優勢という性質があります。これは茎の脇にある芽よりも、茎の先端にある芽のほうが優先して育つというものです。
摘芯をしないと、主枝(優先された茎)だけが伸びて、脇芽が成長しなくなってしまうのです。そして、優先された茎は花を咲かせ、種をつけるためにエネルギーを集中させます。
そのため、8月ごろに種をつけた後は、急に葉をつける元気がなくなってしまいます。子孫を残したいバジルとして当然なのですが、葉を収穫したい人間にとっては都合が悪くなってしまいます。
茎の先端を摘む摘芯によって、今まで1本だった茎が2本になります。これを繰り返すことで葉の収穫量を増やします。
バジルの草丈が20cmほどに伸びたら、茎の先端にある芽を摘み取ります。地面から数えて2~3節ぐらい育てば、いつでも摘芯はできます。
切り戻し
摘芯を繰り返すことで茎の数の増えたバジルには、開花時期の前にたくさんの葉がつきます。
これをそのままにしておくと葉が茂りすぎて混み合ってしまい、株の風通しが悪くなり、中が蒸れて病気や害虫の原因となります。
バジルの開花は7月半ばから8月なので、その前の7月上旬ごろに葉っぱの半分から3分の2ほどを剪定します。これを切り戻しといいます。
切り戻しをすると、蒸れ防止だけでなく、栄養を株全体へ回すことで脇芽の成長を促します。
バジルが脇芽を出し、葉をつけることにエネルギーを使いますので、収穫期を長く保つことができます。
特に花を咲かせると葉が硬くなってしまうので、花芽が見えたら切り戻しをして、柔らかい新しい葉が出るようにしましょう。
切り戻しをする茎は、徒長した茎や、茂りすぎて混み合っている部分の茎です。
また、切り戻しをするときは、途中で折れてしまった茎なども取り除いておきましょう。
剪定の注意
剪定には剪定ハサミを使いますが、このハサミを清潔に保つために消毒をしましょう。
ほかの植物を選定するときにも使っているでしょうし、病気を媒介してしまう危険性があります。消毒用エタノールの使用が手軽です。
バジルの育て方|収穫方法

摘芯を3~4回繰り返して茎が増えてきたら、いよいよ収穫のタイミングです。バジルは適切に管理すれば、10月ごろまで長く収穫を楽しむことができます。
収穫は外側の葉っぱから摘み取ります。ハーブ類は、朝が一番香り高いですが、夕食の際は直前に摘み取るなど、使いたいときに新鮮なものを使用するのがよいでしょう。
しかし、葉をあまりにも多く収穫してしまうと、光合成ができずに枯れてしまいます。まとまった量を収穫する際は、切り戻し合わせて収穫します。
その場合は手摘みで収穫するよりも、ハサミを使用してください。茎ごとカットして水に挿しておけば、常温で数日間から1週間は保管できます。水は毎日取りかえるようにしてください。
バジルは寒さが苦手ですので、寒くなり始めると葉が黒ずみ始めて、枯れてしまいます。
晩秋になったら早めに整理をして、料理に使うか、長期保存を考えましょう。なお、収穫期を越えたバジルは、土から引っこ抜いて処分してしましょう。
バジルの育て方|増やし方

バジルは種まきのほかに、挿し木によって株を増やすことができます。挿し木とは、摘芯した枝を利用して、根を出させる方法です。
環境に合わせて、土に挿す方法と水に挿す方法のどちらかを選びましょう。
土に挿す挿し木
挿し木は挿し芽ともいいます。地域によって違いますが、4~7月ごろに行います。
挿し木に使う枝を挿し穂といいます。バジルの株から、若くて元気な枝を4~5枚の葉をつけた状態で切り取り、挿し穂とします。
4枚~5枚の葉のうち、2枚~3枚程度を残して下の葉を取り除きます。残した葉が大きすぎる場合は、そこから水分が蒸散することを防ぐために、半分ぐらいの大きさに切ってしまいます。
用土を用意し、十分湿らせます。そこに割り箸などで穴を開け、挿し穂を挿し、隙間が生じないように慎重に土を寄せます。
その後鉢を日陰に置きます。この状態の挿し穂は乾燥に弱いので、直射日光に当てないように、明るい日陰に置いてください。
また発根するまで、用土を乾燥させないようにしてください。
新芽が出てくれば発根したということなので、ポットに植えかえて管理します。
または、もうちょっと根を成長させて、鉢やプランターや庭に植えかえます。
水に挿す挿し木
土に挿す場合と同じ手順で挿し穂を作ります。それを土ではなくて水を入れたガラスコップに入れ、直射日光の当たらない明るい日陰に置きます。
発根するまで観察しながら水を入れかえ、水を清潔な状態に保ちます。十分発根したら、鉢に植えかえて新しい苗として育てます。
土に挿すよりも根の力が弱いので、鉢に植えかえた後もしばらくは土が乾燥しないように、注意して水やりを続けてください。
バジルはほかの植物と同様に花が終わった後に実を結びますので、それを採取して次のシーズンに種まきをして増やすことができます。
また、挿し木で増やすこともできます。挿し木とは、切り取った枝から根を生やして新しい株として育てていくことで、摘芯した枝などがよく利用されます。
根を出させるには、土に挿す場合と水に挿す場合があります。
種まき
バジルは、種からも育てられます。バジルに花が咲いても摘み取らずにそのままにしておき、9月ごろに種を採取します。
バジルの花は一つひとつが小さいので、知らない間に種がこぼれてしまうことがあります。
確実に種を採取するためには、花がしぼみきってしまう前に花ごと不織布やネットなどで包んでおくか、種が熟す直前に花穂ごと切り取ってしまいます。
採取した種は乾燥させ、通気性のある袋に入れて保管し、翌年の春に植えつけます。
バジルの育て方|害虫・病気対策

虫がそのにおいを嫌うため「ハーブは害虫に強い」というイメージがあります。実際には、病気に強いものの虫がつくことはあります。
主な害虫とその被害について紹介するとともに、予防すべき病気についても触れますので、ぜひ参考にしてください。
基本的な害虫対策
まずは、バジルにおける基本の害虫対策をご紹介します。
防虫ネットを活用する
ベニフキノメイガなど、外部から飛来して卵を産みつけるタイプの害虫には、防虫ネットが効果的です。
苗全体を覆うようにネットをかけることで、成虫の侵入を防ぎます。
風通しをよくする
苗を植えるときに距離をおいたり、剪定をしたり、鉢を風通しのよいところに移動したりして苗の風通しをよくします。
これにより、アブラムシなどの被害を防ぎます。
葉水を与える
水やりの際に、株元だけでなく葉にも軽く水をかける葉水を行うことで、ハダニの予防につながります。
特に乾燥しやすい時期には、湿度を保つ上で効果的です。
コンパニオンプランツを植える
バジルのコンパニオンプランツとしてはトマトが有名です。しかし、トマトにとってはコンパニオンプランツとしての効果がありますが、バジル側にとって害虫予防の効果が特にありません。
どちらも暑い場所を好みますが要求する水分量が違うのため、土壌の水分調整の意味では価値のある組み合わせです。
一般的には、ネギやニラなどのネギ科の植物や、トウガラシが虫除けによいといわれます。
日当たりや水分や風通しなどを調整し、バジル自体の生命力を維持しましょう。
害虫対策
バジルにつきやすい主な害虫は、アブラムシやベニフキノメイガ、ハダニなどです。それぞれの対策を見ていきましょう。
アブラムシ
アブラムシは柔らかい新芽を好むため、一気に成長する一年草には寄ってきがちになります。
アブラムシは小さく、テントウムシなどほかの多くの昆虫に捕食されています。
ベランダや軒下など雨や風が防げる場所や、葉が密集して風通しが悪く、隠れるところが多い環境では繁殖しやすくなります。
アブラムシを見つけたら、手で潰すなどして駆除しましょう。
ベニフキノメイガ
バジルの食害の多くはベニフキノメイガの幼虫によるものです。ベニフキノメイガは蛾の一種で、夜に飛来して葉の裏に卵を産みつけます。
ベニフキノメイガの幼虫を見つけたら割り箸やピンセットで駆除します。ただし成虫の蛾が飛来し、卵を産みつけるのを防ぐために、ネットを被せるなどの予防もよいでしょう。
ハダニ
ハダニは暖かい季節に発生しやすく、葉の裏に寄生して栄養を吸い取り、葉に白い斑点を作って弱らせることもあります。
また、ハダニはどの植物の葉にもつくので予防が困難です。
ハダニは高温と乾燥を好み、湿気を嫌うので、そのような環境をつくらないことが大切になります。
葉水も行い、乾燥している環境をなくすようにしましょう。
よくある失敗と原因
バジル栽培では、初心者がつまずきやすいポイントがいくつかあります。以下、代表的な失敗例とその対処法を解説します。
日照不足による生長不良
バジルは日光を好む植物です。十分な光が当たらないと、茎が細く間延びし、葉も薄くなってしまいます。特に日当たりの悪い室内で育てていると、健康に育ちにくくなります。
室内で栽培する場合は、南向きの窓際に置くか、天気のよい日には屋外に出して日光を当てるようにしましょう。
水やりの失敗
水が不足すると生育に影響が出てしまいます。一方、水を与えすぎると根腐れを起こし、葉が黄色に変色する原因にもなります。
水やりは土の表面が乾いてから行ってください。鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと与えましょう。
害虫被害の見落とし
アブラムシなどの害虫被害は、気づかないうちに進行するものです。葉を定期的に確認し、虫を見つけたらすぐに取り除きましょう。
早期発見が被害拡大を防ぐポイントです。
温度管理の失敗
バジルは寒さに弱く、気温が低くなると一気に元気がなくなります。特に秋以降は冷え込みに注意が必要です。
気温が下がる時期には、屋内の暖かい場所へ移動させるなどして、寒さから守ってあげましょう。
バジルの育て方|長く楽しむ工夫

バジルは収穫してからすぐに使うのが理想ですが、保存方法を工夫すればさらに長く楽しめます。
ここでは、保存の仕方と活用のアイデアをご紹介します。
保存方法
常温保存の場合、水に挿しておくことで数日から1週間程度持ちます。このとき、茎ごと収穫してください。
冷蔵保存の場合は、バジルを洗い、湿らせてよく絞ったキッチンペーパーにくるみ、さらに新聞紙で包んで野菜室で保管します。
または、クッキングペーパーにくるんだバジルをポリ袋で密閉し、空気で膨らませたまま野菜室で保管します。2週間~3週間が保存期間の目安です。
冷凍保存の場合は、水洗いしてから水気を拭き取り、チャック付きポリ袋やタッパーなどの密閉できる容器に、平らに置いて保存します。
2週間~4週間保存できますが風味は落ちます。使うときは冷凍したまま料理に加えましょう。
使い方のアイデア
ドライハーブにして保存したり、ハーブビネガーやジュノベーゼソースにしたりして保存する方法もあります。
ドライハーブにするには、バジルを水洗いした後キッチンペーパーで水気を取り、市販の野菜乾燥用のネットに入れて数日間干します。
バジルは、イタリアンではソースにしたりピザに数枚のせたりとスパイスとしての印象が強いですが、ベトナムやタイでは生食が多いです。
バジルは一枚ずつ摘んでお料理の味わいを増やしても、サラダのように食べても、ドライハーブにしてスパイスにしてもよいでしょう。
まとめ
バジルは品種が多く、料理から観賞用まで幅広く使えます。
苗の選び方や土づくり、水やり、剪定や肥料管理といった基本を押さえれば、初心者でも元気なバジルを育てることが可能です。
ぜひ、バジルの家庭栽培にチャレンジしてみてください。
公開:2020年6月24日
更新:2025年7月18日
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