皇帝ダリアの育て方|晩秋に美しい花を咲かせるコツ
晩秋の庭を華やかに彩る皇帝ダリア。その名の通り、堂々と伸びる姿と上品な花色が魅力的な植物です。
生長すると高さは5mに達することもあり、その迫力から、「ダリアの王様」と呼ばれることもあります。
また、高い位置でふんわりと花を咲かせる姿は、他の植物にはない圧倒的な存在感です。
今回は、皇帝ダリアの基本的な育て方や栽培時のポイントをご紹介します。
【PlantiaQ&A】植物の情報、育て方をQ&A形式でご紹介
☘124:皇帝ダリアの育て方|育てる場所や日々の管理方法は?水やりや肥料の与え方などもご紹介
皇帝ダリアの育て方|基本情報
皇帝ダリアは、メキシコや中米を原産とするキク科の多年草で、球根のような塊根を持つ植物です。
一般的なダリアが1m前後の高さであるのに対し、皇帝ダリアは生育期に一気に生長し、4m~5mにも達します。
大きく真っすぐ伸びた茎の先端には、淡いピンクや紫の花が咲き、晩秋の庭でひときわ存在感を放ちます。
短日植物のため、日が短くなる秋に花芽が形成され、開花は11月と遅めです。
この圧倒的なスケール感と優雅な花姿は、ほかの植物にはない皇帝ダリアならではの魅力といえるでしょう。
皇帝ダリアの育て方|栽培方法
皇帝ダリアを元気に育てるためには、季節ごとの生育リズムに合わせて環境を整えることが大切です。
特に背丈が非常に高くなる植物であるため、基本的な管理の良し悪しが開花を大きく左右します。
ここでは、基本の栽培のポイントを紹介します。
皇帝ダリアが好む栽培環境
皇帝ダリアは、日当たりと風通しの良い場所を好みます。
日照が不足すると花つきが悪くなり、風通しが悪いと病害虫が発生しやすくなるため注意しましょう。
また、短日植物のため夜間に明るくなる場所に植えると花芽がつきにくくなります。
街灯や玄関灯の光が当たらない夜はしっかり暗くなる場所を選びましょう。
根は過湿に弱く、水はけの良い土壌が重要です。さらに、耐寒性はあまり強くないため寒冷地では防寒対策が欠かせません。
草丈は3m〜5m程度まで伸びるため、広めのスペースを確保してのびのびと育てましょう。
用土
皇帝ダリアは、水はけと通気性に優れた用土を好みます。
自分で配合する場合は、赤玉土(中粒)5:腐葉土3、酸度調整済みピートモス2の割合で混ぜると有機質に富んだ土となります。
市販の草花用培養土『ハイポネックス培養土鉢・プランター用』を使用してもかまいません。
その際は、赤玉土やパーライトを加えることで水はけと保水性のバランスを整えることができます。
過湿は根腐れの原因になるため、全体的に軽くふかふかとした土を選ぶと安心です。
植えつけ
植えつけは、新芽が発生する前の3月から、新芽がまだ小さい5月が理想的なタイミングです。寒冷地では遅霜の心配がなくなってから植えつけましょう。
また、真夏の植えつけは株が弱りやすくなるので避けてください。
植えつけの際は、深植えにならないよう注意します。株間は1.5m〜2mと広めに取ると、のちの成長に余裕ができます。
植えつけ後はたっぷりと水を与え、必要に応じて支柱を早めに立てておくと安心です。
水やり
皇帝ダリアの水やりは、生育状況によって調整してください。生育期の春~秋はたっぷりと水を与えることが大切です。
特に、鉢植えの場合は乾燥しやすいので、土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまで与えましょう。
地植えの場合は、基本的に降雨に任せて大丈夫ですが、夏場の乾燥が続く場合は、適宜水やりが必要です。
冬は休眠期に入るため、水やりは控えめにします。土が完全に乾いてから数日後に軽く湿らせる程度で十分です。
株の様子を観察しながら、季節に合わせて水管理を行いましょう。
肥料
植えつけのときに用土に緩効性肥料を混ぜ込んでおきましょう。
植えつけ1ヵ月後には、追肥として肥効期間が約2~3ヵ月持続するを施しましょう。
皇帝ダリアは生育が旺盛なため、適度な肥料が欠かせません。植えつけの際には緩効性肥料『マグァンプK中粒』を元肥として土に混ぜ込んでください。
生育期には追肥として2ヵ月~3ヵ月に1回の頻度で『プランティア 花と野菜と果実の肥料』を施しましょう。
開花後は、株の消耗を回復させるために液体肥料『ハイポネックス原液』を与えると良いでしょう。
ただし、肥料の与えすぎは徒長の原因となるため、様子を見ながら与えてください。
剪定
剪定を行うことで、株の風通しがよくなり、倒伏防止や病害虫予防にもつながります。
不要な枝を早めに整理することで、養分が花芽に集中し、花つきが良くなります。
剪定の際は、清潔な剪定ばさみを使い、切り口に保護剤を塗ると安心です。
また、6月~7月に摘心(先端を切る作業)を行うことで、枝数が増えてボリュームのある株に育ちます。花数を増やしたい場合におすすめの作業です。
支柱
皇帝ダリアは成長すると3m~5mにもなる大型植物です。また、茎が中空で折れやすいため、支えがないと強風や雨によって倒れてしまう可能性があります。
特に開花時期は花が重くなるため、さらに倒れやすくなります。
生育期には支柱を設置して、生長に合わせて高さを調整できる丈夫なものがおすすめです。
竹や金属パイプなどを、複数本組み合わせて株全体を支えると安定し、風や雨にも耐えられる株になります。
早い段階から支柱をセットしておくと、のちの管理がぐっと楽になります。
皇帝ダリアの育て方|病害虫対策
皇帝ダリアは比較的病害虫に強い植物ですが、環境が悪いと病気が発生したり、害虫がつきやすくなったりします。
特に風通しの悪さや過湿状態は病害の原因になり、アブラムシやハダニなどの害虫が株を弱らせることもあります。
ここでは、代表的な病害虫とその対策を紹介します。
病気
皇帝ダリアは基本的に病気に強いものの、風通しの悪い環境・多湿・肥料過多などが続くと、真菌(カビ)や細菌が繁殖し、病気が発生することがあります。
病気は初期症状を見逃さないことが大切です。
灰色かび病
灰色かび病は、湿度が高く風通しの悪い環境で発生しやすい病気です。葉や茎に灰色がかったカビが生え、進行すると枯れ込みが広がります。
株間を広く取り風通しをよくすること、枯葉や咲き終わった花をこまめに取り除くことで予防できます。
発生した部分は早めに切り取り、必要に応じて殺菌剤を使用します。
軟腐病
軟腐病は細菌性の病気で、茎や塊根が柔らかく腐ってしまうのが特長です。また、腐敗した部分は悪臭を放ちます。
過湿の環境や、傷口から菌が侵入することで発生しやすくなります。
予防には、水はけの良い土づくりと過湿を避けた管理が重要です。感染部分は速やかに除去し、同じ場所への植えかえは避けましょう。
うどんこ病
葉や茎に白い粉状のカビが付着する病気です。葉が変色して生育が妨げられることがあります。乾燥と風通しの悪さの両方が要因となります。
予防には、日当たりと風通しを確保すること。 初期であればすぐに発生部分を取り除き、蔓延を防ぎましょう。必要に応じて専用薬剤で対応します。
害虫
害虫は葉を食害したり、株の汁を吸ったりして生育に悪影響を与えるだけでなく、病気を媒介することもあります。
皇帝ダリアは比較的強い植物ですが、初期発見が最も重要です。
アブラムシ
アブラムシは新芽や茎に集まり、植物の汁を吸って弱らせます。ウイルス病の媒介となることもあるため注意が必要です。
発生初期なら水で洗い流す、粘着テープで取り除くなどの方法も有効です。
ヨトウムシ
ヨトウムシは6月~10月に発生する夜行性の害虫で、葉や花を食害します。食害痕が大きく残り、放置すると株全体が弱ってしまいます。
株元の土や葉裏に潜んでいることがあるため、定期的にチェックし、見つけたら早めに駆除しましょう。
ハダニ
ハダニは乾燥した環境で発生しやすく、葉の裏に寄生して吸汁します。葉が白くかすれたようになり、放置すると光合成できずに弱ってしまいます。
ハダニは水を嫌うため、乾燥を防ぐ目的で葉水を行うと予防に効果的です。
これらの害虫は、植物の汁を吸ったり、葉を食害したりすることで皇帝ダリアの成長を大きく妨げます。
定期的な観察と早期対処が何よりの予防策です。見つけた場合は、専用の殺虫剤を使用するか、手作業で取り除くなど適切な対応を行いましょう。
皇帝ダリアの育て方|増やし方
皇帝ダリアは、株分けやさし芽で増やすことができます。どちらの方法も、適切な時期や管理を行うことで成功率が高まります。
ここからは、それぞれの具体的な方法を解説します。
株分け
株分けは、生育旺盛な皇帝ダリアを分けて増やす比較的簡単な方法で、親株の性質を受け継いぐことができます。
一般的には、休眠期である冬に行うと株への負担が少なく安全です。
株分けの手順は次の通りです。まず、株を掘り上げ、土を丁寧に落として根を傷つけないようにします。
植えつける土には元肥として『マグァンプK中粒』を混ぜ込んでください。
その後、ハサミやナイフで根を分け、それぞれ植えつけます。
植えつけ後はたっぷりと水を与えることで、株分けで受けたストレスが緩和され、新しい根や芽の生育が促進されます。
さし芽
さし芽は、剪定した茎を利用して新しい株を増やす手軽な方法です。
さし芽とは、植物の一部を切り取り、土に挿して新しい個体として成長させる方法を指します。
さし芽の成功率を高めるためには、いくつかのポイントがあります。
まず、茎の切り口を斜めに切ることで吸水面積を広げ、発根を促進します。また、発根促進剤を使用すると、発根がさらに早くなります。
さし芽を土に挿した後は、明るい日陰で管理し、土の乾燥を防ぐことが重要です。比較的容易に増やせる方法なので、剪定の際にぜひ挑戦してみてください。
まとめ
皇帝ダリアは、手間をかけて育てる価値のある植物です。生育の過程で見せる力強い茎や葉の成長、そして晩秋に咲く大輪の花は、庭に特別な存在感と華やぎをもたらします。
育て方のポイントを押さえれば、初心者でも挑戦できる植物です。水やりや支柱、剪定などを丁寧に行うことで、株は健やかに育ち、毎年見事な花を咲かせてくれます。
皇帝ダリアの開花は、庭づくりの楽しさを実感できる瞬間でもあります。ぜひ、成長の過程を楽しみながら、晩秋に咲く華やかな花を堪能してください。育てた喜びは、きっと庭の風景をさらに豊かにしてくれるでしょう。
公開:2018年11月7日
更新:2021年11月19日
更新:2025年11月19日
#皇帝ダリア #秋におすすめの植物 #特集