DATA
■作出:ドイツ タンタウ
■花色:クリムゾンレッド
■花型:一重咲き/一季咲き
■花径:中輪
■香質:淡香
■樹形:高さ1.1×幅1.2m
クリムゾンレッドの花の中央に、ライラック色のおしべの葯(やく)と花糸。5弁一重咲き、花径7㎝。房咲き。一季咲きで、晩秋にはローズヒップも楽しめる。樹は高さ1.1×幅1.2m。耐病性に優れている。花名は古代神話の巫女の名。ギリシャでは太陽神アポローンの聖地デルポイで神託を行った。2019年作出、2020年日本発表。
バラのおもしろさは多様性にある。‘シビュラ’は近年の発表作では珍しいロサ・ルゴサ(ハマナス)系の交配種(ハイブリッド・ルゴサ)。庭では八重のバラの間や雑木の株元などに配置し、灌木のように楽しめる。
細長い蕾から開花。クリムゾン色が、浅緑色のしわの多い細長い楕円形の葉に映える。
一重咲き~半八重咲き品種は葯と花糸の色、弁底の色が花の個性を決める。‘シビュラ’の花の最大の特徴は葯も花糸もライラック色であること。赤紫色の弁底に少し黄色を覗かせ、花名の託宣を行う巫女の瞳をイメージさせるような神秘的で妖しげな雰囲気。
なお通常多くの品種の葯は黄色で花糸は白~黄色。葯が淡紫色・花糸が赤い品種では‘ベイシーズ パープル ローズ’、葯が黄色・花糸が赤い品種には‘デンティ ベス’‘ジャクリーヌ デュ プレ’‘ピンク サクリーナ’などありそれぞれ個性的。
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玉置 一裕
バラの専門誌『New Roses』編集長。
『New Roses』の編集・執筆・アートディテクションを行うかたわら、ローズコーディネーターとしてバラ業界のコンサルティングやPRプランニング、関連イベントのコーディネート、バラの命名等に携わる。
また園芸・ガーデニング雑誌への執筆や講演を通じて、バラの「美」について語ると同時に、新しいバラの栽培法の研究も行っている。