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朝顔と園芸文化 ~園芸文化賞と園芸文化協会~ 

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江戸の花プロジェクト・園芸文化を守ろうセミナー 未来につなぐ朝顔文化~SEASON2~

 夏の花と言えば、アサガオ(朝顔)を思い浮かべる人も多いと思います。このアサガオ、園芸文化という側面からみると、江戸時代から盛んに栽培され、変わり咲きアサガオなども珍重され、日本の園芸史の中でかなり大きな位置を占めています。

  7月8日、園芸文化協会の主催で「江戸の花プロジェクト・園芸文化を守ろうセミナー 未来につなぐ朝顔文化~SEASON2~」が日比谷コンベンションホール(日比谷図書文化館B1)で開催され、3人の演者によりさまざまな朝顔文化が語られました。

 

アサガオ

日比谷での講演会に登壇した、右から小笠原左衛門尉亮軒さん、米田芳秋さん、仁田坂英二さん、司会を務めた水戸市植物公園園長の西川綾子さん

園芸文化賞を知っていますか

アサガオ

平成30年度園芸文化賞受賞者たち。前列左から米田芳秋さん、須磨佳津江さん、松尾英輔さん

 

 また、それより先だって、6月半ばに公益社団法人園芸文化協会が授与する、園芸文化賞の受賞式がありました。この賞は、「わが国の園芸文化の発展向上に貢献された個人および団体の功績を讃えるとともに、永く伝えていく」ことを目的に、1977(昭和52)年に創設されたものです。2018(平成30)年の受賞者は、須磨佳津江さん(園芸キャスター)、松尾英輔さん(九州大学名誉教授)、米田芳秋さん(静岡大学名誉教授)の3人でした。

 

アサガオ

昔、横浜にあった菊のオープンガーデン。須磨さんが紹介し広めた

 須磨さんは、NHK趣味の園芸のキャスターなど、メディアを通して、愛好家のみならず、多くの人へ園芸の素晴らしさを伝えて来ました。また、早い時期から、オープンガーデンを巡り、その活動を紹介してきました。語りのプロが伝える園芸は、わかりやすくて魅力的なものになりました。

 

アサガオ

松尾さんと研究

 

 松尾さんは、人と園芸・植物との関わりが心身や社会に与える影響について、長年にわたり調査・研究を続け、社会園芸学を確立させました。墓花の研究など、普通の人が思いもつかない視点で植物を見て来ています。

  このお二人の功績は、新しい時代の新しい園芸文化への貢献として、注目されています。 

 

アサガオ

米田さんと曜白アサガオ(園芸文化協会 講演から)

 そして、米田芳秋さんは、江戸時代のアサガオの遺伝資源を維持保存するとともに、実現しないと言われたマルバアサガオを用いた育種に成功し、今までにない模様の「曜白アサガオ」を作出しました。まさに、朝顔文化を担う、大きな貢献です。

 

アサガオに見る園芸文化

アサガオ

『アサガオのせいくらべ』。絵本を参考に、アサガオづくり夢中になった子どもたちもたくさんいたはず(写真提供=片山陽介 植物自由区)

 

 多くの人が小学生の時、春にタネをまいて夏に花を咲かせたアサガオ。つるの伸びを競争した人もいたでしょう。それほど身近なアサガオですが、これほどまでに奥が深く、そして多様な植物であること、そして、品種改良など、まだまだ伸びしろのある植物だとは、多くの人が気づいていないかもしれません。では、7月8日に語られた朝顔文化の一端に触れてみましょう。

変化アサガオが描かれた朝顔図譜

 

アサガオ

アサガオ

図譜に見る江戸時代のアサガオづくり(園芸文化協会 講演から)

 

 最初は、江戸時代を中心に、アサガオづくりがどのように行われていたかを、図譜のアサガオを見ながら、園芸文化協会会長で雑花園文庫の庫主でもある小笠原左衛門尉亮軒さんが解説してくれました。図譜に出てくる変化アサガオの数々、今は残っていない品種も多々あるそうです。しかし、江戸時代にこれほどまでに変化に富んだアサガオを作出し、栽培していた江戸の園芸文化はやはり世界的にも類をみないものだったのでしょう。

変化アサガオの「芸」を科学する

 

アサガオ

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変化朝顔のいろいろ(写真上)と遺伝子レベルでの解析(写真下)で変化の理由がわかる(園芸文化協会 講演から)

 変化アサガオは花や葉が著しく変わっていて、揃っていることに観賞価値があります。その観賞価値を「芸」といいます。さつき盆栽や万年青などでも、花や葉の変化を「芸」といっています。日本の伝統園芸ではよく使われることばです。その芸術性に富む変化「芸」を、遺伝子レベルで解析したのが、九州大学大学院理学研究院生物科学部門植物多様性ゲノム学研究室の准教授仁田坂英二さんです。今年、まさに今回の演題の内容、変化朝顔の保存と維持、そしてその科学的解析で、松下幸之助花の万博記念奨励賞を受賞されました。伝統と科学、科学的解析に裏打ちされた伝統、未来に続く文化の確かさを感じます。

曜白アサガオ誕生秘話、午後開花アサガオの発見とその後

アサガオ

さまざまな曜白(ようじろ)アサガオ(園芸文化協会 講演から)

アサガオ

午後開花のアサガオ(園芸文化協会 講演から)

 

 今年度、園芸文化賞を受賞された米田芳秋さんの演題でした。曜白アサガオは写真のような非常に魅力的な模様のアサガオです。このアサガオは、交配が困難とされていたアルバアサガオを使った育種から生まれました。詳しい話は省きますが、まさに失敗を重ねた中から生まれたものでした。そして、今、朝に咲くのではない午後に咲くアサガオを発見し、そこから新しいアサガオが生まれるかもしれない現状をお話いただきました。

 

 アサガオという植物に、これだけのさまざまな物語や変化があり、江戸時代からの深い伝統があり、そして、科学的な解析も進み、まだまだ新しいアサガオが生まれている。日本の園芸文化を象徴するような植物です。でも、誰もがみなその深さや伝統に接しなければならないものでもありません。ふつうのアサガオをふつうに育てて、そして花が咲いたら喜ぶ。そんな体験でもいいのです。日本の園芸文化は、そんな方々も含めてこれまで継承されてきています。これからも、多くの人に園芸のおもしろさ、楽しさをいろんな形で伝えていきたい、そして園芸文化協会にもその中核としての役割に期待したいと思います。

 

あさがお

アサガオ

昨年のアサガオ展(日比谷)の様子。大輪アサガオ(上)と変化アサガオ(下) 

 

変化アサガオや伝統的なアサガオ、そして曜白アサガオがこの夏、実際に見られます。

「変化朝顔展示会&大輪朝顔共催展示会」

7月28日(土)~8月3日(金)午前中開催。日比谷公園常設展示場。入場無料。

「変化朝顔展示会」

8月24日(金)~26日(日)午前中開催。日比谷公園常設展示場。入場無料。

http://www.geocities.jp/henka_asagao/2018/henkaA4_2018.pdf

お問い合わせは、変化朝顔研究会へ。

 

公益社団法人園芸文化協会

http://www.engeibunka.or.jp/

03-5803-6340(事務局)

enbun@soleil.ocn.ne.jp

 

 

(写真・文 by Deru)

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