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更新日:2025.08.03

【トウモロコシの育て方】初心者でも失敗しない栽培方法とは?

【トウモロコシの育て方】初心者でも失敗しない栽培方法とは?

トウモロコシは、焼いてもゆでても美味しく楽しめる夏野菜です。なかでも、朝に収穫したもぎたては甘みが強く、採れたてならではの風味が魅力。
家庭菜園で育てれば、その新鮮なおいしさを自宅で楽しめます。

本記事では、園芸を始めたばかりの初心者の方まで理解しやすいよう、トウモロコシの基本的な育て方を徹底解説していきます。

特徴や品種の種類、栽培時期、管理方法、タネまきから植えつけまで詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

動画でわかりやすく!植物のお悩みをQ&A形式で回答する【PlantiaQ&A】

☘208:【Q&A】トウモロコシの育て方|甘くて大きな実を収穫する方法は?水やりや肥料などの管理方法

トウモロコシの育て方|特徴と魅力

トウモロコシ

世界三大穀物の1つとして知られる「トウモロコシ」は、イネ科に属する穀物です。

主成分は主に炭水化物で、ビタミンCやビタミンE、鉄分、カリウム、マグネシウムなどが含まれています。また、ミネラル類や、食物繊維、アミノ酸、脂肪酸など、他にもたくさんの栄養素が含まれています。

トウモロコシは、大型の品種をはじめ、家庭でも栽培できるサイズなど、たくさんの品種があります。

一見、育てるのが難しいようにみえますが、基本さえ押さえれば初心者でも育てやすい家庭菜園にぴったりな野菜です。

1年草であるトウモロコシは、温暖な気候や日当たりの良い場所を好みます。耐寒性は弱いですが、日当たりに気をつければ自宅のベランダやプランター栽培でも、比較的簡単に育てることができます。

トウモロコシの育て方|主な品種

トウモロコシは、長い歴史の中で、背丈の高い大型の品種をはじめ、甘味の強い品種、色が白っぽい品種、生で食べられる品種、さらには寒い地域でも栽培しやすい品種など、品種改良により多くの品種があります。

トウモロコシの品種は大きく3種類に分類されます。

茹でたり焼いたりして食べる一般的なトウモロコシを「スイートコーン種」、ポップコーンの材料として用いられるトウモロコシを「爆裂種」、家畜の飼料用やコンスターチとして用いられるトウモロコシを「馬歯種」と呼びます。

爆裂種や、馬歯種は主に加工用として栽培されるため、家庭菜園で採れたてのトウモロコシを味わいたい場合は、スイートコーン種を選んでくださいね。

スイートコーン種の種類

「食用のトウモロコシ」は、スイートコーンと呼ばれる品種です。スイートコーンはバリエーションが豊富なことが特徴で、100種類以上もの品種が存在するともいわれています。

スイートコーンは文字どおり、果物のような甘みのある品種で、色や粒の大きさによって、さらに3つの種類に分けられています。

ゴールデンコーン

ゴールデンコーンは、黄粒種と呼ばれる品種です。すべての粒の色が濃い黄色をしていることが特徴のトウモロコシです。

そのまま茹でて食べることが多いですが、色鮮やかな粒を活かしてトウモロコシご飯にして食べるのもおすすめです。

シルバーコーン

白粒種と呼ばれる品種で、ゴールデンコーンよりも粒の色が白っぽく、小粒なのが特徴です。

粒の表面はつやがあり、他の品種よりも皮が柔らかいです。甘みが強いトウモロコシとして、サラダの材料としてよく用いられています。

バイカラーコーン

バイカラー種と呼ばれる品種で、黄色の粒と白い粒が3対1くらいの割合で混ざっているのが特徴です。

甘みが強く、風味が豊かなバイカラーコーンは、日本でも主流になりつつある品種です。

土壌改善に効果的なトウモロコシ

肥料泥棒とも呼ばれるトウモロコシは土中深くまで根を張るため、硬くなった土壌をほぐし、通気性や排水性を改善する効果があるとされています。

また、過剰にある栄養分を吸収し、病原菌の増殖を抑える働きもあるため「クリーニングクロップ」として土壌改良にも役立つ作物として重宝されています。

トウモロコシの育て方|栽培時期

トウモロコシ

トウモロコシは、4月頃に種まきをしてから90日程度で収穫できます。苗の植えつけも同時期に行うことが出来ます。

トウモロコシは、品種によって栽培時期が異なります。夏と秋に2度収穫を楽しみたいときは、種まきの時期をずらすことで長期間収穫できておすすめです。

寒暖地なら4月の中旬頃から、中間地なら5月の初旬頃から、冷地なら5月の下旬頃から種まきや苗の植えつけを始められます。

また、トウモロコシを育てる地域によって栽培に適した時期が異なるので、種や苗を購入する前に袋やラベルを確認してください。

トウモロコシの栽培方法

トウモロコシ栽培方法

真夏にトウモロコシの収穫を楽しむには、日当たりの良い場所で育てること、確実に受粉させること、害虫対策に気をつけること、この3つがとても重要です。

トウモロコシは、高温を好むためなるべく日当たりの良い屋外で育ててあげましょう。ただし、あまりにも暑すぎると受粉率が低くなるため注意してください。

また、寒さに弱い性質があるため、気温が低すぎると生育に影響します。畑で育てるときは地温を確保して発芽や生育が良くなるようにマルチングを行うのがおすすめです。

トウモロコシは風で花粉を飛ばして受粉するため、たくさん育てている場合は自然受粉でもどんどん実をつけてくれます。

しかし、家庭菜園など規模が大きくない場合は、自然受粉だけでは実が不揃いになったり、歯抜けしたりすることがあります。

確実に実をつけるためには人工授粉を行うと良いでしょう。

また、害虫対策もしっかり行いましょう。病害に強い作物ですが、実が小さく若いうちはアワノメイガなどの害虫の被害にあいやすいので注意が必要です。

被害を防ぐためにも、防虫ネットを張るなどして対策をしていきましょう。

トウモロコシ栽培に必要なもの

家庭菜園でトウモロコシを育てるときは、以下のものを用意してください。

  • トウモロコシの種または苗
  • 種まきポット
  • プランター
  • 野菜用の培養土
  • 肥料

たくさん実をつけたい場合は、庭や畑での地植えをおすすめします。

初心者の方は日当たりの良い場所への移動や管理がしやすいため、プランターでの栽培が簡単でおすすめです。

トウモロコシの育て方|適した栽培方法

トウモロコシ種

トウモロコシは、種まきをして苗を育てるところから始めてもいいですし、ホームセンターなどで苗を購入して植えつけるところから始めることもできます。

種から育てるのは難しそうに感じますが、初心者でも比較的簡単に育てられるトウモロコシは、育て方の基本さえおさえれば種からでも十分に育てることができます。

種まき・育苗

育苗ポットの場合

1つのポットに対して種を3粒ずつまきます。人工授粉をするときのために少なくとも3つ用意して、種をまいてください。

種まきは、指で1cmくらいの穴をあけて、そこにまきます。まいたら、種が隠れるくらいの土を覆い、乾燥しないようにしっかり水やりをしてください。

朝に水やりをして、日光が十分に当たる暖かい環境で育てます。

畑に直まきする場合

穴をあけるときは、株同士の間隔を30㎝くらいとります。株間が近すぎると生育の妨げになりますし、遠すぎても受粉しにくくなるためです。

トウモロコシは、各メーカーから様々な品種が販売されています。同じ畑で、品種の違うトウモロコシを育てようとすると、花粉が混じってしまい実の色が変わってしまったり、大きく実がつかなかったりすることがあります。

ひとつの畑にトウモロコシの種を直まきするときは、時期をずらして花粉が混ざらないように工夫が必要です。

庭や畑の土でトウモロコシを育てる場合は、発芽してから間引きします。草丈が20㎝程度になったら、生育の良い1本だけを残します。

また、土が乾かないように表面が乾いていたらたっぷりと水やりをしましょう。

耐寒性が低いトウモロコシは、10℃以下の気温では枯れてしまう可能性が高いので、寒い時期から種まきをするときはトンネル被覆を用意して暖かい環境を作ってあげましょう。

トウモロコシの苗の選び方

トウモロコシ苗

トウモロコシを苗から育てる場合は、以下のポイントを参考に良い苗を選んでみてください。

  • 出来るだけ若い苗
  • 本葉が3枚くらいの苗
  • 茎が太くて濃い緑色をした苗

深くまでひげ根を伸ばすトウモロコシは、育ち過ぎの苗を選んでしまうと、土に植えつけた後に傷んで枯れてしまう可能性があります。そのため、出来るだけサイズが小さめで、若い苗を選んだ方がいいでしょう。

また、本葉が3枚くらいの苗や茎が太くて濃い緑色をした苗もおすすめです。購入した育苗ポットに、苗が複数植えられている場合は、1番良い苗を残して間引きを行います。

トウモロコシの間引き

育苗ポットにまいた種は、10日~14日程度で発芽します。発芽した苗が10~15cmくらいまで伸びてきたら、良い苗だけを残して間引きをしてください。

間引きをするときは、良い苗の根っこまで抜いてしまわないように、取り除く苗の根元だけをハサミを使って切り取ります。

プランターに直まきする場合も、育苗ポットと同じように良い苗を1つだけ残し、残りは慎重にカットして間引きします。

マルチング

トウモロコシを種から育てるときは、種をまいた後にマルチングを行うと乾燥や鳥被害を防止する効果があります。畑に種をまいた直後は、野鳥に種を食べられてしまうことがよくあるためです。

種をまく箇所にあわせて30cm程の穴をあけたマルチを用意して、畑の土に直まきした部分をマルチングします。

マルチングは乾燥や鳥の被害を防止するだけでなく、病害虫被害の防止、雑草を抑える、地温を上げてトウモロコシの生育を早めるなどの効果も期待できます。

土作り

トウモロコシは、土質はあまり選ばないほうですが、肥料を吸収する力が強いため大きく元気に生育させるためには肥えた土で育てるのがいいでしょう。

トウモロコシをプランターで育てるときは、『ハイポネックス培養土鉢・プランター用』がおすすめです。

土を自作する場合は、小粒の赤玉土7に対し、腐葉土を2、バーミキュライトを1混ぜあわせ、土のpHを中和させるために苦土石灰を混ぜ込んでおきます。苦土石灰を混ぜた土は1週間~2週間くらい寝かしておきましょう。

トウモロコシが元気に育つように、元肥として『マグァンプK中粒』を土に混ぜ込んでください。

作付けしたことのある畑の場合は、苦土石灰は必要ありませんが、堆肥を追加してトウモロコシの生育がよくなるように深くまでしっかり耕してください。

肥料

トウモロコシは肥料を好む野菜です。1回目の追肥をするタイミングは、トウモロコシの種が発芽して、苗が30㎝くらいになった頃を目安にしてください。

トウモロコシの草丈が50㎝程まで大きくなった頃に2回目の追肥を行います。追肥には『今日から野菜 野菜を育てる肥料』がおすすめです。

草丈がぐんぐん伸びるトウモロコシは、追肥を行うタイミングで土寄せを行います。

また、草丈の背が高くなると倒状を起こしやすいので、追肥に合わせて土寄せや支柱を立ててあげましょう。

トウモロコシの育て方|植えつけ

トウモロコシ植えつけ

育苗ポットで育てたトウモロコシの苗をプランターに植えつけて定植させるときは、植えつけ前にプランターナーや野菜用の土を用意しておきましょう。

畑に植えつける場合は、2週間くらい前から深めに土を耕して、肥料や堆肥を混ぜておきます。

プランターへの植えつけ

間引きをして良い苗を残したら、その苗が15cmくらいまで成長した頃に、植えつけをします。

本葉が3枚程度になったら頃、種まきをしてから3週間~4週間くらいが植えつけの目安です。

苗を購入する場合は、4月下旬~5月下旬くらいが植えつけに適した時期です。

用意しておいたプランターに土を入れたら、植えつけ用の穴を掘ります。株同士の間隔を30㎝ほどあけておきましょう。

植えつけるときに、トウモロコシの根を傷めてしまわないように気をつけて、なるべく根鉢を崩さないようにゆっくり植えつけましょう。

畑への植えつけ

畑の土にトウモロコシの苗を植えつけるときも、プランター同様、株間を30cmくらいあけて穴を掘ります。

畝の横幅が90cmから100cmくらいある畑なら、トウモロコシの苗を2列にしてまとめて植えたほうが受粉率は高くなります。

苗を植えつけるときも、種をまくときと同じく、1つのプランターや1ヵ所の畑に対して、1品種のみを栽培するようにしましょう。

1ヵ所で複数の品種を育ててしまうと、花粉が混ざり合い、良い実が育ちにくくなるためです。

植えつけた後は、土が乾燥しないようにたっぷり水を与えてあげてくださいね。

トウモロコシの育て方|追肥と土寄せ

畑に地植えしたトウモロコシは、1回目と2回目の2度に分けて追肥を行います。肥料をよく吸収するトウモロコシは、肥料が足りないと草丈が低く、実が太りにくくなります。

プランター栽培でより確実に実らせたい場合は、2回以上追肥を行っても良いでしょう。

トウモロコシは土質をあまり選びませんが、肥料を好む野菜なので追肥の作業は欠かせません。

プランターや畑に定植したトウモロコシの草丈が、40㎝から50㎝くらいになったら、1回目の追肥を行います。本葉が5枚から6枚くらいになった頃が、追肥の目安です。

追肥をするときは、水やりをする代わりに速効性の液体肥料『ハイポネックス原液』を与えてください。または、緩効性肥料『今日から野菜 野菜を育てる肥料』を株元にバラまいてください。

2回目の追肥は、トウモロコシの草丈が人の背丈ほどに伸び、雄穂(ゆうずい)が出てきた頃を目安に行います。この時期は、受粉を前に大きく成長している時期でもあるので、しっかりと追肥を行ってください。

トウモロコシの土寄せ

追肥の作業と同様に、トウモロコシの吸水率を高めるために欠かせない作業が土寄せです。

土寄せは、追肥を行うタイミングに合わせて同時に行いましょう。トウモロコシは草丈が高くなると、強い風で倒れてしまうことがあります。

トウモロコシの株元を土に固定するような感覚で、土を根元に向かって寄せていきます。

土寄せをするとトウモロコシの株が固定されるだけでなく、水分をしっかり吸収できるようになります。

トウモロコシを大きく元気に育てるためにも、追肥を行うタイミングで土寄せを忘れずに行ってくださいね。

支柱を立てる

追肥と土寄せをするタイミングに合わせて、必要であれば支柱を立てることをおすすめします。

ベランダで家庭菜園をする場合や、風にあたりやすい場所で育てる場合は、トウモロコシの草丈が倒れてしまわないように支柱を埋め込んで倒伏対策をしておくと安心です。

わき芽はそのままでも大丈夫

ぐんぐん成長するトウモロコシは、大きくなるにつれ根元からわき芽が発生します。わき芽を取り除くこともできますが、わざと残すことで株が固定され、倒れにくくなります。

台風など、強い風にあたれば倒れることもありますが、わき芽を綺麗に除去する作業は手間がかかるので、残しておいても問題はないでしょう。

また、どんどん発生するわき芽を残しておくと、光合成が活発になるので、実を大きくしたい、根張りも良くしたい場合は、わき芽は残しておくといいでしょう。

トウモロコシの育て方|人工授粉と摘果

トウモロコシ人工授粉

トウモロコシの受粉に失敗すると、粒が均等に着かず、歯抜けをした状態になってしまいます。広い畑にたくさん苗がある場合は、自然に受粉される可能性が高いです。

しかし、プランターなど家庭菜園でトウモロコシを育てる場合、確実にトウモロコシを受粉させようと思ったら、人工授粉の作業が必要です。

人工授粉は、雄穂に花粉が飛び出している頃を目安に穂を切って、糸状に伸びている雌穂のヒゲにこすって花粉を付けてあげます。

人工授粉を行うためにも、プランターでトウモロコシを育てる場合は、最低でも3株育てておくといいでしょう。

トウモロコシが受粉したら摘果

うまく受粉したトウモロコシは、1番大きな実をつけた雌穂だけを残して摘果します。

トウモロコシは、1株に対して2本~3本ほどの雌穂が出来ます。摘果をして良い実を残すことで、その実がより大きく成長しやすくなります。

摘果の時期は、錦糸と呼ばれるヒゲが出てきた頃を目安に行ってください。摘果で取り除いた実はまだ小さいですが、捨てずに食用として楽しむことができます。

これが、よく市販されているヤングコーンと呼ばれるもので、錦糸が出てきて1週間くらいした頃が食べるのにちょうどいい時期といわれています。

トウモロコシの育て方|水やり

トウモロコシ水やり

トウモロコシは、土の表面が乾いているのを目安に水やりを行います。

トウモロコシの花が開花する前と後、そして実が成熟する前と後は、水切れが起こりやすい時期なので、土が乾燥し過ぎないように注意して水やりを続けましょう。

水やりのやり過ぎは根っこの成長を妨げることがあるので、乾燥に十分注意しながら、一度の水やりでたっぷりの水を与えてください。

トウモロコシの育て方|収穫

トウモロコシ収穫

トウモロコシは、受粉してから20日~1ヵ月ほどで収穫の時期をむかえます。トウモロコシ特有のヒゲが茶色くなってきた頃を目安に収穫をします。

収穫時期は、育てている品種によってそれぞれ異なるので、種袋に記載された生育日数を参考にしてください。

トウモロコシの収穫はタイミングが大切

糸のようなヒゲが生えている部分を少しめくったときに、先端部分にあるトウモロコシの粒が丸くなっていれば収穫できます。

トウモロコシは収穫が早すぎると実が白っぽく甘みも少なくなりますし、反対に、収穫が遅すぎると粒の水分が少なくなってシワができ、硬くなってしまいます。

新鮮度をキープしたままおいしく食べるためにも、トウモロコシは収穫の時期やタイミングの見極めがとても大切です。

トウモロコシの収穫方法

トウモロコシを収穫するときは、実をしっかり握って、手でもぎ取ります。早朝に収穫するのが理想です。

収穫後は出来るだけ早く茹でたり、焼いたりして、鮮度の良い状態で食べきってしまいましょう。

茎付きで収穫

たくさん栽培して1日に食べきれない量のトウモロコシを収穫したときは、冷蔵保存すると糖度をキープできます。

また、トウモロコシを常温で保存する場合は、茎を付けたまま収穫すると甘みが下がりにくいといわれています。

トウモロコシのトラブルとは

トウモロコシを家庭菜園で育てるときに、よくあるトラブルについてまとめています。

トウモロコシは受粉しづらい?

トウモロコシを家庭菜園で育てるときは、株数が少ないので自然任せでは受粉しにくいです。時期をみて人工授粉を行う必要があります。

人工授粉を行うときは、花粉の付いている雄穂を切り取って、雌穂にパラパラとふりかけますが、雄穂と雌穂の開花の時期が大きくずれてしまうと、受粉のタイミングを逃してしまうこともあります。

より確実に受粉させるためにも、プランターなら最低3株、畑なら2列以上で株を育てて、トウモロコシが受粉しやすい環境を整えてあげることが大切です。

雄穂と雌穂の開花時期のずれが心配なときは、花粉をとるための株を別に用意して追いまきすれば、開花時期がずれたとしても人工授粉を行うことができます。

トウモロコシの育て方|病害虫対策

トウモロコシ烏被害

トウモロコシは、植えつけ場所や栽培環境を整えてあげれば、比較的病害虫による被害を受けにくい野菜といわれています。

モザイク病や斑点病、ごま葉枯病などにかかることもありますが、草丈が大きく成長してからは、病害にあうことは殆どありません。

トウモロコシの鳥害対策

種をまいた直後や、トウモロコシが受粉して実がつき大きく膨らんできた頃に気をつけたいのが、鳥害です。

カラスなどの鳥はトウモロコシの種や実を狙っているので、あらかじめ鳥害対策用のネットや太めの糸を張る方法で対策しておくと安心です。

トウモロコシの害虫対策

トウモロコシに発生しやすい害虫の中で、とくに注意したいのがアワノメイガです。

トウモロコシに発生したアワノメイガは、実の中に入り込んで食害を引き起こす厄介な害虫です。

アワノメイガの幼虫は、雄穂の花粉に誘われて入り込み、雌穂についた実を食害します。幼虫を発見したときはすぐに駆除する、害虫がついた株を抜くなどして早めに対処しましょう。

人工授粉の作業が終わったら、雄穂を切り落としておくのも良いでしょう。

農薬を使わない場合は、日々観察を続けて、害虫がついていないかチェックしてください。

観察するときは、雄花の近くに生えている葉の裏側や茎部分を中心に、フンが落ちていたり、穴が空いていたりしないか確認します。

雌穂を軽く触ってみて、実が歯抜けの状態になっているときは害虫の被害を受けている可能性があるので注意が必要です。

防虫ネットを活用

鳥害対策には鳥害対策用のネットが効果的であるように、害虫対策には防虫ネットが効果的です。

農薬は使いたくないという方も多いかと思いますので、そんな時は少し手間がかかりますが防虫ネットを張ることで対策ができます。

害虫対策には、市販されている防虫ネットを使っても良いでしょう。

トウモロコシに虫が寄ってきても侵入できないように野菜用ネットや、台所で使うような水切りネットを受粉した後の雌穂にかぶせて実を保護してあげるのもおすすめです。

トウモロコシの育て方|連作障害

トウモロコシ

トウモロコシは、同じ場所で何年も育て続けると作物の生育が悪くなる「連作障害(れんさくしょうがい)」が起きにくい作物です。

根が深くまで伸びるため、土の中の栄養を効率よく吸収する力があり、病気にも比較的強い特徴があります。こうした性質から、トウモロコシは畑の中をきれいに保つ「クリーニングクロップ」と呼ばれます。

とはいえ、まったく問題が起きないわけではありません。同じ場所で何年も続けて育てると、土の中の栄養バランスがくずれて、トウモロコシが元気に育たなくなるのです。

元気に育て続けるためには、1〜2年おきに育てる場所を変える「輪作(りんさく)」を意識するのがおすすめです。

トウモロコシの後作におすすめの野菜

根菜類(ダイコン・ニンジン)

トウモロコシとは植物分類が異なるため、連作障害の心配は比較的少ないでしょう。

ただし、トウモロコシの後作として植える場合は、土壌の栄養状態を確認してからにしてください。

マメ科野菜(エダマメ・インゲン・ソラマメなど)

エダマメやインゲンなどのマメ科の作物は、根に「根粒菌(こんりゅうきん)」という微生物が共生しており、大気中の窒素を土の中に取り込む働きがあります。

そのため、トウモロコシを育てたあとの畑に植えると、土の栄養を補うことができ、次の作物にとってもよい環境になります。

ただし、マメ科の植物は、作物自身も連作障害を起こしやすいため、同じ場所での栽培は4〜5年ほど間隔を空けるようにしましょう。

ネギ類・葉菜類

ネギやニンニク、ニラなどのヒガンバナ科の野菜は、連作障害が起こりにくく、土の中の病原菌を抑える効果もあるとされます。

また、ホウレンソウやレタスといった葉物野菜は栽培期間が短いため、トウモロコシを収穫したあとの時期に合わせて育てることができます。

トウモロコシの後作に不向きな野菜

イネや小麦、大麦、そして別の品種のトウモロコシなど、イネ科に分類される作物は、同じ病気・害虫にかかりやすい特徴があります。

同じ場所で続けて育てると連作障害が起きやすくなるため、できるだけ異なる種類の作物を選び、育てる場所を工夫するとよいでしょう。

土壌条件への注意点

トウモロコシは、栄養をよく吸収する作物です。同じように多くの栄養を必要とする野菜を続けて育てると、土の中の栄養バランスが崩れ、生育に影響が出ることがあります。

また、トウモロコシの栽培に適した土壌条件と、次に育てる作物の好む土壌条件が異なる場合は注意が必要です。

作物を選ぶ際に土の栄養バランスや性質に気を配りましょう。

トウモロコシの育て方|コンパニオンプランツ

コンパニオンプランツとは、異なる作物同士を近くに植えることで、互いの成長を助け合う栽培方法のことです。

組み合わせによっては、成長を促進したり、害虫を遠ざけたりする効果が期待できます。

主な効果としては、以下のようなものがあります。

  • 成長促進:根から分泌される物質が、周囲の植物の生育を助ける
  • 害虫忌避:においや成分により害虫を寄せつけにくくする
  • 土壌改良:異なる根の深さで土壌を耕し、排水性や栄養吸収効率を高める
  • 病害虫対策:多様な植物が共存することで病害虫の被害が広がりにくくなる

ただし、害虫の完全な予防はできないため、あくまで補助的な効果と考えてください。農薬の使用を控えたい家庭菜園では、積極的に取り入れたい栽培方法です。

トウモロコシと相性のよい野菜

枝豆

枝豆は、トウモロコシと非常に相性のいいコンパニオンプランツです。マメ科植物である枝豆は根に根粒菌を持ち、大気中の窒素を固定して土壌に供給してくれます。

窒素を多く必要とするトウモロコシにとって、理想的なパートナーといえるでしょう。

また、トウモロコシは深く根を張り、枝豆は浅い根を持つため、土壌の利用層が重ならず、互いの生育を邪魔しません。

どちらも夏野菜で栽培時期が近く、管理がしやすい点も魅力です。

バジル

バジルをはじめとしたハーブ類も、トウモロコシと相性のよい植物です。バジルが持つ強い香りが、害虫を寄せつけにくくする効果があり、自然な害虫防除として活用できます。

収穫後は料理に使える実用性の高さも嬉しいポイントです。

カボチャ

カボチャなどのつる性のウリ科植物も、トウモロコシとの組み合わせで相乗効果が期待できます。

つるが地面を覆うことで雑草の繁殖を抑えるほか、トウモロコシの茎がつるの支柱代わりにもなります。

ただし、広いスペースが必要になるため、植えつけ場所や配置には工夫が必要です。

混植のメリット・デメリット

混植には、病害虫の発生を抑えたり、土壌の栄養を効率よく活用したりできるメリットがあります。トウモロコシと異なる根の深さを持つ作物を組み合わせることで、収量の向上や土壌改良効果も期待できるでしょう。

一方で、養分や日照の競合、管理の複雑さといったデメリットもあるため、相性のよい組み合わせを選び、無理のない範囲で始めることが大切です。

おわりに

トウモロコシは、日当たりのよい場所を選び、倒伏対策や人工授粉、害虫防除といった基本的な管理に気をつければ、比較的手間なく育てられます。

放任でもある程度育つため、家庭菜園初心者にも取り組みやすい野菜といえるでしょう。

朝の涼しい時間に収穫すれば、採れたてならではの甘く、みずみずしい味わいを楽しめます。ぜひ、ご自宅でトウモロコシ栽培にチャレンジしてみてください。

公開:2020年8月12日
更新:2023年7月22日
更新:2025年8月3日

#トウモロコシ #家庭菜園 #特集

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