オクラの育て方|栄養たっぷり夏野菜の上手な管理方法
オクラは暑さに強く、初心者でも育てやすい夏野菜です。畑はもちろんプランターでも栽培でき、適切に管理をすれば一株から何本もの実を収穫できます。
この記事では、オクラの特長や品種選びから基本的な栽培方法まで、家庭菜園で上手に育てるためのコツをご紹介します。
- 目次
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- 【PlantiaQ&A】植物の情報、育て方をQ&A形式でご紹介
- オクラの育て方|特長と魅力
- オクラとは?
- 栄養豊富な夏野菜
- オクラの育て方|主な品種
- 丸莢(まるさや)
- 赤莢(あかさや)
- 角莢(かくさや)
- ダビデの星
- 島オクラ
- 初心者にもおすすめのオクラの品種
- オクラの育て方|基本の栽培方法
- オクラが好む栽培環境
- 苗の選び方
- 種まき・育苗
- 苗の保温
- 土づくり
- 植えつけ
- 水やり
- 肥料
- 土寄せ
- 支柱立て
- 収穫
- 整枝・摘葉
- 収穫後の片づけ
- 種の採取
- プランター栽培のポイント
- オクラの育て方|夏場の高温・乾燥対策
- 真夏に株が弱る原因
- 夏の水やり
- オクラの育て方|連作障害と輪作
- 連作障害とは?
- 土壌病害の蓄積
- 栄養バランスの偏り
- おすすめの輪作作物
- オクラの育て方|病害虫対策
- 病気対策
- 害虫対策
- オクラの育て方|よくある栽培トラブル
- 発芽率が悪い原因は?
- 曲がり果・いぼ果が発生する原因は?
- 実のネバネバがない原因は?
- 実が硬い原因は?
- プランター栽培では何株まで植えられますか?
- 支柱は立てたほうがいい?
- 追肥の適切なタイミングと量は?
- 収穫に適したサイズの見極め方は?
- 連作のコツはありますか?
- どれくらいの日当たりが必要ですか?
- 水やりは毎日したほうがいいですか?
- プランター栽培でも大きく育ちますか?
- 冬越しのポイントはありますか?
- 収穫後の保存方法を教えてください
- おわりに
【PlantiaQ&A】植物の情報、育て方をQ&A形式でご紹介
☘58:オクラの育て方|植えつけ方法や日々の管理、プランターでの育て方や収穫のコツなどご紹介
オクラの育て方|特長と魅力
オクラはアフリカ北東部原産の夏野菜で、日本では一年草として栽培されます。
ここでは、オクラの基礎知識をご紹介します。
オクラとは?
オクラはアフリカの暑い地域で生まれた夏野菜で、高温と日光を好む植物です。生長に適した温度は20℃~30℃とされ、日本の夏にぴったりです。
オクラの大きな特長は、太い一本の根が真っすぐ下に伸びる「直根性」を持つことです。この根は傷つくと回復しにくいため、植えかえを苦手とします。
地植えをおすすめしますが、どうしても植えかえが必要な場合は、根を傷めないように慎重に行いましょう。
また、オクラは低温に弱いため、生育初期に気温が低いと生育が止まり、その後の生育にも影響します。
一方で、乾燥には比較的強い性質がありますが、開花・結実期に水切れすると実がかたくなりやすいため、適度な水分管理が重要です。
常に土が湿った状態は根腐れの原因となるため、水はけのよい環境で育てるのが大切です。
栄養豊富な夏野菜
オクラは栄養価の高さでも知られています。独特のネバネバは、ペクチン、ガラクタン、アラバンなどの食物繊維によるものです。
特にペクチンは、整腸作用があることでも知られています。
また、βカロテン、ビタミンB1、ビタミンCなども豊富に含まれており、暑い季節の健康維持にも役立ちます。
元気に過ごしたいときは、ぜひオクラを使った料理を食べてみましょう。
オクラの育て方|主な品種
オクラにはさまざまな品種があり、主に実の形や色で分類されます。
一般的な五角形のものや赤い実をつけるもの、丸いもの、花を食べる「花オクラ」など、種類は多様です。
また、収穫の適期は7cm~10cmほどですが、品種によっては20cm以上に生長するものもあります。用途や好みに合わせて品種を選べるのが魅力的です。
ここでは、代表的なオクラの品種をご紹介します。
丸莢(まるさや)
実の断面が丸い形で角がない丸莢タイプ。口当たりがなめらかで、果肉も柔らかい種類が多いです。
「まるみちゃん」などの品種が代表的で、通常の五角オクラより少し大きくなっても筋ができにくく、柔らかさをキープしてくれます。
そのため、収穫のタイミングを少し逃してしまっても、おいしく食べられるのが嬉しいポイントです。
赤莢(あかさや)
鮮やかな赤紫色の実をつける品種です。
代表的な「ベニー」という品は、アントシアニンという健康によい色素をたっぷり含んでおり、食卓を華やかに彩ります。
火を通すと緑色に変わってしまうため、色を生かすなら生食や軽い調理がおすすめです。
角莢(かくさや)
最も一般的なタイプで、実の断面が星のような五角形をしています。シャキシャキとした歯ごたえが魅力で、どのような料理にも合わせやすい万能さが人気です。
早い時期から収穫が始まる「アーリーファイブ」や、濃い緑色で実が曲がりにくい種類など、栽培する環境・目的に応じて選べます。
ただし、収穫が遅れると筋が入りやすくなるので、適期にこまめに収穫しましょう。
ダビデの星
イスラエル生まれの伝統品種で、ほかのオクラとは異なり、肉厚で太くて短いずんぐりした実をしています。
断面はくっきりとした星形(六角形以上)をしているのが特長です。
ユニークな見た目と食感で、家庭菜園でも注目の品種です。
島オクラ
主に沖縄や鹿児島周辺の在来品種です。普通のオクラより実が長く、15cm~20cm以上にもなるものもあります。
最大の魅力は、大きくなっても筋が入らず、柔らかい食感を保つことです。また、暑さにとても強く、真夏でも元気に育ち、長期間収穫を楽しめます。
夏の家庭菜園では特に育てやすく、初心者の方やたくさん収穫したい方に向いています。
初心者にもおすすめのオクラの品種
ここでは、初心者の方も育てやすい品種をピックアップしてご紹介します。
クリムソン・スパインレス(多角種)
断面が六~八角形の多角種のオクラです。草丈は大きく、2mほどまで生長することもあります。
莢はきれいな緑色をしており、花の美しさも楽しめるとされる品種です。
比較的丈夫で生育が安定しており、初心者でも栽培しやすい品種です。
楊貴妃(白オクラ)
五角形の白オクラです。莢に厚みがあり柔らかく、生食にも向いています。
草丈はやや高めで、葉も大きく広がります。栽培するときはある程度のスペースを確保しましょう。
白オクラは加熱しても色が変わりにくく、見た目も美しいため、料理の彩りにも向きます。
島の恋(赤オクラ)
赤く丸い莢の形が特長の赤オクラです。早く収穫できるだけでなく、生育初期から一株でたくさん収穫することができます。
オクラの育て方|基本の栽培方法
オクラは手間がかかりにくく初心者でも育てやすい夏野菜です。
畑はもちろん、プランターでも育てられるため、ベランダ菜園にチャレンジしたい方にもおすすめです。
こちらでは、オクラの基本的な育て方をご紹介します。
オクラが好む栽培環境
オクラは日当たりの良い場所を好みます。強い日光でも耐えられるため、よく日に当てましょう。
半日陰でも育てることができますが、収量は減ってしまいます。
また、風通しの良い環境で育てることで、病害虫の予防にもつながります。
苗の選び方
オクラの苗は、株元がしっかりした葉色の濃いものを選びましょう。下葉が枯れ落ちたり徒長して弱々しい苗も避けます。
根がよく張り、ポットの底穴から白い根が見える苗は生育が順調な証拠です。茶色い根が大量に出ている場合、傷んでいる可能性があるため注意が必要です。
また、大きく育ったオクラは、植えかえ時に根を傷めてしまうこともあります。本葉が3枚~4枚程度の苗を選ぶのがおすすめです。
種まき・育苗
オクラは種から育てることができます。10℃以下では生育が停滞してしまうため、暖かくなってきた4月~5月に行いましょう。
また、オクラの種は硬いため種まきの前日に一晩水につけておくと発芽しやすくなります。
種は育苗ポットにまくか、プランターや畑に直まきをします。深さ2cmほどの小さな穴に種をまき、土をかぶせたらたっぷりの水を与えましょう。日光が良く当たる暖かい場所で管理します。
発芽後は本葉が2枚~3枚つく頃に元気な株を残し間引き、一本立ちにします。
苗の保温
オクラの種の発芽適温は25℃~30℃といわれています。種まきの時期によっては、防寒対策が必要です。トンネルやビニールを使用して苗を保温しましょう。
トンネルの張り方
トンネル用の支柱やビニール、寒冷紗、不織布などを使用して苗を覆います。
支柱は、地面に向かって垂直に立て、両端だけは斜めに挿します。トンネルパッカーなどで被覆資材が飛ばないように固定します。
マルチビニールの張り方
畑に直まきする場合は畝にマルチビニールを張ると保温・乾燥予防になります。
Uピンや土や石を使用して風で飛ばないよう固定します。
また、できるだけ風のない日を選んで作業すると、ビニールがあおられて飛ぶことがなくなり安全です。
土づくり
オクラは水はけのよい土を好みます。プランター栽培の場合、『今日から野菜 野菜を育てる土』がおすすめです。
地植えの場合、植えつけの2週間前までに堆肥を、1週間前までに苦土石灰を混ぜて耕しておきます。
プランター栽培も地植えも元肥として『今日から野菜 野菜を育てる肥料』を土に混ぜ込んでおきましょう。
植えつけ
オクラの植えつけ時期の目安は5月中旬~6月中旬にかけてです。本葉が2枚~4枚ついた頃に植えつけましょう。適温を保てるよう、暖かくなってから植えつけ作業を行うことがコツです。
植えつけ時、オクラの根が傷んでしまうと生育が悪くなってしまいます。
育苗ポットから取り出す際は、根鉢を崩さないよう優しく扱いましょう。
プランターの場合
深さ30cm以上の鉢を準備しましょう。草丈があまり高くならない品種を選ぶと扱いやすくなります。
複数の株を植える場合、株間は20cm程度空けます。
地植えの場合
株間は40cm以上空けましょう。畝をつくり、排水性を高めておくのがおすすめです。
4月~5月上旬に行う場合、朝晩は冷え込むことがあるため、マルチングをしてあげましょう。病害虫予防にもなります。
コンパクトに育てるための植え方
オクラは生長が早く、実も多くつけるため収穫が追いつかないことがあります。実が固くなるのを防ぐには、密植栽培がおすすめです
種まきの際、1ヵ所に3粒程度まき、間引きせずにそのまま育てます。
密植することで株は小さくなりますが、莢が生長は緩やかになり、柔らかい実を収穫しやすくなるでしょう。
また、収穫はこまめに行うと、実が硬くなるのを防げます。
水やり
オクラは乾燥に強いですが、水切れする生育が悪化します。
特に乾燥しやすい夏場は水をたっぷりと与えてください。
種まき後
発芽まではたっぷりと水を与えます。土の表面が乾かないようにこまめに観察してください。発芽後は土の表面が乾いてから水を与えましょう。
植えつけ後
植えつけ後、根づくまではたっぷりと水やりすることが大切です。
水切れしないように用土をチェックし、乾いていたら水をあげましょう。
根づいた後
土の表面が乾いたら水やりをしましょう。開花し、実がつき始めると水が不足しやすくなります。水切れしないように。注意してください。
ただし、生育初期に水を与えすぎると徒長の原因になるため、過湿に気をつけましょう。
肥料
オクラは肥料を好み、特に成長期や実をつける時期には多くの栄養を必要とします。
しかし、肥料を吸収する力が強いため、元肥が多すぎるとかえって徒長したり、実つきが悪くなることがあります。
元肥はパッケージの表示に従い適量を施してください。
野菜栽培のために必要な成分がバランスよく含まれた『今日から野菜 野菜を育てる肥料』がおすすめです。
また、オクラは次々と花を咲かせて実をつけるため、追肥でしっかりと栄養を補給してあげましょう。
一番果を収穫するタイミングで『今日から野菜 野菜の肥料』または1週間~10日に1回の頻度で液体肥料『ハイポネックス原液』を与えてください。
肥料不足のサイン
肥料が足りないと、株の生育が弱まります。特に、生長点と花の咲く位置が近くなる場合、肥料不足の可能性があります。
生長点とは、細胞分裂が活発に行われている茎や根の先端部分です。
理想は花の上に葉が3枚ある状態ですが、花が茎の先端で咲いている場合、株の勢いが弱っている可能性があります。
さらに、肥料切れを起こしたオクラの葉は、通常と比べて小さく、色が薄くなります。葉が極端に小さい場合は、肥料不足を疑い、追肥を行いましょう。
土寄せ
株元に土を寄せることで、根が露出を防ぎ、株を安定させます。間引きや施肥の後に行いましょう。
また、中耕も行い、スコップや熊手などを使って株周辺の土を浅めにほぐしましょう。
支柱立て
オクラは種まきからしばらくは生育がゆっくりですが、その後どんどん大きくなり、草丈は1m~2m程に生長します。
基本的には自立して育つため、必ず支柱が必要というわけではありませんが、株が倒れやすかったり、実が重くなったりするときは支柱を立ててあげましょう。
支柱は1つの株に1本、株の横に立て、麻ひもなどで茎にやさしく結びましょう。
結び目が茎に当たると傷んでしまうため、支柱側に作ることがポイントです。
収穫
オクラの収穫適期は7月~10月にかけてです。開花から1週間ほどで収穫できるため、大きく育ち筋張ってしまう前に、若く柔らかいものを収穫しましょう。
品種にもよりますが、五角オクラは7cm~8cm、丸オクラは12cm~15cm以内が収穫の目安です。
また、家庭菜園では新鮮な花オクラの収穫も楽しむことができます。
オクラの花は1日でしぼんでしまうため、開花したらすぐに収穫しましょう。
花オクラ用の品種もあるため、ぜひ育てて味わってみてください。
収穫時の注意点
オクラには細かいトゲが生えており、素手で触るとかぶれてしまうことがあります。
気になる方は、農業用の手袋などで保護して作業すると安全です。
収穫後の保存方法
オクラは日持ちしにくいため、収穫したらすぐ食べるのが理想です。冷蔵庫で保存する場合は、野菜室で保管し、数日以内に食べきりましょう。
長く保存したい場合はラップで包んで冷凍保存がおすすめです。
整枝・摘葉
枯れた葉は見つけ次第取り除き、株の風通しを良くします。収穫後は、実のついていた節の下の葉をカットします。
節から1枚~2枚下の葉は残して摘葉することで上部につく実へ栄養を回すことができます。
ただし、葉の数が少ない場合は摘葉はせず、様子を見ながら行いましょう。
実の下にある葉はすべて取らず、株元近くの葉を4枚~5枚残しておきます。
それよりも下の葉は取り除いて構いません。脇芽も必要に応じて摘みとりましょう。
収穫後の片づけ
株が茶色く枯れ始めたらオクラの収穫は終了です。
オクラを引き抜いたらしばらく乾燥し、処分しやすいように水分を抜きます。
引き抜いた後の土は掘り返し、残っている根や石を取り除いておきましょう。
種の採取
オクラの収穫をある程度楽しめたら、種を採取してみるのもおすすめです。大きく元気に育った実を選び、枯れるまでそのままにしておきましょう。
実が枯れてから摘み取り、風通しのよい日陰で乾燥させてから種を取り出します。
その後、種を2日~3日乾燥させてから封筒などに入れて冷蔵庫で保管しておきます。
翌年の種まき時期になったら、プランターや畑にまいて育てていきましょう。
プランター栽培のポイント
オクラは直根性のため、根を深く伸ばすことができる大型で深いプランターを選びましょう。
サイズの目安として、直径60cm程度は2株~3株、直径30cm程度は1株植えがおすすめです。
また、土の量は1株あたり10L以上が目安です。根がのびのびと育つことで生育が安定し、実つきも良くなります。
オクラの育て方|夏場の高温・乾燥対策
オクラは暑さに強い野菜ですが、真夏の厳しい環境では株が疲れて、花や実つきが悪くなることがあります。
特に猛暑日が続いたり、雨が降らない日が長く続いたりすると、生育に影響が出ます。
真夏に株が弱る原因
オクラが真夏に弱ってしまう主な原因は、水不足です。
高温で地温が上がると根の活動が弱まり、水分や栄養の吸収が悪くなることがあります。
その結果、花や実が落ちやすくなります。
夏の水やり
プランターの場合
晴れの日が続く場合は、土の乾き具合を確認して朝晩2回水やりをしてもかまいません。
特に実がつき始めたら、たっぷりと水を与えましょう。
地植えの場合
特別な水やりは不要ですが、雨が何日も降らず乾燥している場合は、水を与えましょう。
乾燥を防ぐためにわらなどでマルチングするのもおすすめです。
花が落ちるときの対処法
真夏に花が咲いても実がつかずに落ちてしまう場合は、水切れや肥料切れによる株の体力不足が考えられます。
収穫が始まったら、1週間~10日に1回程度、『ハイポネックス原液』などを追肥して株の勢いを保ちましょう。
オクラの育て方|連作障害と輪作
オクラを毎年元気に育てるには、同じ場所で続けて栽培は行わず、畑を休ませながら別の作物を植える、「輪作」が大切です。
土の栄養バランスを保ち、病害虫の発生を抑えるために欠かせません。
連作障害とは?
連作障害とは、同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培することで起こる生育不良のことです。
オクラと同じアオイ科の植物を連続して栽培すると、次のようなトラブルが起こりやすくなります。
土壌病害の蓄積
オクラ特有の病原菌や有害微生物が土の中に蓄積し、立枯病や根腐病などの土壌病害が発生しやすくなります。
栄養バランスの偏り
オクラが特定の栄養素を多く吸収するため、土の中の栄養バランスが偏り、生育に必要な成分が不足しがちになります。
おすすめの輪作作物
オクラの連作障害を防ぐには、異なる科の野菜を順番に栽培する輪作が有効です。
イネ科(トウモロコシやソルガムなど)
土壌中のネコブセンチュウの密度を減らす働きがあり、オクラの前作としておすすめです。
マメ科(エダマメ、インゲン、エンドウなど)
根に共生する根粒菌の働きで、土に窒素分を供給してくれます。
ただし、同じマメ科のものでも連作障害を起こすため、マメ科内での連作は避けてください。
アブラナ科の野菜(キャベツ、ブロッコリー、ダイコン、カブなど)
オクラとは異なる栄養吸収パターンを持ちます。根が深くまで伸びるため土の偏りを緩和するために育てられることが多いです。
ユリ科・ヒガンバナ科(タマネギ、ニンニクなど)
土壌中の有害微生物を抑える働きがあり、後作のオクラにとって良い土壌を作ってくれます。
避けるべき作物
オクラは連作障害を起こしやすい植物です。同じアオイ科の植物を続けて育てるのは避けましょう。
同じ場所で栽培する場合、最低でも2年~3年は空けてから植えつけてください。
オクラの育て方|病害虫対策
オクラ栽培では、アブラムシやうどんこ病など、気をつけておきたい病害虫がいくつかあります。
被害を最小限に抑えるため、対策方法を確認しておきましょう。
病気対策
うどんこ病対策
カビ(糸状菌)が原因の病気で、葉に白い粉をまぶしたように広がります。放置しておくと光合成能力が低下し、株が弱まってしまいます。
病気になった葉はすぐに取り除きましょう。被害が拡大している場合は、薬剤を使用して消毒するのも大切です。
また、予防のために日当たりと風通しの良い環境を作りましょう。葉が混みあう場合は選定や摘葉を行いましょう。
極端な乾燥は発生の原因となるため、適度に水やりを行ってください。
モザイク病
モザイク病は、ウイルスによる病気です。アブラムシをはじめとする害虫によって媒介されます。
花びらや葉にモザイクのような模様が生じ、進行すると奇形果の発生や収量低下につながります。
予防として、媒介する虫の発生の防除が重要です。被害が出ている株は抜き取って処分し、ほかの株に被害が広がるのを防ぎましょう。
苗立ち枯れ病
苗立ち枯れ病は糸状菌が原因で、苗が腐敗し、倒れて枯れてしまう病気です。
糸状菌は高温多湿の環境を好むため、梅雨の時期には特に注意しましょう。
水はけの良い土壌で、過湿にならないように水を与えることがポイントです。
また、苗立ち枯れ病は連作した場合に発生しやすくなることがあります。同じアオイ科の植物を植えた用土は使わず、別の土へ植えましょう。
害虫対策
アブラムシ対策
アブラムシは新芽や葉などに群がって吸汁し、株の生育を弱らせる代表的な害虫です。
放置すると、ウイルス病を媒介することもあるため、見つけ次第すぐに除去しましょう。
予防策として、シルバーマルチを使うことで、光の反射によりアブラムシを寄せつけにくくする効果があります。
株をこまめに観察し、見つけたものは水の勢いで洗い流す、または手で取り除くなどの方法が手軽で効果的です。
数が増えてしまい防除が難しい場合は、『ハイポネックス原液 殺虫剤入り』などの薬剤を使うのも効果的です。
カメムシ対策
カメムシは、葉や実に口針を刺して吸汁し、生育不良を引き起こすことがあります。
カメムシを発生させないために、株周辺の雑草や落ち葉、花がらは除去しましょう。
また、葉が茂りすぎないように、適度に摘葉を行い、株の風通しを良くしましょう。
オクラの育て方|よくある栽培トラブル
オクラは育てやすい野菜ですが、以下のようなトラブルが起こることもあります。予防・対処方法を覚えておくとよいでしょう。
発芽率が悪い原因は?
オクラは比較的発芽しにくく、種をまいてもすべて芽を出さないことがあります。
発芽適温は25℃~30℃なので温度が保てる時期に種まきすると成功率が上がります。
少量のみを育てる場合は、苗から始めるのも効率的です。
曲がり果・いぼ果が発生する原因は?
莢がくるりと曲がった「曲がり果」や、表面にブツブツとしたイボが生じた「いぼ果」など変形果は、病気ではなくストレスによる生理障害です。
それぞれ、風通しの悪さや日照不足、害虫など、さまざまな理由が考えられます。
生理障害ですので、見た目に問題はありますが、食べても問題ありません。
実のネバネバがない原因は?
収穫のタイミングが早すぎる場合、特有の粘りが出にくいことがあります。
収穫適期を見極めて、開花から1週間をめどに摘み取れるように調整しましょう。
実が硬い原因は?
オクラは収穫が遅くなるほど莢が硬くなっていきます。品種に応じた収穫のタイミングやサイズを把握しておくことが大切です。
また、乾燥によって硬くなっているケースも考えられます。土の乾燥が見られる場合は、水をたっぷりと与えましょう。
プランター栽培では何株まで植えられますか?
オクラは根が真っすぐ深く伸びる直根性の植物で、根を傷めると生育が大きく弱るため、基本は「1鉢につき1株」をおすすめします。
長いプランターに複数株植える場合は、株間を20cm以上確保し、根が過密にならないように植えつけましょう。
根のスペースと十分な日当たりを確保することで、花や実のつき方が安定し、しっかりと収穫できます。
支柱は立てたほうがいい?
基本的には自立して育つため、必ず支柱が必要というわけではありませんが、1mほどの高さに伸びるため、風や実の重みで倒れやすくなります。
安定させるには、1株につき1本ずつ支柱を立ててひもで軽く結んでおくと安心です。
支柱は長さ150cmほどのものを使い、早めに設置しましょう。茎が伸びるにつれて、ひもで数カ所を結んで誘引していくと、株姿を安定させられます。
追肥の適切なタイミングと量は?
オクラは元肥を与えすぎると葉ばかりが茂って実つきが悪くなるため、最初は控えめにしておくのが安心です。
植えつけの2〜3週間後から追肥を始め、その後は1週間~10日おきに『ハイポネックス原液』を施すのが基本です。
株の様子を見ながら量を調整しましょう。
なお、一番果の収穫が始まった頃からは、定期的に少量ずつ肥料を与える方法に切りかえると、花と実のつくリズムが整いやすくなります。
収穫に適したサイズの見極め方は?
オクラは若いうちに収穫するほど柔らかく食味がよくなります。五角形の角莢なら7〜8cm、丸莢なら12〜15cm程度が収穫の目安です。
収穫できるサイズになるまで、開花から5日程度(気温により前後)かかるため、硬くなる前に毎日チェックしましょう。
連作のコツはありますか?
オクラは連作障害が起きやすい野菜なので、同じ場所や同じ用土での栽培は2〜3年ほど間隔を空けると安心です。
特にネコブセンチュウの被害を受けやすいため、ほかの野菜と輪作したり、用土を新しくしたりしてリスクを下げましょう。
併せて堆肥を加えて土の構造を改善し、水はけをよくすることで、根の健全な生長と病害虫の発生予防につながります。
どれくらいの日当たりが必要ですか?
半日陰でも育てることはできますが、日当たりが良いほど株の勢いと花つきが安定します。
できるだけ日光がたくさん当たる場所を選んでください。
水やりは毎日したほうがいいですか?
発芽から根が定着するまでは乾きすぎないよう注意し、その後は土の表面が乾いてからたっぷりと与えるのが基本です。
過度な湿気は根腐れの原因になるため避けましょう。
真夏のプランター栽培は土が乾きやすいので、土の状態を確認しながら朝(必要に応じて夕方も)に水やりします。
プランター栽培でも大きく育ちますか?
プランターでも、十分な土の量と深さが確保できれば草丈1mほどまで育ちます。
スペースが限られている場合、コンパクトな品種を選ぶか株数を減らして根のスペースを優先すると、管理がしやすくなります。
冬越しのポイントはありますか?
日本ではオクラは一年草扱いで基本的な冬越しはできません。
15℃以上を維持できる環境なら越しできますが、その場合水やりは控えめに行います。
収穫後の保存方法を教えてください
オクラは低温が苦手なので、冷蔵する場合は野菜室で数日程度を目安に早めに食べ切りましょう。
長期保存したい場合は、硬めにゆでてから冷凍保存します。使うときは凍ったまま調理すると便利です。
おわりに
オクラは家庭菜園にぴったりの夏野菜で、一株からでも多くの実を収穫できます。
丸莢・五角莢・白オクラ・赤オクラなど品種も豊富で、用途や好みに合わせて選べるのも魅力です。
栽培のポイントを押さえ、こまめに病害虫対策を行うことで初心者の方でも収穫まで楽しむことができます。
ぜひ夏場は、ご自宅でオクラ栽培に挑戦してみてください。採れたての新鮮な味わいをぜひ楽しんでみましょう。
公開:2020年8月31日
更新:2022年10月14日
更新:2023年6月12日
更新:2025年12月1日
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