更新日:2025.11.25
椿(ツバキ)の育て方|植えつけから剪定まで初心者向けに解説
冬から春にかけて、深紅やピンク、白の花を咲かせる椿(ツバキ)は、日本の庭園を彩る代表的な常緑樹です。古くから愛されてきた理由は、美しさだけではありません。
樹齢が長く、適切に手入れすれば数十年単位で健全に育つため、庭木に最適な植物です。
本記事では、椿の基本的な育て方に加えて代表的な品種やお手入れ方法などを解説します。
- 目次
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- 【PlantiaQ&A】植物の情報、育て方をQ&A形式でご紹介
- 椿(ツバキ)の育て方|基礎知識
- ツバキとは?
- ツバキとサザンカの違い
- 歴史・茶道との関わり
- 椿(ツバキ)の育て方|主な品種
- ヤブツバキ
- 侘助椿
- 乙女椿
- 太郎冠者
- 紅侘助
- 白玉椿
- 昭和侘助
- カメリア・ジャポニカ
- 椿(ツバキ)の育て方|基本の栽培方法
- 椿(ツバキ)が好む栽培環境
- 苗選び
- 種まき
- 接ぎ木苗について
- 土づくり
- 植えつけ・植えかえ適期
- 水やり
- 肥料
- 花がら摘み・摘果
- 剪定
- 挿し木
- 夏の管理
- 冬の管理
- 椿(ツバキ)の育て方|よくある栽培トラブル
- 花が咲かない原因は?
- 葉が黄色くなるのはなぜ?
- つぼみが落ちるのはなぜ?
- 鉢植えと地植えはどちらが育てやすい?
- 冬越しはどうする?
- 花もちをよくするには?
- おわりに
【PlantiaQ&A】植物の情報、育て方をQ&A形式でご紹介
☘173:椿の育て方|丈夫に育つ苗の選び方は?剪定や花がら摘みなどの作業もご紹介
椿(ツバキ)の育て方|基礎知識
椿は初心者でも比較的育てやすく、適切な栽培環境と管理方法を理解すれば長期間花を楽しめます。
まずは基礎知識をおさらいしましょう。
ツバキとは?
ツバキは、ツバキ科の常緑樹です。日本をはじめ、台湾や中国など東アジア一帯に分布しています。
艶やかな葉を持つことから「艶葉木(ツヤバキ)」が語源とされ、種子から採れる椿油は化粧品や灯明に利用されてきました。
樹高は5m~10mと高く生長しますが、庭木として育てる場合は剪定によって管理できます。
開花期は9~11月に咲き出す「秋咲き(早咲き)」、12~2月に咲く「冬咲き」、3~5月に咲く「春咲き」に分けられ、品種により異なる花色を楽しめます。
ツバキとサザンカの違い
ツバキとサザンカは同じツバキ科の植物ですが、異なる特長があります。
最大の違いは、花の散り方です。ツバキは花全体がそのまま落ち、サザンカは花びらが一枚ずつ散ります。その散り方から、ツバキは「武士の潔さを象徴する花」といわれてきました。
また、開花時期は、サザンカが10月~12月、ツバキが12月~4月と時期が異なります。
さらにツバキの葉は大きく厚く、表面にはつやがあるのに対し、サザンカは小ぶりで薄く細かいギザギザがあります。
このように、見た目が似ているようでいて、実際には管理のコツにも関わる違いがいくつかあります。
歴史・茶道との関わり
ツバキは縄文時代から日本人の暮らしに深く関わってきた植物です。
奈良時代には「日本書紀」に神聖な樹木として登場し、「万葉集」にはツバキを詠んだ歌が9首残されています。
江戸時代には、二代将軍徳川秀忠がツバキ園芸に熱中し、全国から品種を集めて栽培しました。これにより、ツバキは一般にも普及しました。
また、茶の湯では千利休が茶花として取り入れたことで、冬から春代表的な茶化として親しまれてきました。
現代でも、春を待つ花として、多くの茶人に大切に生けられています。
椿(ツバキ)の育て方|主な品種
ツバキには2,000種類以上の品種がありますが、花色や形、開花時期が異なるため、好みやガーデンの雰囲気に合わせて選べます。
ヤブツバキ
日本の代表的な野生種で、本州から沖縄に自生しています。
濃い紅色から明るい赤色の一重咲きで、花径は5cm~7cm程度、開花期は2月~4月です。
暑さ寒さに強く育てやすいため、園芸初心者に適した品種です。
多くの園芸品種はこれをもとに作出されており、日本のツバキ文化を支えてきた花といえます。
侘助椿
茶花として重宝される品種で、小輪の筒咲きが特長です。
花径は3cm~5cm程度で、上品で控えめな美しさが茶人に愛されてきました。
淡いピンク色の花は12月~4月まで開花し、花つきがよくコンパクトな樹形が鉢植えにも適しています。
乙女椿
濃いピンク色の八重咲きで、中輪から大輪サイズの華やかな花です。
開花期は2月~4月で、花持ちがよいため長期間にわたって楽しめます。
樹勢が強く育てやすく、剪定にも強いため園芸初心者にもおすすめできます。
太郎冠者
太郎冠者は白地に紅色の絞りが入る中輪の一重咲きです。
絞りの入り方は個体や年によって変化することがあるため、毎年異なる表情を楽しめます。
紅侘助
紅侘助は小輪の一重猪口咲きで、侘助椿の変種です。小ぶりで可愛らしい花が印象的な紅色は、寒い季節の庭に温かみを与えてくれます。
花つきがよい品種で、開花期は12月~翌年4月まで長く、冬から春にかけて美しい花を楽しめます。
白玉椿
白玉椿は純白の八重咲きで、清楚で上品な姿が特徴です。
白い花びらが幾重にも重なり合って、優雅な印象を与えます。新緑や秋の紅葉との対比、美しさは格別です。
昭和侘助
薄いピンク色の筒咲きで、上品な色合いが魅力の品種です。
昭和時代に作出された品種で、控えめながら美しい花色として多くの愛好家に親しまれてきました。
カメリア・ジャポニカ
ヨーロッパで改良されたヤブツバキ系の園芸品種です。「洋椿」とも呼ばれ、現代の庭園にモダンな印象を与えます。
日本の伝統品種とは異なり、より華やかで大輪の花を咲かせる傾向があります。
椿(ツバキ)の育て方|基本の栽培方法
毎年美しいツバキの花を咲かせるためには、適切な栽培環境と季節ごとの手入れが大切です。
ここでは、ツバキを育てる上で押さえておきたいポイントを解説します。
椿(ツバキ)が好む栽培環境
日当たりの良い場所を好みますが半日陰でも生育は可能です。ただし、十分な日光がある場所の方が花つきは良くなります。
一方、強い西日にあたると葉焼けを起こし、株を弱らせてしまうため、避けられる場所を選ぶことが大切です。
理想は、午前中から昼過ぎまで日光が当たり、午後の強い西日は避けられる環境が最適です。
また、乾燥した風や冷たい風に弱いため、北風に直接当たるとつぼみが落ちたり、枝が枯れたりする可能性があります。特に、冬季は注意が必要です。
苗選び
椿の苗を選ぶときは、葉の色に注目しましょう。黄色く変色している苗は避けて、濃い緑の葉が着いた苗を選んでください。
また、花数が多すぎると株が弱っている場合があるため注意が必要です。
椿の苗は、大きさによって小・中・大に分けられて販売されています。小さな苗ほど若く、ゆっくりと育てて大きくしたい方におすすめです。
大きな苗は樹齢が高く、購入後すぐから花を楽しむことができます。
種まき
椿を種から育てる場合、花が咲くまでに5年以上かかることもあります。品種や株の状態によって開花までの期間は異なるため、根気よく育てていきましょう。
椿の種は、花後につく実の中にできます。地面に落ちた種は乾燥してしまい、発芽しにくくなるため、実が落ちる前に採取してください。
種は、一晩吸水させてから種まきすると発芽率が上がります。
土は新しいものを用意します。市販の種まき用土でもかまいません。種をまいて土を軽くかぶせたら、水をたっぷりと与えましょう。
9月~10月に種まきすると、発芽は翌年の春ごろになります。芽が出るまではこまめに水やりをしてください。
接ぎ木苗について
椿を長く健康に育てたい場合は、接ぎ木苗を購入するのがおすすめです。挿し木苗に比べて生長が早く丈夫なため、園芸初心者にも向いています。
接ぎ木苗の特長として、多くは台木にサザンカが使われています。
サザンカは椿とよく似ているものの、椿より耐病性や耐寒性が高く、丈夫で育てやすい傾向があります。
接ぎ木苗の椿もその性質を受け継いでいるため、管理しやすいのがメリットです。また、花つきもよいため、たくさんの花を楽しみたい場合は接ぎ木苗を選んでみましょう。
接ぎ木苗は丈夫ですが、品種によって花色や形が台木の影響を受ける場合があります。
土づくり
ツバキは、有機質が豊富で水はけのよい弱酸性の土壌を好みます。
コンクリートの近くはアルカリ性に傾きやすいため、できるだけ避けて植えつけましょう。
庭植えの場合、植えつけ場所の土壌改良が大切です。植え穴は根鉢の2~3倍の大きさで掘り、掘り上げた土に完熟堆肥や腐葉土を3分の1程度混ぜ込んでください。
これにより排水性と保水性のバランスが整います。
鉢植え用土は、赤玉土中粒、鹿沼土中粒、完熟腐葉土を等分に混合した配合土がおすすめです。
市販の培養土『ハイポネックス培養土鉢・プランター用』を使用してもかまいませんが、赤玉土や鹿沼土を追加するとさらに水はけがよくなります。
植えつけ・植えかえ適期
椿の植えつけや植えかえは春(3~4月)、梅雨(6~7月)、秋(9~10月)が適期です。
特に初心者にとっておすすめの時期は梅雨の前半です。春に生長した枝が伸びやすく、根が活着しやすい時期といわれています。
鉢植え・地植えともに、2~3年に1回程度を目安に行いましょう。根鉢を傷めないように注意し、必要に応じて土の入れかえと剪定を行ってください。
水やり
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えます。特に開花期は多くの水分を必要とするので、こまめにチェックしましょう。
庭植えの場合、根がしっかりと張った2年以上の株は、基本的に自然降雨に任せて構いません。
植えつけから2年未満の株は鉢植えと同様に水やりが必要です。雨が少なく土壌が乾燥する場合は補助的に水やりをします。
肥料
ツバキは年2~3回の施肥が基本です。適切な肥料により花数が増え、株全体が充実します。
2月~3月は寒肥を与えます。緩効性肥料『ブリリアントガーデン バラの有機肥料』を株元から少し離れた場所に施すことで、根の生長を促進します。
また、5月~6月は花後のお礼肥として、花を咲かせるために消耗した養分を補います。
希釈した液体肥料『ハイポネックス原液』を10日~1週間に1回程度施しましょう。
そして9月~10月は、花芽充実のための施肥を行います。
翌年の花芽が形成される重要な時期のため、リンサンを多く含む『プランティア 花と野菜と果実の肥料』を施すと花つきがよくなります。
鉢植えの場合は、緩効性肥料『プランティア 花と野菜と果実の肥料』を2ヵ月に1回程度施してください。
生長期には液体肥料『ハイポネックス原液』を併用します。肥料の与えすぎは根を傷めるため、適量を守りましょう。
花がら摘み・摘果
椿の花が咲き終わると、徐々に実をつけ始めます。そのままにしておくと次の花を咲かせるための栄養が取られてしまうため、実が育つ前に摘み取りましょう。
また、椿の花は枯れると丸ごと地面に落ちてしまいます。完全に落ちてしまう前に花がらを摘んでおけば着果も防げます。
枯れ始めた椿を見つけたら、実になる前に摘み取っておきましょう。
剪定
椿の剪定は、花芽のついた枝を切らないよう、夏前に行います。花が終わったらできるだけすぐに剪定を済ませましょう。
剪定の際は伸びすぎた枝や混みあった枝などを整理していきます。
株をコンパクトに育てたい場合は、枝先を少しずつ切り戻していきましょう。
一つの枝あたり2枚~3枚は葉が残るようにして、脇芽の上を切り落とします。
また、剪定と併せて追肥も済ませてしまいましょう。花後にはお礼肥(追肥)として『ハイポネックス原液』を希釈して与えることで、株が充実します。
挿し木
挿し木で増やした椿は、順調に育つと2年ほどで開花します。ほかの方法よりも早く花を楽しめるのがメリットです。
挿し木の適期は6月~7月です。春から伸び始めた元気な枝を10~20cm程度に切りましょう。
切り口は斜めにして、1時間ほど水につけておきます。水あげが終わったら赤玉土や市販の挿し木用土など、清潔な土へ挿しましょう。
挿し穂は発根するまでビニールをかぶせて保温・保湿するのがおすすめです。
直射日光の当たらない場所へ置いておき、土が乾かないように気をつけて管理しましょう。
順調にいけば、3ヵ月程度で発根します。発根していたら鉢上げして、丁寧に育ててください。
夏の管理
椿の葉は、夏場の直射日光に当たると葉焼けすることがあります。日差しが強くなってきたら日よけを作ってあげるか、明るい日陰へ移動させましょう。
また、夏は土が乾きやすくなるため、鉢植えなら毎日水やりしてかまいません。地植えは鉢植えよりも少ない頻度で水を与えます。
ただしどちらの場合も、土の表面が湿っている状態で水やりをすると過湿になってしまいます。
表面の乾き具合を見てから水をあげましょう。時間帯は涼しくなった夕方ごろがおすすめです。
冬の管理
冬になったら寒風や土の凍結に気をつけます。寒冷紗で風よけしたり、マルチングで土を覆ったりして椿を守ってあげましょう。
鉢植えの場合は寒風の当たらない場所へ移動させるのもおすすめです。
水やりは土が乾いたら、たっぷり水をあげましょう。ただし、地植えの場合はほとんど降雨に任せて問題ありません。
2月~3月は寒肥を与えます。寒肥は土壌改良する目的もあるため、有機肥料の『ブリリアントガーデン バラの有機肥料』がおすすめです。
椿(ツバキ)の育て方|よくある栽培トラブル
椿を育てていると、さまざまな栽培トラブルに直面することがあります。
ここでは、よくある問題と対処法をご紹介します。
花が咲かない原因は?
花が咲かない主な原因は、剪定時期の誤り、日照不足、肥料不足です。
椿の花芽は夏に形成されるため、剪定は花後すぐの春に行いましょう。
また、日当たりが悪い場所では花芽が育たないため、明るい半日陰以上の場所に移動させてください。肥料不足の場合は、適切な追肥で改善します。
葉が黄色くなるのはなぜ?
葉が黄色くなる主な原因は、根腐れ、チッソ不足、鉄分欠乏、根詰まりです。
根腐れは水はけと水やり頻度の改善が必要です。水やりの頻度を見直してください。
チッソ不足は古い葉から黄色くなる時が目安です。速効性の液肥や緩効性肥料で補いましょう。
新葉の黄変が黄色くなる場合鉄分欠乏が生じています。弱酸性土壌への調整と鉄分肥料で改善します。
根詰まりは鉢植えの場合は植えかえを検討してください。
つぼみが落ちるのはなぜ?
つぼみが落ちる主な原因は、水分不足、寒風、栄養不足です。開花期前後は多くの水分を必要とするため、土の乾燥に注意しましょう。
冬の寒風や霜から保護するため防風対策を行い、秋の施肥を適切に行うことが大切です。
鉢植えと地植えはどちらが育てやすい?
鉢植えは移動可能で環境調整がしやすく、寒冷地で耐寒性の弱い品種が育てられるメリットがあります。一方、定期的な水やりと植えかえが必要です。
地植えは生長が早く管理の手間が少ないメリットがある反面、移動が困難です。初心者は鉢植えから始め、慣れてから地植えにするとよいでしょう。
冬越しはどうする?
鉢植えは軒下や無加温室内に移動し、寒風と霜から保護します。地植えの若い苗木は寒冷紗で防風・防寒対策を行いましょう。
成木は自然の寒さに耐えられますが、冬期の水やりは控えめにしつつ、土の乾燥を防ぎます。
花もちをよくするには?
開花期の水分管理が大切です。土が乾燥しないよう毎日チェックし、穏やかな環境に置くことで花持ちが向上します。
おわりに
椿を上手に育てるには、栽培環境と手入れの2つがポイントです。日当たりと水はけのよい場所を選ぶことが、椿の健全な成長を促します。
その上で、季節ごとに肥料と剪定を行うことで、毎年美しい花を咲かせてくれるのです。
もし病気や害虫、枯れなどのトラブルが生じた場合でも、心配は不要です。
原因を特定して適切に対処すれば、ほとんどの場合改善できます。椿は丈夫な植物であり、早期対応することで、すぐに回復するからです。
椿のある庭は、季節の移ろいを感じさせてくれます。ぜひ、今日から椿の栽培に挑戦してみてください。
公開:2020年5月6日
更新:2025年11月25日
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