南天(ナンテン)の育て方|実つきをよくするポイントも紹介

南天(ナンテン)は赤い実が美しく、縁起物としても親しまれる植物です。
庭木や鉢植えとしても人気ですが、「どう育てればよいの?」「実がならないのはなぜ?」とお悩みの方も多いかもしれません。
この記事では、南天の基本情報から育て方、実つきをよくするポイントまで詳しく解説します。
これから南天を育ててみようとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
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ナンテン
学名 Nandina domestica 科名 メギ科 原産地 中国、日本 分類 庭木、花木 耐寒性 普通 耐暑性 普通 栽培カレンダー
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月開花時期鑑賞時期植えつけ植えかえ施肥鉢植え
(3~4月)地植え
(2~3月)施肥(鉢植え)施肥(地植え)剪定
南天(ナンテン)の基本情報

南天(ナンテン)は中国原産の常緑低木で、日本でも古くから縁起のよい木として親しまれています。
冬に赤く熟す実は、魔除けや厄除けの象徴として玄関先や庭に植えられることも多く、お正月飾りにも利用されます。
病害虫にも強く育てやすいため、初心者でも取り組みやすいのが魅力です。見た目の美しさはもちろん、和風・洋風を問わず庭のアクセントにもなります。
南天(ナンテン)の育て方

南天は比較的手間がかからず育てやすい植物ですが、適した環境を整えることでより元気に育ち、美しい実をつけてくれます。
ここでは、日当たりや温度・水やり・剪定など、基本的なお世話のポイントを項目ごとに詳しく解説します。
日当たり・置き場所
南天は日当たりのよい場所を好む植物ですが、半日陰でも育てられます。
ただし、日光が不足すると花つきや実つきが悪くなるため、できるだけ南向きや東向きの明るい場所に植えるとよいでしょう。
真夏の強い直射日光に長時間当たると、葉焼けを起こすことがあるため、特に鉢植えの場合は夏場のみ半日陰に移動すると安心です。
庭植えにする場合は、夏は日陰になり冬は日当たりがよくなるような場所を選ぶと、環境に適応しやすくなります。
適切な温度・湿度
南天は寒さにも暑さにも比較的強く、日本の気候に適した植物です。耐寒性があるため、関東以西であれば屋外でも問題なく冬越しできます。
ただし、寒風が直接当たる場所や寒冷地での庭植えの場合は霜よけ対策を行ったり、鉢植えの場合は室内に移動させたりすると安心です。
一方、高温多湿にはやや弱く、梅雨時や蒸し暑い夏には風通しのよい場所で育てることが大切です。
鉢植えの場合は、梅雨や真夏は軒下などに移動して湿気を避けると病害虫の予防にもつながります。
過度な乾燥を避け、植物にとって適度な湿度を保ちましょう。
最適な用土
南天は、水はけがよく、適度な保水性がある土を好みます。
地植えの場合は、腐葉土や堆肥を混ぜ込んで通気性を高めるとともに、粘土質の土に植える場合は砂を混ぜて排水性を確保しましょう。
鉢植えの場合は市販の草花用培養土『ハイポネックス培養土鉢・プランター用』を使うか、小粒の赤玉土に腐葉土と黒土を4:3:3の比率で混ぜたものを使用して植えつけます。
植えつけ方法

南天は、春(4月頃)と秋(9月頃)の植えつけに適した植物です。
地植えの場合は、根鉢より一回り大きい穴を掘り、腐葉土や堆肥を混ぜた土を敷いてから植えつけます。
植えつけ後は根元を軽く押さえて安定させ、水をたっぷりと与えましょう。水はけの悪い場所では、盛り土をして排水性を高める工夫が必要です。
鉢植えの場合は、鉢底に軽石を敷き培養土を入れて植えつけます。鉢はひと回り大きなものを選び、根詰まりしないように注意しましょう。
植えつけ後は、半日陰で数日間養生させると根が落ち着きやすくなります。どちらの場合も、植えつけ時に緩効性の元肥『マグァンプK中粒』を混ぜると生長がスムーズです。
水やりの方法
南天は比較的乾燥に強い植物ですが、植えつけ直後や真夏、鉢植えの場合はこまめな水やりが必要です。
地植えの場合、根づいたあとは基本的に自然の雨で十分ですが、乾燥が続く時期や真夏には朝か夕方にたっぷりと水を与えると安心です。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらしっかりと水を与えましょう。特に夏場の高温期は乾燥しやすいため、朝と夕の1日2回の水やりが必要になるかもしれません。
鉢植えは受け皿に水を溜めっぱなしにしないよう注意し、根腐れを防ぎましょう。冬は生長が緩やかになるため、水やりは控えめにします。
肥料の与え方
南天は、適切な時期に肥料を与えることで実つきや葉の色つやがよくなります。
肥料を与える場合は、地植えの場合、冬(2月~3月)の寒肥と秋(12月)の追肥が適期です。鉢植えの場合は、3月~4月が適しています。
肥料は元肥・追肥ともに緩効性の有機肥料(油かすや堆肥など)を使用し、ゆっくりと効果が出るようにします。堆肥と肥料成分がひとつになった『土を豊かにする肥料』を与えましょう。
南天の実つきをよくするには、秋の追肥の時期にリン酸とカリウムが多めの肥料を与えるのもよいでしょう。
ただし、肥料が多すぎると葉ばかり茂って実がつきにくくなるため、控えめにするのがポイントです。
剪定・切り戻し

南天は自然な樹形を楽しめる植物ですが、風通しを良くし、実つきを促すためには剪定をするのがよいでしょう。剪定は、主に赤い実が落ちた2月〜4月頃に行います。
剪定方法は、「透かし剪定」が一般的です。
全体を見て風通しが悪そうな枝や枯れ枝、細い枝などを切り落とし、さらに間延びした枝も切り落として樹形を整えましょう。
ポイントは、不要な枝は根元から切り落とすことです。南天は生命力が強い植物のため、根元から剪定してもその後の生長を妨げることにはなりません。
また、花や実が一度ついた枝は次第に老化するため、数年に一度は根元から剪定しましょう。
ただし、花芽がついた枝を切り落とすと開花時期に花をつけず、その後も実がつかなくなるため注意が必要です。
剪定後は、切り口に癒合剤を塗ることで病気の予防になります。
夏越し・冬越し
南天は日本の四季に適応できる丈夫な植物のため、特別な暑さ対策や寒さ対策が不要な場合が多いです。
ただし、鉢植えの場合や寒冷地で育てる際には注意が必要です。夏は直射日光と高温多湿を避け、風通しのよい半日陰へ移動させましょう。
蒸れを防ぐために、こまめな剪定や除草も大切です。冬にはある程度強いですが、鉢植えや霜の降りる地域では不織布や寒冷紗で保温したり、軒下に移動したりすると安心です。
土の表面を腐葉土やワラで覆うマルチングも、寒さや乾燥対策に役立ちます。
南天(ナンテン)の実つきをよくするポイント

「南天を育てているけど、なかなか実がつかない」という声は少なくありません。
実つきを良くするには、日当たりや剪定のタイミング以外にも受粉環境や土の状態などの工夫が必要です。
ここでは、実をしっかりつけるための具体的なポイントを3つご紹介します。
雨よけで受粉をサポートする
南天の花は自家受粉しにくいため、受粉がうまくいかないと実がつかないことがあります。
特に開花期(6月〜7月)は梅雨と重なるため、雨が花粉を流してしまう可能性もあります。
これを防ぐには、鉢植えなら軒下へ移動、地植えなら簡易なビニールカバーで雨をよけるなどの工夫が効果的です。
また、虫による受粉を促すために、農薬の使用を控えて受粉昆虫が来やすい環境を整えることも実つきをよくするポイントです。
土壌の乾燥を防ぐ
実つきをよくするには、適度な湿度を保つことも重要です。特に花芽形成期から結実期にあたる春〜初秋にかけて、土壌が極端に乾燥すると実が落ちやすくなります。
対策としては腐葉土やバークチップなどでマルチングを施すことがおすすめです。土の乾燥を防ぐだけでなく、地温の安定や雑草防止にも効果があります。
また、根の浅い部分に水が届くように、こまめに水やりをすることも大切です。鉢植えの場合は、特に乾燥に注意しましょう。
別の種類を左右に植えつける
南天にはいくつかの品種があり、異なる品種を近くに植えることで受粉が促進され、実つきがよくなることがあります。
これは、異品種間での受粉(他家受粉)が成功しやすいためです。
南天は、一般的なナンテンのほかに以下のような種類があります。
- オタフクナンテン:葉が丸いタイプ
- ヒメナンテン:コンパクトな品種
- シロナンテン:白い実をつける
- キンシナンテン:小型の鉢植えで育てられるタイプ
この中から異なる種類の南天を左右に植えることで、開花時期が重なった際に受粉効果が高まりやすくなります。
地植えの場合は1m程度離して左右に植える、鉢植えなら並べて管理すると効果的です。
南天(ナンテン)の増やし方

お気に入りの南天をもっと増やしたいという場合は、「挿し木」や「接ぎ木」での繁殖が可能です。
手順がシンプルで比較的成功率が高いため、初心者でも挑戦しやすいのが魅力です。
ここでは、それぞれの方法について、時期やポイントを詳しく解説します。
挿し木
挿し木は、2月〜3月または6月〜10月が適期です。挿し穂として元気な枝を10㎝〜15cmほど切り取ります。
下葉を取り除いて2時間ほど水に浸けた後、湿らせた赤玉土や挿し木用土に挿しましょう。土は清潔なものを用意してください。
その後は明るい日陰で乾かさないよう管理すると、1ヵ月〜2ヵ月ほどで発根します。
発根後は鉢上げし、徐々に日当たりに慣らしましょう。挿し木で増やす場合は、風通しと湿度のバランスがコツです。
接ぎ木
接ぎ木とは、台木となる植物の木に、別の品種の穂木を接ぐことで、丈夫で性質のよい株を作る方法のことです。
植物の種類によっては、挿し木では発根しにくいものがあるため、接ぎ木の方法を知っておくことで植物の増やし方の知識が広がります。
南天で接ぎ木を行うのは珍しい品種の場合で、一般的な南天の品種なら挿し木での増やし方でも成功が期待できます。接ぎ木に挑戦したい際は3月〜4月に行いましょう。
接ぎ木で多く行われるのが「枝つぎ(切りつぎ)」という方法で、芽がついた枝を穂木として台木につなげます。
接合しやすいように、接ぎ面を丁寧に整えることが成功のポイントです。ビニールテープで固定し、乾燥を防ぐための保湿カバーも忘れずに準備しましょう。
接ぎ木用のテープは、活着が完了したことを確認できたら除去します。
南天(ナンテン)の植えかえ方法

南天は比較的根の張りが遅いですが、根詰まりを避けるために鉢植えの場合でも2年〜3年に1回程度の植えかえを行います。
適期は春(3月〜4月)または秋(10月頃)で、根詰まりや水はけの悪化が見られたら早めに行いましょう。
植えかえの際は、根鉢を軽く崩し、黒くなった古根や傷んだ根を切り戻してから新しい用土に植えつけます。一回り大きな鉢に植えかえることで、その後の生育がスムーズです。
また、地植えで移植する場合も同様の時期に、根をなるべく傷つけずに掘り上げて水はけのよい場所へ移すのがポイントです。
植えかえの際は、一緒に剪定しておくことで風通しがよくなり樹形が整います。南天の剪定は春が適しているため、春に植えかえを行う際には剪定も検討するとよいでしょう。
南天(ナンテン)の育て方でよくある質問

南天を育てる中で、よくある疑問やお悩みをまとめました。
種からの育て方や地植え時の注意点、室内での管理方法など知っておくと安心なポイントをQ&A形式で解説します。
種から育てられる?
南天は種から育てることも可能です。種まきの手順を見ていきましょう。
- 熟した実を採取して果肉を取り除きます
- 種をザルなどに入れてよく水洗いしましょう
- 育苗箱またはプランターなどに土を8分目ほど入れて種をまき、水をたっぷり与えます
南天の種まきは、10月〜11月が適しています。これは、実が熟す時期と重なり、自然に落ちた種もこの頃に発芽の準備を始めるためです。
種を採取したら、なるべく早めにまくとよいでしょう。
種まきする土は、赤玉土(小粒)を用意しましょう。発芽率は高くありませんが、忘れたころに芽が出ることがあるため、気長に待つのがコツです。
また、発芽後も生長はゆっくりで、開花まで4年以上かかることもあります。種から育てる場合は、待つことも楽しみながら育てていきましょう。
地植えする際の注意点は?
南天は生長すると高さ2m〜3mまで大きくなるため、地植えの際は植える場所のスペースに余裕をもたせることが大切です。
また、放っておくと枝が混み合いやすく、実つきが悪くなる原因にもなるため、年1回は剪定で風通しを確保しましょう。
建物の壁際など狭い場所に植えると根詰まりしやすくなるため、風通しと日当たりを意識した場所を選ぶことも大切です。
室内で育てるときの管理ポイントは?
南天は基本的に屋外向きの植物ですが、十分な日当たりと風通しのよい場所であれば室内でも育成可能です。
冬の寒さが厳しい地域では、鉢植えで育てると室内に取り込みやすく、安心です。
ただし、エアコンの風が直接当たる場所は避けるようにし、定期的に窓を開けて空気を入れかえることがポイントです。
日照不足になると実つきが悪くなるため、日当たりのよい窓辺が理想的です。
南天(ナンテン)の気をつけるべき病気・害虫
南天は病害虫に強い植物ですが、長雨や蒸れ、日照不足が続くとトラブルの発生の可能性があります。
特に注意したいのは「すす病」や「モザイク病」などで、風通しが悪く湿気がこもると発生しやすくなります。
また、「カイガラムシ」や「ハマキムシ」などの害虫も、葉や枝に吸汁して樹勢を弱らせる原因になるため、見つけたら早めに駆除を行いましょう。剪定による風通しの確保、葉の観察が予防のカギです。
南天(ナンテン)の活用方法

南天は古くから「難を転じて福となす」縁起物として親しまれ、魔除けや厄除けの象徴として玄関先や鬼門に植える習慣があります。
お正月飾りや生け花にもよく使われ、和の風情を感じさせる存在感が魅力です。
また、葉には防腐・防虫作用があり、昔は赤飯や和菓子を包む際に使われていました。
さらに、南天の実は咳止めや喉の炎症を和らげる民間薬として使われることもあり、焼酎に漬けて南天酒として利用する家庭もあります。
ただし、南天の葉や実には微量ながら有毒成分が含まれており、特に大量摂取には注意が必要です。
民間療法として用いる場合も、専門的な知識に基づいて慎重に扱うようにしましょう。南天は、観賞だけでなく、暮らしに寄り添った実用的な魅力もある植物です。
まとめ
南天(ナンテン)は、育てやすく、実の美しさや縁起のよさから多くの人に親しまれている庭木です。
日当たりや風通し、剪定のタイミングに気をつけることで美しい実を毎年楽しめるでしょう。
また、雨よけや異品種との組み合わせといった少しの工夫が、実つきのよさにつながるのも育てる楽しみのひとつです。
地植えでも鉢植えでも楽しめる南天は初心者でも扱いやすく、和の庭づくりや季節の演出にもぴったりです。
ぜひ、この記事を参考に南天栽培を始めてみてください。
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