オルレアの育て方|種から育てる方法や植える場所について紹介
白いレースのような花姿が美しいオルレアは、ナチュラルガーデンや寄せ植えにぴったりの植物です。
近年、人気が高まっており、「オルレアを育ててみたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、オルレアの魅力を紹介するとともに、育て方のポイントをわかりやすく解説します。
オルレアを育てたい方はもちろん、愛らしい花を育てたい方や、育てやすい植物に挑戦してみたい方も、ぜひ参考にしてください。
オルレアの育て方|基本情報
オルレアは、セリ科オルレア属の多年草で、原産地はヨーロッパです。
多年草ではありますが、暑い夏を越すことができないので、日本では一年草として流通しています。
草丈は60cmほどで、にんじんのような細かい切れ込みのある葉と、まるでレースのような可憐な白い花が特長です。
オルレアは、どんな色合いの花とも調和がとれるので、庭や花壇によく植えられています。また、開花期がバラと被るため、バラの下草としても重宝されています。
美しさと扱いやすさで人気を集めているオルレアが、日本に流通したのは1990年代後半です。比較的新しい花ですが、いまや多くのガーデニング愛好家に愛される品種となっています。
オルレアの育て方|栽培に必要な道具
オルレアを上手に育てるためには、適切な道具選びがポイントです。
鉢植えで育てる場合、鉢のサイズは7号~8号のものを選びましょう。鉢の底には穴が開いているものを、準備してください。
また、用土は水はけのよいものを使うのもポイントです。肥料を与えることも、忘れてはいけません。
このほか、植えつけやメンテナンスには小型のシャベル、花がら摘みにはハサミが必要です水まき用のじょうろは、注ぎ口の細いタイプを用意しましょう。
これらの道具を一通りそろえておけば、オルレアをスムーズに育てられます。
必要な道具をチェックして、足りないものは事前に買いそろえておきましょう。
オルレアの育て方|基本の育て方
ここからは、オルレアの育て方について、それぞれの項目ごとに詳しく解説します。
日当たり・置き場所
オルレアは日当たりのよい環境を好む植物です。日当たりの悪い場所に置くと、日照不足になり、徒長して茎が弱くなってしまいます。
ただし、夏の強い日差しに当てると、葉焼けを起こす可能性があります。鉢植えの場合、初夏までは日当たりのよい場所で育て、真夏は半日陰に移動させるか、遮光ネットを利用しましょう。
また、風通しの良い場所で育てることもポイントです。風通しが悪い場所に置くと、病気になりやすくなるので注意しましょう。
適切な温度・湿度
オルレアの生育に最適な温度は、10℃~25℃の範囲です。
暑さに弱い植物のため、夏になると枯れてしまうことがあります。暑い時期は、半日陰の涼しい場所に移動させましょう。
一方、耐寒性は強く温暖な地域では、屋外でも越冬が可能です。ただし、夜間の温度は10℃以上を保つようにしましょう。
また、オルレアは、湿度が高いと病気になりやすくなるので、風通しのよい場所で育ててください。
最適な用土
オルレアは、水はけのよい用土を好みます。鉢植えで育てる場合は、市販の草花用培養土『ハイポネックス培養土鉢・プランター用』でも問題なく育ちます。
鉢底に軽石を敷いて排水性を確保すれば、安定して育ちます。
直径30cm以上の大きな鉢や、コンテナに定植する場合は、草花用培養土に赤玉土中粒を混ぜるとよいでしょう。
庭植えで育てる場合は、堆肥や腐葉土を混ぜこむと、排水性が高まって、根がしっかり張るようになります。
土壌のpHは、中性から弱酸性が適しています。
種まき
オルレアは、種と苗、どちらでも育てることができます。
種から育てる場合は、9月~10月が、種まきの適期です。9月~10月に種をまけば、しっかり成長して翌春に開花します。
夏の訪れが遅い北日本や寒冷地の場合は、4月~5月にまけば、2ヵ月~3ヵ月後の6月~7月に開花時期を迎えます。
種まきの方法は、直まきとポットまきの2種類です。庭など広いスペースがある場合は、直まきがおすすめです。
直まきを行う場合は、種の間隔を40cm~50cmほど開けて、2粒~3粒ずつまきます。ポットまきの場合は、育苗ポットや黒ポットに2粒~3粒ずつまくとよいでしょう。
直まき、ポットまきのいずれも、種をまいた後は、種が隠れる程度に覆土します。発芽するまでは、乾燥に気をつけながら、水やりしてください。
苗の選び方
オルレアの苗は、春にホームセンターや園芸店に並び始めます。
苗を選ぶ際は、花が沢山咲いているものよりも、「一番花」が咲いている程度のものや、まだ花が咲いていないものを選びましょう。
また、節間が間のびしておらず、がっしり力強くて勢いのある株を選んでください。
植えつけ方法
オルレアの植えつけは、3月頃が適期です。根が枝分かれせずに地中深く伸びる「直根性」の植物のため、苗を手に入れたらなるべく早く植えつけてください。
鉢植えの場合は、7号~8号サイズの鉢を用意します。鉢の底穴に鉢底ネットを敷いて、軽石を1段~2段分入れます。
その後、培養土を半分ぐらい入れたら、ポットを苗のまま仮置きし、高さを決めてください。
高さが決まればオルレアの苗をポットから出し、根鉢を崩さないように植えつけます。
地植えの場合は、根がよく張るよう、赤玉土中粒や腐葉土を混ぜた土を深さ30cm程度まで耕し、根鉢を崩さないように植えつけましょう。
複数の苗を植える場合は、30cm~40cm程度間隔を開けます。鉢植え、地植えともに、植えつけたあとは水をたっぷり与えてください。
水やり
鉢植えの場合、土の表面が乾いたタイミングで水をたっぷり与えます。
ただし、常に土が湿った状態だと、根腐れを起こす可能性があるので注意してください。夏場は乾燥しやすいので、水やりの頻度を増やします。
鉢植えの底から水が流れるまでたっぷりと与えてください。反対に冬は生長が緩やかになるので、水やりは控えめにしましょう。
地植えの場合、根づいたあとの水やりは基本的に不要です。乾燥が続いた時のみ水を与えてください。
株が蒸れないように、株全体ではなく株元に水を与えてください。
また、茎全体がしおれてきたら水不足のサインです。すぐに、十分な水を与えましょう。
肥料
オルレアは、あまり多くの肥料を与える必要はありません。肥料を与えすぎると、葉が茂りすぎて花つきが悪くなるので注意しましょう。
元肥は植えつけ時に少量の緩効性肥料『マグァンプK中粒』を土に混ぜ込んでください。
追肥は、生長期にあたる春から秋にかけて、月に1回与える程度で十分です。液体肥料『ハイポネックス原液』を希釈したものを使用すれば、均等に栄養が行き届きます。
地植えの場合、株の勢いがなくなったときに、速効性の『ハイポネックス原液』を与えながら様子を見ましょう。
剪定のタイミングとやり方
開花が終わった頃に剪定を行うことで、見た目を整えられるだけでなく、こぼれ種による増殖を防げます。
枯れた葉や花を取り除いたあとに、伸びすぎた枝を切り戻しましょう。このとき、切り口は斜めにして水分の浸透を防いでください。
剪定の際は、健康な葉を残すように心がけてください。
また、生育が旺盛な株は、生い茂って花同士がぶつかり合ってしまうことがあります。多くの花が生い茂っている姿は、見た目には美しいですが、株が弱ってしまう可能性があります。
花が生い茂っている場合は、ところどころ間引くように剪定しましょう。
さらに、間引くことで風通しもよくなります。剪定の際、短めに切っても後に脇芽が出てくるので心配いりません。
間引いた花は、花瓶に生けて楽しめます。
オルレアの育て方|夏越し・冬越し
オルレアは高温多湿に弱い植物のため、温暖地での夏越はできません。前述したとおり、日本では、夏前までの一年草として扱われることが一般的です。
また、耐寒性の高い植物のため、特別な冬越しの準備は必要ありません。ある程度生長している株は、霜が降りても枯れることはないでしょう。
ただし、発芽してから間もない株を育てている場合や、冬の到来が早い場合は、鉢植えなどに移動させ、霜の降りない場所に置いておくのがおすすめです。
タイミングを見て本格的な寒さが来る前に、室内に移動させて育てると安心です。
オルレアの育て方|増やし方
オルレアは、挿し木で増やすことができます。挿し木は、親株と同じ特性のオルレアを増やせます。
お気に入りの株が手に入ったら、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
挿し木の手順は以下のとおりです。
- 元気な親株の中から健康な茎を選び、10cm程度の長さで切り取る
- 水分の吸収をよくするために、切り口を斜めにカットする
- 挿し木用の土として、排水性のよい土を用意する
- 切り口を土に挿して固定する
- 湿度を保つために、水をたっぷり与える
挿し木をしたあとは、直射日光に当てないように明るい日陰で管理してください。
2~3週間ほど経過し、発根し始めたら、少しずつ日に当てる時間を増やしてください。
オルレアの育て方|主な作業
オルレアの美しい姿を長く楽しむには、適切なお手入れが大切です。
ここでは、オルレアを育てるうえで重要な作業について、紹介します。
傷んだ葉の除去
オルレアの傷んだ葉は、除去しておきましょう。オルレアの葉が傷む原因として、以下のことが考えられます。
- 乾燥している
- 直射日光が強すぎる
- 日光が不足している
- 根詰まりを起こしている
- 水をあげすぎている
- 急激に環境が変化している
傷んだ葉は元に戻らないので、速やかに切り落としてください。葉全体が傷んでいる場合は、葉の付け根からカットします。
葉先だけが傷んでいる場合は、傷んだ部分だけカットしましょう。水平に切ると見栄えが悪いので、葉の形に沿って切るとよいでしょう。
花がら摘み
オルレアの花が終わったら、こまめに花がら摘みを行いましょう。開花期間中に花がらを摘めば、次の花が咲きやすくなります。
反対に終わった花をいつまでも残しておくと、株が種をつけようと消耗し、老化が早まってしまうでしょう。
また、花がら摘みをして株周りを清潔に保っておけば、病害虫の発生を予防できます。
やり方は簡単で、花が終わった花茎をハサミで切り取るだけです。
初夏を過ぎたら、種をつけさせるために、終わった花をそのまま放置しておいてもかまいません。
植えかえ
オルレアは一年草のため、植えかえの必要はありません。
また、オルレアのような直根性の植物は、太い根が真っ直ぐ下に伸びる特性があります。
根が少しでも傷むと、植物そのものが大きなダメージを受け根がうまく張らなくなってしまいます。
そのため、できる限り植えかえは避けましょう。やむを得ず植えかえる場合は、比較的、株が若いうちに行ってください。
植えかえで株を抜くときは、根を傷めないように優しく抜きましょう。
抜いた株は、根をほぐしたり土を取ったりする必要はありません。そのまま新しい場所に植え込んでください。
オルレアの育て方|気をつけるべき害虫
オルレアは、アブラムシが発生しやすいので注意してください。アブラムシは3月~4月ごろに発生しやすく、葉茎に集団でびっしり張り付いて吸汁し、株を弱らせます。
見た目が悪くなるだけでなく、ウイルス病を媒介する恐れもあるため、見つけたらこすり落とすなどして駆除しましょう。
また、ヨトウガの幼虫である、ヨトウムシにも注意が必要です。食欲旺盛なヨトウムシが発生すると、一晩で葉や茎が食い荒らされる可能性があります。
夜に活動する害虫のため、暗くなってからオルレアの葉茎をチェックして、見つけ次第駆除しましょう。
オルレアの育て方|楽しみ方
オルレアは鉢植えやガーデニングだけでなく、寄せ植えやフラワーアレンジメントにも適しています。
ここでは、それぞれの楽しみ方について解説します。
寄せ植えで楽しむ
白い花が特長的なオルレアは、さまざまな色合いの花と組み合わせれば、美しい空間を演出できます。
特に、ブルー系やパープル系の花と組み合わせると、美しいコントラストでスタイリッシュな雰囲気になります。
また、グリーン系の植物との相性もよく、ナチュラルな雰囲気を演出するのにぴったりです。
レースのような繊細な美しさを持つオルレアは、個性のある花々のつなぎ役として重宝するでしょう。
さらに草丈60cmほどのオルレアは、高い丈の植物と、低い丈の植物の、間を埋める役割も担ってくれます。
寄せ植えを楽しむ場合は、オルレアの生長度合いを考慮して、十分なスペースを取るようにしましょう。
フラワーアレンジメントで楽しむ
優雅な美しさを持つオルレアは、フラワーアレンジメントにもよく使われます。
ナチュラルで柔らかな雰囲気があるため、ウェディングブーケやテーブルアレンジメントにぴったりです。
フラワーアレンジメントにする際は、オルレアをメインの花にするだけでなく、アクセントとして使用するのもおすすめです。
オルレアの繊細な白い花は、ほかの花の色合いを引き立たせてくれます。
また、小花や葉物と組み合わせれば、動きや立体感が印象的な魅力的なアレンジメントになるでしょう。
オルレアは、生花としてはもちろん、ドライフラワーにしても優美な姿を保つ魅力的な花です。
「細やかな愛情」「可憐な心」という花言葉を持つことから、フラワーアレンジメントに添えて贈れば、想いを込めた贈り物として一層喜ばれることでしょう。
オルレアの育て方|よくある質問
オルレアを育てているうちに、様々な疑問点が出てくるかもしれません。
ここからは、オルレアの栽培に関するよくある質問と、その回答をいくつか紹介します。
冬まきはできる?
オルレアの種まきの適期は秋ですが、冬まきも可能です。草丈が比較的高いオルレアですが、冬まきすることで、低く育ち、花を小さく咲かせられます。
冬まきする場合は、温度管理が重要です。一般的には、2月に入って日差しが回復してから種まきするとよいでしょう。
リビングで育てる場合は、真冬にまいても問題ありません。リビングでは、夜間は急激に冷えなければ、暖房を切ってもよいでしょう。
部屋が乾燥する場合は、加湿器で適度な湿度を保ってください。
無事に発芽したら、徒長しないように、やや温度が低く、日当たりのよい場所に置きます。
本葉が育ち、苗がしっかり育ったら、昼間の暖かい時間だけ屋外に出すなどして、外の環境に順化させてください。
花が咲かない原因は?
オルレアの花が咲かないとき、まずは日当たり、肥料、水やりの3つを見直しましょう。
花が咲かない原因のひとつが、光不足です。オルレアは光を好む植物のため、日陰で育てると、花つきが悪くなることがあります。日当たりのよい場所に移動させましょう。
また、肥料が多すぎると葉ばかりが茂って、花が咲かなくなります。肥料は、一般の植物よりも少なめに与えましょう。
さらに、土が乾いた状態でも、花が咲かなくなります。土の表面が乾いてきたら、たっぷりと水をやるなど、適切な水やりをしましょう。
葉が黄色くなる原因は?
オルレアの葉が黄色くなる原因のひとつが、水のやり過ぎです。水をやり過ぎると根腐れを起こし、葉が黄色くなることがあります。
葉が変色したら水やりの頻度を見直しましょう。水やりは、土が乾いてから行うことを徹底してください。
また、窒素不足や鉄欠乏症になった場合にも、葉が黄色くなります。肥料は、必ず適量を与えましょう。
そのほか、強風にさらされることや急激な気温変化がストレスとなり、葉が黄色くなることがあります。
風の強い場所や、昼夜の温度差が大きいところなどで育てないように、注意しましょう。
まとめ
白く美しい花を咲かせるオルレアは、鉢植えやガーデニングはもちろん、寄せ植えやフラワーアレンジメントとしても人気が高い植物です。
育てやすく手間もあまりかからないため、初心者でもチャレンジしやすいでしょう。
栽培の際は、置き場所や温度、水やりの頻度に注意が必要です。日当たりと風通しがよく、適温である10~25℃が保てる場所で育てましょう。
ただし、夏の強い日差しには注意が必要です。水やりは土の表面が乾いてから行い、与えすぎによる根腐れに気をつけてください。
また、肥料は控えめにし、定期的に花がら摘みを行うことで、より長く花を楽しめます。
これらの育て方のポイントを押さえておけば、レースのような可憐な姿を長期間楽しめるでしょう。
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