オダマキの育て方を紹介|栽培環境や水やり肥料についても

オダマキは、毎年春から初夏にかけて、繊細で可憐な花を咲かせる多年草です。豊富な花色やユニークな花姿を楽しめるうえ、初心者でも育てやすさがあるのが魅力です。
今回は、オダマキの栽培に適した環境、水やりや肥料の与え方のコツ、種まきや植えつけ方法まで、初心者でも安心して取り組める育て方をわかりやすく解説します。
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オダマキ
学名 Aquilegia 科名 キンポウゲ科 原産地 北米大陸、ユーラシア 分類 落葉性・多年草 耐寒性 強い 耐暑性 普通 栽培カレンダー
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月開花時期植えつけ・種まき施肥
【PlantiaQ&A】植物の情報、育て方をQ&A形式でご紹介
☘199:【Q&A】オダマキの育て方|越冬の方法は?水やりや肥料などの管理方法もご紹介
オダマキの基本情報

オダマキは、キンポウゲ科オダマキ属に属する多年草で、春から初夏にかけて可憐な花を咲かせる園芸植物です。
日本原産の「ミヤマオダマキ」のほか、ヨーロッパ原産のアクイレギア・ブルガリスと北米産の数種との交配種である「西洋オダマキ」などがあります。
オダマキは交雑(異なる種間で交配)しやすい植物のため、多数の園芸品種があります。いずれの品種も丈夫で、まっすぐ伸びた花茎にユニークな姿をした花をたくさん咲かせます。
花の色は赤や青紫、ピンク、黄色、白に黒まで非常にさまざまで、形も一重咲きや八重咲き、大輪から小輪の花などバリエーションが豊富です。
草丈は30〜50cmほどと高くなるもの、葉は根元にまとまって生える性質があり、花壇の手前やちょっとした隙間などに植えると、花と葉の姿を全体的に観賞できます。
オダマキの育て方

オダマキの適した環境や、お手入れの方法について見ていきましょう。
日当たり・置き場所
オダマキは日当たりがよく、真夏は半日陰の環境で育てるのが適しています。夏場は直射日光に当たると葉焼けや高温障害を起こすため、3〜4割ほど遮光して管理します。
冬は、北風に当たらない場所がベストです。
適切な温度・湿度
オダマキは高温多湿を嫌います。夏場は風通しのよい環境が適しており、株が蒸れないように注意が必要です。
強い耐寒性があり、株元を防寒することで地植えでも冬越しできます。
最適な用土
オダマキは酸性土壌を嫌い、水はけのよい土を好みます。
【地植えの場合】
地植えする場合は、雨が降った後にぬかるむような場所への植えつけは避けてください。
苦土石灰などのアルカリ性の資材を混ぜて酸度を中和させ、腐葉土を混ぜて水はけをよくしておきましょう。
【鉢植えの場合】
鉢植えにする場合は、赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合で配合するか、それぞれ小粒の鹿沼土・赤玉土・軽石を同量配合させた用土を使用します。
市販の用土を使うのであれば、草花専用や山野草用の土をそのまま利用してもよく生長します。
種まき・植えつけ

オダマキは、種から育てることもできますし、苗や花が咲いた状態の株を購入して楽しむ方法もあります。
オダマキは、花の色や形のバリエーションがとても豊富です。同じ品種でも、色味に違いが見られることがあります。
そのため、「こんな花を咲かせたい!」という明確なイメージがある場合は、実際に花が咲いている株を選ぶと安心です。
ここでは、オダマキを種から育てる方法と、苗を植えつける方法をそれぞれ詳しく紹介します。
種まき
種まきの適期は、2〜3月頃(春まき)か、9〜10月頃(秋まき)です。市販の種を使うのはもちろん、花が咲いたあとの株から自分で採取した種を使うこともできます。
- 種まき用の土を用意します。市販の種まき用の培養土でかまいません。
- ポットに間隔をあけて、種をまきます。
- 発芽するまで乾燥させないように水やりをします。
オダマキの種は発芽率が高いため、密集しすぎないように間隔をあけてまくのがコツです。とくに注意したいのが「移植のしにくさ」です。
オダマキの根は「直根性」といって、分岐することなく、まっすぐ太く伸びる性質があります。直根性の植物は、根を少しでも傷つけると大きなダメージとなりうまく根づかないため、なるべく植えかえを避けるのがベストです。
そのため、ポットに種をまいたら、発芽した中から元気な芽を選んで育てる方法がおすすめです。芽は2〜4週間ほどで出てきます。
オダマキは、苗がある程度生長した状態で冬を迎えることで、花芽を作ります。春まきの場合は翌年の春に、秋まきの場合は翌々年の春に、花を咲かせてくれるでしょう。
植えつけ
オダマキは春先になると苗が出回り購入できます。
鉢植えの場合は、太い根をまっすぐに伸ばすため、深めの鉢を選んでください。
地植えする場合は生育をよくするため、10㎝〜20㎝ほど盛り土してから植えつけるのがポイントです。
苗をポットから抜く際は、根を極力触らないようにしてそっと抜いて植えつけます。
水やり

オダマキの水やりは、地植えと鉢植えで方法が異なります。
【地植えの場合】
株が根づいたあとは、基本的に水やりは不要で、自然の降雨で十分に育ちます。
ただし、日照りが続き、土が極端に乾燥している場合は、水やりを行ってください。
【鉢植えの場合】
鉢植えでは、年間を通じて土の表面が乾いたタイミングで、たっぷりと水を与えます。鉢底から水が流れ出る程度が目安です。
肥料の与え方
植えつけ時に元肥として、緩効性肥料『マグァンプK中粒』を土に混ぜておきます。
肥料はリン酸とカリウムが多く含まれているものが適しています。
追肥は、3月〜9月の間に行います。緩効性肥料であれば数ヵ月に1回、液体肥料であれば希釈したものを週に1回~10日に1回ほどの目安で与えます。
液体肥料には『ハイポネックス原液』 がおすすめです。
切り戻し・剪定
オダマキは基本的に、切り戻しや剪定の必要はありません。
ただし種を採取せずに花を長く楽しみたい場合は、花がらや花茎のお手入れをするのがおすすめです。花がらや花茎に関しては、後ほど詳しく紹介します。
夏越し・冬越し
オダマキの夏越し・冬越しについて見ていきましょう。
【夏越し】
オダマキは夏の強すぎる日差しに当たると、葉焼けや高温障害を起こします。そのため、3割〜4割ほど遮光して管理するのがポイントです。
鉢植えなら風通しのよい半日陰の場所に移しましょう。夏は暑さで生育スピードが落ちますが、涼しくなると再び生長します。
【冬越し】
オダマキは耐寒性が強く、地植えでも冬越しできます。ただし、株元を防寒して冬越しさせるのがポイントです。
冬になると次第に葉や茎が枯れ落ちて根だけの状態になりますが、そのまま冬越しして春になれば再び芽をつけます。
花がら摘み・花茎切り
オダマキは花茎が枝分かれして生長し、その先から次々に花を咲かせます。
もしオダマキの種を採取しないのであれば、花が咲き終わったタイミングで花がらや花茎を切り取りましょう。こまめに花がらを摘むことで、長く開花を楽しめます。
また株全体の花が咲き終わったら、花茎を切り戻します。どの部分で切り取ってもかまいませんが、根元の葉は残しておくのがポイントです。
種の採取

オダマキは多年草の植物のため毎年かわいらしい花を咲かせてくれますが、寿命は3年〜4年ほどとあまり長くありません。
年数が経つと徐々に株が弱ってくるため、長く楽しみたい場合は苗を作って更新していくのがおすすめです。
苗を増やすには「種の採取」か「株分け」という2つの方法があります。ここでは、種を採取して苗を育てる方法をご紹介します。
種を採取する時期
種の採取は、花の時期が終わった6〜7月頃です。果実が黄色くなり、完全に熟す直前がタイミングです。遅すぎると種が落ちてしまうため注意しましょう。
種を採取する方法
果実が熟してくると先端が開き、逆さにすれば中から種を簡単に取り出せます。
種は種まきの時期が来るまで、冷蔵庫で保管しておきます。種をまくときは、一晩水に浸けてからまきましょう。
とりまきも可能
種まきの適期は、春の2〜3月ごろか、秋の9〜10月ごろです。これに加えて、種を採取して保存せず、すぐにまく「とりまき」という方法も可能です。
とりまきは、保存した種よりも発芽率が高くなるというメリットがあります。
ただし、種を採取する6〜7月ごろは、暑さが厳しくなってくる時期です。発芽後の苗が高温で弱るおそれがあるため、直射日光を避けて管理しましょう。
また、種を早めにまいて夏までに苗を十分に育てておけば、夏越しもしやすくなります。種は果実が黄色くなっていなくても、軽くつまんだときに先端がきれいに割れれば採取可能です。
黒くて硬く、つやのある種は、発芽する可能性が高いです。
交雑には注意
交雑(異なる種間で交配)に注意しましょう。オダマキは交雑しやすい植物です。
もしも異なる種類のオダマキの仲間を複数植えている場合、自然に交配してしまい、元の花とは違う姿になることもあります。
採取用の株は隔離しておくか、袋かけを行って交配させるといった工夫が必要です。
植えかえ方法
オダマキの植えかえは1年〜2年に一回の頻度が目安ですが、できれば毎年行うのが理想的です。
定期的に植えかえることで、根詰まりを防ぎ、元気な株を保つことができます。
植えかえに適した時期は、植えつけと同じく春の2月〜3月、または秋の9月〜10月頃です。気温が安定していて、根に負担がかかりにくいこの時期に行います。
【植えかえ方法】
- 一回り大きな鉢を用意します。
- 鉢から株を丁寧に抜きます。
- 太い根は傷つけないようにし、長く伸びすぎた細い根を切り取ります。
- 新しい鉢に植えかえます。
根に傷がつくとうまく育たなく恐れがあるため、植えかえの際はとくに注意して丁寧に扱うのがポイントです。
なお、地植えの場合は、植えかえの必要はありません。
増やし方
オダマキは種まきのほか、株分けで増やせます。株分けを行うのは、植えかえを行うのと同じタイミングです。
必要な道具
- ナイフなど(よく切れるもの)
- 癒合剤
増やし方とポイント
株分けがうまくいくかどうかは、親株の状態が重要です。老化した株は根づきにくく、逆に若すぎて根が十分に張っていない株も分けづらいです。
理想は、種まきから2年ほどで大株になった生長スピードの早い株です。若く元気なうちに株分けすれば、成功率が高まります。
それぞれの芽に十分な根がついていることを確認しながら、ナイフなどを使って縦に切り裂きます。
切り口には、乾燥や病原菌の侵入を防ぐために癒合剤や殺菌剤を塗布しましょう。切り分けた株はすぐに土に植えつけます。
オダマキの株分けは、老化していたり若すぎたりすると成功率が低く、やや難易度の高い方法といえます。
初めての方は種まきで増やす方法からはじめ、2年目以降にチャレンジするのがおすすめです。
オダマキの気をつけるべき害虫・病気
オダマキにつきやすい害虫には、ヨトウムシやハダニ、アブラムシがあります。
ヨトウムシは5月頃と9月頃に、ハダニは夏に発生しやすい害虫です。とくにヨトウムシは葉などを食害します。これらを発見次第、すぐに駆除するようにしましょう。
またうどんこ病や軟腐病にも注意が必要です。うどんこ病は葉の表面が白い粉をまぶしたようになり、軟腐病は株元が腐ってしまう病気です。
見つけた場合は病気の部分を取り除き、薬剤を散布します。風通しの悪い環境で発生しやすいため、風通しをよく保つことが予防につながります。
まとめ
オダマキは日当たりに注意すれば、地植えでも冬越しできるため、手間がさほどかかりません。
多年草ですが数年で株に元気がなくなる性質があるため、種を採取して育苗することで毎年楽しむ方法もあります。
また異なる品種のオダマキを栽培していて、それぞれの花姿を楽しみたい場合は、交雑に注意して隔離するなどの工夫が必要です。
以上のポイントを押さえれば初心者でも育てやすい植物です。
ぜひオダマキを育てて、鮮やかでユニークな花姿や、季節の移ろいをお楽しみください。
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