【トウモロコシの育て方】初心者でも失敗しない栽培方法とは?
トウモロコシは、焼いてもゆでても美味しい、夏に旬を迎える野菜です。
特に、朝採れのもぎたては風味が強く、家庭菜園で育てればその新鮮な味わいを楽しむことができます。
本記事では、園芸初心者の方にもわかりやすいように、トウモロコシの基本的な育て方を徹底解説します。
採れたてのおいしさを自宅で楽しみたい方に役立つ内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
- 目次
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- 動画でわかりやすく!植物のお悩みをQ&A形式で回答する【PlantiaQ&A】
- トウモロコシの育て方|特長と魅力
- 甘くなる仕組みと旬の糖度
- プランターでも栽培できる?
- トウモロコシの育て方|主な品種
- スイートコーン種の種類
- ガーデニング初心者におすすめの品種
- 土壌改善に効果的なトウモロコシ
- トウモロコシの育て方|栽培時期
- トウモロコシの育て方|基本の栽培方法
- 直播栽培とポット育苗
- 種まき
- 苗の選び方
- 土づくり
- 植えつけ
- プランターへの植えつけ
- 畑への植えつけ
- 水やり
- 肥料
- 間引き
- マルチング
- 追肥
- 土寄せ
- 支柱立て
- わき芽はそのままでも大丈夫?
- 人工授粉
- 摘果
- トウモロコシの育て方|収穫
- 収穫のタイミング
- 収穫方法
- トウモロコシの糖度を保つコツ
- トウモロコシの育て方|病害虫対策
- トウモロコシの鳥害対策
- トウモロコシの害虫対策
- 防虫ネットを活用
- トウモロコシの育て方|連作障害
- トウモロコシの後作におすすめの野菜
- トウモロコシの後作に不向きな野菜
- 土壌条件への注意点
- トウモロコシの育て方|コンパニオンプランツ
- トウモロコシと相性の良い野菜
- 混植のメリット・デメリット
- トウモロコシの育て方|よくある栽培トラブル
- トウモロコシは受粉しづらい?
- 発芽しないのはなぜ?
- 実がスカスカになるのはなぜ?
- 水やりや肥料の管理で注意すべき点は?
- 害虫や鳥害はどう防ぐ?
- 収穫のタイミングとコツは?
- おわりに
動画でわかりやすく!植物のお悩みをQ&A形式で回答する【PlantiaQ&A】
☘208:【Q&A】トウモロコシの育て方|甘くて大きな実を収穫する方法は?水やりや肥料などの管理方法
トウモロコシの育て方|特長と魅力
世界三大穀物のひとつであるトウモロコシは、イネ科に属する代表的な穀物です。大型の品種から家庭菜園向きの小型品種まで、さまざまな種類が存在します。
一見すると栽培が難しそうに思えますが、基本を押さえれば初心者でも育てやすく、家庭菜園に向いた野菜といえるでしょう。
甘くなる仕組みと旬の糖度
トウモロコシの甘さは、葉でおこなわれる光合成によって生まれる糖分が源です。
日中につくられた糖は夜のあいだに穂先へ運ばれ、実に蓄積されることで濃い甘みへと変わります。
また、日中と夜間の気温差が大きい環境では、夜間の呼吸で糖が消費されにくくなるため、より甘みが強まる傾向があります。
旬の収穫期には品種によって糖度が15度を超え、メロンに匹敵するほどの甘さになることもあります。
ただし、甘みのピークは収穫直後から急速に失われていきます。もっともおいしい状態で楽しむには、収穫後すぐに調理するのが理想です。
プランターでも栽培できる?
トウモロコシは畑での栽培が一般的ですが、環境を整えればプランターでも育てられる野菜です。
根が深く広がる性質に合わせて、容量は20リットル以上かつ深さのある大型プランターで育てるといいでしょう。
ただし、プランターでは株数が少なくなるため、自然受粉が不十分になりやすい点に注意が必要です。
その場合は、雄穂から出た花粉を雌穂につける人工授粉を検討してください。
トウモロコシの育て方|主な品種
トウモロコシは、長い歴史の中で、背丈の高い大型の品種をはじめ、甘味の強い品種、色が白っぽい品種、生で食べられる品種、さらには寒い地域でも栽培しやすい品種など、品種改良により多くの品種があります。
そんな、トウモロコシの品種は大きく3種類に分類されます。
茹でたり焼いたりして食べる一般的なトウモロコシを「スイートコーン種」、ポップコーンの材料として用いられるトウモロコシを「爆裂種」、家畜の飼料用やコンスターチとして用いられるトウモロコシを「馬歯種」と呼びます。
爆裂種や、馬歯種は主に加工用として栽培されるため、家庭菜園で採れたてのトウモロコシを味わいたい場合は、スイートコーン種を選んでください。
スイートコーン種の種類
「食用のトウモロコシ」は、スイートコーンと呼ばれる品種です。スイートコーンはバリエーションが豊富なことが特長で、100種類以上もの品種が存在するともいわれています。
スイートコーンは文字どおり、果物のような甘みのある品種で、色や粒の大きさによって、さらに3つの種類に分けられています。
ゴールデンコーン
ゴールデンコーンは、黄粒種と呼ばれる品種です。すべての粒の色が濃い黄色をしていることが特長のトウモロコシです。
そのまま茹でて食べることが多いですが、色鮮やかな粒を活かしてトウモロコシご飯にして食べるのもおすすめです。
シルバーコーン
白粒種と呼ばれる品種で、ゴールデンコーンよりも粒の色が白っぽく、小粒なのが特長です。
粒の表面はつやがあり、他の品種よりも皮が柔らかいです。甘みが強いトウモロコシとして、サラダの材料としてよく用いられています。
バイカラーコーン
バイカラー種と呼ばれる品種で、黄色の粒と白い粒が3対1くらいの割合で混ざっているのが特長です。
甘みが強く、風味が豊かなバイカラーコーンは、日本でも主流になりつつある品種です。
ガーデニング初心者におすすめの品種
ガーデニング初心者が育てやすいトウモロコシは、「甘さが安定しやすい」「粒が先端までそろいやすい」「株が倒れにくい」といった特長をもつ品種です。
ここでは、代表的な3品種を詳しく紹介します。
ゴールドラッシュ
粒皮がやわらかく、ジューシーで強い甘みが魅力のスイートコーンです。
先端まで粒が入りやすく、見た目もきれいに仕上がります。栽培に強く、雌穂の着きが安定しているため失敗が少ないのも特長です。
大型プランターでも育てられますが、穂が出る時期に人工授粉をするとより粒ぞろいがよくなります。
味来(みらい)
小ぶりながらフルーツのように濃い甘さをもち、「フルーツコーン」と呼ばれる品種です。
粒皮がやわらかく食べやすいため、子どもからも好まれます。草丈があまり高くならず、場所をとらないので、プランターでも育てやすい点が魅力といえるでしょう。
おおもの
名前のとおり大きな穂をつける、食べ応え抜群の品種です。育てる達成感が大きく、家庭菜園での栽培にも向いています。
株の勢いがしっかり出ないと大きな穂に育たないため、元肥は多めに入れ、追肥もタイミングよくおこないましょう。
土壌改善に効果的なトウモロコシ
肥料泥棒とも呼ばれるトウモロコシは土中深くまで根を張るため、硬くなった土壌をほぐし、通気性や排水性を改善する効果があるとされています。
また、過剰にある栄養分を吸収し、病原菌の増殖を抑える働きもあるため「クリーニングクロップ」として土壌改良にも役立つ作物として重宝されています。
トウモロコシの育て方|栽培時期
トウモロコシは、4月頃に種まきをしてからおよそ90日で収穫できます。苗の植えつけも、同じ時期におこなうことができます。
トウモロコシは、栽培時期は品種によって異なります。夏と秋のどちらも収穫したい場合は、種まきの時期をずらすことで長期間楽しめるためおすすめです。
暖地なら4月の中旬頃から、中間地なら5月の初旬頃から、冷涼地なら5月の下旬頃から種まきや苗の植えつけを開始しましょう。
また、栽培する地域によって適した時期が異なるので、種や苗を購入する際に、袋やラベルを確認しましょう。
トウモロコシの育て方|基本の栽培方法
トウモロコシを元気に育て、美味しく収穫するためには、日当たり・受粉・害虫対策がポイントです。
ここでは、基本的な育て方について順を追ってご紹介します。
直播栽培とポット育苗
トウモロコシの栽培方法には、「直播栽培」と「ポット育苗」の2つがあります。
直播栽培とは、種を直接畑にまく方法です。植えかえの手間がなく、根がまっすぐに深く伸びるため、風に強い株に育ちやすいです。
ただし、発芽は天候の影響を受けやすく、芽が出た直後には鳥に食べられるなどの鳥害のリスクが高い点に注意が必要です。
一方、ポット育苗は、屋内や温室で温度管理をしながら苗を育てる方法です。発芽が安定し、初期の生育をそろえやすいのが特長です。
鳥害の心配も少なく、計画的に栽培を進めたい方におすすめです。ただし、植えつけ時に根を傷めると生育に影響が出るため、丁寧に作業を行いましょう。
どちらの方法を選んだ場合も、日当たりの良い場所で育てるのが基本です。
トウモロコシは高温を好む野菜ですが、真夏に気温が上がりすぎると受粉率が下がるおそれがあります。栽培時は気温管理に気を配りましょう。
種まき
トウモロコシは、種から育てても良いですし、ホームセンターなどで苗を購入して植えつけから始めることもできます。
トウモロコシは、種から育てるのは難しそうに感じますが、初心者でも比較的簡単に育てやすい作物です。
基本さえおさえれば種からでも十分に育てることができます。
育苗ポットで育てる場合
1つのポットに対して種を3粒ずつまきます。人工授粉をするときのために少なくとも3つ用意して、種をまいてください。
種まきは、指で1cmほどの深さの穴をあけて、そこにまきます。まいたら、種が隠れるくらいの土を被せて、乾燥しないようにしっかり水を与えましょう。
水やりを朝に行い、日光が十分に当たる暖かい環境で育てます。
畑に直まきする場合
畑に穴をあけるときは、株同士の間隔を約30㎝とります。株間が狭すぎると生育の妨げになりますが、広すぎても受粉がうまくいきません。
トウモロコシには多くの品種がありますが、同じ畑で異なる品種を育てると、花粉が混ざり、実の色が変わったり、うまく実が育たなかったりすることがあります。
ひとつの畑にトウモロコシの種を直まきするときは、開花時期をずらすなどをして花粉が混ざらないように注意しましょう。
庭や畑で育てる場合、発芽してから間引きをします。草丈が20㎝程度になったら、生育の良い1本だけを残します。
また、土の表面が乾いていたらたっぷりと水やりをしましょう。
トウモロコシは耐寒性が低いため、気温が10℃以下になると枯れてしまう可能性があります。
寒い時期に種まきをする場合は、トンネル被覆などを用意して暖かい環境を作ってあげましょう。
苗の選び方
トウモロコシを苗から育てる場合は、できるだけ若く、本葉が3枚くらいに生長したものを選ぶと良いでしょう。
茎が太くて濃い緑色をした苗は健康で育ちが良い証拠なので、優先して選びましょう。
トウモロコシは深くまでひげ根を伸ばすため、育ち過ぎた大きな苗を選ぶと、植えつけ後に根が傷んで枯れてしまう可能性があります。そのため、小さめで、若い苗が安心です。
購入した育苗ポットに、苗が複数植えられている場合は、1番元気な苗を残して間引きをおこないます。
土づくり
トウモロコシは、あまり土質を選びませんが、肥料をよく吸収する力性質があるため、大きく元気に生育させるためには肥沃な土がおすすめです。
プランターで育てるときは、元肥にマグァンプKを混ぜ込んでいる『ハイポネックス培養土鉢・プランター用』がおすすめです。
土を自作する場合は、小粒の赤玉土7に対し、腐葉土を2、バーミキュライトを1混ぜあわせ、土のpHを中和させるために苦土石灰を混ぜ込んでおきます。
苦土石灰を混ぜた後は1週間~2週間くらい寝かせておきましょう。
トウモロコシが元気に育つように、元肥として『マグァンプK中粒』を土に混ぜ込んでください。
作付けしたことがある畑では、苦土石灰は必要ありません。
しかし、堆肥を追加してトウモロコシの生育がよくなるように深くまでしっかりと深くまで耕しましょう。
植えつけ
育苗ポットで育てたトウモロコシの苗をプランターに定植させる場合は、あらかじめ植えつけ前にプランターや、『今日から野菜 野菜を育てる土』など野菜用の土を用意しておきましょう。
畑に植えつける場合は、2週間ほど前から深めに土を耕し、肥料や堆肥を混ぜ込んでおきます。
プランターへの植えつけ
間引きをして良い苗を1本残したら、その苗が15cmくらいまで成長した頃に、植えつけを行います。
本葉が3枚程度に育ち、種まきをしてから3週間~4週間くらい経った頃が植えつけの目安です。
苗を購入して植えつける場合は、4月下旬~5月下旬頃が適しています。
プランターに培養土を入れたら、株同士の間隔を30㎝ほど空けて、植えつけ用の穴を作りましょう。
植えつけ時は、トウモロコシの根を傷めてしまわないように注意し、なるべく根鉢を崩さずにゆっくり植えつけましょう。
畑への植えつけ
畑の土にトウモロコシの苗を植えつけるときも、プランター同様、株間を30cmほどあけて穴を掘りましょう。
畝の幅が90cm~100cm程度ある畑であれば、トウモロコシの苗を2列にまとめて植えたほうが受粉の成功率は高くなります。
苗を植えつけるときも、種まきと同様に、1つのプランターや1ヵ所の畑に対して、1品種のみを栽培するようにしましょう。
1ヵ所で複数の品種を育ててしまうと、花粉が混ざり合い、良い実が育ちにくくなるためです。
植えつけた後は、土が乾かないようにたっぷりと水を与えてください。
水やり
トウモロコシは、土の表面が乾いてきたら水やりをおこないましょう。
花が咲く前後や、実が成熟する前後は、水切れが起こりやすい時期です。土が乾きすぎないようにこまめに様子を見ながら水やりを行いましょう。
ただし、水やりのやり過ぎは根の成長を妨げることがあります。乾燥には十分注意しながら、たっぷりの水を与えてください。
肥料
トウモロコシは肥料を好む野菜です。
1回目の追肥は、発芽して苗が30cmくらいに育った頃を目安に行ってください。
草丈が50cm程まで大きくなった頃に2回目の追肥をおこないます。
追肥には『今日から野菜 野菜を育てる肥料』がおすすめです。
トウモロコシの草丈はどんどんと伸びるため、追肥をおこなうタイミングで土寄せも一緒におこないます。
また、草丈が高くなると倒状を起こしやすいので、追肥に合わせて土寄せや支柱を立ててあげましょう。
間引き
育苗ポットにまいた種は、10日~14日程度で発芽します。発芽した苗が10cm~15cmほどに伸びてきたら、良い苗だけを残して間引きをしましょう。
間引きをするときは、残す苗を傷めてしまわないように、取り除く苗の根元だけをハサミで切り取ります。
プランターに直まきする場合も、育苗ポットと同じように良い苗を1本だけ残し、残りは慎重にカットして間引きします。
マルチング
トウモロコシを種から育てる場合は、種をまいた後にマルチングをおこなうと乾燥や鳥による被害を防ぐ効果があります。
特に、種を畑にまいた直後は、野鳥に種を食べられてしまうことが多いため、注意が必要です。
あらかじめ、種をまく位置にあわせて30cm程の穴をあけたマルチを用意し、畑に直まきした部分に敷きます。
マルチには黒色のポリエチレン製などがおすすめです。
マルチングは乾燥や鳥の被害を防ぐだけでなく、病害虫被害の予防、雑草の抑制、地温を上昇によるトウモロコシの生育促進などの効果も期待できます。
追肥
地植えしたトウモロコシは、2度に分けて追肥をおこないます。肥料をよく吸収するため、肥料が足りないと草丈が低く、実が太りにくくなります。
1回目の追肥は定植したトウモロコシの草丈が40cm~50cm、本葉が5枚~6枚くらいになったらおこないます。
水やりの代わりに速効性の液体肥料『ハイポネックス原液』または、緩効性肥料『今日から野菜 野菜を育てる肥料』がおすすめです。
2回目の追肥は、草丈が人の背丈ほどに伸び、雄穂(ゆうずい)が出てきた頃におこないます。
受粉を前に大きく成長している時期なので、しっかりと追肥をおこなってください。
土寄せ
土寄せは、トウモロコシの倒伏防止と、吸水率を高めるために欠かせない作業です。
トウモロコシは草丈が高くなると、強い風で倒れてしまうことがあります。土寄せは、追肥のタイミングに合わせておこないましょう。
株元を土に固定するような感覚で、土を根元に向けて寄せていきます。
土寄せをするとトウモロコシの株が固定されるだけでなく、水分をしっかり吸収できるようになります。
支柱立て
追肥と土寄せをするタイミングに合わせて、必要であれば支柱を立ててください。
ベランダや、風にあたりやすい場所で育てる場合は、トウモロコシの草丈が高くなると倒れやすくなります。支柱を埋め込んで対策をしておくと安心です。
わき芽はそのままでも大丈夫?
トウモロコシは成長すると、根元からわき芽が発生します。除くこともできますが、残すことで株が固定され、倒れにくくする効果があります。
また、わき芽を残しておくと、光合成が活発になるので、実や根張りの生育にも良い影響があります。
人工授粉
トウモロコシの受粉に失敗すると、粒がそろわず、歯抜けのような状態になってしまいます。
広い畑では自然に受粉される可能性が高いですが、プランターなどでは人工授粉の作業が必要です。
人工授粉は、雄穂から花粉が出ている時期を目安に切り取り、糸状に伸びているヒゲ状の雌穂に花粉をこすりつけてあげます。
成功させるには、最低でも3株は育てておくといいでしょう。
摘果
受粉したトウモロコシには、1株に2本~3本ほどの雌穂ができます。より大きく成長しやすくなるように、1番よく育った雌穂だけを残して摘果します。
摘果の時期は、錦糸と呼ばれるヒゲが出てきた頃です。取り除いた実はまだ小さいですが、ヤングコーンとして楽しむことができます。
錦糸が出てきて1週間くらいした頃が食べごろです。
トウモロコシの育て方|収穫
収穫のタイミング
トウモロコシは、受粉してから20日~1ヵ月ほどで収穫の時期をむかえます。
ヒゲが茶色くなってきたり、ヒゲが生えている部分をめくったときに先端にあるトウモロコシの粒が丸くなったりしていれば収穫できます。
収穫時期は、育てている品種によってそれぞれ異なるので、種袋に記載された生育日数を確認してください。
収穫方法
収穫は、早朝が理想です。この時間帯は糖度がもっとも高く、美味しさを逃しにくいといわれています。
実をしっかり握って、手でもぎ取るように茎の根元から折り取ります。
トウモロコシの糖度を保つコツ
収穫後はできるだけ早く茹でたり、焼いたりして、鮮度の良い状態で食べきってしまいましょう。
たくさん栽培して1日で食べきれない量を収穫したときは、冷蔵保存すると糖度をキープできます。
また、トウモロコシを常温で保存する場合は、茎を付けたまま収穫すると甘みが下がりにくいといわれています。
トウモロコシの育て方|病害虫対策
トウモロコシは、植えつけ場所や栽培環境を整えてあげれば、比較的病害虫による被害を受けにくい野菜といわれています。
苗が小さいうちはモザイク病や斑点病、ごま葉枯病などに注意が必要ですが、草丈が大きく成長してから病気にあうことは少なくなります。
トウモロコシの鳥害対策
種まきの直後や、トウモロコシが受粉して実がつき大きく膨らんできた頃の鳥による被害に注意してください。
カラスなどはトウモロコシの種や実を狙ってやってきます。あらかじめ鳥害対策用のネットや太めの糸を張る方法で対策しておくと安心です。
トウモロコシの害虫対策
トウモロコシに発生しやすい害虫の中で、特に注意したいのがアワノメイガです。
アワノメイガの幼虫は、雄穂の花粉に誘われて近づき、実を食べてしまうことがあります。
幼虫を見つけた場合はすぐに取り除くようにしましょう。被害が大きい株は、抜き取って対処するのが安心です。
また、人工授粉の作業が終わったら、雄穂を切り落としておくのも良いでしょう。
早めの対処には、こまめな観察が大切です。葉の裏側や茎部分を中心に、フンが落ちていたり、穴が空いていたりしないかチェックしましょう。
雌穂を軽く触ってみて、実が歯抜けの状態になっているときは害虫の被害を受けている可能性があります。
防虫ネットを活用
鳥害対策には鳥害対策用のネットが効果的であるように、害虫対策には防虫ネットが効果的です。
市販の防虫ネット以外にも、野菜用ネットや、台所で使うような水切りネットを受粉した後の雌穂にかぶせて実を保護してあげるのもおすすめです。
トウモロコシの育て方|連作障害
トウモロコシは、同じ場所で続けて育てても連作障害が起きにくい作物です。
根が深くまで伸びるため、土の中の栄養を効率よく吸収する力があります。また、病気にも比較的強い特長があります。
こうした性質から、畑の中をきれいに保つ役割として「クリーニングクロップ」とも呼ばれています。
しかし、まったく問題が起きないわけではありません。同じ場所で何年も続けて育てると、土の中の栄養バランスが崩れたり、特定の病原菌や害虫が増えたりしてトウモロコシが元気に育たなくなることがあります。
リスクを避けるために、1年〜2年おきに育てる場所を変える「輪作(りんさく)」を意識するとよいでしょう。
トウモロコシの後作におすすめの野菜
トウモロコシを育てたあとの畑には、次のような野菜を植えるのがおすすめです。
根菜類(ダイコン・ニンジンなど)
トウモロコシとは植物分類が異なるため、連作障害のリスクは低いです。
ただし、根菜類は生長にある程度の養分を必要とするため土壌の栄養状態を確認してから植えるようにしましょう。
マメ科野菜(エダマメ・インゲン・ソラマメなど)
マメ科の作物は、根に「根粒菌(こんりゅうきん)」という微生物が共生しており、大気中の窒素を土の中に取り込むはたらきがあります。
そのため、トウモロコシの後に育てることで、土の栄養を補う効果が期待できます。
ただし、マメ科の植物自身が連作障害を起こしやすいため、同じ場所での栽培は4〜5年ほど間隔を空けるようにしましょう。
ネギ類・葉菜類(ネギ・ニンニク・ホウレンソウ・レタスなど)
ネギやニンニクなどのヒガンバナ科の野菜は、連作障害が起こりにくく、土の中の病原菌を抑える働きがあるとされます。
また、ホウレンソウやレタスといった葉物野菜は栽培期間が短いため、夏にトウモロコシを収穫した後でも育てることができます。
アブラナ科(ハクサイ・ブロッコリーなど)
アブラナ科の野菜は、トウモロコシと土の中の養分の使い方が異なるため、土壌への負担を軽減し、健全な状態を維持しやすくなります。
さらに連作障害や、病害虫の発生リスクを分散できる点も大きなメリットです。
特に、ハクサイやブロッコリーは、秋冬の栽培に適しているため、夏に収穫を終えるトウモロコシの後作としてちょうど良いタイミングで植えつけられます。
トウモロコシの後作に不向きな野菜
イネやコムギ、オオムギなどの穀物類や、別の品種のトウモロコシなど、イネ科に分類される作物は、同じ病気・害虫の影響を受けやすいです。
同じ場所で続けて育てると連作障害が起きやすくなるため、できるだけ異なる種類の作物を選ぶと良いでしょう。
土壌条件への注意点
トウモロコシは、土の栄養をたくさん吸収する作物です。
同じように栄養を多く必要とする作物を続けて育てると、土の中の栄養バランスが崩れ、生育に影響が出ることがあります。
また、トウモロコシが好む土と、次に育てる作物が好む土壌条件が異なる場合は注意が必要です。
作物を選ぶ際に土の栄養バランスや性質に気を配りましょう。
トウモロコシの育て方|コンパニオンプランツ
コンパニオンプランツとは、異なる種類の植物を近くに植えることで、互いの成長を助け合う栽培方法のことです。
組み合わせによっては、生育を促進したり、病害虫の被害を減らす効果が期待できます。
主な効果としては、以下のようなものがあります。
- 成長促進:根から分泌される物質が、近くに植えた植物の生育を助ける
- 害虫忌避:強い香りや特定の成分が害虫を寄せつけにくくする
- 土壌改良:根の深さが異なる植物の組み合わせにより、土壌を耕し、排水性や栄養吸収効率を高める
- 病害虫対策:多様な植物が共存することで病害虫の被害が広がりにくくなる
ただし、病害虫を完全に防ぐことはできないため、あくまで補助的な方法として取り入れてください。
トウモロコシと相性の良い野菜
枝豆
枝豆は、トウモロコシと非常に相性のいいコンパニオンプランツです。
マメ科植物である枝豆は根に根粒菌を持ち、大気中の窒素を固定して土壌に供給してくれます。
窒素を多く必要とするトウモロコシにとって、理想的なパートナーといえるでしょう。
また、トウモロコシは深く根を張るのに対し、枝豆は浅い根を張るため土の中で競合することなく、効率よく育ちます。
どちらも夏野菜で栽培時期が近く、管理がしやすい点も魅力です。
バジル
バジルなどのハーブ類もトウモロコシと相性の良い植物です。
バジルが持つ強い香りには、害虫を寄せつけにくくする効果があるとされており、自然な害虫防除として活用できます。
収穫後は料理に使える実用性の高さも嬉しいポイントです。
カボチャ
カボチャなどのつる性のウリ科植物も、トウモロコシとの組み合わせにより相乗効果が期待できます。
つるが地面を覆うように広がることで雑草の繁殖を抑えるほか、トウモロコシの茎がつるの支柱代わりにもなります。
ただし、広いスペースが必要になるため、畑や広めの庭での栽培に向いています。植えつけ場所や配置には工夫が必要です。
混植のメリット・デメリット
コンパニオンプランツを活用した混植には、病害虫の発生を抑えたり、土壌の栄養を効率よく活用したりできるメリットがあります。
トウモロコシと異なる根の深さを持つ作物を組み合わせることで、収量の向上や土壌改良効果も期待できるでしょう。
一方で、養分や日照の競合、管理や収穫のタイミングの複雑さといったデメリットもあります。
そのため、相性の良い組み合わせを選び、無理のない範囲で始めることが大切です。
トウモロコシの育て方|よくある栽培トラブル
トウモロコシ栽培では、発芽不良や受粉不良など、初心者が悩みやすいトラブルがいくつかあります。
ここでは代表的な疑問を5つ取り上げ、原因と対策をわかりやすく解説します。
トウモロコシは受粉しづらい?
家庭菜園でトウモロコシを育てる場合、株数が少ないので自然任せでは受粉しにくいことがあります。時期をみて人工授粉をおこないましょう。
人工授粉をおこなうときは、花粉の付いている雄穂を切り取って、雌穂にパラパラとふりかけます。
雄穂と雌穂の開花の時期にずれが生じてしまうと、受粉のタイミングを逃してしまうおそれがあるので、注意が必要です。
より確実に受粉させるために、プランターなら最低3株、畑なら2列以上で株を育てて、トウモロコシが受粉しやすい環境を整えてあげることが大切です。
雄穂と雌穂の開花時期のずれが心配なときは、花粉をとるための株を別に用意して種をまくと、開花時期がずれたとしても人工授粉をおこなうことができます。
発芽しないのはなぜ?
発芽不良は温度や水分、土壌環境の影響を大きく受けます。適した条件に見直すことで改善できることがほとんどです。
トウモロコシの発芽適温は20℃〜30℃(理想25℃〜30℃)で、10℃以下では極端に発芽率が落ちます。早まきする場合はトンネルやマルチで地温を確保しましょう。
また、極端な乾燥や多湿、種のまいた深さが適していない場合も発芽不良の原因となります。
発芽期は「表土が乾いたらすぐ潅水」を意識し、深さ2cm〜3cmを目安に均一にまくことが大切です。
実がスカスカになるのはなぜ?
実入り不良の多くは受粉不足によって起こります。植え方や人工授粉で改善できるため、早めの対策が効果的です。
そもそも、トウモロコシは風媒花であり、雄穂の花粉が雌穂のひげに均一に届かなければ実が入りません。
畑なら畝幅80cm〜100cmに2条植え、株間30cm程度でブロック状に植えると風に乗って受粉が安定します。
家庭菜園やプランターのように株数が少ない環境では、晴れた日の午前中に雄穂を切り取り、花粉を雌穂にふりかける人工授粉がおすすめです。
水やりや肥料の管理で注意すべき点は?
発芽までは乾燥させないことが第一条件です。生育が進むとトウモロコシは多くの水を必要とするため、特に実の肥大期は水切れに注意します。
草丈20cm〜30cm(本葉6枚前後)で1回目の追肥を行い、その後は土寄せと追肥をあわせておこなうと根張りがよくなります。
元肥は種まきの1ヵ月前までに、堆肥とあわせて土としっかりと混ぜ込んでください。
害虫や鳥害はどう防ぐ?
アワノメイガなどの害虫や鳥害は放置すると被害が拡大します。発生しやすい時期と環境を知り、早めに対策してください。
なかでもアワノメイガは、幼虫が実に入り込み被害を出すため、早期発見・除去が重要になります。防虫ネットを使用して害虫を防ぎ、栽培環境を清潔に保つようにしましょう。
また、鳥害は芽出し期と収穫期に発生しやすく、防鳥テープやネットを併用すると被害を抑えられます。特に、発芽した直後の芽は狙われやすいため、播種直後からネットなどで対策してください。
収穫のタイミングとコツは?
甘みのピークは収穫直後に訪れ、時間とともに糖分がデンプンに変わり味が落ちます。
そのため、収穫は早朝におこない、もぎ取ったらすぐ調理するといいでしょう。
大量に収穫する場合は、茎を少し残して収穫すると糖度低下を緩やかにできます。
冷蔵保存も可能ですが、できるだけ早く食べきるのがおすすめです。
おわりに
トウモロコシは、日当たりの良い場所を選び、倒伏対策や人工授粉、害虫対策といった基本を押さえることで、比較的育てやすい野菜です。
ある程度放任でも実るため、ガーデニング初心者にも育てやすく、挑戦しやすい作物といえるでしょう。
朝の涼しい時間に収穫すると、より一層もぎたてならではの甘さとみずみずしさを味わえます。
ぜひ自宅でトウモロコシ栽培にチャレンジして、新鮮なおいしさを楽味わってみてください。
公開:2020年8月12日
更新:2023年7月22日
更新:2025年8月3日
更新:2025年10月20日
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