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【シャクナゲの育て方】豪華な花が魅力!主な品種と栽培のポイント

【シャクナゲの育て方】豪華な花が魅力!主な品種と栽培のポイント

春になると、庭に華やかな彩りを添えたいと感じる方は多いでしょう。そんなときにおすすめしたいのが、豪華な花とつややかな常緑の葉を併せ持つシャクナゲです。

シャクナゲは世界中で5,000を超える園芸品種が存在するといわれ、どの品種を選び部下によって育てやすさや花の違いが大きく変わる植物です。適切な品種や管理方法を行うことで、花を長く楽しむことができます。

この記事では、シャクナゲの魅力や特長、育て方のコツを分かりやすく解説します。春の庭を豪華に彩るシャクナゲを、ご自宅でも楽しんでみてください。

シャクナゲの育て方|特長と魅力

シャクナゲは大輪の花を咲かせる花木です。その豪華さから「花木の王」とも呼ばれています。まずは、シャクナゲの基礎知識からみていきましょう。

シャクナゲとは?

シャクナゲはツツジ科・ツツジ属の常緑樹で、和名の「シャクナゲ」は、中国で別の植物を指していた「石南花(しゃくなんげ)」が誤って当られた説が良く知られています。

原産地は北半球の広い地域におよび、ヨーロッパ、アジア、北アメリカなどに多様な原種が分布しています。

樹高は品種によって異なり、50cm程度の低木から5m以上の高木に育つものまであります。

花色はピンクや白、赤、黄、オレンジ、紫など非常に豊富です。

春に大輪の花を咲かせる庭の主役

シャクナゲが「花木の王」と呼ばれる理由は、春に見せる華やかな開花にあります。

開花期は4月下旬~5月中旬で、枝先に大きな花が房状に集まって咲きます。

その姿は存在感があり、1株植えるだけで庭全体の雰囲気が明るくなります。

常緑の葉を一年中楽しめるシャクナゲ

シャクナゲの魅力は花だけではありません。光沢のある肉厚な葉は年間を通じて緑を保ち、花のない季節にも庭のアクセントとなります。

原種は細長く裏に毛のある葉を持つものが多く、園芸品種は幅が広く、ツヤがあり毛が少ない葉が多いなど、葉の特長にも違いが見られます。

西洋シャクナゲと日本シャクナゲ

日本で流通するシャクナゲは、「西洋シャクナゲ」と「日本シャクナゲ」に分けられます。

19世紀以降、ヨーロッパでは品種改良が盛んに行われ、花色の多様化や耐暑性・耐寒性の向上が進みました。

こうした交配種が現在の西洋シャクナゲとして流通し、丈夫で育てやすい品種が多いのが特長です。

一方、日本シャクナゲは、アズマシャクナゲやツクシシャクナゲなど国内に自生する在来種を指します。

これらは主に高山などの厳しい環境に自生し、美しい花を咲かせてきたことから、古くは人々の信仰の対象となることもありました。

また、自生地は斜面や岩場など採取しにくい場所であったため、なかなか手に入らないことから「高嶺の花」の由来になったともいわれています。

シャクナゲの育て方|主な品種

シャクナゲ

シャクナゲには世界各地に数多くの品種が存在します。

欧米原産のものは「西洋シャクナゲ」、日本原産のものは「日本シャクナゲ」と呼んで区別されています。

どれも基本的に耐寒性が強く、寒い土地でも育てやすい点が魅力です。ここでは代表的な品種の特徴を、日本産・西洋産に分けてご紹介します。

西洋シャクナゲ

カタウビエンセ・アルバム

アメリカ原産の強健な原種「カタウビエンセ」を基に作出された、西洋シャクナゲの代表品種です。

純白な花が清らかな印象を与え、丈夫な性質であることから庭木として広く利用されています。耐寒性も強いため、初心者にもおすすめできる品種です。

ノバ・ゼンブラ

燃えるような鮮やかな赤い花が特長で、世界的に高い人気を誇る品種です。特に耐寒性に優れているため、寒冷地での庭植えにも適しています。

その華やかな花色は、春の庭でひときわ目を引くアクセントとなり、力強い印象を与えます。

ロゼウム・エレガンス

優雅なピンク色の花を咲かせる、非常に育てやすい強健種です。

開花期には株全体を覆うようにたくさんの花が咲き誇り、豪華で見ごたえのある景観をつくります。庭木として長く人気がある品種です。

紫炎(しえん)

淡い紫色の花弁に、インクを散らしたような濃い紫色の斑点(ブロッチ)が入る、気品のある印象的な花姿を持つ品種です。

神秘的で奥深い色合いは、ほかのシャクナゲにはない独特の魅力を放ち、国内外の園芸愛好家から高い評価を得ています。

日本シャクナゲ

アズマシャクナゲ

関東や東北などに自生している日本原産のシャクナゲの中でも代表的な品種です。

花びらの数が5弁なのが特長で、ピンク系が一般的ですが白い花も存在します。

樹高は1m~3mほどに生長することもあり、山地に自生する品種らしく比較的涼しい環境を好みます。

ツクシシャクナゲ

九州や四国南部、紀伊半島などの暖かい場所に自生します。「ツクシ」という名、は福岡県の旧地名である「筑紫」に由来します。

葉の裏には枝状毛が生えているのが特長で、枝先に球状に集まって咲く花は非常に華やかです。

ヤクシマシャクナゲ

鹿児島県の屋久島に自生する品種で、5枚の花弁を持ち、釣り鐘状の花を咲かせます。

つぼみの時期は濃いピンク色ですが、開花するにつれて白っぽく変化していくのが特長です。

葉の裏に細かい毛が生えており、高山性の性質が強い品種です。

キバナシャクナゲ

「黄花」という名のついたシャクナゲですが、実際は白に近いクリーム色の花が咲きます。樹高は30cm~1mと低く、本州や北海道の高山帯に自生しています。

ほかの日本産シャクナゲと比較して耐暑性は弱く、冷涼な環境を好む品種です。

ハクサンシャクナゲ

中部以北の本州や北海道、四国の剣山や石鎚山などの高山帯に自生する品種です。

「ハクサン」の名前は、石川県と岐阜県にまたがる「白山」に由来します。

耐暑性が弱いものの、キバナシャクナゲほどではありません。白地に淡いピンクが差す優しい色合いの花が多く見られます。

シャクナゲの育て方|基本の栽培方法

シャクナゲ

シャクナゲは豪華な大輪の花のだけでなく、常緑の美しい葉も鑑賞できる植物で、庭のシンボルツリーとしてもおすすめです。

ここからは、ご自宅でシャクナゲを育てるための基本的な栽培方法についてご紹介します。

シャクナゲが好む栽培環境

シャクナゲは、夏の直射日光や西日を避けられる半日陰の環境を最も好みます。

強い日差しは葉焼けや株の体力の消耗につながるため、特に暖地では夏の高温対策が欠かせません。

寒冷紗を使って 50%程度の遮光を行うと、光の量が穏やかになり株の負担を軽減できます。

ただし、品種によっては日当たりを好むものもあるため、育てる品種の性質に合わせて植える場所を選ぶことも大切です。

いずれの場合も、風通しの良い場所に植えると病害の発生を抑えやすくなります。

シャクナゲは乾いた寒風に弱いため、冬は家の陰や樹木の間など、寒風を避けられる場所で管理すると安心です。

苗選び

葉の色が濃い緑色で光沢があり、病害虫の跡がないものを選びましょう。

また、枝が太くがっしりしていて、株元がぐらつかない苗を選ぶと、その後の生育がスムーズです。

土づくり

シャクナゲは酸性で、水はけが良い土を好みます。鉢植えの場合は鹿沼土とピートモス、腐葉土4:4:2で混ぜた土がおすすめです。

元肥として緩効性肥料『マグァンプK中粒』が配合されている『ハイポネックス培養土鉢・プランター用』が手軽でおすすめです。

また、鉢植えの場合、鉢底に軽石やパーライトなどを敷くことで水はけを良くします。

植えつけ

シャクナゲの苗木を購入したら、3~5月、または9~10月に植え付けを行いましょう。次の年の春には開花します。

春に植えつけする場合、芽が伸びてくる前に植えつけを行いましょう。生育期に植えつけを行うと翌年の開花が難しくなります。

植えつけの際は根鉢を優しく崩し、古い土を少し落とします。地植え・鉢植えどちらの場合も、植える深さは浅めにし、過湿にならないよう配慮します。

植えつけ後はたっぷりと水を与えて根を落ち着かせます。

植えかえのポイント

シャクナゲは根が浅く広がる浅根性のため、深く植えると根腐れを起こしやすくなります。

根鉢の上部をわずかに出す「浅植え」や、地面より少し高く植える「高植え」を基本としましょう。

こうすることで排水性と通気性が保たれ、根が健全に伸びやすくなります。

マルチング

植えつけ後は、株元に腐葉土やバークチップを敷くマルチングを行います。

土の乾燥防止や地温上昇の抑制、雑草の発生防止などに役立ちます。

水やり

シャクナゲの根は細く乾燥しやすいため、土の表面が乾いていたらたっぷりと水を与えましょう。

鉢植えの場合は、毎日水やりしても問題ありません。特に、乾燥しやすい夏場は朝夕の2回水を与えて水切れに注意しましょう。

地植えの場合は、ほとんど水やりは必要ありません。ただし夏は土が乾きやすいため、朝か夕の涼しい時間帯に1回水やりをすると安心です。

肥料

植えつけから1年以内は根が弱りやすくなっているため、肥料は控えめにします。

根づいた後は、約3~4ヵ月間効果が持続する『プランティア 花と野菜と果実の肥料』を与えましょう。

また、9~10月と2月ごろにも1回ずつ追肥することで、健康な株を保てます。

花後の管理

開花後はすぐに花がら摘みを行い、種づくりによる養分の消耗を防ぎます。

また、新芽が5cmほどになったら先端を摘む「芽かき」を行うと、枝数を増やして翌年の花つきを良くすることができます。

剪定は7月までに混み合った枝を整理する程度にとどめ、夏以降は花芽を切らないよう注意しましょう。

夏越し

シャクナゲは夏の暑さと直射日光に弱いため、夏の対策が必要です。

地植えであれば寒冷紗などで日よけを作り、鉢植えの場合は直射日光の当たらない場所へ移動させましょう。

風通しが良く、涼しい場所で管理をしてあげるのも大切です。

冬越し

耐寒性はあるものの、乾燥した寒風に当たりすぎると枯れてしまうことがあります。

寒冷地で地植えする場合は、風よけの覆いを作ってあげましょう。わらやビニールなどでマルチングするのも効果的です。

鉢植えの場合は寒風の当たらない場所へ移動させて冬越しをしましょう。

シャクナゲの育て方|庭植えと鉢植えの違い

シャクナゲは「庭植え」と「鉢植え」のどちらでも楽しむことができ、それぞれに異なるメリットがあります。

育てる環境や管理のしやすさに合わせて、最適な方法を選びましょう。

庭植えのポイント

庭植えでは、根が地中にしっかり広がるため株が大きく育ち、根づいた後は水やりの頻度も少なく管理が比較的楽になります。

植える場所は夏の強い日差しを避けられる半日陰が理想で、土は pH4.5〜6.0 の弱酸性に調整します。

コンクリートの近くは土がアルカリ性に傾きやすいため避けて植えましょう。

鉢植えのポイント

鉢植えは移動がしやすく、季節に応じて日当たりや風の状況に合わせた管理ができるのが大きな特長です。

一方で、土が乾きやすく特に夏は水切れしやすいため、こまめな水やりが欠かせません。

また根詰まりを防ぐため、2年〜3年に一度は一回り大きな鉢へ植えかえましょう。

シャクナゲの育て方|病害虫対策

シャクナゲは比較的病害虫に強いですが、環境によっては被害を受けます。

特にアブラムシやうどんこ病に注意し、早期発見・早期対処を心がけましょう。

アブラムシ

春から秋にかけて新芽やつぼみに寄生し、汁を吸うことで生育を弱めたり、すす病を誘発したりします。

少数であれば水で洗い流すだけでも効果があり、大量発生した場合は殺虫剤を使用します。

予防として、春や秋に殺虫剤を株元に施用する方法も有効です。

うどんこ病

葉が白い粉をまぶしたようになるカビの病気で、風通しが悪く湿度が高い環境で発生しやすくなります。

初期であれば病葉を取り除き、拡大が見られる場合は殺菌剤を散布しましょう。

普段から風通しを確保することで予防につながります。

そのほかの病害虫

夏の高温乾燥期にはハダニが発生しやすく、葉水によって予防できます。

他にも、カイガラムシはすす病の原因にもなるため、幼虫期に薬剤を散布するか、歯ブラシなどでこすり落として駆除してください。

シャクナゲの育て方|よくある栽培トラブル

シャクナゲ栽培では「花が咲かない」「葉が変色する」などのトラブルが起きがちです。

ここでは、よくある栽培トラブルと対処法をご紹介します。

花がつかないのはなぜ?

開花後に花がら摘みをしないと、種子形成に養分を使い翌年の花芽ができません。

夏以降の剪定は花芽を切り落とすため厳禁です。肥料不足や日照不足も原因になります。

葉が黄色くなる原因は?

葉全体が黄色くなるのは、土のアルカリ化による鉄分不足(クロロシス)とされています特にコンクリート近くは注意が必要です。

また、まだらな黄色い斑点がある場合はグンバイムシの被害を受けている可能性があります。

葉裏に小さな虫がいないか確認し、発見した場合は歯ブラシなどで優しくこすり落とすか、殺虫用のスプレーを散布してください。

また、周囲の落葉や雑草も取り除き、発生源を減らすことが大切です。

夏にしおれるのはなぜ?

主な原因は水不足です。シャクナゲは浅根性のため乾燥に弱く、特に鉢植えは朝夕2回の水やりが欠かせません。

土が湿っているのにしおれる場合は、根腐れの可能性もあります。

冬に葉が傷むのはなぜ?

冬の乾いた寒風により水分が蒸発することで葉先や縁が傷むことがあります。

品種により耐寒性が異なるため、地域に適した品種選びが大切です。

寒風が当たらない場所への移動や、風よけを設置しましょう。

根腐れのサインは?

土が常に湿っている、鉢にコケが生える、葉がしおれる、株元がぐらつくなどが初期症状です。

根腐れが疑われる場合は腐った根を除去し、水はけの良い土に植えかえましょう。

害虫被害の初期症状は?

葉が食べられている場合はアオムシやヨトウムシ、葉が傷んで裏に黒い排せつ物があればグンバイムシ、新芽に小虫が群がればアブラムシの可能性があります。

早期発見が被害拡大を防ぎます。

植えかえを怠るとどうなる?

鉢植えで植えかえをしないと、根詰まりが起こり、水や養分の吸収が悪くなります。

葉色が悪くなり花が咲きにくくなるため、1年〜2年に一度植えかえを行いましょう。

おわりに

現在はご自宅でも育てやすい品種のシャクナゲがたくさん流通しているため、ぜひご自宅で栽培してみてはいかがでしょうか。

シャクナゲの花が咲き誇る季節になると、大変華やかなお庭を堪能できます。花の色や形など、お好みのものを選んで楽しく育てていきましょう。

公開:2020年3月25日
更新:2025年12月5日

#シャクナゲ #草花の育て方 #特集

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