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杏美のキノコ旅日誌5
お遍路キノコ旅・高知県

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闇夜に光るキノコを求めて

杏美のキノコ旅日誌1
杏美のキノコ旅日誌2
杏美のキノコ旅日誌3
杏美のキノコ旅日誌

 

2018年5月15日、今日の天気は晴れ。周りを森で覆われたこの場所では放射冷却で外は冷たくなっていました。近場で購入した、少し冷えたおにぎりを食べながら今日1日の天気を調べていました。今日1日は晴れの予報……。

「よし、予定通り山に登ろうっと!」

車を使いスギやヒノキが繁る林道を走ります。この林道は車のすれ違いがぎりぎり出来そうな幅でした。だいたい車で30分ほどかけて、登山口に到着しました。今回目指す山は、石鎚山地に属する山〝伊予富士(いよふじ)〟を目指します。車に乗せている愛用の登山靴と飲料水、そして念のためカッパなどをバッグに入れました。準備運動をしてから登山開始です。

 

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伊予富士頂上からの景色

 

大体1時間くらいかけ桑瀬峠に到着しました。伊予富士へと続く尾根道はササ類におおわれていますが、風が吹き抜けると同時にササの葉も動いていました。

さて、実はここからが大変でした……。ここからはほぼ尾根を歩いていくのですが、歩いても歩いてもなかなか頂上にたどり着きません。

「伊予富士は目の前で見えているのに……」

それもそのはず、キノコを探しながら行っているのですから……。しかし、乾燥していることもありなかなかキノコは見られません。近くでは〝ポポッポポッ〟とツツドリの鳴き声(紙筒の口を叩いているような音)が聞こえていました。

 

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ツリガネタケ

 

歩いて3時間が経とうとしていた時、ようやくキノコを見つけることができました。枯れたブナの木に生えた〝ツリガネタケ〟というきのこでした。このキノコは、一般的にサルノコシカケと呼ばれるキノコに近い仲間です。なので、キノコ自体は硬く、まるで樹木の一部のようです。後は、この登り道を登るだけです。しかし、首を上げないと山の先端が見えない……、ということはかなりの傾斜があるということ。木々も少し小さくなり、小さな木々のトンネルを抜けました。途中、水分補給時間をこまめにとり、ようやく平らな場所が見えてきました。

 

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伊予富士頂上

 

平らな場所の先端には「伊予富士1,756m」と書かれた看板が見えました。やっと頂上に到着しました。口を開けて大きく息を吸わないと、呼吸が間に合いませんでした。北は愛媛県、南は高知県。山々ははっきりと見渡せ、近くなるほど樹木が葉を広げている姿が見えました。両県を広く見渡せる景色は私の思い出に印象深く残っています。休憩をしたのち、山を下りました。

 

今日は中学時代の友達の家にお邪魔します。実際に会うのは約10年ぶりかな……? だんだんと家に近づき、そして再開。お互いは変わらず、降り積もる話はまだまだ続きそうです。今お互いがしていること、学生時代のお話、そして将来の話……気がつけば、夜中になろうとしていました。余談ですが、明後日は久々に友達と森歩きをします。しかし、これは〝徳島県〟での物語…。ここでは書かないことにしました。

翌日16日、高知県で見てみたいキノコ……、それはシイノトモシビタケと言う暗闇の世界にやさしい光を放つキノコなのです。今回は地元の人案内の元、以前キノコが発生していた場所に行ってきました。森の中では、アラカシ・ヒサカキ・スギなどの樹木が生い茂っていましたが、その中でも大きなシイの木はよく目立っていました。その付近では、愛媛県でも見つかったオリーブシワチチタケ(仮)・イグチの仲間・カンゾウタケなどが見つかりました。特にカンゾウタケは全体がワイン色の綺麗な形をしていました。名前の由来は、肝臓に似ているからついた名前ですが断面は霜降り肉のようになっていてなんとも美味しそうなキノコでした。

 

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カンゾウタケ表(上)と断面(下)

 

 

結局見つかったキノコはこれだけでした。念願のシイノトモシビタケは見つけることができませんでした。後日、5月21日、場所を変えて高知県東部。知人のお宅にお邪魔しました。今日は、知人も同行して一緒にお遍路キノコ旅しました。すると、道中大きいシイの木がたたずむ森がありました。その雰囲気は、まるで福岡県でシイノトモシビタケを見つけた環境とすごく似ていました。

「もしかしたら、あるかもしれない……」

私の中で感じたものは、普段にも増して強いものでした。しかし、探しては見たものの結局見つけることはできませんでした。

 

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へんろいし饅頭を食べる私

 

お遍路をしていると、同じお遍路巡りをしている方から〝へんろいし饅頭〟を一つもらいました。それは黄土色のような色でもっちりとしていました。中の餡子は少し粒が感じられ、口の中では餡子の粒と同時に出てくる甘さを感じることができました。歩き、探し続けた体にちょっとした休憩ができたように感じました。

翌 22日、今日は高知県最終日、お遍路キノコ旅も終盤です。残りの場所を巡っていた時でした。どうしても忘れられない、あの日の思い出がありました。シイノトモシビタケがありそうなあの場所。あそこは私の意識の中に強く漂っていました。知人に頼み、夜に再度行くことを決めました。

時間は夜7時になろうとしています。辺りはすっかり暗闇の世界です。足元さえも見ることができませんでした。懐中電灯を片手に、森歩きを始めました。四方八方から聞こえる、落ち葉を踏む音、どこからか水の流れる音も聞こえてきました。十分に注意をしながら進んでいると、先の方にやさしく光るものがありました。

「光っている!……」

光っている方向を目指していると、ぱっと光は消えました。そして、また光始めました。

「あれは違うなぁ……」

ゆっくりと近づき、ライトで照らしてみると、その正体はヒメボタルだったのです。観察をし終え一度ライトを消してみると、光輝く蛍は飛び立ち、仲間たちが飛んでいる場所を目指し飛んでいきました。そこではまるで小さなコンサートがあっているかのように光輝いていました。

ホタルのコンサートを見ていた時、点滅のない光が足元にありました。恐る恐る顔を近づけて、ライトを当ててみると……、そこには、そこには小さな傘をかぶったキノコが1本、顔を出していました。

 

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顔を出した1本のキノコ

 

念のため、ライトを消してみました。目をつぶって10秒後、ゆっくりと開けてみると……、キノコの形がしっかりと見えました。

「これは!シ、シイノトモシビタケ!ありました!!」

思わず大声で知人を呼びました。

「あんた、流石だわ」

知人は写真撮影に夢中です。私はその横でキノコを眺めていました。シイノトモシビタケの特徴は、光るというのも大きな特徴ですが、全体はオリーブのような色をしていて、ヒダの先端に黒色の縁取りがあります。そして木から生えている小さくて可愛いキノコなのです。

 

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以前福岡で観察したシイノトモシビタケ

 

私の記憶の中にある特徴はすべて一致していました。ちなみにシイノトモシビタケ発見後、高知の知人が経過観察をしていただきました。

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後日知人が撮影したシイノトモシビダケ

 

今回はとても貴重な経験ができたと共に、会いたかったキノコにも出会うことができました。そして、人のやさしさにも多く触れ合えた旅でした。高知県でお世話になった方とは県境を越えたこの場所でお別れです。天気は雨模様。別れる寂しさを悟ったように空からは冷たい雨が降っていました。次回は徳島県へと旅の物語が続いていきます。

 

 

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kinokoline

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