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出来をワンランクアップ!
富田英明さんに聞く、寄せ植えづくり

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富田英明さん

気持ちのよい秋も本番、彩り豊かな花も多くなり、素材選びも楽しくなる、秋冬の寄せ植えシーズン到来です。今回は、寄せ植えづくりのノウハウを、今、注目の寄せ植え家、富田英明さんに聞きました。なるほどというポイントを学んで、自身の寄せ植えづくりに生かしてみませんか。

富田英明さん、寄せ植えづくりを仕事として始めて15年余り、ここ数年、ようやく自分のスタイルをこうだと人に話せるようになったといいます。寄せ植えのスタイルは人さまざまで、それが面白いのですが、では初心者がどうやって上手な寄せ植えをつくるのか知りたいと思うとき、理論的に話せる人はそう多くはいません。もちろん、感性も大事です。でも、それだけでは具体的なノウハウとして応用できるかといえば難しいでしょう。今回は、そこのところをわかりやすく、そして具体的に教えてもらいます。

―富田さんが自分の寄せ植えスタイルを意識されたのはいつごろですか

富田 そうですね。寄せ植えを始めて15年以上になりますが、2009年から2010年にかけてでしょうか。同時期、みなさんもご存知の吉谷桂子さんに見出されて、園芸雑誌に私の記事が掲載されました。そのころは、素材に色や形の強いものを使って、今から思えば少し無理やり感があるのですが、吉谷さんなどからみれば、なんとも見たことのない、思いもよらない、ある意味常識外れの組み合わせの寄せ植えだったりしたので、目についたのだと思います。

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今のスタイルの元になった、道端で自然に咲いている草花たちを模写し始めた寄せ植え

そして、2011年にまた別の園芸雑誌に、男の寄せ植え家は珍しいということで、掲載をいただきました。このころでしょうか、自分の中で作風というのが固まってきたのは。しかし、まだきちんとことばで説明ができないままでしたが。

 

―今は自分のことばで説明できるまでになったということですね。では、寄せ植えをはじめる方のために、そのノウハウをお教えいただけますか。

富田 はい、私はノウハウを公開して、寄せ植えファンを一人でも多くしたいと思っていますので、私の持っているものをお話させていただきます。まずは、一体感のある寄せ植えをつくるためのポイントがいくつかあります。そのポイントを意識して寄せ植えをつくれば、誰でも今までとは違うフォルムの寄せ植えがつくれます。

最近の作品から

pic3ニオイザクラ、ストック、ルドベキア、タカオ、キキョウ、アカバセンニチコウ、グランベリー

pic4ヤマアジサイ、ゼラニウム、オレガノ・ケントビューティ、ケール、ミニバラ、グリーンアイス、ビデンス

―最初のポイントはなんでしょう?

富田 みなさん、苗の植え込み位置が低くなってしまうのをよく見かけます。位置が低いと、埋もれてしまう感じになるので、少し高めに植えることをすすめています。

―二つ目のポイントは

富田 寄せる苗を上からのぞき込むように見たとき、植えつけコンテナと同じ形になるように、丸ならきれいにまーるく、だ円ならきれいなだ円になるよう、コンテナの形に合わせて植え込みます。

―三つめのポイントは

富田 寄せる苗の枝丈の高い方を内側に向ける、つまり背中合わせにします。みなさんが自分で選んだコンテナ、苗で上手くいかない原因は、苗ひとつひとつそれぞれに対して正面を決めてしまい、それをすべて正面に向けてしまうことにあります。これでは、横から見ると凹凸になってしまう、植物はまっすぐなものもあれば、背の低いもの、その中間のものなどいろいろです。

pic5植え込みの高さの説明を手近な用具を使って説明します

みなさんすべてを正面に向けるから、結果、形がくずれてしまうのです。花や樹ひと株ずつ、それぞれをきれいに見せようとして植えつけると、逆に全体の形がくずれる原因になることを知ってほしいですね。器に対して、花の面、位置がなだらかに山なりになるよう配してあげることがポイントです。

pic6苗の枝丈が高い方をいっしょになるよう植えつける

―もう一度、一体感というのを説明していただけますか 

富田 一体感というのは、苗と苗の境目があいまいになるほど出ます。一体感が出ることによって、「植わっていました感」が出てくるのです。そして、さらに「植わっていました感」を出すにはポット苗の茎、枝の長い方を内側に向けて、それをそのままじゃなくて、もとの広がりに戻していくと必然的に混ぜなくても混ざり、色の違うお花がポッと顔を出してきます。苗を寄せたら、苗の姿を元に戻すとさらに一体感のある、つまりずっとそこに植わっていて毎年そこからいろいろなお花が出てくるお庭のように見えるんです。

pic7一体感にあふれる、グリーンの寄せ植え。草丈や茂り具合が自然で、前からそこに植わっているように仕上がっている

―背の低いポット苗、這い性の苗などはどうするのでしょうか

富田 背の低い、這うものを使うときもありますね。それは当然手前に置くのですけれども、ただ単に置くと、ここで急に凹んでしまうことがよくあります。そんな時は凹んだ上に高さのある苗を持ってきます。その方法の一つとして、高さがありしかもバラせる苗をバラし、そのうちの一つを凹んだ所に持っていくと面が揃って綺麗なフォルムができます。そして、多くの方が垂れ下がる苗は外側に向けますが、もちろん間違いではないのですが、垂れる方をあえて内側に向けることで他のお花と絡み合いさらに一体感のある寄せ植えになります。背の高い苗でも、這い性の苗でも、植えてから元の株のように広げてあげる、戻してあげる、そうすると植えた感がなく植わっている感になって、花もよく咲き、全体の形、見栄えもよくなります。それが僕の理論です。

pic8這う種類などもバラして広げて配すれば、元から植わっている感になる

―全面をそうするんですか?

富田 確かに全面がそうなればいいですけど、置く場所がわかって、壁際になる面がわかっている場合は、後ろは特に手を入れません、意外と僕の寄せ植え、壁際になる後ろは格好悪いですよ(笑)。正面と横がきれいに見えればいいので。で、360度きれいにしたい場合は、最初から株に高低差のない苗を選んで植えます。そうすれば全体どこからみても見栄えがよくなりますから。簡単です。

pic9高低差のない花苗を植えて、どこから見ても見栄えのよい寄せ植え

―寄せ植えは、一体感のある仕上がりにする、ということがわかりました。これから寄せ植えをさらにどう進化させていきたいですか

富田  今よりも、もっとたくさんの方が手軽に好きなお花を選んで素敵な個性あふれる寄せ植えがつくれる提案をしていきたいですね。私は寄せ植えを上手に楽しみたい、という方々の扉を開けるお手伝いをしているだけだと思っています。難しいと思っている寄せ植えづくりを、手軽に簡単にそして楽しく、たくさんの方々にやってもらいたい、そのために私の知識やノウハウを限りなくオープンにしていくつもりです。はじめての人なら、すべて吸収してもらえればいいし、初級者の人なら、何か一つでも自分に取り入れたいものを私から吸収してもらえれば、それでいいと考えています。

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―植え方はともかく、器や花苗選びで苦労している人も多いと思いますが、何かアドバイスは

富田 お花選びと色合わせですが、みなさんセンスと言われます。もちろん、センスも問われますが、初めての方や始められたばかりの方が色合わせや花合わせをするというのはとても難しい技術です。まずは好きなお花や植えたいお花、目に留まったお花を中心に選びます。そして、これまでに述べた三つのポイントを意識して、きれいなフォルムに仕上げることを目指します。色合わせや花合わせをこなしていくのはフォルムをきれいにできるようになってからでいいと私は思っています。

―それは少し楽になりますね

富田 私の場合は、植える前に花と色を合わせるのではなく、つくって合わせます。最初の色・花あわせは正直3割程度しか見ません。器や一つお花を決めたら、最終的なフォルムをイメージして、そのイメージに合う草姿を選ぶ方を優先します。きれいなフォルム、そして一体感が出せると、まるで合わせたかのように見えますから。料理をするとき、多くの方はつくるもの決めてから食材を選びますよね。それと一緒です。フォルムをイメージしてから、そのイメージに合うお花を選ぶ方が楽だと思います。まずは、寄せ植えづくりに慣れるためにも、好きなお花でフォルムを意識してつくられる方がいいと思います。そもそも道端にいろいろな植物が混ざり合っているのをみかけますが、あれは誰かが植えたものではなく、いろいろな種がたまたま落ちて芽が出たものです。それが自然にきれいなフォルムでバランスよくあってきれいに見えるんです。それを模写するように寄せ植えもつくれば、誰が見てもきれいな寄せ植えに見えるはずです。私の寄せ植えは自然に生えている、あるいはそこにずっと植わっている花景色を模写している、そんなイメージなんです。そして、よりそれに近づけるためには「色の分散化」が必要です。つまり、色の強さを減らすと色が合うように見えます。例えば、洋服の上下は色合いが気になりますが、シャツの中のロゴの色やドット柄は、そこまで気にならないのと一緒です。かたまりで咲いている花の中に異色を入れれば分散されます。あらかじめ色合わせ、花合わせをするよりも、この色とこの色を合わせたらどんな色合いになるだろう、という探究心をもってするといいかもしれません。私の場合は、「色あそび」して楽しんでいます。みなさんもぜひ「色あそび」してください。

pic10寄せ植えづくりで一番大切なのは一体感があること。そして、色遊びも必要。ブラキカム、フレンチ・ラベンダー、ロータス・プリムストーン

―最後に、寄せ植えの管理についてお聞かせください。

富田 私が提案する寄せ植えは2~3ヶ月くらいと考えます。それ以降は、ご自分のタイミングで抜いて、お庭がある方はお庭へ植えるなどしていただいてよいでしょう。育てる寄せ植えだと、寄せる植物の相性や性質、成長が異なると好きなものが植えられなくなりますが、2~3ヶ月と考えていただくと、演芸店の店先にあるお花たちを選ぶのが大変ではなくなります。「遊んで、つくって、飾る」。この三つの楽しみを理解していただければ、そしてご自身にも持っていただければ、寄せ植えが手軽に楽しめます。管理のポイントは、水やりも、土の表面が乾いてから与えますが、与えるときはたっぷりと与えてください。与えるときは、お花にかからないように、株元に与えていきます。「しっかり乾かして、たっぷり与える」、これが長持ちのコツです。寄せ植えづくりに正解はありません。正解を求めずに個性や好みを出すことが一番です。私はそのお手伝いができればと思っています。自分で好きなお花を好きなように植えて寄せることができれば、それが一番いいことですから。

―どうもありがとうございました。

(写真・文/Deru)

富田さんは、全国で講習会をされています。みなさんの地元にも来ることがあるかもしれません。講習会の日程などはこちらを参照してください。
また、当社主催でも、富田英明さんのワークショップを開催する予定です。ぜひ、ご参加ください。具体的なスケジュールは、今後、決まり次第お知らせいたします。

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富田英明(トミタ ヒデアキ) 

1974年11月15日東京都生まれ。高校・大学時代にアルバイトで園芸店へ。
卒業後入社し2010年退社。2013年5月 jungleberry(ジャングルベリー)を屋号として活動を始める。
各地園芸店にて、講習会、教室等で寄せ植えの楽しさを伝える。個性を活かした、手軽に楽しめる寄せ植えづくりを目指し活動中。

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