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見てみたい、行ってみたい花の絶景9
白馬岳 天空のお花畑

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ミヤマシオガマ、ハクサンイチゲ、ウルップソウ

 

白馬の写真を見せると、「白馬がお好きなのですね」と言われることがあります。的外れというわけでもないですが、当たらずとも遠からずという感じです。自分にとって、いや植物写真家にとって、白馬は「好き」とか「嫌い」とかいう以前の「必修科目」なのです。

まず、植物の種類の多さには目を見張ります。その点では、南アルプスの北岳と双璧をなすでしょう。その上、多雪地帯に位置することもあり、盛夏でも豊富な残雪があり、開けた稜線にストライプの山肌という、典型的な高山植物の風景が豊富に見られることも、「必修科目」とされる所以です。

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ハクサンイチゲと残雪模様の山肌。まさに白馬の景色

白馬岳周辺に高山植物の多いわけは、大きく分けて二つでしょう。まずは、国内有数の豪雪地帯に位置することです。山麓には豪雪地帯に特有な日本固有種が見られます。キヌガサソウもそのひとつ。種レベルだけでなく、属レベルでの固有種です。また、豪雪のため、緯度のわりに森林限界が低く、高山性草本の生育環境の面積が広いこともあげられます。

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キヌガサソウ

もうひとつは、地質の変化に富んでいることでしょう。白馬鑓ヶ岳付近の石灰岩地帯には、国内ではほかに見られない北極周辺のツンドラに生える小さな植物が何種も自生します(ただし一般ルートからは見られません)。また、超塩基性岩地帯としては、八方尾根や雪倉岳付近が大きなものですが、それ以外にも、まだら状に小さな超塩基性岩地帯が貫入しています。咲いている花が変わったと思って、よく見ると超塩基性岩が転がっているといったことがよくあります。

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白馬杓子岳(左)、白馬鑓ヶ岳(右)

日本の山岳の中では、ルートや山小屋がよく整備され、登りやすい山域のひとつでしょう。半日歩けば山小屋があるので、足の弱い人でも無理なく登ることができます。とはいえ、撮影機材を背負って白馬連峰の稜線に立つには、やはりそれなりの体力が必要です。近年では、あと何年登れるかという焦燥感にかられて、年に一度は稜線を目指すようにしています。

 白馬連峰を特徴づける植物はいくつもありますが。まずはウルップソウでしょう。国内では、礼文島、北アルプス、八ヶ岳でしか見ることができません。北アルプスでも、特に白馬岳から杓子岳にかけてが数が多く、国内最大の自生地といってよいでしょう。

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ウルップソウ(青い花)とミヤマシオガマ(赤い花)

ミヤマアズマギクも白馬岳周辺に数が多いもののひとつです。超塩基性岩の山を好みますが、谷川岳、至仏山などと同じように赤紫色の舌状花をもちます。早池峰山や北海道の山では、舌状花が青紫色になり、写真でも区別がつくほどはっきりちがいます。

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ミヤマアズマギク、イワベンケイ、ウルップソウ

 

ところで、白馬という地名の読み方ですが、白馬岳(しろうまだけ)、白馬村(はくばむら)とそれぞれ読むのが一般的です。もともと、代かきの目安となる雪形に由来する代馬岳が由来ですが、白馬の字があてられ、いつしか、「ハクバ」と読まれるようになりました。今でこそ、世界的なリゾート地として名をはせる白馬ですが、明治から大正にかけては水害や風害が頻発する寒村でした。

 白馬岳一帯では、数えきれない高山植物が咲き乱れますが、その一部を一気にご紹介したいと思います。

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ミヤマオダマキ

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シコタンソウ

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ミヤマキンポウゲ

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イブキジャコウソウ、タカネツメクサ、シコタンソウ、チシマギキョウ

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タカネツメクサ、タカネシオガマ

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タカネマツムシソウ(左)、オタカラコウ(右)

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イワツメクサ

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コマクサ

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クモマスミレ

山域にはその頃建立された風切地蔵と呼ばれるお地蔵さんが5体あります。一番高いところでは、コマクサの咲く雷鳥坂を登りつめた小蓮華山にあります。遠見尾根や八方尾根のものも有名です。この山を代馬岳と呼んでいたネイティブ白馬人は、高山植物を愛でながら、平穏な日々を風に祈っていたに違いありません。

 

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遠見尾根の風切地蔵。白馬の里を見下ろす稜線で、里人を見守るようかのよう鎮座している

 

 

✿白馬へのアクセス
電車とバスでは、JR大糸線白馬駅下車、路線バスで猿倉登山口へ。JR長野駅から特急バスで白馬へ。路線バスで猿蔵登山口へ。新宿からの直行バスも夏の期間中あり。車では、上信越自動車道長野ICからオリンピック道路経由猿倉まで約60㎞、中央道安曇野ICから猿倉登山口まで約60㎞です。

✿いがりまさしライブ
7/27-31 8/1-25白馬五竜お花畑ストリートライブ

白馬五竜高山植物園【長野県白馬村】 10時から15時 随時

※悪天時中止。また、ほかの理由で予告なく中止することがあります。

※映像詩「白馬花風景」同時上映
http://www.plantsindex.com/livemanager/matic/livehistory.cgi?mode=sch

白馬五竜高山植物園
http://www.hakubaescal.com/shokubutsuen/about/

 

いがりまさし

いがりまさし(植物写真家、ミュージシャン)1960年愛知県豊橋市生まれ。関西学院大学文学部美学科中退。前後して、自転車で「日本一周笛吹行脚」。その後、リコーダーを神谷徹氏に師事。25歳の時、冨成忠夫氏の作品に出会い植物写真を志す。
印刷会社のカメラマンを経て1991年独立。写真家、植物研究家として、幅広いメディアに出稿活動を展開。2009年ごろより音楽活動を再開。
自然と伝承音楽をお手本に、映像と音楽で紡ぐ自然からのメッセージを伝える活動を全国で展開中。主な著書に、『日本のスミレ』『日本の野菊』(以上、山と渓谷社)、『きせつのくさばな100』など多数。音楽CDに「名もなき旋律」など。

いがりまさしさん公式サイトはこちらから

 

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