カーネーションとはどんな花?基本の育て方や注意点

母の日の贈り物として人気のカーネーション。
切り花のイメージが強いかもしれませんが、ガーデニングにもおすすめの植物です。
花色も定番の赤だけでなく、白やピンク、オレンジ、ミックスカラーなど、さまざまなものがあります。ぜひお気に入りの品種を見つけてご自宅で育ててみましょう。
今回は、カーネーションの基礎知識や基本的な育て方、お手入れのポイント、増やし方などをご紹介します。カーネーション栽培を始めたい方は、ぜひ参考にご覧ください。
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☘47:カーネーションの育て方|日々の管理や水やり、摘心や切り戻し、夏越しや冬越しの方法などご紹介
カーネーションってどんな植物?

カーネーションは、ナデシコ科の多年草です。
原産地は南ヨーロッパや西アジアといわれています。
四季咲き性を持ちますが、主な開花時期は4月から6月にかけてです。春から初夏にかけて、一株にたくさんの花を咲かせてくれます。
カーネーションの歴史は古く、17世紀のイギリスやオランダですでに大流行をみせていたといわれています。
当時から品種が多数あることでも知られており、17世紀にはヨーロッパだけで300近い品種があったそうです。
現在の日本でもさまざまな品種が出回っており、それぞれ形や色が異なります。
複数の品種を一緒に育ててみるのもおすすめです。別の花と組み合わせて寄せ植えを楽しんでも良いでしょう。
カーネーションの主な種類や分け方

カーネーションには多くの品種があり、花の色や咲き方なども多彩です。
ご自宅で育てるときは、ぜひお好みのタイプを探してみましょう。ここでは、カーネーションの種類や分け方などを解説します。
カーネーションの種類について
カーネーションは昔から品種改良が行われてきた花です。花のつき方や花びらの形、咲き方など、幅広い種類があります。
現在よく見られるものは交雑種であり、原種や育成の過程などがはっきりとしていないといわれています。
また、現在は鉢植えで育てやすいように改良された「ポットカーネーション」も多く見られます。草丈は10cm~30cm程度で大きすぎず、鉢に収まりやすいサイズ感が特徴のひとつです。
花のつき方による分類
カーネーションの花のつき方は「スタンダード咲き」タイプと「スプレー咲き」 タイプの2種類に大きく分けられます。
スタンダード咲きは、ひとつの茎の先端にひとつの花がつくのが特徴です。花の大きさがあり目立つため、摘み取って一輪挿しで生けるのにも向いています。
スプレー咲きは、ひとつの茎の先端が複数に分かれ、数輪の花がつきます。花の大きさ自体は小ぶりですが、数が多いためにぎやかな印象です。
それぞれ違った魅力があるので、お好きなほうを選びましょう。
花びらの形による分類
カーネーションの花びらの形には、剣弁咲きや極剣弁咲き、丸弁咲き、一重咲きなどの種類があります。形状によって花の雰囲気も変わるため、ぜひ見比べてみましょう。
もっともポピュラーなものが剣弁咲きです。花びらの縁に細かな切れ込みが入るのが特徴のひとつ。花びらが重なるようにたくさんついているので、華やかな雰囲気があります。
極剣弁咲きも縁に切れ込みが入りますが、花びら自体が細長い形状をしている点が異なります。一般的にイメージされるカーネーションとは異なり、星のような形の花が印象的です。
丸弁咲きはほとんど切れ込みがなく、丸みを帯びた花びらをつけるタイプです。全体の形は剣弁咲きと似ていますが、こちらのほうが柔らかい印象を演出できます。
また、カーネーションには八重咲きの品種が多く見られますが、シンプルな一重咲きの品種もあります。主張が強すぎないため、ほかの花と合わせたいときにも向いています。
カーネーションの育て方|好む栽培環境や植えつけ方法

カーネーションは耐暑性にも耐寒性にも優れており、管理の手間がかかりにくいのが魅力です。ガーデニング初心者にもおすすめできる植物といえます。
ぜひお庭やベランダで育ててみましょう。ここからは、カーネーション栽培の基本についてご紹介していきます。
カーネーションの好む栽培環境
カーネーションは日当たりの良い場所で育てましょう。日照時間が短いと、蕾が開かずにしぼむ原因になります。
ただし、夏の直射日光が当たるのはよくありません。夏場は風通しの良い半日陰に移し、遮光してあげてください。
また、カーネーションは暑さにも寒さにも強い植物ですが、多湿を嫌います。葉が蒸れてカビが生えたり、病害虫の被害にあったりするため、風通しの良い環境をつくってあげましょう。
とくに、梅雨のように雨が長く続く時期や、蒸し暑くなる夏の夜などは、雨の当たらない場所や風通しの良い場所に置くことが大切です。
土づくり
カーネーションを植えつけるときは、小粒の赤玉土:腐葉土を7:3で混ぜたものに、苦土石灰を少量加えたものがおすすめです。さらに、排水性を高める目的で鹿沼土や山砂を1割ほど混ぜても良いでしょう。
ただ、ご自分で土を配合するのは手間がかかるため、市販されている『ハイポネックス培養土鉢・プランター用』などの草花用培養土を使うのもおすすめです。
緩効性肥料の「マグァンプK」が含まれているため、購入してそのまま植えつけに利用できます。
植えつけ
カーネーションの植えつけ適期は3月~5月、9月~11月頃です。
苗を購入したら、お好きな花壇や鉢などへ植えつけてあげましょう。植えつけ作業が済んだらたっぷりと水を与えます。
カーネーションの育て方|日頃のお手入れ方法

カーネーションをできるだけ長く育てるためには、日々のお手入れを適切な方法で行うことが大切です。水やりや施肥など、管理のポイントを確かめていきましょう。
水やり
カーネーションは過湿を嫌います。乾燥気味にさせたほうがよく育つため、過剰に水やりしないように気をつけましょう。水のあげすぎは根腐れの原因にもなるため注意が必要です。
基本的には毎日水やりをするのではなく、土の表面が乾いていたら与えるようにしましょう。鉢植えの場合は、鉢底から水が流れ出るほどたっぷりとあげます。
水やりの際には、花や蕾に直接水がかからないようにします。株が蒸れてしまったり、カビが生えたりする可能性があるため、株元にゆっくりと注ぐことを心がけましょう。
また、水の与えすぎは良くありませんが、水不足になっても生育に影響が出てしまいます。
とくに、蕾の出る時期や茎や根の伸びる時期などは水を多く必要とするため、土の状態をこまめにチェックしてあげましょう。
肥料
植えつけの際には元肥として緩効性肥料『マグァンプK 大粒』を施します。その後は、真夏を除いて定期的に追肥しましょう。
鉢植えの場合は、置肥タイプで効果が持続しやすい『プロミック 草花・鉢花用』がおすすめです。
液体肥料の場合は、1週間から10日に1回『ハイポネックス原液』を与えてください。
地植えの場合は、株元から少し離れたところに『プランティア 花と野菜と果実の肥料』バラまいておくと良いでしょう。
病害虫対策
カーネーションは、高温多湿な環境に置かれていたり、日照時間が不足していたりすると、病害虫の被害に遭いやすくなります。
被害を防ぐためには風通しの良い場所で管理し、土の上に落ちた葉っぱや花はこまめに取り去ることが大切です。密植も風通しが悪くなる原因になるため、ある程度は株間をあけて植えましょう。
また、春先からはアブラムシが発生しやすくなります。アブラムシは植物の汁を吸ったり、病気を媒介したりする害虫です。放っておくとどんどん増えてしまって手がつけられなくなることもあります。見つけたら早めに退治を行いましょう。
アブラムシを発見したら、アブラムシ退治と同時に肥料効果を発揮する『ハイポネックス原液 殺虫剤入り』を250倍に希釈して株元に与えると便利です。
また、植えつけ時に『虫を予防するマグァンプD』を株元にバラまくと、肥料やりと害虫の予防と退治を同時に行うことができます。
花がら摘み
カーネーションの開花期間中は、次々と新しい花が咲きます。花がらをそのままにしておくとエネルギーを取られてしまい、次の花を咲かせる力が弱まってしまうことがあります。咲き終わった花は早めに摘み取っておきましょう。
花がら摘みを行う際は、咲き終えた花の咢(ガク)の下あたりをカットします。雑菌が入らないよう、清潔な刃物を使いましょう。このとき、脇に生えている蕾を傷つけないように作業するのがポイントです。
また、葉や地面の上などに落ちた花がらも取り除いて処分しておくことがおすすめです。放っておくとカビが生えてしまい、病害虫被害を招くケースもあります。
切り戻し・間引き剪定
一通り花が咲き終わった茎は、新芽や脇芽を残した位置でカットしましょう。
生育が促され、次の花がつきやすくなります。
また、茎の数が増えてきて混み合っている場合は、蒸れを防ぐために株元から適度に間引きすることも大切です。植えかえのついでに行っておくと良いでしょう。
植えかえ
鉢植えのカーネーションは、定期的に植えかえを行うのがおすすめです。植えっぱなしにしていると根詰まりを起こしてしまうことがあります。
下葉が枯れたり、花が咲きにくくなったりする可能性があるため気をつけましょう。
植えかえの適期は暑さが落ち着いた秋頃です。開花が終わった株を切り戻して、新しい用土に植えかえましょう。鉢は一回り大きなものを用意します。
根を傷つけてしまわないよう、慎重に掘り起こして植えてあげましょう。作業が終わったらたっぷりと水やりします。
また、植えかえが済んだら、1週間ほど直射日光を避けて管理します。鉢植えの場合は風通しの良い日陰や半日陰に移して、少しずつ元の日なたへ戻しましょう。
カーネーションの育て方|増やし方や注意点

カーネーションを長く育てていると、生育が悪くなり、草姿が乱れやすくなってきます。
栽培に慣れてきたら、挿し木(挿し芽)に挑戦してみるのもおすすめです。挿し木を行うことで、親株と同じ性質を持つ株を増やすことができます。
カーネーションの挿し木の適期は6月、9月~10月頃です。肥料の含まれていない清潔な土と、育苗ポットや鉢、ハサミなどを準備して作業しましょう。ハサミは事前に消毒を済ませておきます。
なるべく元気の良い若い茎を選び、10cm程度の長さで切り取って挿し穂をつくります。切り口は斜めにしておき、下のほうについている葉は取り除きましょう。そのまましばらく水につけて吸水させます。
吸水させた挿し穂を挿し木用土に挿します。発根するまでは用土が完全に乾いてしまわないよう、こまめに水を与えましょう。また、直射日光の当たらない風通しの良い場所に置いて管理します。
順調にいけば1ヵ月程度で発根します。お好きな鉢や花壇などに植えかえて、水や肥料をあげながら栽培していきましょう。摘心を繰り返しながら大きく育てていくと、脇芽が伸びて花数が増えます。
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おわりに

カーネーションは幅広い種類があり、お気に入りの品種を選びやすいのが魅力のひとつです。丈夫で育てやすいため、これからガーデニングを始めたい方にもおすすめできます。
多湿には弱いので水をあげすぎないように注意し、蒸れないような環境を整えてあげましょう。適切な方法でお手入れしていけば、長く花を楽しむことも可能です。
今回ご紹介した情報も参考にしながら、カーネーションを大切に育てていきましょう。
公開:2019年5月12日
更新:2023年5月13日
更新:2025年4月15日
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