水耕栽培の始め方｜基本の方法や育てやすい植物、注意点

水耕栽培とは、土を使わずに植物を育てる方法のことです。肥料を含んだ水のみで育てることもあれば、ハイドロボールやスポンジなどの培地を使って栽培することもあります。

一般的な土耕栽培では土に含まれた栄養を使って植物が生長しますが、水耕栽培では栄養が不足しやすい点に留意が必要です。そのため、肥料を加えた水を与えることで植物の生育を促します。

水耕栽培のメリットのひとつは、屋外での栽培と比較すると虫がつきにくいことです。

「ガーデニングを始めたいけれど虫が苦手……」という方も、完全に室内で育てられる水耕栽培ならチャレンジしやすいでしょう。

屋外での栽培と異なり、天候に左右されにくい点も魅力です。雨や風、気温などの影響を受けにくく、安定した環境で育てることができます。

ただし、室内では日光が不足しやすいため、日当たりが悪い場合は工夫する必要があります。

また、植物によっては小さな容器でも栽培でき、スペースを取らずに管理することができます。

ペットボトルや瓶などの空き容器を使った栽培も可能です。手軽に取り組みやすい点も水耕栽培のメリットといえるでしょう。

水耕栽培が気になるものの、何が育てられるかわからないという方も多いかもしれません。

ここでは、水耕栽培でも簡単に育てやすい植物をご紹介します。気になるものを見つけたら、ぜひ栽培にチャレンジしてみましょう。

ダイコンやニンジンなどの根菜を水耕栽培で育てるのは難度が高いといわれています。

反対に、葉を収穫して食べる葉物野菜は水耕栽培にぴったりです。とくに、水耕栽培が初めてという方は葉物野菜の栽培から始めてみると良いでしょう。

球をつくらないリーフレタスは、水耕栽培で手軽に育てることができます。

種まきから収穫までの期間も短く、少しずつ摘み取れば長く味わうことも可能です。

コマツナの旬は冬場ですが、15℃～25℃程度の場所なら元気に育ってくれます。種まきから1ヵ月程度で収穫可能です。

また、食材として使ったコマツナの根元を水につけ、発根させて再び葉の収穫を目指す「リボベジ」にも向いています。

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みずみずしい食感が魅力の水菜も、栽培しやすい葉物野菜のひとつです。草丈15cm程度になったら、適宜収穫して食べていきましょう。

水耕栽培では難しいとイメージする方も多いかもしれませんが、実をつける果菜類も土を使わずに育てることができます。

実の重みで倒れやすくなるため、しっかりと固定してあげましょう。

水耕栽培の場合、実が大きく育つ品種よりは、ミニトマトのように小さく育つものを選ぶのがおすすめです。

茎がよく伸びるため、ある程度のスペースを確保しておきましょう。

トマトと同様、ミニキュウリのように小さく育つ品種を選ぶことがおすすめです。つるをよく伸ばすため、芽かきや摘心などを行いましょう。

料理で使用するハーブも、水耕栽培で育てやすい植物です。一株だけでも育てておくと、好きなタイミングで少しずつ収穫して、新鮮なハーブを使うことができます。

キッチンの窓辺などを活用して育ててみましょう。

シソ科のバジルは、チーズやトマトなどとの相性が良いハーブです。

すっきりとした甘みのある香りが特徴で、ピザにのせたりサラダに和えたりすると良い彩りになります。

セリ科のパクチーは、特有の風味を持つ香味野菜です。とう立ちして花を咲かせるまでは何度も収穫を楽しめるでしょう。

イタリア料理に欠かせないイタリアンパセリも、水耕栽培におすすめのハーブです。少しずつ摘んで収穫し、パスタや魚料理など、幅広い料理に活用しましょう。

ミントをご自宅で育てていると、摘みたてのフレッシュな香りをいつでも楽しむことができます。

1回で使う量は多くないため、水耕栽培で少しだけ育てるのが便利です。

インテリアとしてグリーンを取り入れたいものの、部屋で鉢植えを育てるのに抵抗があるという方は、観葉植物を水耕栽培で育てるのがおすすめです。土を使わずに栽培可能なものを探してみましょう。

アイビーは生育旺盛な観葉植物です。水に挿しておくと発根し、そのまま育てていくことができます。

ある程度大きくなったらハイドロボールなどに植えかえてあげると良いでしょう。

アイビーと同じく、ドラセナも水挿しで発根させることができます。細長い葉の観賞を楽しみましょう。

ぼこぼことした形が魅力のガジュマルも、水耕栽培で育てることが可能です。土で育てていたものを植えかえて水耕栽培することもできます。

きれいな花を咲かせる球根植物にも、水耕栽培で育てやすいものがたくさんあります。ぜひお部屋で育てて咲かせ、季節の移ろいを感じましょう。

華やかな香りと大きな花が特徴のヒヤシンス。球根から伸びる白い根も美しいため、透明な容器で楽しむのがおすすめです。

【PlantiaQ&A】植物の情報、育て方をQ&A形式でご紹介

小ぶりなクロッカスの花は、ちょっとしたスペースで栽培を楽しみたいときにぴったりです。

複数の球根をまとめて、寄せ植えのようにして育てると見ごたえがあるでしょう。

ブドウに似た青紫の花をつけるクロッカスも、水耕栽培で育てやすい植物です。おしゃれな容器に入れてインテリアとして楽しむのも良いでしょう。

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水耕栽培の容器や培地などは、ご自宅にあるものを活用してすぐに揃えることもできます。

ここでは、水耕栽培を始めるにあたって準備しておきたいものをご紹介します。必要なアイテムを確認してみましょう。

お好きな植物の種や苗、球根を準備します。ホームセンターや園芸店などで販売されているもので問題ありません。

現在は市販されている水耕栽培用キットもあるため、手軽に始めたい方は購入して試してみるのもおすすめです。

水耕栽培の容器は土耕栽培用の鉢とは異なり、底に穴の開いていないものを使います。ご自宅にあるタッパーやトレー、ペットボトル、瓶などを活用することもできます。

ただし、水耕栽培では定期的な水替え作業が必要となります。ザルやネットなどがついており、水替えしやすい容器を選ぶとお手入れが楽になるでしょう。

お好きな容器を利用して、水耕栽培用の入れ物を自作するのもおすすめです。

また、容器が透明の場合は根の様子が見えやすいほか、水の状態を確認しやすいメリットがあります。

ただし、日光の影響を受けて藻が発生しやすくなる点には留意が必要です。気になる場合は遮光できる色つきの容器を使用しましょう。

培地を使って栽培する場合は、スポンジやハイドロボールなどを準備します。スポンジは網がついておらず、柔らかいものを選びましょう。

ハイドロボールは市販されているものを購入します。育てる植物に合わせて粒の大きさを選びましょう。

基本的に根が細くコンパクトな植物には小粒、根が太くサイズの大きい植物には大粒が適しています。

水耕栽培で植物を元気に育てるためには、定期的に肥料を与えることが重要です。

ただし、一般的な土耕栽培用の肥料は水耕栽培には適していません。水耕栽培用と記載された肥料を購入しましょう。

液体タイプや粉末タイプなどの種類があるため、ご自分の使いやすいものを選ぶのが大切です。

また、最初は最低限のアイテムを揃えて、必要に応じて増やしていくのがおすすめです。

たとえば、日光不足で植物がうまく育たない場合は、LEDライトを用意して光を当ててあげると良いでしょう。

室内栽培用のライトも販売されているため、気になる方はチェックしてみることがおすすめです。

水耕栽培にはさまざまな栽培方法があります。植物のタイプに合わせて適切なやり方を確かめて実践しましょう。

ここでは、種から野菜やハーブなどを育てる場合の基本的な方法をご紹介します。

種から育てる場合は、スポンジを活用する方法が手軽です。容器の中にスポンジを置いて水を含ませたら、その上に種をまきましょう。

水耕栽培では土を使った栽培とは異なり、覆土することができません。種が乾燥しないように管理することが大切です。

こまめにスポンジに水を含ませましょう。容器にラップをかけて保湿しやすい状態を保ったり、霧吹きを使ったりするのもおすすめです。

種まきからしばらくの間は施肥を行わず、水を替えるのみにとどめます。発芽してから2～3日後、根が出てくるタイミングを目安に肥料を与え始めましょう。

基本的には水替えの際、粉末タイプの『微粉ハイポネックス』を薄めた水を与えます。肥料の説明書をよく読んで、使用する頻度や希釈する量などを守りましょう。

より簡単に使用できる液体タイプの『キュート ハイドロ・水栽培用』もおすすめです。

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週に2～3回程度の頻度で水を替えてあげます。交換せずにいると水が濁り、藻やぬめり、カビなどが生じることもあるため注意が必要です。

とくに日当たりの良い場所に置いていると汚れやすくなるため、こまめに水を替えるとともに、容器をお手入れしたほうが良いでしょう。

種まき後に発芽し、ある程度育ってきたら少しずつ間引きをしていきます。

間引きせずに育てていくと窮屈になり、植物が大きく育たなくなるため気をつけましょう。

サラダ菜などであれば、間引いたものをベビーリーフとして食べることもできます。

葉物野菜などは、ある程度育ったらすぐに収穫するのがおすすめです。外側についた葉から、使う分だけ少しずつ摘み取っていきましょう。

水耕栽培は手軽に取り組みやすい方法ですが、うまく育てるためにはいくつか注意しておきたいポイントがあります。

注意点を押さえておき、日々の管理に活かしましょう。ここでは、水耕栽培を行ううえで知っておきたいポイントを解説します。

水耕栽培は室内で行うケースが多くなります。屋外での栽培に比べると日光不足になりやすい点に注意が必要です。

日の差し込む窓辺などに植物を置くように心がけましょう。

また、日当たりの悪い部屋であればLEDライトなどを使って光を当てるのがおすすめです。育てる量が多い場合は照射できる範囲の広いライトを探しましょう。

水の交換や容器の掃除を怠ると、藻やカビの原因になることがあります。水耕栽培は手間がかかりにくい育て方ですが、水の管理には気を配りましょう。

基本的に水の量が少ないほうが傷みやすいため、こまめに交換するのがポイントです。

空気の通りが悪い場合、植物が蒸れてカビや病気などが生じてしまう可能性があります。生育も停滞しやすいため、風通しの良い状態を保つのが大切です。

ただし、室内では空気の通り道をつくるのが難しい場合もあります。サーキュレーターや扇風機を使って風を循環させましょう。

人工的な風が当たる場所では植物が乾燥しやすくなります。水も減りやすくなり、いつの間にか水切れを起こしてしまう可能性もあります。冷暖房器具のそばに置くのは避けましょう。

水耕栽培では、つねに根が水に浸かっている状態となります。

ただし、株元まで深く水に沈んでしまうような状態になると、根腐れしてしまうことがあるため注意が必要です。容器の水位には注意し、根がすべて浸からないようにしましょう。

また、根腐れ防止剤を活用するのもひとつの方法です。

水耕栽培であれば、ご自宅にプランターを置く場所や花壇などがなくても、植物の栽培を始めることができます。

育ててみたい野菜やハーブ、花などがある場合は、ぜひ気軽にチャレンジしてみるのがおすすめです。

今回ご紹介した植物のほかにも、育てやすいものはたくさんあります。お気に入りのものを見つけて育て、水耕栽培を楽しみましょう。

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