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東京花散歩 花と緑の下町を歩く 晴海から月島、木場へ

東京花散歩 花と緑の下町を歩く 晴海から月島、木場へ

4月のある日の午後、都営地下鉄大江戸線勝どき駅から 東京メトロ木場駅まで、花と緑を楽しみながら街歩きをし ました。

勝どき駅からトリトンブリッジを渡り、晴海トリトンス クエアへ。開業 20 周年を迎えたこのスポットは、花と緑と水をテーマに、ショップやオフィス、住宅がある複合施 設です。特に、2 階にある花のテラスとそれに続く緑のテラスは、人気の草花の品種あり、花木あり、色のきれいな 葉物ありで、まさに“都会のオアシス”と呼ぶにふさわし い空間が広がっていました。

月島から見る晴海トリトンスクエア

月島から見る晴海トリトンスクエア

ビルのフロントにあるガーデン

ビルのフロントにあるガーデン

花のテラスに咲くギョウリュウバイ

花のテラスに咲くギョウリュウバイ

特に、花好きのわたしが見たここの特徴は、写真付きで 花の名前が表示されていることです。ガーデンに植えると どんな感じで咲くのか、草丈は、株のボリュームは、そし てどんな植物と合わせるとよいかなど、庭に植えたときの その植物の様子が実際に見られるので、園芸が好きな人に とっては、まるで品種見本園のような楽しみ方ができるこ とです。

草花と木々が 20 年目を迎えて充実した姿を見せてくれます

草花と木々が 20 年目を迎えて充実した姿を見せてくれます

石のベンチの後ろにはモッコウバラが咲いていました

石のベンチの後ろにはモッコウバラが咲いていました

華やかな草花の競演する花壇

華やかな草花の競演する花壇

そして、わたしが今回気になったのは、グーデニアと黄 色いマーガレットです。グーデニアは特徴のある咲き方を しますし、マーガレットの黄色い花は魅力です。どちらも ガーデンで使ってみたら面白いと思いました。

草花の多くは写真付きで品種名まで解説してくれています

草花の多くは写真付きで品種名まで解説してくれています

グーデニア ディエリー クサトベラ科

グーデニア ディエリー クサトベラ科

マーガレット デイジーイエロー キク科

マーガレット デイジーイエロー キク科

花のテラスから緑のテラスへ。花よりも木々が茂り、緑 の回廊を作っています。都会の森林浴を楽しんだ後は、対 岸に見える月島へと散歩を続けます。

コニファー類もある緑のテラス

コニファー類もある緑のテラス

季節の花木が通路の両側を彩ります

季節の花木が通路の両側を彩ります

オオデマリ

オオデマリ

東京で最も早く埋め立てられた月島

東京で最も早く埋め立てられた月島

月島は、今でこそ高層マンションやビルが立ち並ぶエリ アですが、明治時代に東京で最も早く埋め立てられた土地 です。近年、もんじゃ焼きやお好み焼きで知られるエリア で、もんじゃストリート(月島西仲通り商店街)には人気 のお店が立ち並びます。そして、わたしの好きな月島は、 そのもんじゃストリートを軸に左右に展開する路地の園芸 です。

路地の園芸
路地の園芸
もんじゃストリート(月島西仲通り商店街)

もんじゃストリート(月島西仲通り商店街)

最初に訪れたのはもう 10 年数年前のことですが、その頃は昔ながらの路地がまだまだ残っていて、驚くほど路地の園芸が盛んでした。しかし、年々、古い建物の建て替 えやビル開発による路地の消滅など、昔ながらの風情ある 光景も少なくなってきています。今回も、やはり前回(一 昨年)と変わっているところがありました。

路地の園芸
路地の園芸
路地の園芸

路地の園芸の植物キーワードは、わたしが勝手に言って いるのですが、3種のランです。とにかく、数多く見るの がクンシラン、オリヅルラン、そしてシンビジューム(ラ ン科)です。最近、一般の家庭では多く見られなくなった 植物たちですが、ここでは彼らが主役です。言ってみれば 昭和の園芸を思う存分に楽しめます。トロ箱植えなども健 在でした。

シンビジューム(洋ラン)

シンビジューム(洋ラン)

クンシラン

クンシラン

オリヅルラン

オリヅルラン

路地の園芸を楽しんだら、大江戸線で一駅、門前仲町へ 移動します。門前仲町は、成田山深川不動尊や富岡八幡宮 で知られる昔ながらの門前町です。それぞれの境内に立ち 寄って木場公園へと進みます。

成田山深川不動尊

成田山深川不動尊

富岡八幡宮

富岡八幡宮

途中、八幡堀遊歩道では、今でも現役の東京で最も古い 鉄橋八幡橋(旧弾正橋)に出会いました。そして、このエ リアでは普通に鉄橋に出会います。橋に出会うと最近は橋 の名前が気になります。まずは、道路の起点側、橋の左側 に名前が漢字で表記され、そして渡った側には読みが表記 される、という橋のルールを確認してしまいます。また、 日本語読みだと普通〇△ばし、と濁音になるところ、濁る

のは水が濁るにつながるので〇△はしと濁らない、という 都市伝説じゃなくて、こだわりも確かでした。

東京で一番古い鉄橋、八幡橋(旧弾正橋)

東京で一番古い鉄橋、八幡橋(旧弾正橋)

古い鉄橋を保存、そこにはコデマリが繁茂していました。

古い鉄橋を保存、そこにはコデマリが繁茂していました。

鶴歩橋

道路の起点側その橋げた左側に橋の名前「鶴歩橋」が記されています。この側の橋向うには「かくほはし」と記されています。

 

 

さて、そんな橋を楽しみながらやってきた木場公園で す。ここには都市緑化植物園があって、その中にある帰化 植物見本園がわたしのお気に入りです。帰化植物という と、まさに外国から来た見たこともない植物たち、みたい な感じを持つ方もおられるかもしれませんが、例えばオオ イヌノフグリのように、よく見る身近な植物の多くが、実 は帰化植物だったりします。明治時代に導入されたもの が、すっかり日本に馴染んでしまい、昔からあるような植 物になっているのですね。

木場公園都市緑化植物園帰化植物見本園

木場公園都市緑化植物園帰化植物見本園

コエンドロ セリ科 地中海沿岸

コエンドロ セリ科 地中海沿岸

コバンソウ イネ科 ヨーロッパ

コバンソウ イネ科 ヨーロッパ

ハマダイコン アブラナ科 原産不明

ハマダイコン アブラナ科 原産不明

ヤグルマギク キク科 ヨーロッパ

ヤグルマギク キク科 ヨーロッパ

モモイロタンポポ キク科 ヨーロッパ

モモイロタンポポ キク科 ヨーロッパ

アオイカズラ アブラナ科

アオイカズラ アブラナ科

木場公園から木場駅へと向かいますが、時間があるので 駅を通り越して深川ギャザリアへ立ち寄りました。大規模 商業施設とオフィスビルが立ち並ぶ開発エリアですが、オ フィスビルの1階に素敵なガーデンがあります。季節の花 も咲いていますが、グラス類を多用して、あまり華やかに せずに落ち着いた感じのガーデンになっています。大人の 雰囲気があってなかなかいいと私は思っています。

深川ギャザリアのガーデン内通路

深川ギャザリアのガーデン内通路

グラス類が多用されている深川ギャザリア

グラス類が多用されている深川ギャザリア

ハンギングバスケットも落ち着いた雰囲気

ハンギングバスケットも落ち着いた雰囲気

少しだけ咲く草花が季節を表現してくれます。花と緑のバランスが いい感じです。

少しだけ咲く草花が季節を表現してくれます。花と緑のバランスが いい感じです。

東京の下町花散歩はこれで終わりますが、花と緑を楽し みながら、歴史の風情も楽しんでしまう、東京でもなかな

 

か他には少ない散歩エリアとして気に入っています。新型 コロナウイルス感染拡大による、外出の自粛が要請されて います。散歩などでは、最善の感染対策をとって少人数で の外出にしましょう。季節に出会う花と緑たちがきっとあ なたを癒してくれると思います。

 

アクセス

◎晴海トリトンスクエア 都営地下鉄大江戸線勝どき下車

◎月島 東京メトロ有楽町線、都営地下鉄大江戸線月島下車

◎深川不動、富岡八幡宮 東京メトロ東西線、都営地下鉄大江戸線、門前仲町駅下車

◎木場公園、深川ギャザリア 東京メトロ東西線木場駅下車

 

取材・撮影 出澤清明

 

出澤清明
園芸雑誌の元編集長。植物自由人、園芸普及家。長年関わってきた園芸や花の業界、植物の世界を、より多くの人に知って楽しんでもらいたいと思い、さまざまなイベントや花のあるところを訪れて、WEBサイトやSNSで発信している。

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