【チョコレートコスモスの育て方】ベランダでもOK!鉢植えで長く咲かせるポイント
チョコレートコスモスは、その名のとおりチョコレートを思わせる色合いと甘い香りが魅力の花です。
園芸品種は比較的育てやすく、花壇や鉢植えに取り入れれば個性ある彩りを添えてくれます。
本記事では、チョコレートコスモスの特長から育て方のポイントをわかりやすく解説します。
- 目次
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- チョコレートコスモスの育て方|基礎知識
- チョコレートコスモスとは?
- チョコレートの香りがする理由
- チョコレートコスモスの育て方|主な品種
- コスモス・アトロサンギネウス
- ノエル・ルージュ
- ショコラ
- キャラメル・チョコレート
- チョコレートコスモスの育て方|基礎の栽培方法
- チョコレートコスモスが好む栽培環境
- 土づくり
- 植えつけ
- 水やり
- 肥料
- 切り戻し・摘芯
- 花がら摘み
- 増やし方
- チョコレートコスモスの育て方|夏越し・冬越し
- 夏越しを成功させるコツ
- 冬越しを成功させるコツ
- チョコレートコスモスの育て方|病気・害虫対策
- 主な病気と対策
- 主な害虫と対策
- チョコレートコスモスの育て方|よくある栽培トラブル
- 花が少ない・咲かない原因は?
- 株が蒸れて枯れる原因は?
- 葉が白く粉をふく原因は?
- 株が年々弱る原因は?
- おわりに
チョコレートコスモスの育て方|基礎知識
チョコレートコスモスは、黒っぽい茶色や赤色などの濃い花びらを持ち、花姿は一般的なコスモスに似ています。
名前の由来は、花から漂うカカオのような香りにあり、深みのある花色もまた、お菓子のチョコレートを連想させます。
まずは、チョコレートコスモスの特長や魅力から見ていきましょう。
チョコレートコスモスとは?
チョコレートコスモスは、メキシコを原産地とするキク科コスモス属の多年草です。
最大の魅力は、その名前のとおりチョコレートのような深い赤褐色の花色と、ほのかに漂う甘い香りにあります。
通常のコスモスとは異なり、ダリアのような塊根(球根)をつくって冬を越す宿根草タイプの植物です。
草丈は30cm~50cm程度とコンパクトなので、鉢植えでの栽培にもぴったりです。
開花時期は5月~11月と長く、品種によっては何ヵ月もの間、次々と花を楽しめます。
原種は野生ではすでに絶滅したとされており、現在流通している株は挿し芽や分球で増やされたものです。
チョコレートの香りがする理由
甘い香りの正体は、花に含まれる植物由来「バニリン」という特殊な芳香成分によるものです。
実際にはチョコレートの成分そのものではなく植物由来の成分ですが、人の嗅覚にはチョコレートやバニラに似た甘い香りとして感じられるといわれます。
この香りは気温が上がるにつれて強くなる性質があり、特に午後の暖かい時間帯に強い香りを感じることができるでしょう。
香りの強さは品種によって差があり、原種に近いものほど香りが強い傾向があります。
中には、改良品種の中にはほとんど香りのないものもあるため、品種選びの際にはラベルを確認してみましょう。
チョコレートコスモスの育て方|主な品種
チョコレートコスモスには原種と改良品種があり、それぞれ栽培の難易度や特長が異なります。
ご家庭の栽培環境や経験に合わせて、お好みの品種を選んでみてください。
コスモス・アトロサンギネウス
チョコレートコスモスの原種にあたり、もっとも香りが強く、深い黒紫色の花を咲かせるのが特長です。
野生ではすでに絶滅しており、現在出回っている株はすべて挿し芽や分球による栄養繁殖で育成されています。
香りを重視する方にはおすすめの品種ですが、高温多湿やうどんこ病に弱く、夏越しが難しいです。
そのため、風通しの良い涼しい場所での管理が育成のポイントになります。中〜上級者向けの品種といえるでしょう。
ノエル・ルージュ
キバナコスモスとの交配によって生まれた秋咲きの改良品種です。秋空に映える温かみのある、赤みの強い花色が特長です。
原種に比べて高温やうどんこ病に強く、育てやすさが増しています。秋の涼しい時期に一斉に開花し、短期間ながら華やかな景観を楽しめる品種です。
比較的育てやすいことから、ガーデニング初心者の方にもおすすめです。
ショコラ
コスモス・アトロサンギネウスに近い姿を持ちながら、暑さと寒さの両方に強く、栽培が容易な交配種です。
株もコンパクトにまとまりやすいため鉢植えにも適しています。
春から秋まで長く咲くグループに分類される品種で、初心者から中級者まで幅広い層に人気があります。
キャラメル・チョコレート
オレンジ色がかすり状に混じった珍しい花色を持つ交配種で、花茎が堅く、切り花に適しています。
従来のチョコレートコスモスよりも明るい雰囲気をもち、花壇に植えると華やかな彩りを添えてくれます。
チョコレートコスモスの育て方|基礎の栽培方法
チョコレートコスモスは特長的な花の色をしています。ぜひご自宅で育て、お庭のインテリアを個性的に彩りましょう。
チョコレートコスモスが好む栽培環境
チョコレートコスモスは、日当たりと風通しの良い環境を好みます。十分に日光を浴びると花つきが良くなり、香りも強まります。
ただし、夏の強い西日や直射日光は葉焼けの原因になるため、猛暑期は注意が必要です。
特に真夏の午後は、葉焼けや株の弱りにつながることがあるため、遮光ネットや鉢の移動などで対策をとると良いでしょう。
理想的なのは、午前中に日が当たり、午後は明るい日陰になるような場所です。
さらに、チョコレートコスモスは多湿を極端に嫌うため、風通しを確保して株が蒸れないように管理することが、病気を防ぐ上で重要になります。
土づくり
チョコレートコスモスは水はけの良い有機物に富んだ土を好みます。
配合する場合は、赤玉土小粒5、腐葉土3、酸度調整済みピートモス2の配合土などに『マグァンプK中粒』を混ぜ込んでください。
市販の培養土を使用してもかまいません。元肥としてマグァンプKが配合されている『ハイポネックス培養土 鉢・プランター用』がおすすめです。
特に原種系のチョコレートコスモスを育てる場合は、湿気に非常に敏感なので水はけの良い環境を作ることが重要です。
植えつけ
チョコレートコスモスの原種は種子をつくらず、挿し芽や分球で増やすのが一般的です。
園芸品種も同様に種をつくらない性質を持つため、苗を購入して育てましょう。
植えつけは5月~8月の気温が安定して暖かくなるころに行いましょう。
品種によって開花するタイミングが異なるため、苗を選ぶ際に植えつけ時期も確認してください。
水やり
株が良く育つ春~秋は、土の表面が乾いたタイミングでたっぷりと水を与えましょう。
常に土が湿った状態が続くと、根腐れや病気の原因になるので注意しましょう。
地植えの場合は、自然の降雨に任せて、頻繁な水やりは必要ありません。
ただし、球根は完全に乾くと枯れてしまうため、何日も雨が降らず、土が乾いていたら水を与えてください。
肥料
チョコレートコスモスは、肥料を頻繁に与えすぎると花つきが悪くなる傾向があります。
春と秋の2回、『プランティア 花と野菜と果実の肥料』を与えるのがおすすめです。コーティングタイプの肥料なので、ゆっくりと効いて根への負担も少なく育てることができます。
特に、冬越しさせたい場合は秋のうちに施肥を行って根にしっかりと栄養を与えておきましょう。
また、夏の時期に株が弱っていても、すぐに施肥するのは控えましょう。株に負担がかかり、かえって元気がなくなってしまう可能性もあります。
日が当たりすぎていないか、水を与えすぎていないかなど、株が弱っている原因を探して対処しましょう。
夏バテや根が弱っている時は、活力液『リキダス』を与えましょう。
切り戻し・摘芯
切り戻しと摘芯は、たくさんの花を楽しむために欠かせない作業です。また、株の形を整え、風通しをよくすることで、蒸れや病害虫を防ぐこともできます。
最初の切り戻しは、春の花が終わり、梅雨に入る前の6月ごろに摘芯を兼ねて行いましょう。
草丈の半分~3分の1程度の高さまで全体を刈り込むことで、夏の高温多湿に備えます。
また、枝が分岐し、秋に多くの花を楽しめるようになります。
その後、秋の花が一通り咲き終わった11月ごろに2回目の切り戻しをおこないます。株の消耗を防ぎ、冬越しに向けた準備を整えましょう。
この時期の切り戻しは、刈り込みすぎないよう注意し、株全体を軽く整える程度にとどめます。
花がら摘み
チョコレートコスモスは一株に多数の花をつけます。花がらを放置していると栄養を取られ、次の花を咲かせる元気がなくなってしまいます。
また、うどんこ病などの病気を引き起こす原因にもなります。
花のようすを頻繁に観察し、花がらがあれば花茎ごと摘み取りましょう。
増やし方
チョコレートコスモスは、分球と挿し木で増やすのが一般的です。
分球とは、株の根元にできた塊根を分けて、新しい株として育てる方法です。
数年育てて大きくなった地下の球根(塊根)が、自然に分かれて増えていくのを利用します。
作業の適期は春(3月~4月)で、掘り上げた球根を手で優しく割るようにして分けてください。分けた球根は、湿らせた新聞紙などに包んで一時的に保管します。
挿し木は、茎の一部を切って土に挿し、新しい根を出させる方法です。
元気の良い茎を先端から10cmほどの長さに切り、挿し木用の土に挿して発根させてください。気温が安定し、発根がしやすい5月~7月が適期です。
チョコレートコスモスの育て方|夏越し・冬越し
夏の高温多湿と冬の寒さは、チョコレートコスモス栽培における大きな課題です。
それぞれの季節に合わせた適切な管理をおこない、季節を乗り切りましょう。
夏越しを成功させるコツ
チョコレートコスモスは高温多湿に弱いため、夏の管理がポイントです。
鉢植えの場合は、梅雨明けから猛暑が終わる9月頃までは直射日光を避け、半日陰や建物の東側など涼しい場所に移動させましょう。
地植えの場合は、植えつけ時から夏場の環境を考慮した場所を選ぶことが大切です。
夏越しの期間は株の生長が緩やかになるため、水やりは控えめにし、肥料も与えないようにします。
さらに、梅雨前に切り戻しをしておくことで風通しがよくなり、株が蒸れにくくなるため夏越しがしやすくなります。
冬越しを成功させるコツ
冬越しの方法は、お住まいの地域の気候によって異なります。
比較的温暖な地域では、地植えのままでも冬越しが可能です。地上部が枯れたら株元で切り戻し、腐葉土やバークチップを厚く敷いてマルチングし、霜よけ対策をしましょう。
一方、地面が凍結するような寒冷地では、球根を掘り上げて室内で保管する必要があります。
目安は11月下旬〜12月上旬で、霜が降りて地上部が枯れた頃に作業してください。球根を傷つけないように丁寧に掘り上げ、土を優しく落としてから数日間日陰で乾燥させましょう。
その後、乾いたおがくず・ピートモス・バーミキュライトなどを入れた箱に球根を収め、凍らない涼しい場所で春まで保管します。
チョコレートコスモスの育て方|病気・害虫対策
チョコレートコスモスは比較的病害虫に強い植物ですが、栽培環境によっては被害を受けることがあります。
特に風通しが悪い環境において病気が発生しやすくなるため、日ごろの観察と環境を整えることが大切です。
主な病気と対策
チョコレートコスモスで注意したい病気は、主に「うどんこ病」と「灰色かび病」です。
うどんこ病は葉の表面に白い粉をまぶしたようなカビが現れる病気で、春や秋の乾燥した時期に発生しやすくなります。
灰色かび病は花や茎、葉に灰色のカビがつき、次第に腐敗していく病気で、梅雨どきなど湿度が高いときに発生しやすいのが特長です。
いずれも株間を広めにとり、風通しをよく保つことで予防できます。症状が出た葉は早めに取り除き、感染の拡大を抑えてください。
主な害虫と対策
4月~11月ごろにはアブラムシが発生することがあります。
新芽や蕾につきやすいためこまめにチェックし、見つけ次第すぐに取り除きましょう。水で洗い流すのも効果的な方法です。
アブラムシは湿気の多い場所で繁殖しやすいため、病気同様に風通しの良い環境を整えることが予防につながります。
より確実に対処したい場合は、アブラムシ退治と施肥が同時にできる液体肥料『ハイポネックス原液 殺虫剤入り』を希釈して株元に与えるのがおすすめです。
チョコレートコスモスの育て方|よくある栽培トラブル
ここでは、チョコレートコスモスの栽培でよくあるトラブルと、その原因・対策をまとめました。
つまずきやすいポイントを把握し、未然に防ぎましょう。
花が少ない・咲かない原因は?
主な原因として日照不足や肥料・水分不足、鉢植えにおける根詰まりが考えられます。
日当たりの良い場所で管理しましょう。また、開花期に合わせた適切な追肥や、1年~2年に1回の植えかえで改善することができます。
株が蒸れて枯れる原因は?
風通しの悪さと過湿が原因です。株間を広くとり、切り戻しをして枝数を調整することで、風通しを良くすることができます。
長雨の際は、雨除けを設置したり、鉢を半日陰の涼しい場所へ移動させるなどして湿気を防ぐのが効果的です。
葉が白く粉をふく原因は?
うどんこ病を発症している可能性があります。病気にかかった葉を早めに取り除くことで蔓延を防げます。
混みあった枝葉を取り除き、風通しの良い環境を保ちましょう。
株が年々弱る原因は?
根詰まりや土壌の栄養不足が原因と考えられます。2年〜3年に一度植えかえや分球をおこなうことで株を若返らせることができます。
また、新しい土壌に植えかえることで、栄養バランスも整い、株が元気を取り戻します。
おわりに
落ち着いた花色と甘い香りが魅力のチョコレートコスモスは、暮らしにやすらぎと彩りをもたらしてくれるお花です。
原種はやや栽培が難しいものの、園芸品種であれば初心者でも十分育てられます。
季節ごとに移ろう姿を楽しみながら、チョコレートコスモス栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
公開:2019年9月13日
更新:2025年10月17日
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