更新日:2017.07.03
植物写真を綺麗に撮ろう! 第四回 光の使い方
撮影した写真を見たとき、真っ暗になっていたり、逆に真っ白になっていたりする事ありませんか?そんな光の話を教えていただきます。
光は写真の要!
――光の使い方、というと難しく感じるのですが、光の角度や撮影の時間帯が重要という事ですか。
桜野:まず最初にお伝えしなければいけないのが、「写真は8割が光で決まる」という事です。光というのはもちろん時間帯も含まれます。たとえば晴天の午前中、ほぼ真上からさんさんと日が当たっている状態は一番難しい時間帯だと思います。この状態で綺麗に撮れる植物は、本体が透けていて自分で自分に影を作らない植物ですね。例えば、バラは葉が茂っていて影ができやすいですよね。このように撮りたい主役、この場合はバラですが、主役に光と影が混在すると綺麗に撮ることが難しいです。影の部分の黒と、光が当たる部分の白、という白と黒だけの写真になってしまいます。写真は光の階調が少ない方がより綺麗に撮れる、と覚えてください。
――日がさんさんと当たっていると、目ではすごく綺麗に見えても写真では違うんですね。
桜野:じつは、人間の目というのは脳で都合よく合成しているんです。目で見て綺麗なのに、写真を撮ると綺麗に撮れないというのはよくある事なんです。人間の記憶で「だいたいこのくらいの色だろう」と過去の経験から補正されて映っているので、人間の目に綺麗に映って見えるのは脳のおかげですね(笑)
――人間の目が高性能レンズだったのではなく、脳の指令だったのですね。
桜野:その通りです。このような理由から、まずは直射日光を避けて撮る。そして撮りたい側に直接光が当たる順光を避けてください。この逆の状態、後ろから光が当たるのが逆光になります。ただの逆光だと撮りたい面が影になってしまいますよね。その後ろから来ている光をレフ版という、光を反射させて取りたい面に光を当てる板を使って光を当ててあげます。それが一番きれいに撮れる方法です。
――光を入れる、入れないという話ではなく、どの角度でどう光を当てるかという話なんですね。
桜野:そうですね。まずは自然の光に対して立ち位置を決める事。その上で単なる逆光だと真っ黒になるので、カメラの設定を変える。さらにそれでも光が全面に来るとは言えないので、レフ版を使って光を回してあげる。それが大事です。ただの白い紙一枚でこれだけの変化があるんですよ。
(写真左:紙を入れる前、写真右:紙を入れた後)
――写真で撮るとわかりやすいですし、目で見ても違いますね。レフ版は大事なんですね。
桜野:大事です!あった方がいい、というレベルではなく「なきゃならない」んです(笑)レフ版大事です!携帯で撮るときでもレフ版一つあるだけでワンランク上の写真が撮れます。100円ショップで売っているもので簡単にレフ版は作れるので、それを持ち歩いたり、ない時は白い紙を使うだけでも違うので活用してみてください。
レフ版を作ろう!
100円ショップで材料がそろえられる、簡単レフ版を作ってみました。材料はA3サイズのカラーボード2枚、白のガムテープ。以上です!
1、まずはカラーボード2枚の長い辺を合わせて置きましょう。
2、合わせた継ぎ目を白のガムテープでしっかり貼り付けましょう。
3、ガムテープで貼りあわせた部分を内側にして山折りにし、外側の継ぎ目を白のガムテープで貼りつけましょう。この時、中途半端に開いた状態ではなく、しっかり二つ折りにした状態で貼りあわせてください。
4、これで出来上がり!不安な方は、ボードの周りに補強で白いガムテープを貼ると良いと思います。
レフ版の使い方
では、実際にレフ版を使って写真を撮ってみましょう。まずは、光を入れない状態の写真です。
この状態でレフ版を使い光を入れてみましょう。
光を入れたい場所、この場合被写体である鉢の左側になりますが、こちら側にしっかりと反射して光を当てる事が出来ます。
レフ版を使っている場合と使っていない場合で明るさの違いが分かりますよね。このように、被写体に光を当てて綺麗な写真を撮りましょう。
桜野良充 Profile
岐阜県 出身
1978年10月1日生
ガーデニング・自然写真家。
株)GrandPhoto代表・NPO法人さくら並木ネットワーク理事
英大学院卒業後ロンドンでファッションカメラマンとして活動
2008年帰国後NHK関連の撮影を手がける。ロケ撮影を専門とし各社雑誌・広告写真等を担当。
写真展・講演会・ガーデニング番組の出演等。
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