更新日:2018.05.22
イギリス便り(5月) チェルシーフラワーショー2018
ガーデナーの佐藤麻貴子です。私は毎年、チェルシーフラワーショーでコンテストガーデンづくりのスタッフとして参加しています。そこで見た最新のチェルシー情報をお届けします。
朝7時、会場内へ入るためゲートが開くのを待つ
さて、今年のチェルシーフラワーショーでは近年になく女性デザイナーの起用が多いことが特徴です。それは今年の試みであったということがわかったのは出場者のリストを見た少し後でした。出場者リストは毎年とても楽しみにしていますし、そこからその年の傾向が見えてくるからです。
その前に、「デイリーニュース」の記事を読んで今年はずいぶん女性が多いなとは思っていました。また、その感触は私自身どことなくうれしいものでもありました。
イギリスにおける今までの庭仕事の中で女性であることに偏見を感じることはありませんでした。ただ、力仕事においての男女差はやはり存在します。しかしながらそれは男女差ではなく、どちらかというと個人差という認識に近いように思います。
素敵な庭をつくるにはよいチームワークが必要です。男女問わず業務をこなし結果を出すには、それぞれを尊重し、足りない部分はそれぞれ補うことでチームワークもさらに深まり心に響く庭が生まれます。
ゲートが開き足早に入っていくスタッフたち
さて、今年は女性デザイナーが多いといっても、施工現場の様子はいつもと変わりありません。それでも植物を植える段階では女性の姿が多く見られました。基礎からつくり上げた庭は、植物を植え始めるころになると一気に華やぎます。
そして、審査の日が昨年から変わりました。土曜日にアセスメントが行われ、日曜日が審査です。そのためか早めに仕上げようとみなさん必死になっていました。
それぞの庭がプランティング作業に入り、植栽棚が植物で埋め尽くされている
プランティング作業をする男性たち
各庭で使われ植物は棚に並べられて運ばれます。まだ庭も完成していないのでこの植栽棚を外から覗いて見るとなんとなく植栽の色彩が想像できます。数年前に、男性的な植栽と女性的な植栽について話題になりました。その点から見ると、あくまで私が感じたことになりますが、女性的な色彩が多く見られるような気がしました。
次に向けて話し合いを繰り広げるスタッフたち
開幕後、来場者で埋め尽くされるアベニューの施工中
近年の色彩でトレンドになったオレンジ色はまだ健在です。でも、そこに足される色の傾向が少し変わってきました。植栽の傾向も近年のオーストラリア系の植物よりは、宿根草、多年草が多く使われているように見受けられました。そして、審査は日曜日に行われました。
トレンドになっているオレンジ系の宿根草
出来上がりつつある庭
庭のモチーフになっている、インド、タージマハールのマーブルのデザイン
さて、2018年のチェルシーフラワーショー、審査、プレスデーを経て22日開幕します。次回、今年の結果会場の様子をお届けします。
佐藤麻貴子 Profile
ガーデンデザイナー、ガーデナー
東京の老舗ホテルを退社後、英国で園芸学・ガーデンデザインを学ぶ。英国 チェルシーフラワーショーや長崎ハウステンボス ガーデニングワールドカップでは数々の金賞を受賞しているガーデンデザイナーのコーディネーターを務める。
2011年 makiko design studio を設立。ハンプトンコートフラワーショー2012 に「日本の復興―希望の庭」を初出展。準金賞を受賞。イギリス独特の植栽と、日本庭園を組み込んだ独自のスタイルが文化を越えて好評を博す。
チェルシーフラワーショー100 周年(2013年)では、RHS(英国王立園芸協会) のショー運営本部にて本部長のアシスタントを務め、また、イギリスにあるグレートディクスターでは、現在もガーデナーとして研鑽を重ねるなど、国内外で活動中。
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