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カッコイイ! 剣弁高芯咲きの花

カッコイイ! 剣弁高芯咲きの花

先が尖った花弁をきりっと巻き上げ、上を向いて凛として咲く…バラにはさまざまなスタイルの花がありますが、20世紀が全盛、いまなお熱心な愛好者が多いのが「剣弁高芯咲き(けんべこうしんざき)」の花。「高芯剣弁」とも言われます。ごく一般の方も、バラというとこの花形を思い浮かべる方も多いでしょう。四季咲き大輪種ハイブリッド・ティーローズ(HT)の典型的な咲き方です。

もともとこの咲き方のスタイル、1867年発表の‘ラ フランス’が最初だとされ、その後のさまざまなHTが生み出されました。今年2017年はそれから150年。「第19回国際バラとガーデニングショウ」(5月12日金曜日~17日水曜日、メットライフドーム(旧西武プリンスドーム))では、この‘ラ フランス’を起点とした「バラのタイムトンネル」がつくられる予定です。

カッコイイ! 剣弁高芯咲きの花

(写真:ラフランス)

さてこの咲き方、とくに日本で好まれる花形のよう。花が大きいので海外では最近は「ラージ・フラワード・ハイブリッド・ティー」(英)とか、「グラン・フルール」(仏)とか単に「大きい花」言われます。「クラシック・ショウ・フォーム」(米)などの表現も。

 

さてこの剣弁高芯咲き、最近は花弁の先が尖って外側に反り返って整って咲けばみな「剣弁高芯」と言いますが、厳密に言うと、「剣弁」(花弁の表現)+「高芯」(咲き方の表現)と2つの表現の合体です。かつて問い合わせがあり調べたところ英語表現の一部にありました。剣弁=ピークド・ラペル(尖った花弁)+高芯=ハイ・センター(中央が高い)、さらに+アーン・シェイプ(壺型)、これで初めて「剣弁高芯咲き」となります。つまり芯が盛り上がっていないとそうは言えないワケで、日本では厳密に区別されていました。

 

たとえばこの花、‘天津乙女(あまつおとめ)’。いまは筆を置いた、育種名人・寺西菊雄さんの1960年の作。日本のバラでごく初期に海外に広まった品種で、いまなお親しまれる銘花。寺西さんによるとこれは「剣弁盃状咲き」。芯が盛り上がっていないからです。

(写真:天津乙女)

(写真:天津乙女)

同じ寺西さん作、剣弁高芯咲きの‘ローズ オオサカ’。2006年世界バラ会議大阪大会で、赤バラがお好きな奥様に2003年‘マイ レイコ’として捧げた花が、その名に選ばれました。目の醒めるような真っ赤。これぞバラ。

(写真:ローズ オオサカ)

(写真:ローズ オオサカ)

広く栽培され愛好者に馴染み深い‘プリンセス ドゥ モナコ’(仏メイアン1981年)は普段は丸弁で咲きますが、こんな花に咲くことも。

(写真:プリンセス ドゥ モナコ)

(写真:プリンセス ドゥ モナコ)

ちなみにHTは長がらく花大きさと花色の発色、そして花形が追求され、あまり香りの高い品種は多くありませんでしたが、中には香り高い品種も。この‘パローレ’(独コルデス2001年)は、花径13~15㎝の巨大輪で、とても強いフルーティな香り。

(写真:パローレ)

(写真:パローレ)

そして最新の香りのHT、‘イーハトーブの風’。最近の国内国際コンクールで連続受賞の吉池貞藏さんの作品です。第8回国営越後丘陵公園「国際香りのばら新品種コンクール」で、「初めから最後までピーチ様のフルーツ感とさわやかなゼラニュームのハーブニュアンスのある心休まるティーローズの香り」と評され、HT系銀賞を受賞しています。

(写真:イーハトーブの風)

(写真:イーハトーブの風)

HTは育種しづらいと言います。またかつては「咲く」のではなく園芸技術で「咲かせる」ものと言われました。めったに見ることができない花だったわけです。しかし最近は整ったかたちに咲きやすく、育てやすい品種も増えています。

すばらしく咲いた花を見たときの圧倒的な感動…カッコイイ! 一瞬の永遠です。

 

バラは多様性が命。剣弁高芯咲きHTは、ファッションに例えるならフォーマル。ときにはビシッと決めてみては。

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