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バラをもっと深く知る⑫ 日本のバラ、海外での国際コンクール受賞続く

バラをもっと深く知る⑫ 日本のバラ、海外での国際コンクール受賞続く

海外の国際コンクールで日本のバラが受賞することは、長らく育種家のみならず、バラ関係者の夢でした。ところが最近は日本のバラの受賞が相次ぐようになってきています。最新のニュースでは、‘ニューサ’(ロサ オリエンティス)が、スペイン・バルセロナの第20回国際新品種コンクールで、グラウンドカバー部門賞を受賞しました。

【近年の日本のバラの海外国際コンクールの受賞】

2016年 モナコ ‘シトロナード’(京成バラ園芸) FL部門入賞

 

2017年 ドイツ・バーデンバーデン ‘桜衣(さくらごろも)’(京成バラ園芸)銅賞

 

2018年 モナコ ‘シェエラザード’(ロサ オリエンティス)BEST FL賞・芳香賞

‘恋結び(こいむすび)’(京成バラ園芸) 心の賞

 

2018年 ベルギー・ルロー ‘桜衣(さくらごろも)’(京成バラ園芸)入賞

 

2020年 スペイン・バルセロナ ‘ニューサ’(ロサ オリエンティス)グラウンドカバー部門賞受賞

※発表品種のみ。このほか試作品の受賞もあります。

シトロナード

シトロナード

クリームで中心レモンの中輪。花付き良く株がコンパクト。モナコの国際コンクールは鉢植えで行われています。

恋結び(こいむすび)

恋結び(こいむすび)

濃ピンクの四季咲き大輪品種。フルーティ~スパイシーな強香。2018年モナコのコンクールでバラ愛好家が選ぶ「クー・ド・クール賞(心の賞)」を受賞。高芯咲きから咲き進んでも花芯を覗かせません。

桜衣(さくらごろも)

桜衣(さくらごろも)

ピンク色・中輪。2017年バーデンバーデン銅賞受賞。2018年にはルローでも入賞。2019年京成バラ園芸60周年記念花。国内のコンクールではJRC第4部(シュラブ、つるバラ)銀賞受賞。

バラ

ほかの木立性のバラと同じころに開花。花保ちがとても良く長く咲いています。樹はバーデンバーデンでの受賞時は株の高さ60㎝くらい。日本では枝が2m伸長するつるバラとして。丈夫で育てやすく、まっすぐ枝を立てても株元から花が咲き、房咲きになった花がバランス良く構造物を彩ります。写真は京成バラ園(千葉県八千代市)でのポール仕立て。

シェエラザード

シェエラザード

2013年デビューのロサ オリエンティス。2018年モナコのコンクールでBEST FL賞と芳香賞を受賞。宝珠弁が波打って重なる中輪花が、繰り返して咲き、秋花は花色が濃くなります。ダマスク・フルーツの芳香。国営越後丘陵公園第8回「国際香りのバラ新品種コンクール」S銀賞受賞時には「ダマスク・モダン~咲き始めは軽いアイリス様の粉っぽさ、次第にクローブ様スパイシーやベリー様のフルーツ感が増してくる濃厚なバラの香り」と評されています。第14回ぎふ国際ローズコンテストでは銅賞を、同時に最も香りの良いバラにおくられるローズ・ヒルズ賞も受賞。

バラ

ロサ オリエンティスの一つのスタイルとして確立し代表作となるとともに、その後発表された多くのロサ オリエンティスのマザーローズともなっています。ヨーロッパではアンドレ・エヴ社から‘Princesse d’Orient’(プランセス ダリアン)として紹介。草花ともよく似合います(写真:埼玉県杉戸町・バラの家実店舗)。

ニューサ

‘ニューサ’がバルセロナコンクール グラウンドカバー部門賞受賞

11月に発表された日本のバラの国際コンクール受賞の最新のニュース。アンドレ・エヴ社から出品。‘ニューサ’のヨーロッパの販売名は、‘R’EVE d’enfants’レーヴ ダンファン」。「子供たちの夢」という意味で病気の子供たちを支える非営利団体へ捧げられています。

同コンクールはHT・Gr/FL/ランドスケープ/グラウンドカバー/ミニチュア/クライミング の各部門で賞を設定。10カ国25社からの出品の中から選ばれました。最高得点の品種には「バルセロナ賞」が、そのほか最も樹勢が強い、花が良い、新奇性に富む、芳香が高い、などの品種に賞が与えられています。

‘ニューサ’はノイバラの風情の小輪一重で初冬まで咲き続ける四季咲き小型シュラブ。国内では第13回「ぎふ国際ローズコンテスト」で銀賞・日本ばら会賞・可児市長賞を受賞。鉢はもとより庭のさまざまな用途に使えます。

バラ

ローメンテナンスでも咲き続けるというローズペイザージュの性質も備え、花フェスタ記念公園(岐阜県可児市)の「ウェルカムガーデン」には生垣のようにノックアウトシリーズなどとともに列植。

バラ

エリゲロンと一緒に景観を彩ります。

バラ

和風庭園の庭石やほかの樹木ともよく調和します。

 

一般の愛好家にとっては、専門家たちの評価によって選ばれ顕彰される各種国際コンクールの受賞は、少し縁遠く感じるかもしれません。しかし海外で日本のバラが認められるとなると、例えば国際舞台でのスポーツ選手の活躍したときのように、何となく誇らしい気持ちに。バラを選ぶとき国際コンクールの受賞情報もよくチェックして、日本生まれのバラをもっと応援したいものです。

玉置一裕

玉置一裕

Profile
バラの専門誌『New Roses』編集長。
『New Roses』の編集・執筆・アートディテクションを行うかたわら、ローズコーディネーターとしてバラ業界のコンサルティングやPRプランニング、関連イベントのコーディネート、バラの命名等に携わる。
また園芸・ガーデニング雑誌への執筆や講演を通じて、バラの「美」について語ると同時に、新しいバラの栽培法の研究も行っている。

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