イタリアンパセリの育て方|栽培方法や収穫のコツ、増やし方
イタリアンパセリは、イタリア料理で使われることの多いパセリの一種です。
ご自宅に植えておけば、気軽に新鮮な葉を収穫して味わえます。イタリアンパセリがお好きな方は、ぜひ家庭菜園で育ててみましょう。
今回は、イタリアンパセリの基礎知識や基本的な育て方、お手入れ方法、増やし方などを詳しく解説します。
イタリアンパセリの育て方|ハーブの特徴や魅力
イタリアンパセリはハーブとして親しまれており、料理の風味付けとして幅広いレシピで使われています。なかでも、名前の通りにイタリア料理でよく利用されていることが特徴です。
ご自宅に植えておくと好きなときに収穫して使えるので、イタリア料理がお好きな方はぜひ栽培してみることがおすすめです。
イタリアンパセリの特徴
イタリアンパセリはニンジンやパクチー(コリアンダー)、セロリなどと同じセリ科の植物です。
原産地は地中海沿岸のエリアで、ヨーロッパでは古くから利用されてきたハーブでもあります。草丈は20cm~30cm程度で、茎や葉をたくさん茂らせます。
葉は柔らかく、そのままサラダやパスタなどに散らしたり、刻んでソースに混ぜたりして使われます。茎はブーケガルニの材料としても人気です。
一般的なパセリとの違い
パセリと聞くと、縮れた葉の「縮葉種」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
イタリアンパセリは葉が縮れていない平葉種に該当します。葉には切れ込みが入っており、一般的なパセリと比較すると柔らかく、苦みが少ないことが特徴です。味はよく似ていますが、葉が縮れていないことから、食感には違いがあります。
香り高く癖が少ないため、パセリが苦手な方もイタリアンパセリであれば食べやすいかもしれません。
イタリアンパセリの育て方|種まきや植えつけ
イタリアンパセリは育てやすいハーブです。キッチンの窓辺やベランダなど、小さなスペースで栽培することもできます。
ぜひご自宅に植えて栽培に挑戦してみましょう。
こちらでは、イタリアンパセリの栽培を始めるときに行う、種まきや土づくり、植えつけなどについて解説します。
イタリアンパセリの好む栽培環境
イタリアンパセリを元気に育ててたくさん収穫するためには、日光にしっかりと当てることが大切です。
ただし、強すぎる日差しは苦手とします。真夏の直射日光が当たるような場所は避け、明るい日陰を選んで植えるのがポイントです。
風通しの良い環境であれば、室内で栽培することもできます。基本的には窓辺で日光に当てますが、強い西日などが当たる場合はレースカーテンで遮って調整しましょう。
土づくり
イタリアンパセリは酸性土壌を苦手とします。地植えする場合、植えつけ2週間前までに苦土石灰を加えておきましょう。
また、植えつけ1週間前には腐葉土や堆肥などを混ぜて耕します。
プランター栽培の場合は市販されている野菜用培養土やハーブ用培養土などを使うと手軽です。
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種まき
イタリアンパセリの種まき適期は春もしくは秋です。発芽適温は15℃~20℃程度になります。高温や霜の心配がない時期を選んで種まきしましょう。
育苗ポットやセルトレーに用土を入れ、種をまきます。好光性種子のため、土はかぶせずにおきましょう。
イタリアンパセリの種は小さいので、水やりで流れてしまわないように対策します。霧吹きを使って土を湿らせるか、底面給水にしましょう。
イタリアンパセリが発芽するまでには10日ほどかかります。芽が出るまで水切れしないように気をつけながら管理しましょう。
苗選び
育てたい株が少ない場合や、育苗の手間をなくしたい場合は、苗を購入して植えつけるのがおすすめです。園芸店やホームセンターなどで販売されているものを探してみましょう。
苗は葉が黄色く変色しておらず、青々としているものがおすすめです。茎がひょろひょろとしているものは避け、がっしりと太いものを選びましょう。
植えつけ
イタリアンパセリの植えつけ適期は4月~5月、10月頃です。苗が霜に当たらないよう、十分に暖かくなってから植えつけましょう。
植えつけの際は根を傷めないよう、丁寧に取り扱うことがポイントです。根鉢より一回り大きな植え穴を掘り、根の先端を軽くほぐしてから植えつけます。
複数株を植える場合、株間は20cm~25cmほどとりましょう。
また、セリ科のイタリアンパセリは植えかえを嫌います。植えつけ後にはできるだけ動かさずに済むよう、場所をしっかりと考えたうえで決めましょう。
イタリアンパセリの育て方|日頃のお手入れ方法
イタリアンパセリは管理の手間がかかりにくい植物です。水や肥料を適切に与えて長く育てていきましょう。
ここでは、イタリアンパセリの管理方法やポイントをご紹介します。
水やり
イタリアンパセリを元気に育てるためには、極端に乾燥させないように水やりするのが大切です。水不足になると葉がしおれたり、固くなってしまったりすることがあります。
ただし、水をあげすぎて過湿状態になると根腐れしてしまうので、水やりの頻度が増えすぎないようにするのも重要です。
基本的には、土の表面が乾いたらたっぷりと水をあげましょう。乾燥しやすい夏場は水切れに注意します。気温が高い日中の水やりは避け、朝や夕方の涼しい時間に水を与えましょう。
肥料
イタリアンパセリはそれほど多くの肥料を必要としませんが、肥料不足になっても葉の色があせてしまいます。適量を心がけて施すことが大切です
植えつけの際は元肥として緩効性肥料を施しておきます。植えつけから2週間ほど経ったら、追肥を行いましょう。
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その後も1~2ヶ月に1回の頻度で追肥を続けます。
病害虫対策
イタリアンパセリの栽培で注意したいもののひとつがアブラムシです。柔らかい新芽や葉などに付着して、吸汁して弱らせてしまうことがあります。
ウイルス病を媒介するケースもあるため注意が必要です。見つけ次第、すみやかに駆除しましょう。
また、葉や茎などに白い粉がかかったような状態になるうどんこ病にも気をつけましょう。うどんこ病は糸状菌が原因で生じる病気です。
白くなってしまった部分はすぐにカットして捨てましょう。放置しているとどんどん広がってしまいます。
アブラムシやうどんこ病は風通しの悪い環境で生じやすくなるといわれています。予防のためには風通しの良い場所へ植えることが大切です。
茎や葉が茂りすぎていたら、収穫を兼ねて適度に摘み取ってあげましょう。
花茎切り
イタリアンパセリは、花茎が伸びる「とう立ち」に注意が必要です。
二年草のイタリアンパセリは、花芽がついたまま放っておくと開花し、種をつくって枯れていきます。少しでも長く収穫するためには、花茎が伸びたらすぐに切ることがコツです。
花芽がある程度育ってしまうと、開花を止めるのは難しくなってしまいます。そうなった場合は、あえて花芽を摘み取らずに開花させて種を採っても良いでしょう。
イタリアンパセリの育て方|収穫や保存方法
イタリアンパセリが大きく育ったら、いよいよ収穫を行えるようになります。
長く収穫していくための方法を押さえておきましょう。
こちらでは、イタリアンパセリを収穫する方法やタイミング、保存のポイントなどを解説します。
収穫方法
イタリアンパセリの草丈が20cm程度になったら、随時収穫できます。根こそぎ収穫してしまうのではなく、必要分を少しずつ摘んでいくことがおすすめです。
中央の新芽は残し、外側についている葉から順に摘み取っていきましょう。手でちぎっても良いですが、ハサミでカットしたほうが株への負担は少なくなります。
一度に多くの葉を収穫しすぎると株の生育が悪くなってしまいます。長く収穫したい場合は、料理で使う分だけを摘み取るように心がけましょう。
保存方法
イタリアンパセリのみずみずしい葉を楽しむためには、新鮮なうちに食べきることがおすすめです。フレッシュな摘みたてのハーブを味わえるのは、家庭菜園の大きなメリットといえます。
ただし、複数株を育てていたり、大株に育っていたりすると、食べきれないほどの葉を収穫できることがあります。美味しさを保てるように、適切な方法で保存しましょう。
冷蔵庫で保存
冷蔵保存の場合は、水を張った容器に立てて入れることがおすすめです。摘み取ったイタリアンパセリの茎を斜めに切り、水を吸い上げやすい状態にしておきましょう。
お好きなコップなどに水を入れて茎を挿し、全体にポリ袋をかぶせて冷蔵庫に入れておきます。水は毎日交換しましょう。
冷凍庫で保存
冷凍庫で保存する場合は、葉を洗ってから水気を切り、密閉できる袋へ入れておきます。料理の際は解凍せず、そのまま使用可能です。
乾燥させて保存
大量消費したい場合、ドライパセリにすることもひとつの方法です。耐熱皿の上にキッチンペーパーを敷き、イタリアンパセリの葉を並べて電子レンジで加熱しましょう。加熱時間は600Wで3分程度が目安です。
加熱後に粗熱をとり、すり鉢などで細かくしてから清潔な容器へ詰めて保存しましょう。
イタリアンパセリの育て方|水耕栽培の方法
イタリアンパセリは土を使わず、水耕栽培(水栽培)で育てることも可能です。室内のちょっとしたスペースを活用して栽培したいときは、水耕栽培にチャレンジすることもおすすめです。
種まきからスタートしても良いですが、大きく育つまでに時間がかかるため、苗を購入したほうが手軽です。ポット苗を入手したら根についている土を落とし、水耕栽培用の容器に植えかえましょう。
水耕栽培のやり方にはいくつかの種類があります。土の代わりにハイドロボールと呼ばれる植え込み材を使うと、苗を固定しやすくなるでしょう。
ハイドロボールは人工的に作られた石であり、清潔で無臭な点がメリットのひとつです。
また、水耕栽培では土から栄養をとることができません。植物を元気に育てるためには、肥料を含んだ水を与える必要があります。
肥料は水耕栽培向けのものを使うことが重要です。規定量を測って与えるようにしましょう。
イタリアンパセリの育て方|増やし方や注意点
イタリアンパセリの種を採取してまいたり、挿し木をしたりすることで、新しい株を増やせます。育てる株を増やしたいときや、株を更新したいときは、ぜひ試してみると良いでしょう。
こちらでは、イタリアンパセリを種の採取や挿し木などで増やす方法をご紹介します。
種の採取
イタリアンパセリは白く小さな花を放射状につけます。種を採取したい場合は、花芽がついても摘み取らずに放置して花を咲かせましょう。
開花後には実をつくり、少しずつ熟していきます。茶色く熟すまで待ってから採取しましょう。
種まき適期である春か秋が来るまでは種を保管しておきます。種は日陰でしっかりと乾燥させてから保存しましょう。
湿ったままだと、保管中にカビが生える原因になるため注意が必要です。乾燥させたら紙袋などに入れ、日光の当たらない冷暗所に置いておきましょう。
適期が来たら種まきして、水や肥料を与えながら育てていきます。発芽率はそれほど高くないため、適温の時期にまくことを意識しましょう。
挿し木
イタリアンパセリは水挿しで発根させ、新しい株を増やすことも可能です。花が咲かない時期は種を採取できないため、挿し木で増やしてみると良いでしょう。
挿し木をする際は、元気の良い健康な茎を選んで挿し穂とします。茎の下部についている葉は水につからないように落としておきましょう。
その後、水の入った容器に先端を挿します。雑菌が繁殖しないように清潔に洗った容器を使いましょう。
発根するまでは水を交換しながら管理していきます。水を取り替えずにおくと腐ってしまう可能性があるため、こまめに交換しましょう。
茎から根が出て十分に伸びたら植えつけを行えます。お好きな鉢や花壇などへ植えてあげましょう。
おわりに
イタリアンパセリはさまざまな料理で活躍するため、一株植えておくと新鮮なものをすぐに使うことができます。日々の水やりや施肥、病害虫対策など、適切な方法でお手入れしていけば長く収穫を続けることも可能です。
花が咲いたら収穫は終わってしまいますが、種を採って増やし、再び栽培することもできます。
お好きな方はぜひご自宅で育てて、普段の料理に活用していきましょう。
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