バコパ(ステラ)の育て方|植えつけ・剪定・仕立て方まで徹底解説

小さく可憐な花をたくさん咲かせるバコパ(ステラ)は、ガーデニング初心者にも人気の植物です。寄せ植えやハンギングなど幅広い仕立て方に対応でき、長期間楽しめるのも魅力です。
とはいえ、上手に育てるには日当たりや水やりなどのコツが必要です。この記事では、バコパの植えつけや剪定、増やし方などを詳しく解説します。
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バコパ
学名 Sutera cordata 科名 オオバコ科 原産地 南アフリカ 分類 多年草、草花 耐寒性 弱い 耐暑性 やや弱い 栽培カレンダー
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月開花時期植えつけ・植えかえ施肥種まきさし芽・株分け摘芯剪定・切り戻し
【PlantiaQ&A】植物の情報、育て方をQ&A形式でご紹介
☘214:バコパの育て方|きれいな花を咲かせる方法は?水やりや肥料などの管理方法もご紹介
バコパ(ステラ)の基本情報

バコパは、南アフリカ原産の常緑多年草で、「ステラ」の名前でも流通しています。
地面を這うように広がる姿と、春から秋まで咲き続ける小さな花が特徴です。
花色は白やピンク、紫などがあり、可憐ながらも存在感があります。
伸びる茎とコンパクトな草丈が、寄せ植え・ハンギング・グランドカバーなど幅広い用途に使えるため、ナチュラルガーデンを演出したい方にもおすすめです。
比較的寒さには弱いため一年草として扱われることもありますが、環境が合えば多年草として毎年楽しむことができます。
バコパ(ステラ)の育て方

バコパを元気に育てるには、日当たりと風通しのよい環境を選び、こまめな水やりと適度な剪定が欠かせません。
また、蒸れや寒さにやや弱いため、夏と冬の管理が特に大切です。定期的な肥料や花がら摘みも、花を長く楽しむコツです。
植え方や管理の方法を正しく理解することで、より美しい姿を保ちやすくなります。
日当たり・置き場所
バコパは、日当たりと風通しのよい場所を好みます。1日を通してよく日が当たる環境で育てると、花つきがよくなり葉色も鮮やかになります。
ただし、真夏の直射日光が強すぎると葉が焼けてしまうことがあるため、西日を避けて半日陰や明るい日陰に移動するのが理想です。
風通しが悪いと蒸れて葉が傷む原因になるため、密集した場所や風がこもりやすいベランダなどでは注意が必要です。
鉢植えであれば、季節に合わせて場所を移動できるので管理しやすいでしょう。室内で育てる場合は明るい場所を選び、定期的に外気に当てるようにします。
適切な温度・湿度
バコパは春から初夏、そして秋の気候が育てやすい時期です。暑さにやや弱く、高温多湿になる夏場は蒸れやすく株が弱る原因となります。
風通しのよい場所に置いたり、切り戻しを行ったりして株の内部に風が通るようにしましょう。
寒さにもやや弱く、5℃以下になると枯れる危険性があります。冬は屋外での越冬が難しい地域も多いため、鉢植えで育てている場合は室内に取り込むか、軒下などの霜が当たらない場所に移動するのが安心です。
湿度は適度な乾燥を好みますが、極端な乾燥も蒸れも避けることが大切です。
最適な用土

バコパは、水はけのよい土壌を好みます。特に蒸れに弱いため、通気性・排水性に優れた土を選ぶことがポイントです。
市販の草花用培養土『ハイポネックス培養土鉢・プランター用』でも問題ありませんが、よりよい環境を整えたい場合は、以下のような配合がおすすめです。
- 赤玉土(小粒):5
- 腐葉土:3
- 酸度調整済みピートモス:2
酸性の強い土や、水はけの悪い粘土質の土は根腐れの原因になるため避けてください。
また、鉢植えの場合は鉢底に鉢底石を敷くと排水性が向上します。
リンサン成分が多い緩効性化成肥料『マグァンプK中粒』を、元肥として適量混ぜるのも効果的です。
地植えの場合も、雨水が溜まりにくい場所を選び、必要に応じて腐葉土などを混ぜて土壌改良を行いましょう。
苗の選び方

元気なバコパを育てるには、良質な苗を選ぶことが重要です。
苗はホームセンターや園芸店などで購入できます。購入時には、以下のポイントに注目しましょう。
- 葉の色が濃く、ツヤがあるもの
- 株元がしっかりしていて、倒れていないもの
- 病斑や虫食いがないこと
- 花が咲きすぎていないもの(根張りを優先)
花がたくさん咲いている苗は魅力的に見えますが、植えつけ後に根の活着が遅れることがあります。
つぼみが多く、これから生長する段階の苗を選ぶと、長く楽しめます。
植えつけ方法

バコパは、春と秋が植えつけの適期です。日当たりと水はけのよい場所を選び、根を傷めないように丁寧に植えましょう。
植えつけ後は、たっぷりと水を与えるのが基本です。
地植え
地植えの場合は、まず植える場所の土をよく耕し、腐葉土や堆肥を混ぜ込んで排水性を高めておきます。
株間は、20㎝〜40㎝ほど空けて植えつけましょう。根鉢より一回り大きな穴を掘り、浅すぎず深すぎない高さで植えるのがポイントです。
植えつけ後は根の活着を促すために水を与え、数日は土が乾かないように注意します。
根づいたあとは、過湿にならないよう水やりの頻度を減らして管理しましょう。
鉢植え
鉢植えにする場合は、鉢底に鉢底石を敷き、市販の草花用培養土の『ハイポネックス培養土鉢・プランター用』や配合した排水性のよい土を使用します。
鉢は株の大きさに対してやや大きめのものを選ぶと、根詰まりしにくく、育てやすくなります。
植えつけ後は鉢底から水が流れ出るまでしっかり水を与え、風通しのよい場所に置きましょう。
また、鉢を定期的に回して、どの方向からも日光が当たるようにすると株の形が整いやすくなります。
バコパの性質を活かして他の草花との寄せ植えにするのもよいでしょう。
水やりの方法
バコパはやや湿り気のある土壌を好みますが、過湿には弱い植物です。水やりは、表土が乾いたらたっぷり与えましょう。常に湿った状態を保とうとすると、根腐れの原因となります。
春から秋の生長期は水をよく吸収するため、鉢植えの場合は毎日〜2日に1回程度の水やりが必要になることもあります。特に夏場は、朝か夕方の涼しい時間帯に与えましょう。
地植えの場合は、基本的には自然の雨に任せられますが、乾燥が続く場合や植えつけ直後は水やりをする必要があります。
冬は生育が緩やかになり水の吸収も減るため、乾燥気味に管理して寒さを防ぎます。
肥料の与え方
バコパは生育が旺盛で、長く花を咲かせる植物のため、元肥を与えれば追肥は必要ありません。
植えつけ時は、緩効性の元肥『マグァンプK中粒』を土に混ぜ込んでおきましょう。
肥料の与えすぎは茎葉ばかりが伸びて花が少なくなる原因になるため、パッケージに記載された使用量を守ることが大切です。
また、冬場の休眠期には肥料は控え、春になってから再開しましょう。
鉢植えの場合は月に1回を目安に緩効性化成肥料『プランティア 花と野菜と果実の肥料』を与えてください。
開花期間中は即効性の液体肥料『ハイポネックス原液』を与えることで株の勢いが保たれます。
剪定・切り戻し
バコパは茎がどんどん伸びて広がる性質があり、放っておくと株が乱れたり、蒸れて弱る原因になったりします。そのようなときは、「切り戻し」を行いましょう。
特に梅雨入り前の6月頃や、夏の終わりの9月頃に切り戻すことで、風通しがよくなり病害虫の予防にもつながります。
切り戻しする際は、株元から3分の1〜半分程度の高さで思い切ってカットして問題ありません。切り戻し後は新しい芽が出やすくなり、秋にも再び花を咲かせてくれるでしょう。
剪定バサミは清潔なものを使い、カットした部分には軽く肥料を与えるとスムーズな回復が期待できます。
摘芯
バコパの美しい株の形を保ち、花数を増やすためには「摘芯(てきしん)」が効果的です。摘芯とは、伸びてきた茎の先端を切ることで、わき芽の発生を促す作業のことです。
これにより株が横に広がり、ふんわりとしたボリュームのある形になります。
摘芯は、植えつけから2〜3週間後のタイミングで行うのが理想です。
その後も、生長に合わせて数回繰り返すことでバランスのよい形に整います。花が咲き始める前の時期に行うのがベストで、開花が進んでからは控えめにします。
摘んだ先端は挿し芽として使えるため、無駄なく増やす楽しみにもつながります。
花がら摘み
バコパは次々に小さな花を咲かせる植物ですが、咲き終わった花(花がら)をそのままにしておくと株の見た目が悪くなるだけでなく、病気の原因にもなります。
また、花がらが残っていると新しい花に栄養が行き渡りにくくなるため、こまめな花がら摘みが美しさを保つコツです。
作業は簡単で、しおれた花や色あせた部分を指先やハサミで優しく取り除くだけです。毎日の水やりや観察の際に一緒に行う習慣をつけると、株の健康管理にもつながります。
特に梅雨や秋雨など、湿度の高い時期は花がらが腐りやすいため注意しましょう。
夏越し・冬越し
バコパは比較的丈夫な植物ですが、高温多湿の夏と厳しい寒さの冬は苦手です。そのため、それぞれの季節に応じた対策をすることで、より長く美しく育てられます。
夏越しのポイントは蒸れ対策です。梅雨から夏にかけては切り戻しや摘芯で株の風通しをよくしましょう。
半日陰に移動するなど直射日光を避ける工夫が必要です。特に鉢植えの場合は、風通しのよい場所へ移動させましょう。
冬越しのポイントは、防寒です。バコパは5℃以下になると枯れてしまう可能性があります。
霜が降りる地域では室内に取り込むか、霜よけ対策を施しましょう。暖かい地域であれば、霜が当たらない軒下などでも越冬可能です。
種まき
種まきはやや上級者向けの増やし方ですが、バコパの生育サイクルを楽しみたい方は挑戦してみてください。
適期は3月〜5月で、市販の種まき用土やピートバンなどを使い、浅くまいて軽く土をかぶせます。
発芽には20℃前後の気温と明るい環境が必要なため、屋内の暖かい場所で管理しましょう。
発芽後は、双葉が開いたタイミングで間引きし、本葉が出たらポットに移植して育てていきます。
バコパ(ステラ)の増やし方

バコパは、挿し芽・株分け・種まきの3つの方法で増やせます。
中でも挿し芽は手軽で成功率も高く、初心者にも簡単にできる増やし方です。それぞれの増やし方を詳しく見ていきましょう。
挿し芽
挿し芽は、伸びた茎の先端を斜めになるように切り取り、土に挿して新しい株を作る方法です。5月〜6月、または9月が適期です。
健康で若い茎を選び、カットした後は下葉を取り除いて挿し木用の土に挿します。明るい日陰で乾燥させないように管理すれば、1〜2週間ほどで根が出ます。
根が出たあとはポットに植えかえて根を十分に育てたのちに、鉢や地植えに移しましょう。
株分け
株分けは、バコパを植えかえるタイミングで根元から分割して複数の株に分ける方法です。適期は、5月〜6月頃です。
鉢から株を抜いたら、根を傷めないように注意し、ハサミや手で優しく2株〜3株に分けます。
分けた株はそれぞれ新しい鉢や地面に植えつけ、水をたっぷり与えて日陰で管理しましょう。
株分けは、株が大きく育ちすぎたときにも役立つ方法です。
バコパ(ステラ)の植えかえ方法

バコパは生育が旺盛なため、鉢植えの場合は年に1回の植えかえで元気に育てることができます。
適期は春(3月〜5月)または秋(9月〜10月)で、気温が安定している時期を選ぶと根への負担が少なくなります。
鉢の中が根でいっぱいになり、水の吸収が悪くなってきたら植えかえのサインです。
株を鉢から丁寧に抜き、古い土や傷んだ根を軽く落としてから、一回り大きな鉢に新しい用土を入れて植えかえます。
その後は根が活着するまで明るい日陰で管理し、水やりはやや控えめにします。元気な株を維持するためにも、定期的な植えかえで根詰まりや土の劣化を防ぎましょう。
バコパ(ステラ)の気をつけるべき病気・害虫
バコパは比較的病害虫に強い植物ですが、風通しや水はけが悪いとトラブルが発生しやすくなります。
特に注意したいのが、以下の2つの病害虫です。
炭そ病
葉にカビが発生する病気です。風通しの悪さが主な原因となるため、剪定や切り戻しで密集を防ぐことが大切です。
アブラムシ・コナジラミ
新芽や葉裏などに付着し、養分を吸って株を弱らせます。見つけ次第手で取り除き、市販の殺虫剤で早めに対処しましょう。
日々の観察で早期発見し、予防的な風通しの確保や定期的な株整理を心がけることが大切です。
バコパ(ステラ)を育てるうえでの注意点

バコパは比較的育てやすい植物ですが、蒸れや寒さに弱く、生育旺盛なために手入れを怠ると株が乱れることもあります。
気温や湿度に応じた置き場所の調整や、定期的な剪定・植えかえを心がけることで長く美しい姿を保てます。
ここからは、バコパを育てるうえで特に注意したいポイントを2つ紹介します。
暑さ・寒さに弱い
バコパは極端な暑さや寒さに弱いため、季節ごとの対策が欠かせません。
真夏の直射日光は葉焼けや株の蒸れを引き起こすため、半日陰や風通しのよい場所に移動させましょう。
梅雨前には切り戻しを行い、株内部の風通しをよくしておくことも重要です。
一方、冬は霜や 5℃以下の気温で枯れてしまう恐れがあるため、寒冷地では鉢植えを室内に取り込むか、軒下などで霜よけ・寒風よけを行うなどの寒さ対策をしましょう。
生育が旺盛で増えすぎる
バコパは生育が非常に早く、横に這うように広がる性質があります。
見た目は可愛らしいですが、放置すると他の植物に絡んだり、蒸れて枯れ込んだりすることもあります。そのため、定期的な摘芯や切り戻しが必須です。
鉢植えの場合は、根詰まりを起こしやすいため植えかえや株分けをしましょう。
地植えの場合も広がりすぎた部分を間引き、境界を仕切る工夫をすると美観を保ちやすくなります。
旺盛な生長力を上手く活かすためにも、こまめな管理を心がけましょう。
バコパ(ステラ)のさまざまな仕立て方

バコパは枝が這うように伸びる性質から、寄せ植え・ハンギング・グランドカバーなど、多彩な仕立て方が楽しめます。
お庭やベランダの雰囲気に合わせて、自由にアレンジしてみましょう。
寄せ植えにする
バコパは他の草花との相性がよく、寄せ植えに取り入れると自然な雰囲気を演出できます。白や薄紫の小花が主張しすぎず、主役の花を引き立ててくれる名脇役です。
ビオラやペチュニア、アリッサムなどとの相性もよく、鉢の縁から自然に垂れる姿が美しいです。
高さのある植物と組み合わせることで立体感のある寄せ植えが完成します。
コンパクトな鉢でも仕立てやすく、ベランダガーデニングにも向いています。
ハンギングにする
バコパのしなやかな茎は、ハンギングバスケットに植えることで自然に垂れ下がり、華やかさがアップします。
軽やかに揺れる花姿は風通しもよく、蒸れ対策にも効果が期待できるでしょう。
特に春から初夏にかけては、満開の花でバスケットを彩ってくれます。
バコパ単体でも可愛らしく仕上がりますが、アイビーやロベリアなどの垂れ下がる植物と組み合わせると、ボリューム感のあるハンギングが完成します。
水切れに注意しながら管理しましょう。
グランドカバーにする
地植えで育てたバコパは、這うように広がる性質を活かしてグランドカバーとしても活躍します。草丈が低く、密に茂るため、雑草の抑制効果も期待できます。
花期には地面を覆うように可憐な花が咲き誇り、レンガや小道の縁取りにもぴったりです。
ただし、広がりすぎないように適度な間引きや剪定が必要です。日当たりのよい花壇や庭の隙間スペースなどに植えると、自然な雰囲気を楽しめます。
まとめ
バコパ(ステラ)は、小さな花と這うように伸びる茎が魅力的な植物で、寄せ植えやハンギング、グランドカバーなどさまざまな楽しみ方ができます。
育て方のポイントは日当たりと風通しを確保すること、蒸れ・寒さへの対策、そして定期的な剪定と水やりです。
初心者でも育てやすく、しっかりと手をかければ何倍にも応えてくれるバコパを、ぜひこの記事を参考にお庭やベランダで育ててみてください。
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