イチョウ(銀杏)の育て方|地植え・鉢植え・実生の管理方法
秋に黄金色の葉を広げるイチョウは、街路樹としてなじみ深い木です。鉢植えや盆栽に仕立てれば、ご自宅でも季節の変化を楽しめます。
長く育てるには、生長後の姿まで考えて、栽培場所や育て方を選ぶことが基本です。特に、地植えでは大きく育つため、植える前に必要なスペース落ち葉などの手入れの負担を考えておきましょう。
今回は、イチョウの特長や地植え・鉢植え・盆栽の違い、苗木の植えつけ、ギンナンから育てる実生、日常の管理方法などをご紹介します。
- 目次
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- イチョウ(銀杏)の育て方|栽培前に知りたい特長
- 中国原産の落葉高木
- 成木の大きさ
- 雌雄の違いと実がなる条件
- イチョウ(銀杏)の育て方|地植え・鉢植え・盆栽の違い
- 庭木にできる場所の条件
- 鉢植えで大きさを管理する方法
- 盆栽として小さく仕立てる方法
- イチョウ(銀杏)の育て方|苗木の植えつけ方
- 植えつけに適した時期
- 日当たりと水はけを確保できる場所
- 根鉢を崩しすぎない植えつけ方
- イチョウ(銀杏)の育て方|ギンナンから育てる方法
- 果肉を取り除く前の準備
- 発芽までの種の管理
- 発芽後の鉢上げ
- イチョウ(銀杏)の育て方|水やり・肥料・剪定
- 地植えと鉢植えで異なる水やり
- 生育に合わせた肥料の与え方
- 樹形を保つための剪定
- イチョウ(銀杏)の育て方|よくある生育トラブル
- 葉先が枯れたときの確認ポイント
- 黄葉する時期が早いときの確認ポイント
- 葉に食害が見られたときの対処
- イチョウ(銀杏)の育て方|よくある質問
- どれくらいの速さで生長しますか?
- 実がなるまで何年かかりますか?
- おわりに
イチョウ(銀杏)の育て方|栽培前に知りたい特長
秋の黄葉が美しいイチョウですが、庭で長く育てるなら、生長後の大きさや雌雄の違いにも着目しておくことが大切です。
どのくらいの広さを確保できるか、ギンナンをつける雌株を植えるかによって育て方が変わります。
中国原産の落葉高木
中国原産のイチョウは、イチョウ科イチョウ属の落葉高木です。扇形の葉をつけ、春の芽吹きから秋の鮮やかな黄葉、冬の枝姿まで、一年を通して表情が変わります。
日本でも公園や街路、寺社の境内などに広く植えられてきました。
成木の大きさ
地植えのイチョウは、成木になると高さ20cm~30mほどに達する大木です。苗木のうちは細くても、年月とともに幹が太くなり、枝も周囲へ広がっていきます。
小さく育てたい場合は、鉢植えや盆栽に仕立てるほか、「マーケン(’Mariken’)」のような矮性の品種
を選ぶ方法もあります。マーケンは雄株の品種で、通常ギンナンはつきません。
苗木を購入するときは成木になったときの大きさを確かめ、自宅で無理なく剪定を続けられるかも考えておきましょう。
雌雄の違いと実がなる条件
イチョウは、雄株と雌株が別々に育つ「雌雄異株」の植物です。ギンナンがなるのは雌株で、種子が形成されるには、雄株の花粉が雌株に届く必要があります。
一般的に「実」と呼ばれるギンナンは、植物学上は種子にあたります。外側の柔らかい種皮は熟すと独特の臭いを発するため、玄関や窓の近くなどへ雌株を植える場合は、落ちたギンナンの片づけも考えておきましょう。
また、葉の切れ込みだけで雌雄を判断するのは難しく、実生で育てた若い苗も外見だけでは性別が分かりません。黄葉を楽しむことが目的で、ギンナンの臭いを避けたい場合は、雄株と確認された苗を選ぶとよいでしょう。
イチョウ(銀杏)の育て方|地植え・鉢植え・盆栽の違い
地植え・鉢植え・盆栽では、育てるために必要な広さや、大きさを保つためのお手入れ方法が異なります。
庭で枝を広げて育てるか、鉢で大きさを抑えるか、盆栽として樹形を作るかを考えながら、自宅で続けやすい方法を選びましょう。
栽培方法 | 向いている場所・楽しみ方 | 大きさを保つための管理 |
|---|---|---|
| 地植え | 広い庭で木全体の姿や黄葉を楽しむ | 枝の広がりと高さに応じた剪定 |
| 鉢植え | 限られた屋外スペースで葉の変化を楽しむ | 枝の剪定と根の状態に応じた植えかえ |
| 盆栽 | 小さな鉢の中で幹や枝の形を楽しむ | 芽摘みや剪定、植えかえを組み合わせた樹形作り |
地植えは大きく育つ分、剪定などの手間も大きくなります。限られたスペースで黄葉を楽しむなら鉢植え、樹形作りそのものを楽しみたいなら盆栽を選ぶとよいでしょう。それぞれの方法について、順にご紹介します。
庭木にできる場所の条件
苗木のうちは場所を取らないイチョウも、地植えすると幹が太くなり、枝が周囲へ広がっていきます。庭木として植えるなら、生長後に枝が建物や電線、隣家などへ近づきすぎないだけの空間を確保しておきましょう。
また、イチョウは秋になると葉がまとまって落ちるため、側溝や通路に葉がたまりやすい場所にも注意が必要です。大きく育ってから管理に困らないよう、生長した木の周囲で人が通れるか、剪定作業を続けられるかまで考えて植え場所を決めましょう。
鉢植えで大きさを管理する方法
鉢植えは枝の伸びを剪定で抑えながら、根の状態に応じて植えかえを行います。鉢底から根が多く出る、水が抜けにくくなるといった変化があれば、根詰まりの可能性があるため植えかえを検討しましょう。植えかえは、芽吹き前の春が適期です。
株をさらに大きく育てたい場合は一回り大きな鉢へ移します。同じ大きさの鉢で育て続けたいときは、根の状態を確認しながら根を整理し、新しい用土で植え直します。根を切り詰める際は、株の状態に合わせて無理のない範囲で行いましょう。
盆栽として小さく仕立てる方法
盆栽では、伸びた芽を摘む「芽摘み」や枝の剪定を繰り返しながら、幹と枝のバランスを整えます。生長に合わせて少しずつ手を入れ、小さな鉢の中で好みの樹形を作っていくのも盆栽の楽しみです。
イチョウには長く伸びる「長枝」と短い「短枝」があります。芽摘みは長く伸びた枝を中心に行い、春に伸びた枝の葉を1〜2枚残して先端を摘みます。短い枝はそのままでかまいません。
また、小さな鉢は土が乾きやすいため、水切れに注意しながらこまめに水を与えましょう。
イチョウ(銀杏)の育て方|苗木の植えつけ方
イチョウの苗木は、落葉期に植えつけます。日当たりと水はけのよい場所を選び、根を傷めないように植えつけましょう。
植えつけに適した時期
イチョウの植えつけは、落葉後から芽吹き前までが適期です。温暖な地域では2月下旬~3月頃や10月下旬~11月頃が目安です。
秋に植える場合は、葉が落ちてから本格的に冷え込む前に作業を終えましょう。
寒冷地では、土の凍結が解け、植えつけ後に根が傷みにくい時期を選びます。地域の気候や苗木の状態に合わせて、適切な時期に作業しましょう。
日当たりと水はけを確保できる場所
イチョウは日当たりがよく、水はけのよい場所を好みます。地植えの場合は、雨のあとも水がたまり続ける場所を避け、根が伸びやすいように土を耕しておきましょう。
鉢植えの場合は、水はけがよく、適度な保水性のある樹木用の培養土などを使います。水やりのあとに余分な水が鉢底から抜ける状態を保ちましょう。
また、鉢植えの場合、真夏に鉢の温度が上がりすぎないよう、強い照り返しを受ける場所を避けて管理することも大切です。
根鉢を崩しすぎない植えつけ方
購入した苗木の根鉢は、大きく崩さないよう慎重に扱いましょう。植えつけ前に水を与え、ポットから抜くときは幹を強く引っ張らず、容器の側面を押すなどして、根鉢を傷めないように取り出します。
地植えでは根鉢より広めの穴を掘り、根鉢の上面が周囲の地面と同じ高さになるように苗木を置きます。根元を深く埋めないように土を戻し、苗木が安定するように整えましょう。
鉢植えでは、苗木をポットに入っていたときと同じ深さに植えます。水やりの際に水があふれないよう、鉢の縁から用土を足しましょう。
また、根が鉢の中いっぱいに回っている場合は、根の状態を確認し、外側の根を軽くほぐします。植えつけ後はたっぷりと水を与えて土と根をなじませましょう。
風で苗木が大きく揺れる場合は、支柱を添えて株を安定させましょう。
イチョウ(銀杏)の育て方|ギンナンから育てる方法
種から苗を育てる方法を「実生(みしょう)」と呼びます。ギンナンから芽が出て、小さなイチョウへ育っていく過程を楽しめるのが実生の魅力です。
ここでは種まきから発芽、鉢上げまでの流れを確かめてみましょう。
果肉を取り除く前の準備
種まきには、加熱や乾燥保存をしていない新鮮なギンナンを使います。ギンナンの外側にある柔らかい部分に触れると、皮膚がかぶれるおそれがあります。作業するときは水を通しにくい手袋を使いましょう。
熟したギンナンを水につけておくと、外側が柔らかくなり、取り除きやすくなります。外側を洗い落としたあとも白く硬い殻は残しておきましょう。
発芽までの種の管理
果肉を取り除いたギンナンは、秋のうちに鉢へまくことができます。種まき用土を入れた鉢に、種同士が重ならないよう間隔を空けてまき、種が隠れるように土をかぶせましょう。
種まき後はたっぷりと水を与え、雨や風が強く当たらない屋外で管理します。冬のあいだも土を乾かしすぎないようにしながら、春の発芽を待ちましょう。
ただし、すべての種が同じ時期に発芽するとは限りません。なかなか芽が出なくてもすぐに掘り返さず、しばらく様子を見ましょう。
発芽後の鉢上げ
複数の種をまとめてまいた場合は、芽が伸びて葉が開いて苗がしっかりしてきたら、一株ずつ別の鉢へ移す「鉢上げ」を行います。一粒ずつ鉢にまいた場合は、急いで植えかえる必要はありません。
苗を移すときは茎を引っ張らず、根の周りの土ごとすくい取ります。根が無理なく収まる鉢に植えてたっぷりと水を与えましょう。
根づくまでは土を乾かしすぎないように育てます。
実生苗は若いうちに雌雄を判別するのが難しく、どちらかがわかるまでには時間がかかります。その間は、新しい葉が増えていく様子を楽しみながら、気長に育てましょう。
イチョウ(銀杏)の育て方|水やり・肥料・剪定
同じイチョウでも、庭に根づいた木と鉢植えでは、水や肥料の与え方が変わります。
特に、植えつけ直後の苗木は根がまだ十分に広がっておらず、鉢植えは乾燥しやすいため、それぞれ水切れに気をつけましょう。
地植えと鉢植えで異なる水やり
地植えで十分に根づいたイチョウは、通常は雨だけでも育てられます。ただし、植えつけ直後の苗木や、雨の少ない時期に土が乾いているときは水を与えましょう。
鉢植えは、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷりと水やりします。暑い時期は土が乾くのも早くなるため、朝に水を与えても夕方には乾いていることがあります。土の状態を確認し、状態に合わせて回数を調整しましょう。
気温が下がる冬は土が乾くまでに時間がかかるため、水やりの頻度を減らします。季節や置き場所に応じて、土の乾き具合を確認しながら調整しましょう。
生育に合わせた肥料の与え方
地植えのイチョウは、毎年必ず肥料を与える必要はありません。
生育が悪い場合など、肥料が必要なときは、冬の休眠期に寒肥として緩効性肥料『マグァンプK 大粒』や有機質肥料『ブリリアントガーデン バラの有機肥料』を施す方法があります。
チッソ分が多いと黄葉がきれいに出にくくなるため、控えめにしましょう。
鉢植えや盆栽は土の量が限られて養分が不足しやすいため、生育期に液体肥料『ハイポネックス原液』などを株の状態を見ながら与えます。
春から初夏を中心に、必要に応じて暑さが落ち着いた秋ごろを目安に与えます。
ただし、植えつけ直後や根を傷めたあと、真夏の暑さで木が弱っているときなどは施肥を控えます。
樹形を保つための剪定
イチョウは自然な樹形で育てるなら、こまめな剪定を必要としません。大きさを抑えたり、込み合った枝を整えたりするときは、枯れ枝や交差する枝、内側へ伸びる枝などを選んで切ります。
落葉後は枝ぶりがわかりやすく、どの枝を残すか考えながら剪定できます。ただし、大きく切り戻しても新しい枝は伸びることがあるため、樹形を保つには翌年以降も少しずつ手を入れていく必要があります。
高い位置の太い枝の剪定は、適切な技能と装備を持つ樹木管理の専門業者に依頼しましょう。電線に近い枝は自分で切らず、まず電力会社など設備の管理者へ相談してください。
イチョウ(銀杏)の育て方|よくある生育トラブル
育てているイチョウの葉にいつもと違う変化があると、病気ではないかと心配になるかもしれません。
葉先が枯れたり、いつもより早く黄色くなったりするのは、水やりの加減や暑さ、根の傷みが原因のこともあります。葉の様子のほか、土や置き場所もあわせて確かめていきましょう。
葉先が枯れたときの確認ポイント
葉先や葉の縁が茶色く乾いてきたら、水切れや強い日差し、高温などによる葉焼けが考えられます。一方で、土が長く湿った状態が続いている場合は、根が傷んでいる可能性もあります。
特に、鉢植えや盆栽の場合、暑い時期には想像以上に早く乾くこともあります。まず土の乾き具合を確かめ、乾いていれば鉢底から流れ出るまでたっぷりと水を与えましょう。
強い西日や地面からの照り返しを受けている場合は、置き場所を変えるのもひとつの方法です。土が湿っている場合は、すぐに水を足さず、乾き具合を確認しながら管理しましょう。
一度茶色くなった葉は元に戻りません。傷みが広がらず、新しい葉が元気なら、今の管理を続けましょう。新しい葉にも傷みが出る場合は、土の乾き具合や日の当たり方をもう一度確かめてみてください。
黄葉する時期が早いときの確認ポイント
イチョウが秋に黄色く色づくのは自然な変化です。ただし、夏なのに葉が黄色くなったり、葉が次々と落ちたりするときは、乾燥や過湿などで木に負担がかかっている可能性があります。
最近の水やりや雨の量を振り返り、土が乾きすぎていなかったか、反対に湿った状態が続いていなかったかを確かめましょう。植えかえや移植をしたばかりの場合は、根への負担が葉に表れていることもあります。
環境を整えたあとは、黄葉や落葉がそのまま進むかをしばらく観察してみましょう。枝まで枯れ始めるなど変化が広がる場合は、葉だけでなく枝や根元の状態も確かめて、水分以外の原因がないか考えます。
葉に食害が見られたときの対処
葉に穴やかじられた跡があれば、葉の裏や枝先などに虫や幼虫がついていないかを確かめましょう。イチョウは病害虫の被害が比較的少ないものの、虫による食害が起こることもあります。
虫が少数であれば、取り除くだけで被害が収まることもあるため、被害の程度に応じて対処しましょう。その後も食害が続く場合は、虫の種類に合った対処を行います。薬剤を使う場合は、対象の害虫への効果だけでなく、イチョウへの適用もあるか確認しましょう。
イチョウ(銀杏)の育て方|よくある質問
イチョウは長く育てる木だからこそ、どのくらいの速さで大きくなるのか、いつ頃ギンナンがつくのかも気になるところです。
ここでは、生長の速さと、実がなるまでの年数についてお答えします。
どれくらいの速さで生長しますか?
イチョウは、若木のうちは枝や幹が伸び、年月とともに大きく育ちます。生長の速さは、苗木の年齢や品種、日当たり、土壌、水分などによって異なります。
地植えでは成長に伴って高さや枝の広がりが大きくなるため、植えつける際は成木の大きさを考慮して場所を選びましょう。鉢植えや盆栽では、剪定や鉢の管理によって大きさを調整しながら育てられます。
実がなるまで何年かかりますか?
種から育てたイチョウは、ギンナンをつけるまで20年以上かかることがあります。
結実するには、雌株が成熟し、雄株の花粉を受けることも必要です。
ギンナンの収穫を目的にする場合は、実生苗より早い結実を期待できる接ぎ木苗を育てる方法があります。ただし、実がつき始めるまで
の年数は、品種や苗の年齢、栽培環境などによって異なります。購入時に、結実までの目安や雌株であることを販売元に確認しておくとよいでしょう。
おわりに
イチョウを庭に植えるか、鉢で育てるか迷ったら、大きく育ったときの姿を思い浮かべてみましょう。
枝を広げられる庭で育てるのも、剪定や植えかえをしながら鉢で楽しむのも、盆栽として好みの樹形に仕立てるのも、それぞれに魅力があります。自宅の広さと、無理なく続けられるお手入れに合う方法を選ぶことが大切です。
育て始めたら、土の乾き具合や枝の伸び方を確かめながら、水やりや剪定などを行いましょう。ギンナンから育てる場合は、発芽や新しい葉の展開を見守ることも楽しみのひとつです。
イチョウは長い年月をかけて育つ樹木です。季節ごとの変化を楽しみながら、自分に合った方法でじっくりと育てていきましょう。
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