クリスマスローズ、原種の魅力と注目の花
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クリスマスローズの季節になりました。今年は、新型コロナウイルスの感染拡大でイベントが減少し、特に首都圏は軒並み中止となり、さまざまな品種を 楽しむ機会が少なくなりました。
まずは、野草好きの私にはとても魅力的に映る、原種系のクリスマスローズを取り上げてみたいと思います。2020年の2月に神代植物公園(2021年は中止)での日本クリスマスローズ協会主催の展示会で見た原種たちです。
![クリスマスローズ展示会](https://www.hyponex.co.jp/websys/wp-content/uploads/2023/07/2af0ff31fc9ecb81c4eabb08a344eae1-300x200-1.webp)
クリスマスローズ展2020、神代植物公園。原種の展示です。
その前に、クリスマスローズがどんな植物かをおさらいします。学名はヘレボルス(ヘレボラス、Helleborus)、キンポウゲ科ヘレボルス属の多年草です。クリスマスローズという名は、本来は、クリスマスの頃に開花するヘレボルス・ニゲルの英名ですが、日本では開花時期を問わず、すべてのヘレボルスの呼称として親しまれています。私たちが花として観賞している部分は、実は、植物的にはがく片です。
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H.二ゲル
さて、クリスマスローズは元々どこの植物か、という話です。原種は20種余りあると言われ、ヨーロッパに広く自生します。ただ、トルコとシリアにはヴェシカリウスが、アジアでは唯一中国の四川省と甘粛省に分布するチベタヌスがあります。
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H.チベタヌス、アジアに唯一自生する種(銀座ファンケル於)。
![クリスマスローズ](https://www.hyponex.co.jp/websys/wp-content/uploads/2023/07/aff4735f27f78c36d2a1d700c46871a5.webp)
H.ヴェシカリウス トルコ・シリアに自生。
自生種の多くは、改良種に比して花が地味でカラフルではありませんが、野趣に富む姿が、私などは自然で、とても美しく見えます。その他の特徴では、有茎種と無茎種があり、有茎種はヨーロッパの西部に自生するアーグチフォリウスやフェチダスなど、無茎種はバルカン半島に自生するヴィディリスやオドルスなどがあります。では、原種のいくつかを見ていきましょう。
![クリスマスローズ](https://www.hyponex.co.jp/websys/wp-content/uploads/2023/07/54290292b7ee5db306cda4dd816db06a.webp)
H.フェチダス ヨーロッパ西部に分布。有茎種。ヘレボルスの中で、花は小さいが株は最も大きくなる種。
![H.アーグチフォリウス 有茎種、以前コルシクスと呼ばれていた。](https://www.hyponex.co.jp/websys/wp-content/uploads/2023/07/aa9227d29a1283980e05022105f05f3e-300x200-1.webp)
H.アーグチフォリウス 有茎種、以前コルシクスと呼ばれていた。
![クリスマスローズ](https://www.hyponex.co.jp/websys/wp-content/uploads/2023/07/d43080f795a4b95881c94bc12c973084-300x200-1.webp)
H.ヴィリディス ヨーロッパ中部に分布。無茎種。花色が緑。
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H.オドルス ヨーロッパ東部に分布。無茎種。よい香りがする。
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H.ムルティフィダス ヨーロッパ東部に分布。無茎種。
![クリスマスローズ](https://www.hyponex.co.jp/websys/wp-content/uploads/2023/07/51702aff72fecc38fbde22852cc92d89-300x200-1.webp)
H.ボッコネイ イタリアに分布。細い葉が特徴。無茎種。
原種はいかがでしたか。私は見るだけで満足ですが、栽培もそれほど難しくない種類も多く、栽培を楽しんでいる方も数多くいます。
さて、次はクリスマスローズ注目の花です。さまざまな品種を多くの育種家か出されていますが、今回は、東京都府中市で昔からクリスマスローズをつくってきた老舗・花郷園の園主で、多様な楽しみ方を積極的に提案されている野口貴子さんを訪ね、おすすめの品種を見せていただきました。また、お話も聞きました。
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花郷園・野口貴子さん
―クリスマスローズの魅力ってどこにあると思いますか 。
花の少ない早春に咲く花であることでしょうか。冬の寒い時期、心も強張り、春の日差しを待ち焦がれる私たちに、花芽の立ち上がりから、たくましき生きる力を感じさせてくれ、楚々とした華麗な花姿に癒される、強さと美しさを兼ね備えたところですね。また、一つとして同じ花がないこと、世界に一つだけの花であるところも、魅力でしょうか。一期一会の瞬間を見逃さず、自分好みの花を見つける楽しさもあります。そして、何より手間いらずで丈夫なこと。お花とおぼしき部分は、実はがく片であり、いつまで経っても散らず、開花期が長く、サクラやバラのように慌てて愛でる必要もなく、のんびり、悠長に春を楽しめるところだとわたしは思っています。
―クリスマスローズの株の選び方をお教えください 。
5枚花弁(がく片)のシングル咲き、幾重にも花弁があるダブル咲き、その中間のセミダブル咲きとあります。小さな苗の販売もありますが、開花までに3年近くかかりますので、お花の咲いている株をお求めになるのが一番よいと思います。お洋服を選ぶように、心がときめく株をお選びになるのが一番です。
―花郷園のおすすめの品種をご紹介ください。
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レッドサン 上向き咲きであり、ダブルには本来ない蜜線(ネクタリー)が存在し、植物学的にも珍しい花。イギリスヒドコートマナーガーデンより、先代故野口一也が日本に持ち帰り、この種より育種。頭はたれず、上を向き、波打つ花弁、赤色が太陽のようであるため 「レッドサン」と命名。蕾もバラのようであり、ご婦人に大変人気。生育旺盛な強健種。
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パピエ レッドサンの淡いピンク色。同様に上向き咲きであり、和紙を紙漉きしたような、ベインが入ることから、フランス語で「紙」を意味するパピエと名付けた
![パピエDEUX](https://www.hyponex.co.jp/websys/wp-content/uploads/2023/07/6331e09f0f62b475f3beb22d34bbb631-300x200-2.webp)
パピエDEUX パピエのセミダブル ネクタリーがセミダブル化した、大変華やかな花姿。
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パピエ・ブランシュ パピエの白花。クリスマスローズの世界展 新花コンテスト受賞作品。
![Matcha](https://www.hyponex.co.jp/websys/wp-content/uploads/2023/07/f5856e004b93fbe1ea437622d892b760-1.webp)
Matcha アンティ―ク色のお抹茶色 原種交配の葉姿も美しい、他ではないニュアンスカラーのクリスマスローズ。
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原種H.チベタヌス苗 日本生まれ、日本育ちのチベタヌス実生苗2年生。幻の中国の原種チベタヌスは、中国からの規制により入手不可能になり、さらに幻となる中、日本の地で開花させ、タネから日本の気候で育て上げた希少な実生苗。
素敵な種類の数々、ありがとうございます。花郷園では、寄せ植えづくりだけでなく、クリスマスローズの根付き押し花の額装をしたり、ハーバリュームにしたりして、幅広く楽しみ方を提案しています。野口さんは、クリスマスローズを美しく見せるオリジナル鉢までつくってしまいました。花を愛でるだけでなく、いろんなアイテムで楽しみつくせる花、それがクリスマスローズだということを教えていただきました。
![クリスマスローズ押し花](https://www.hyponex.co.jp/websys/wp-content/uploads/2023/07/0861f5c30165022c9578949ad5ea7951-1-250x383-1.webp)
クリスマスローズ株の根付き押し花。
![ハーバリウム](https://www.hyponex.co.jp/websys/wp-content/uploads/2023/07/fb306a2064d4fbc2886ae7c8d508cf10-300x200-1.webp)
![クリスマスローズ 寄せ植え](https://www.hyponex.co.jp/websys/wp-content/uploads/2023/07/d153f22985ad02eb521bbc56bb6b5268-300x200-1.webp)
寄せ植えにしても楽しい。
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クリスマスローズを美しく見せるために自らデザインしつくった鉢。
花郷園
3/13(土)第5回 花郷園クリスマスローズマルシェにて寄せ植え教室開催
〒183-0004東京都府中市紅葉丘2-22-4
取材・構成 出澤清明
園芸雑誌の元編集長。植物自由人、園芸普及家。長年関わってきた園芸や花の業界、植物の世界を、より多くの人に知って楽しんでもらいたいと思い、さまざまなイベントや花のあるところを訪れて、WEBサイトやSNSで発信している。
☘35:クリスマスローズの育て方|鉢植えと地植えでおススメなのは?苗選びのコツや、肥料の与え方もご紹介|
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🌸13:クリスマスローズの育て方 春まで長く楽しむ方法
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🌸15:クリスマスローズの育て方 花後の管理と株のリフレッシュ
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