そもそも植物を育てるのに肥料は必要なの? 有機質肥料と化学肥料はどこが違うの?
今回はそんな疑問にお答えします。
まずは、肥料の概念について説明します。市場に流通している肥料は「肥料取締法」という法律で定められたものを言います。少し細かいですが、肥料の3要素である「チッソ」「リンサン」「カリ」のうち、2つの成分の合計が0.2%以上のものでないと「肥料」として販売する事はできません。また、肥料には「生産業者保証票」や「販売業者保証票」など保証票の表示が義務付けられているので、これら記載がないものを「肥料」として販売することはできません。
肥料の3要素と言われる「チッソ」「リンサン」「カリ」。これらの働きには特長があります。チッソは葉肥と言われ、特に葉や茎を大きく生長させる作用があり、植物にとって最も重要な必須元素です。リンサンは細胞の核蛋白や貯蔵養分を作り、花肥・実肥と言われます。生育初期に与えると根の伸長を促す効果もあります。カリは炭素同化作用を盛んにして繊維を丈夫にします。花や果実、球根を太らせる働きがあります。
これら3要素の次に植物が必要とする成分としてマグネシウム、カルシウムなどがありこれを二次要素と言います。マグネシウムは葉緑素の構成成分で、リンサンの吸収に関与しています。カルシウムは細胞膜を強化し、根の生育を促進します。その他にもマンガンやホウ素、鉄、銅、亜鉛など植物の生育に必要な要素があり、一般に微量要素と呼ばれます。
栄養素 | 働き(効果) | 栄養素 働き(効果) 不足したら… |
チッソ(N) | 1:葉、茎の生育を促進します。 2:植物を大きく育てます。 3:葉色を濃くします。 | 1:植物が大きく育ちません。 2:葉が小さくなります。 3:葉色が薄くなります。 |
リンサン(P) | 1:開花を促進します。 2:花数、実つきを良くします。 3:根の伸長を促進します。 | 1:花が咲きにくくなります。 2:実つきが悪くなります。 3:根張りが悪くなります。 |
カリ(K) | 1:茎、根を丈夫にします。 2:暑さ、寒さに対する抵抗性を増します。 3:病害虫に対する抵抗性を増します。 | 1:茎や葉が柔らかくなり、弱くなります。 2:暑さ、寒さに弱くなります。 3:害虫や病気にかかりやすくなります。 |
次に化学肥料と有機質肥料はどのようなものかお答えします。化学的工程を用いて無機質原料から作られた肥料を化学肥料と言います。化学肥料の内、肥料の3要素の1つしか含まないものを「単肥」と言い、単肥を混合して、3要素のうち2種類以上を含むようにしたものを「複合肥料」と言います。その中でも、3要素の合計が30%以上のものを高度化成、それ以下のものを低度(普通)化成と言います。粒状タイプのものが多く使い方も簡単で、臭いが少なく吸収が早いのが特徴です。
その一方、有機質肥料とは植物質(油粕など)や動物質(骨粉など)を原料とした肥料を言います。効き始めは遅いですが、長くゆっくり効き、土質も良くしますが臭いがあるのが特徴です。
使用目的に応じて、有機質肥料と化成肥料を使い分けると良いでしょう。
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