更新日:2020.11.13
培養土について解説!作り方と使い方、腐葉土との違いをチェックしておこう!
ガーデニングを始める際、「家にある土をそのまま使っていいの?」「どんな種類の土を買えばいいの?」など、「土」について疑問を持つ人も少なくないはず。「土」といっても、さまざまな種類があり、育てる植物との相性もあります。そこで、今回は土の中でもガーデニングや家庭菜園に欠かせない培養土についてご紹介します。土の基本を知るだけで、ガーデニングの腕もぐ〜んとアップしますよ。
培養土を解説する前に。知っておきたい土の基本
さて、今回は市販品でも良く見かけるガーデニングの強い味方「培養土」について詳しくご紹介していきますが、その前に「土」の基本についてご説明しましょう。
土の役割って何? 良い土の条件とは?
一部の例外を除き、植物にとって「土」は必要不可欠なもの。根を張って、倒れないよう植物を支えたり、生長するために必要な養分を与えたり、寒さや暑さといった温度変化から根を守ったりと、さまざまな役割を果たしてくれます。
植物にとっての「良い土」とは、水を一時的に蓄える「保水性」、養分を蓄える「保肥性」、生育するために必要な空気が入りやすい「通気性」、余分な水を排出する「水はけ」がポイントとなります。このほか、酸性やアルカリ性のバランスが良く、有機質が含まれていることも、良い土の条件となります。
ガーデニング用・家庭菜園用の土の基本も知っておこう
こうした土の中でも、ガーデニングや家庭菜園など限られた用途に使われる土を「用土」といいます。用土には「基本用土」と「補助用土(改良用土)」の2種類があります。
ガーデニングや家庭菜園の主軸となっているのが、基本用土。この基本用土に混ぜ込んで、水はけや通気性、保肥性を高めるのが補助用土です。基本用土と補助用土を植物の相性や栽培する環境などに合わせて配合し、状態のいい土にして使うことで花や野菜が元気に生長します。
基本用土とは?
基本用土とは、植物を栽培する上でベースとなる土のことで、さまざまな種類があります。使用する土の半分以上の割合を占めており、1種類を使う場合もありますが、複数の種類の土を混ぜ合わせて栽培に適した土を作ります。
赤玉土
基本用土として多く使われるのが、赤玉土。関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させたものです。通気性や排水性、保水性、保肥性に優れているのが特徴です。粒状の土は極小粒、小粒、中粒、大粒に分類されており、盆栽やプランター、鉢底石など、栽培用途によって使い分けできるのも便利です。
鹿沼土
栃木県鹿沼市付近の関東ローム層で採取される、軽石質の黄色い土。通気性、排水性に優れているなど赤玉土と特性が似ています。酸性が強いため、酸性土壌を好む植物に適しています。
日向土
宮崎県南部などの霧島系火山帯で採取される、弱酸性の硬い軽石。湿っているものは「ボラ土」とも呼ばれます。長期間使っても粒が崩れないことから繰り返し使用できるのが特徴。排水性や保肥性も高く、大・中・小のサイズがあります。
黒土
赤玉土と同様、関東ローム層の火山灰土壌の表層の土に腐敗した植物が堆積したものが混ざった黒い土。野菜などの栽培ではおなじみですね。有機質を多く含み、保水性や保肥力が高い半面、水はけや通気性が悪いのが特徴です。
軽石
火山噴出物が急激に冷えて固まったもの。表面に無数の穴が空いているため通気性、水はけが極めて高いのが特徴です。水よりも軽いため、鉢底石、山野草や盆栽、ランなどの栽培に使われます。
水苔
湿地に自生する水苔を乾燥させたもの。保水性と通気性に優れており、山野草やラン、多肉植物などの植え込み材として使われます。
天然砂
天然砂には花崗岩が風化した「山砂」、河川の岩石が風化した「川砂」があります。山野草や多肉植物、東洋ランなど水はけの良い土を好む植物などに使われます。
補助用土とは?
基本用土に混合して、通気性や保水性、水はけ、保肥性などの性質を改良するのが「補助用土」。改良用土とも呼ばれ、有機質と人工の用土があり、有機質なら土を肥沃にする効果もあります。
腐葉土
広葉樹の枯れた葉や枝などを発酵させたもの。有機質に富み、通気性、水はけ、保肥性に優れた土に改良し、痩せた土を再生させるなど、ガーデニングのあらゆるシーンで活躍してくれる“優等生”です。
堆肥
堆肥は、家畜のふんなどの動物由来、落ち葉、稲わらやもみがら、樹皮などの植物由来の有機物を微生物の力で分解・発酵させたもの。栽培前に土に混ぜ込み、土をふかふかにさせます。これにより土の中の微生物の動きが活発化。通気性や水はけを向上させ、植物が育つ理想的な環境を作ります。
パーライト
真珠岩や黒曜石などガラス質の火山岩を高温で焼いて発泡させた、水よりも軽い粒状の人工砂礫。多孔質のため、通気性、水はけに優れています。
バーミキュライト
ヒル石を高温処理した無菌の人工土。とても軽くて保水性、通気性に優れています。多土壌改良だけでなく、種まきや挿し木の用土、水耕栽培などに使われます。
ピートモス
湿地の苔や柳、アシなどが泥炭化したもの。酸性が強く、保水性に優れています。無菌のため、室内園芸などに利用されることが多い用土です。
培養土とは何でしょう。
さて、単に「土」といっても、実にさまざまな種類の土があることをお分かりいただけたでしょうか? それでは、ここからが本題です。
今回のテーマである「培養土」とは、こうした基本用土と補助用土がバランス良く配合され、特定の植物向けに作られた土のこと。そのまま使用できるため、ガーデニングや家庭菜園初心者にもおすすめの土です。
培養土と腐葉土の違いとは?
ちなみに、この培養土は腐葉土と混同されてしまいがち。でも2つは使い方が異なるため注意が必要です。
培養土は種まき用や挿し木用、野菜や草花、観葉植物など、用途に応じて作られた土なので、簡単に言えば培養土を入れるだけで植物は育ちます。一方、腐葉土は保水性や保温性を高める改良用土ですので、腐葉土だけで植物は育ちません。
培養土は、目的に合わせて自作したり、市販品を使ってもOK
培養土は育てる植物に応じてさまざまな市販品が出回っていますし、基本用土と補助用土を購入して自分で作ることも可能です。
市販の培養土を使うメリット
そうはいっても、なかなか初心者が育てる植物ごとに土を配合するのは難しいもの。その点、市販品なら幅広い植物に対応できる培養土が販売されており、手軽に始めたい人にはおすすめです。あれこれと土材を用意しなくても済みますし、清潔な土を使っているため、病気にかかりにくくPH度数を調整する必要もありません。
市販品なら、元肥としてマグァンプKが入りの「ハイポネックス培養土 鉢・プランター用」や有機由来の元肥が入った「バンブーパウダー入り花と野菜の培養土」が花や野菜にぴったりの培養土。また、野菜の生育に適した配合の「野菜の培養土」、バラ栽培に特化した弱酸性の「バラ専用培養土」もおすすめです。
バンブーパウダー入り 花と野菜の培養土
野菜の培養土
自分で土を配合するメリット
一方、手間と知識が必要ですが自分で培養土を配合するのも、ガーデニングや家庭菜園の楽しみの1つ。水はけを良くしたり、通気性を良くしたり、またはリン酸を多くして花付きを良くしたりと、目的に応じた培養土作りはガーデニングの醍醐味ともいえるでしょう。
自分で培養土を作る場合の基本配合
自分で培養土を作る場合、まずは育てたい植物の性質を知り、それに適した基本用土と補助用土を配合していきます。基本的には赤玉土をベースとして、腐葉土などを配合するケースが多いようです。赤玉土を使った配合例でポピュラーなのは、赤玉土7、腐葉土3です。これは黄金比といわれており、多くの植物が育つ配合です。
このほか、草花、野菜、観葉植物など育てる植物に応じて、赤玉土と鹿沼土を組み合わせたり、バーミキュライトやピートモス、堆肥などを加えたりします。
自分で作った培養土を使う前にすべきこと
自分で培養土を作る時の注意点は、配合してすぐに使わないこと。作りたての培養土は、無菌の基本用土を使っているため、微生物の生育が十分ではないからです。培養土を使う1〜2ヶ月前に混ぜておき、水で湿らせるなどしてあらかじめ微生物を増やしておきましょう。
まとめ
さて、土って本当に奥深くて植物にとって重要な存在だということが分かっていただけたでしょうか? 美味しい野菜を育て、綺麗な花を咲かせるための健やかな成長の源となっているのが「土」です。まずは植物に適した培養土を選ぶのが、成功の第一歩。土にこだわれば、ガーデニングや家庭菜園がより楽しくなりますよ。
記事カテゴリから探す
Garden Tourから探す
いま話題のキーワード