バラをもっと深く知る⑱ いまのバラのスタイル いつも咲くバラ
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最近のバラはほとんどが「四季咲き」。
しかし品種により開花の間隔はさまざま。
その中で注目され人気を集めているのが、「いつも咲いているバラ」です。
「咲いている!」
「あっ、花が咲いている」。思いがけないときに数輪でも、いや1輪でも花が咲いていたら、とてもうれしいもの。
バラは一般に開花から、一季咲き、返り咲き、四季咲きに分けられます。最近発表の品種はほとんどが四季咲き。一般に開花間隔40~60日で次の花が咲くと言われます。しかしこの「四季咲き」も、品種によって大分違います。花が大きくなれば開花間隔は長くなります。例えば四季咲き大輪種(HT)は、実際に観賞に耐えうる花が咲くのは春一番花、二番花、そして秋花の3回。夏にも咲きますが本来の大きさや花型では咲きません。そこで実際には年三回の花を楽しむような栽培・管理を行います。
いつも花が咲く+株がコンパクト+ローメテナンス
典型はローズペイザージュです。もともと公園など公共の場で「景観をつくる」目的での呼称ですが、このうち株が小型のものはバラとしてはコンパクトシュラブです。そのローメンテナンスで咲き続ける性質から、公園だけでなく家庭でもよく利用されるようになってきました。
ローズペイザージュが典型
典型はローズペイザージュです。もともと公園など公共の場で「景観をつくる」目的での呼称ですが、このうち株が小型のものはバラとしてはコンパクトシュラブです。そのローメンテナンスで咲き続ける性質から、公園だけでなく家庭でもよく利用されるようになってきました。
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チェリーレッドの丸い中輪花がふわっと咲く‘チェリー ボニカ’(メイアン)。樹高表示0.7m
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鮮やかな黄色の花が高さ1.0mの直立する樹に咲く‘レヨン ドゥ ソレイユ’(メイアン)。上:ぎふワールド・ローズガーデン(旧 花フェスタ記念公園)、下:草花との混植も
「花」だけではなく「株に咲く姿」
一般に「四季咲きのバラ」と言っても、春から晩秋までのシーズン中で、なんだかんだ言っても花が咲いていないときの方が長いもの。しかしこれら品種は“いつも”咲いています。春は株いっぱいに花が房に咲き、夏花は多少小さくても大きさも花型もあまり変わらず咲き、秋にも花数多く咲きます。そして初冬から場所によっては冬まで咲いているようなタイプの品種です。さらに花保ちの良さが加われば、ほんとうにいつも花が咲いている感じです。
具体的な品種をいくつかあげてみましょう。
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濃ピンク色の中輪花が高さ0.6mのコンパクトな株に咲き続ける‘ダン ポンセ’(ギヨー/マサド 写真はコピスガーデンで)
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庭の中で眼にぱっと入るオレンジ~コーラルの中輪花。高さ0.8mくらいのとても丈夫な株に花が咲き続ける‘セプテンバー トワイライト’(ワーナー)
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高さ0.6~0.9mのコンパクトな直立する枝先に八重咲き~カップ咲きのおおらかな花を咲かせる‘スターリィ ヘブンズ’(ロサ オリエンティス 写真:バラの家)
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横にふわっと広がるシュラブ樹型がとてもきれい。濃ピンクの中輪花が細い枝先にいつも咲く‘フレーズ’(ロサ オリエンティス)。草花との混植で
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鮮やかな赤色のカップ~ロゼット咲き中輪花は花の魅力たっぷり。加えて花保ちがとても良く、常に花が咲いている感じの ‘マイローズ’(ロサ オリエンティス プログレッシオ)。葉の耐病性が高く、株は高さ約1.0mの丸い感じで飛び出る枝は出ない。ロサオリ全品種中最人気
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ラベンダーピンクの中輪花は咲き進んでグレートーンに。樹は耐病性に優れ、高さ0.9~1.0mのコンパクトな株に、房咲きになって安定して開花し続ける‘マチネ’。(コルデス 写真:京成バラ園での秋花)
気軽に楽しめる“カジュアルなバラ”
庭ならこのようなバラが1本あるだけで、それこそ“四季を通じて”花が咲く庭を楽しめます。伸び過ぎる枝もなく難しい剪定技術は不要。葉が丈夫になってきたので、ポイントをおさえた殺菌剤散布で葉をきれいに保ちます。しかし夏や冬に咲いた花は、真夏ならすぐ終わり、冬ならば霜でやられてしまうので、切って室内で楽しみましょう。
バラは一輪を見て評価しがちですが、これらのバラは少し離れて、主に株に咲く姿を観賞します。花を一目見て身体中に電流が流れるような、またその花を咲かせるために日頃から丹精を込めて咲かせる“アートなバラ”とは違い、これらはポイントをおさえた少しの管理だけで、いつも身近に咲く“カジュアルなバラ”。今後ますます増えていきそうです。
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玉置一裕
バラの専門誌『New Roses』編集長。
『New Roses』の編集・執筆・アートディテクションを行うかたわら、ローズコーディネーターとしてバラ業界のコンサルティングやPRプランニング、関連イベントのコーディネート、バラの命名等に携わる。
また園芸・ガーデニング雑誌への執筆や講演を通じて、バラの「美」について語ると同時に、新しいバラの栽培法の研究も行っている。