DATA
■作出:日本 ロサ オリエンティス プログレッシオ(バラの家)
■花色:アプリコットブレンド
■花型:中大輪/切れ込み弁咲き/四季咲き
■香質:ティー+ミルラ+パウダリーの中香
■樹形:高さ1.2mの木立性
直立性の細立ちの樹に大きめの花が咲く、新スタイルの「HT」。アプリコットブレドの中大輪花は、春の花と秋の花には花弁の先に切れ込みが入り少し波打って重なる。房咲き。花付きが良く花保ちも良い。四季咲き。ティーにミルラとパウダリーの中香。小さめの葉は花の華やかさを際立たせる。樹は高さ1.2mとあまり大きくならない木立性で、幅もとらず、庭でほかの植物とも合わせやすい。樹勢は普通だが、葉がうどんこ病・星星病にとても強い。バラの家の育てやすさの4タイプ区分で「タイプ0」のロサ オリエンティス プログレッシオ。花名は、『小公子』『小公女』などの小説でも知られるバーネットの代表作で、映画化もされている『秘密の花園』に登場する老ガーデナーから。2020年秋発表。
育てやすい大輪品種
育種した木村卓功さんは、花の良さ・新しさを大前提に、耐病性をはじめとする樹の性質の向上につとめ、丈夫で育てやすいバラを発表してきた。2019年春にはロサ オリエンティスのサブブランドとして進化型の「プログレッシオ」を発表。この秋発表の‘ベン ウェザースタッフ’もその一つ。これまで中輪・中小輪が主だったものから、大輪品種に挑戦。
HTを“スタイル”と捉える
HTを〇大輪〇四季咲き〇直立性の樹形 の、「スタイル」と捉えた品種。HTは必ずしも剣弁高芯咲きではなくさまざまな咲き方があるが、この花の新しさは、切れ込み弁咲きであること。強香とは言えないが良い香りがある。樹の性質は丈夫で、一般に「樹勢はあるが耐病性に劣り、頻繁な殺菌剤散布が必要」という、従来のHTの弱点を克服。半年に一回(とくに冬・夏の剪定後)の殺菌剤散布で葉をきれいに保ち、耐暑性も高い。株の下の方に花はつかないが、大きめの花が房咲きになり、おおらかな雰囲気が、ローメンテナンスで十分味わえる。
大きめの花が房咲きになって、まるで一枚の西洋絵画を見るよう
開き始めは花芯をふんわり抱える
華やかでおおらかな満開の花
花芯を覗かせて咲いても葯の黄色を保ち、花の中心に灯りをともす
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玉置 一裕
バラの専門誌『New Roses』編集長。
『New Roses』の編集・執筆・アートディテクションを行うかたわら、ローズコーディネーターとしてバラ業界のコンサルティングやPRプランニング、関連イベントのコーディネート、バラの命名等に携わる。
また園芸・ガーデニング雑誌への執筆や講演を通じて、バラの「美」について語ると同時に、新しいバラの栽培法の研究も行っている。