イチゴの育て方|花芽分化・土づくり・ランナーでの苗づくりまで解説
かわいらしい花と赤い実をつけるイチゴは家庭菜園でも人気の高い植物です。比較的丈夫で寒さにも強く、畑でもプランターでも育てられますが、甘い実をたくさんつけるにはコツが必要です。
イチゴを育てるときは、植えつけ後の水やりや肥料に加え、花芽がつくられる秋の環境や、収穫後のランナー管理方法まで考えておくことが大切です。葉の茂り方や花のつき方、土の乾き具合などを見ながら、その時期に合うお手入れを行いましょう。
今回は、イチゴの特長や花芽分化についての基礎知識、土づくりや植えつけ、水やり・肥料、収穫、ランナーを使った翌年用の苗づくりなどを解説します。
- 目次
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- 🍅緒方湊の家庭菜園ゼミナール🍆
- イチゴの育て方|基礎知識
- イチゴの特長と栽培時期
- 花芽分化の基礎
- イチゴの育て方|土づくりと植えつけ
- 土づくり
- 植えつけ
- イチゴの育て方|水やり・肥料
- 水やり
- 肥料の与え方
- イチゴの育て方|わき芽かき・葉かきなどのお手入れ
- わき芽かき
- 葉かき
- イチゴの育て方|収穫
- 人工授粉と収穫時期
- 積算温度と甘くする管理
- イチゴの育て方|収穫後のランナー管理と苗づくり
- ランナーで翌年の苗をつくる
- 健全な親株から苗を採る
- 秋の植えつけに向けた苗の選び方
- イチゴの育て方|注意したい病害虫
- 灰色かび病
- うどんこ病
- アブラムシ・ハダニ
- おわりに
- 【PlantiaQ&A】ガーデニングのお悩み解決!植物の情報、育て方をQ&A形式でご紹介
🍅緒方湊の家庭菜園ゼミナール🍆
01:🍓イチゴの育て方 プランター栽培編 サントリー本気野菜『蜜香』
イチゴの育て方|基礎知識
イチゴ栽培を始める前に、イチゴの特長や栽培時期、花芽ができる条件について知っておきましょう。
基本的な性質を理解しておくと、苗選びや秋以降の管理方法を決めるときにも役立ちます。
イチゴの特長と栽培時期
イチゴは、バラ科の多年草です。春に白い花を咲かせ、その後に赤く熟した実をつけます。
家庭菜園では、秋に苗を植えつけて冬を越し、春に花と実を楽しむ栽培が一般的です。収穫期は5月~6月頃がひとつの目安ですが、地域や品種、その年の気温によって時期は前後します。
また、イチゴは株元からランナーと呼ばれる細い茎を伸ばし、その先に子株をつくる性質があります。収穫後にできた子株を育てれば、翌年の栽培に使う苗をつくることもできます。
イチゴには、春を中心に年1回収穫する「一季なり」と、条件が合えば春以外にも花をつけ、長い期間収穫を楽しめる「四季なり」があります。
一季なりは春にまとまって収穫しやすく、四季なりは長期間にわたって収穫を楽しみやすいのが特長です。栽培する地域や収穫したい時期、育て方に合わせて品種を選びましょう。
苗を選ぶときは、品種名だけでなく、収穫時期や病気への強さ、育てる地域に適しているかなども確認しておくと安心です。
| 品種例 | タイプ | 主な特長 | 選ぶときの確認点 |
|---|---|---|---|
| カレンベリー | 一季なり | うどんこ病や炭疽病などに抵抗性を持ち、露地栽培に向く | やや晩生のため、地域に適した植えつけ・収穫時期を確認する |
| 宝交早生 | 一季なり | 古くから栽培されている品種。花つきがよく、露地でも育てやすい | 果肉がやわらかく傷みやすいため、収穫後は早めに食べる |
| よつぼし | 四季なり性を持つ早生品種 | 糖度・酸味ともに高く、濃厚な食味。種子から育てられるF1品種 | 促成栽培向けに適し、夏秋どりも可能。地域や作型への適性を確認する |
| とちひとみ | 一季なり | 四季なり性が強く、夏から秋にかけて連続して開花。果実が硬く、日持ち・輸送性に優れる | 夏秋どり向け。特に準高冷地~高冷地での栽培に適する |
同じタイプでも性質には違いがあります。苗のラベルで一季なり・四季なりかどうか、栽培適期はいつかを確かめ、育て方に合うものを選びましょう。
登録品種のなかには、自家増殖について条件が定められているものがあります。ランナーから子苗を増やす場合は、品種の情報を確認しましょう。
花芽分化の基礎
花芽分化とは、株の中心にある生長点が、葉ではなく花をつくる準備へ切り替わることです。見えにくい変化ですが、花芽分化の時期や程度は、翌春の開花や収穫量にも関係します。
一季なりのイチゴは、夏の高温・長日条件ではランナーを伸ばして株を増やします。その後、気温が下がり、日長が短くなる秋に花芽分化が進みます。
花芽分化には温度と日長が関係し、品種によっても反応が異なるため、秋の気温だけで一律に判断することはできません。
秋に肥料を多く与えて葉ばかり茂らせたり、植えつけが遅れて根を十分に張る前に寒くなったりすると、春の花数に影響することがあります。
苗は地域に合った時期に植えつけ、肥料は決められた量を守って与えましょう。冬までにしっかり根を張らせることが大切です。
イチゴの育て方|土づくりと植えつけ
イチゴを元気に育てるためには、植えつけ前に栽培環境を整えておくことが大切です。ここでは、地植えとプランターそれぞれの土づくりと、苗の選び方、植えつけ方について紹介します。
土づくり
イチゴは水はけと水もちのバランスがよく、通気性のある土を好みます。土が乾きすぎたり、水がたまった状態が続いたりすると根が傷むことがあるため、植えつけ前に栽培環境を整えておきましょう。
地植えの場合は、植えつけ前に土づくりを行います。土壌の酸度を確認し、必要に応じて苦土石灰を施しましょう。苦土石灰を施す場合は、植えつけの2週間以上前を目安に土になじませます。
その後、完熟堆肥や元肥を施して土によく混ぜ込みます。元肥には、ゆっくり長く効く緩効性の『マグァンプK 中粒』や有機入り緩効性肥料の『今日から野菜 野菜の肥料』などが使用できます。
水がたまりやすい畑では、畝を高めに立てて水はけをよくするのがおすすめです。必要に応じて畝間に排水路を設けるなどして、土が過湿にならないようにしましょう。
プランターの場合は、野菜用培養土『今日から野菜 野菜を育てる土』などを使うと手軽です。元肥入りなので植えつけ前に肥料を追加する必要はありません。
プランターの底には鉢底ネットを敷き、余分な水が底から抜けることを確認しておきましょう。
植えつけ
植えつけ前の確認事項
苗は葉色がよく、クラウンが太く、病斑や害虫のないものが適しています。
クラウンとは、根と葉の間にある短く膨らんだ部分です。ポットの底から出た根が黒く傷んでいる苗や、葉が極端に黄ばんだ苗は避けましょう。
地植えする場合は、日当たりと排水性を確かめておきます。プランターは基本的に日当たりのよい場所に置きますが、雨が続く日は軒下へ動かすため、鉢を移せる位置を決めておきましょう。
クラウンと株間の確認
クラウンには新しい葉や花をつくる生長点があるため、土に埋めると生育が悪くなったり、傷んだりすることがあります。根鉢の上の面と土の表面が同じ高さになり、クラウンが土から出るように植えるのが基本です。
畑では株間30cm〜40cm程度を目安にすると、葉が伸びて広がっても風を通しやすくなります。苗に残る古いランナーの切り口とは反対側へ花房が出やすいため、実を収穫しやすい通路側へ向けて植えると管理が楽です。
栽培場所別の植えつけ
植えつけ前に土を軽く湿らせておくと、根鉢の周囲となじみやすくなります。
鉢に植える場合は1株ずつ、横長のプランターを使うなら株同士の葉が重ならないよう間隔を空けます。果実が土や床へ触れにくいストロベリーポットを使うのもひとつの方法です。根鉢を大きく崩さず植えたら、鉢底から流れるまで水をあげましょう。
畑では苗を同じ深さに植え、根が土にしっかり根づくよう、株元へたっぷり水を与えます。土が乾きやすい場所では、敷きわらやマルチを使うと、乾燥や果実の汚れを防げます。ただし、クラウンは土や資材で覆わないようにしましょう。
イチゴの育て方|水やり・肥料
イチゴを栽培するときは、土の乾き具合や株の生育状態を確認しながら、水やりや肥料を適切に行いましょう。
水や肥料を与えすぎると根や株に負担をかけることがあるため、植物の状態を見ながら管理することが大切です。
水やり
プランターは土の表面が乾いたら、午前中のうちに鉢底から水が流れるまで与えます。葉や花へ泥がはねないよう、株元へ静かに注ぎましょう。
花が咲いてから実が大きくなるまでは、特に水切れに注意し、土を乾燥させすぎないように水やりをします。鉢の受け皿にたまった水は、根腐れを防ぐため捨ててください。
畑では、雨が十分に降っている場合は基本的に水やりの必要はありません。ただし、土が乾燥しているときや、植えつけ直後などは、土の状態を確認して適宜水を与えましょう。
冬は生育が緩やかになり、水分の消費量も少なくなります。土の乾き具合を確認し、乾燥している場合は暖かい日の午前中に水やりをしましょう。
肥料の与え方
イチゴには、植えつけ時の元肥に加えて、生育に合わせて追肥を施します。肥料を与えすぎると、葉ばかりが茂ったり、株に負担がかかったりすることがあるため、使用する肥料の表示を確認し、適切な量を与えましょう。
追肥は、株の生育状態や使用する肥料の種類に合わせて行います。秋に植えつけた後は、株の生育を確認しながら追肥を行い、春先にも必要に応じて肥料を与えます。追肥には、元肥・追肥に使用できる『今日から野菜 野菜の肥料』などがおすすめです。
葉色が濃く、葉柄ばかり長く伸びている場合は、肥料が多すぎる可能性があります。これまでに与えた肥料の量と、花や新葉の状態を確認し、肥料が多いと考えられる間は追肥を控えましょう。
イチゴの育て方|わき芽かき・葉かきなどのお手入れ
イチゴは、株元の混み合いを整えたり、古い葉を取り除いたりすることで、株を健やかに保ちやすくなります。生育の様子を見ながら、わき芽かきや葉かきを行いましょう。
わき芽かき
わき芽かきとは、クラウンの脇から伸びる芽を整理する作業です。株元から芽がいくつも伸びて株元が混み合ってきたら、生育のよい芽を残し、細い芽や不要な芽を摘み取って株元を整えましょう。
葉かき
葉かきとは、古葉や枯れ葉を取り除き、株元の混み合いを整える作業です。枯れた葉や傷んだ葉、地面に触れている葉などを少しずつ取り除き、株元の風通しをよくしましょう。
花や果実の周囲がすっきりすることで、風が通り、株の状態も確認しやすくなります。
ただし、葉かきは元気な葉まで一度に取り除く作業ではありません。株が小さい場合や葉数が少ない場合は無理に行わず、光合成に必要な葉を残しましょう。
収穫中に伸びるランナーは、株の生育や果実の充実を優先するため、早めに切り取っておきましょう。ランナーを使って翌年の苗をつくる場合は、収穫後に伸びてくるランナーを利用します。
イチゴの育て方|収穫
イチゴは、花が咲いたときにしっかり受粉させることで、形の整った果実をつくりやすくなります。収穫するときは、開花からの日数や気温を目安にしながら、果実全体の色づきを確認して採り頃を判断しましょう。
人工授粉と収穫時期
虫が少ないベランダや軒下では、人工授粉を行います。晴れた日の午前中に、毛先の柔らかい筆や綿棒で花の中心をやさしくなぞり、めしべ全体に花粉をつけましょう。
一般的な露地栽培では5月〜6月頃が収穫のタイミングです。果実全体が十分に色づいたら、果梗をハサミで切り取ります。完熟した実は傷みやすいため、朝の涼しいうちに収穫しましょう。
積算温度と甘くする管理
開花から収穫までの日数は気温によって変化するため、毎日の平均気温を積み上げた「積算温度」を収穫時期の目安にする方法もあります。
イチゴでは、開花後の積算温度を600℃前後の目安として収穫時期を予測する方法がありますが、品種や栽培環境によって前後します。
そのため、積算温度だけで収穫時期を判断するのではなく、果実の色づきや張りなども確認して、収穫のタイミングを見極めましょう。
イチゴの甘さは、品種や気温、果実の熟し具合などによって変わります。栽培中は適切な水やりと肥料を心がけ、果実が十分に色づいてから収穫しましょう。
イチゴの育て方|収穫後のランナー管理と苗づくり
春の収穫が終わったら、ランナーを利用して翌年の栽培に使う苗を育てることができます。病気や害虫のない健全な株から子苗を育て、秋の植えつけに向けてしっかり根を張らせましょう。
ランナーで翌年の苗をつくる
6月頃から伸びるランナーの先に葉や根が出てきたら、子株の下に培養土を入れたポットを置き、U字ピンなどで軽く押さえます。
根が十分に張り、新しい葉が伸び始めるまでは、親株とランナーをつないだまま、土を乾かないように育てましょう。しっかり根づいたことを確認してから、ランナーを切り離します。
親株にもっとも近い一番目の子株(太郎苗)は、親株から病害が持ち込まれる可能性などを考慮し、二番目や三番目のよく育った子株を苗に利用することがポイントです。葉やランナーに病斑がある親株からは苗を採らないようにしましょう。
健全な親株から苗を採る
収穫を終えた株のうち、病斑や害虫のない株は、ランナーから子苗を採るための親株として残します。採苗が終わった古い株は処分し、翌年の栽培にはランナーから育てた健全な子苗を使いましょう。
親株を長く使い続けるよりも、病害などを持ち越さないよう、健全な親株を確保して苗づくりを行うことが大切です。
秋の植えつけに向けた苗の選び方
苗を採る時期は、地域や栽培方法によって異なります。南秋の植えつけまで十分に苗を育てられるよう、地域の栽培カレンダーやその年の気温を参考に、時期を決めましょう。
苗を採るときは、本葉が3枚~5枚あり、クラウンが太く、白い根がよく伸びている子苗を選びます。親株から切り離した子苗を秋の植えつけまで育てる場合は、株同士が混み合わないよう間隔を空けて仮植えします。植えつけ後は十分に水を与え、その後も水切れや強い西日を避けて管理しましょう。
秋の植えつけ時期を迎えたら、本葉が5枚~6枚ほどに育ち、葉色や根の状態がよい苗を選んで植えつけます。暑い地域では、気温が高い時期に苗を採ったり、植えつけを急いだりすると苗が弱ることがあるため、地域の栽培時期に合わせて作業しましょう。
イチゴの育て方|注意したい病害虫
葉裏や花、実の小さな変化に早く気づくと、病害虫の被害を抑えやすくなります。主な病害虫の症状や発生しやすい条件を知っておき、日頃から株の様子を観察しましょう。
灰色かび病
花がらや傷んだ実に水分が残ると発生しやすくなります。水は株の上からかけるのではなく株元へ与え、枯れ葉や傷んだ果実はこまめに取り除きましょう。
うどんこ病
うどんこ病は葉に白い粉状のかびが現れる病気です。葉の裏側にも発生するため、下葉や新葉の裏側まで確認し、発生した葉は早めに取り除きましょう。
日当たりや風通しを確保し、株が過繁茂にならないように管理することも予防につながります。
アブラムシ・ハダニ
アブラムシは新芽や葉などに、ハダニは葉裏などに発生しやすいため、日頃から株をよく観察しましょう。特にハダニは葉の裏側で吸汁し、葉に白っぽい斑点が現れることがあります。
病害虫の被害が広がり、手で取り除くことが難しい場合は、イチゴに登録のある薬剤を使用する方法もあります。
薬剤を使用するときは、イチゴへの適用の有無を確認し、ラベルに記載された使用時期や使用回数などの使用方法を守りましょう。
おわりに
イチゴは、秋に苗を植えつけ、冬を越して春に収穫を迎え迎える栽培が一般的です。秋は翌春に咲く花の芽がつくられる時期でもあります。
植えつけのときにはクラウンを埋めないように注意し、肥料を与えながら、土の乾き具合に合わせて水やりをすることが大切です。春は古葉や枯れ葉を取り除き、病害虫が発生していないか確かめながら育てましょう。
収穫後は、健全な株から伸びたランナーを利用して子苗を育てれば、翌年の栽培にもつなげられます。花や実を楽しんだあと、自分で育てた株から次の苗を育てられることも、イチゴ栽培の魅力です。
ぜひ家庭菜園でイチゴ栽培にチャレンジして、季節ごとの生長を見守りながら、春の収穫を楽しみましょう。
【PlantiaQ&A】ガーデニングのお悩み解決!植物の情報、育て方をQ&A形式でご紹介
☘06:イチゴの育て方|イチゴ栽培のポイント、苗の植え方やプランター|甘く育てる方法、植えつけの注意点をご紹介
公開日:2020年11月25日
更新日:2022年1月21日
更新日:2026年9月30日
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