芙蓉(フヨウ)の育て方|美しい花を咲かせる栽培のコツや増やし方
夏の暑い時期にも、ふんわりとした大きな花を咲かせてくれる芙蓉(フヨウ)。開花期間が長いため、花の季節になると美しい花をたくさん観賞することができます。
頻繁な水やりや施肥なども必要ないため、管理の手間がかかりにくいことも魅力です。お好きな方は、ぜひご自宅に植えて栽培にチャレンジしてみましょう。
今回は、芙蓉の特徴やムクゲとの見分け方、基本的な栽培方法、挿し木による増やし方などをご紹介します。
芙蓉(フヨウ)の育て方|花の特徴や魅力
芙蓉(フヨウ)はアオイ科の花木です。8月~10月の暑い時期に大輪の花を咲かせます。
花の大きさは10cmほどで、花びらのふわふわとした質感が魅力のひとつです。花の色はピンク色や白色で、樹高は2m~3mほどになることがあります。
「芙蓉」はもともと蓮のことを指す名称でした。蓮と芙蓉を区別するために、芙蓉のほうを「木芙蓉(モクフヨウ)」と呼ばれることもあります。
冬の枯れ芙蓉について
芙蓉の開花時期には美しい花を堪能できますが、気温が下がるにつれて花はしおれていきます。
一般的な花の場合、咲き終わった後は花がら摘みや剪定などを行ってお手入れします。
芙蓉の場合、花が枯れた後の姿を「枯れ芙蓉(枯芙蓉)」として観賞する文化があることも大きな特徴です。
枯れ芙蓉は冬の季語にもなっている言葉です。芙蓉の枯れた姿は、古くから風情のあるものとして親しまれてきました。
芙蓉の花が枯れると丸い実がつきますが、そのままにしておくと熟れていき、冬が近づくにつれて茶色く枯れていきます。
最終的に白く細かい毛に覆われた、ふわふわとした姿を観賞できます。
枯れ芙蓉を見たいときは、花後に花がら摘みをせず放置して、冬を待ちましょう。
よく似ているムクゲとの違い
芙蓉とよく似た花に「ムクゲ」があります。樹高は1m~2mほどで、芙蓉と同じく中国が原産といわれています。花の時期は7月~9月で、暑い時期に開花することも同じです。
ただし、開花し始めるのはムクゲのほうが早めです。花の色は芙蓉よりも多く、白やピンクのほかに赤や紫、複色のものも見られます。
両者を見分けたいとき、まずは雄しべをチェックしてみましょう。芙蓉の雄しべはゆるやかにカーブしており、ムクゲの雄しべはまっすぐに伸びています。
葉は芙蓉のほうが大きく、明るめの緑色をしています。ムクゲのほうが葉が小さく、色も濃いめです。
迷ったときは、雄しべや葉、樹高などをチェックして見分けてみましょう。
芙蓉(フヨウ)の育て方|栽培のポイント
芙蓉はお手入れの手間がかかりにくい花木です。花木を育てるのが初めてという方にもおすすめできます。
ぜひご自宅へ植えつけて、夏の開花を楽しみに育てていきましょう。
ここでは、芙蓉の基本的な育て方をご紹介します。
芙蓉(フヨウ)の好む栽培環境
芙蓉の花をたくさん咲かせるためには日当たりの良い場所で育てることが大切です。
ずっと日陰になるような場所では花つきが悪くなってしまうことがあるため気をつけましょう。
水はけの良さも大切ですが、夏場は乾燥に注意する必要があります。株元の地面に強い直射日光が当たらない場所が適しているでしょう。
耐寒性はやや弱いため、冬の寒風に当たる場所は避けて植えることがおすすめです。
土づくり
芙蓉は排水性と保水性を兼ね備え、腐植質に富む用土で元気に育ちます。
植えつける場所の土を掘り返し、完熟たい肥や腐葉土などを混ぜて耕しておきましょう。
『土を豊かにする肥料』は、堆肥と肥料成分がペレット状になっており、肥料効果と同時に土の中の微生物の働きをうながします。
植えつけ
芙蓉は大きく育つため、基本的には地植えすることがおすすめです。
植えつけ適期は3月下旬~5月になります。根鉢よりも一回りほど大きい穴を掘って植えつけましょう。
植えつけの際は、肥料期間が約2年間持続する緩効性肥料『マグァンプK大粒』を元肥として土に混ぜ込みます。
苗を入れて土を戻したら、根と根の間に土が入るように棒でつついてなじませます。
植えつけ後は、根の活着促進のため植物用活力液『リキダス』を1,000倍に希釈してたっぷりと与えます。
水やり
植えつけた後、しばらくの間は土の表面が乾いたタイミングで水を与えます。根づいた後は降雨に任せて問題ありません。
ただし、乾燥しやすい夏場は、放置していると極端に乾いてしまう可能性があるため注意が必要です。
土の状態をチェックし、水切れしてしまう前に水やりしましょう。
肥料
植えつけの際は元肥として緩効性肥料『マグァンプK大粒 』を土に混ぜ込みます。
花つきを良くするため、7月~9月にかけて追肥を行いましょう。
追肥にはバラまくだけで肥料効果が約2~3カ月間持続する『プランティア花と野菜と果実の肥料』がおすすめです。
暖地で育てる際は、12月~1月の間に寒肥を施すと良いでしょう。
寒肥には堆肥と肥料成分がペレット状にひとつになった『土を豊かにする肥料』がおすすめです。
冬越し対策
冬は落葉期となり、休眠に入ります。暖かい地域の場合は枝が残りますが、寒い地域の場合は枝が枯れてしまうことがある点に留意が必要です。
寒い地域の場合は、地上部を刈り込んで冬越しさせる方法があります。土の表面から15cm~20cmほどの位置で切り戻してみましょう。
その上から藁や落ち葉などをかぶせてマルチングし、保温します。冬越しが成功すれば、春になると再び芽が伸びて枝をつけてくれるでしょう。
剪定
冬場も枝が残る地域では、切り戻しを行わないため株が大きく育ちます。春になったら新しい枝が伸び、そこに花芽がつくため、2月~3月のうちに剪定を済ませておきましょう。
冬の剪定では、不要な枝を取り除いて樹形を整えます。混雑した部分の枝は根元からカットしましょう。すべての枝にまんべんなく日光が当たるように整えることで、花つきも良くなります。
芙蓉(フヨウ)の育て方|挿し木での増やし方やコツ
芙蓉の栽培に慣れてきたら、もっと多くの株を育てたいと考える方も多いのではないでしょうか。
芙蓉を増やしたいときにおすすめの方法が「挿し木」です。最後に、芙蓉を挿し木で増やす方法やポイントを解説します。
挿し木の時期
挿し木とは、植物の一部を切り取って挿し、新しい株を増やす方法です。親株と同じ特徴を持つ植物を増やすことができます。
芙蓉の挿し木適期は5月~6月、9月~10月頃です。その年に伸びた新しい枝を挿し穂とします。
また、暖かい地域の場合は3月~4月にかけて挿し木することも可能です。その場合は前年に伸びた枝を使います。
準備するもの
挿し木の際は、枝をカットするための刃物や清潔な用土、土を入れるための容器を準備します。刃物は雑菌が入らないよう消毒し、清潔な状態を保ちましょう。
用土は肥料が含まれていないものを使用します。小粒の赤玉土などの単用土を使っても良いですが、市販されている挿し木用土を使うと手軽です。
挿し木の方法
挿し木の際は、枝の先端から15cm程度カットして挿し穂をつくります。切り口は斜めにしておくと吸水させやすくなります。
下のほうについている葉は取り除きましょう。葉をすべて残していると蒸散によって水が不足しやすくなるためです。
挿し穂を吸水させたら用土に穴をあけて先端を挿し、土を戻します。発根までには約1カ月必要です。
その間、土を完全に乾かさないように管理しましょう。土を湿らせてから日陰に置いておきます。
発根してある程度育ったら好きな場所へ植えかえて、水や肥料を与えながら育てていきましょう。
おわりに
芙蓉の木は、夏に咲く花木をお探しの方におすすめです。
乾燥しやすい夏は水切れに注意する必要がありますが、基本的には手間もかかりにくく、ガーデニング初心者の方も育てやすい植物といえます。
冬はお住まいの地域に合わせて管理方法を変えることがポイントです。
芙蓉の花がお好きな方は、今回ご紹介した情報も参考にしながらご自宅に植え、毎年の夏の観賞を楽しみに育てていきましょう。
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