アロカシアの育て方!植えかえのコツから病害虫対策まで解説

アロカシアはそのエキゾチックな見た目と品種の多さから、非常に人気が高い観葉植物です。また、品種によっては育てやすいものも多いため、観葉植物初心者の方も挑戦しやすいでしょう。
この記事では、アロカシアの特徴を紹介するとともに、水やりや剪定方法といった育て方のコツ、増やし方について解説します。数あるアロカシアのなかから代表的な品種もピックアップしていますので、ぜひご自身にぴったりのものを見つけて、ご自宅で栽培を楽しんでください。
アロカシアとは?

アロカシアはアロカシア属サトイモ科に分類されている植物です。熱帯アジアからオーストラリアにかけておよそ65種類が生息している多年草植物で、日本では四国の南部から九州南部、琉球諸島に分布しています。
素朴ながらも生き生きとした緑色の葉が特徴的な観葉植物で、グリーンインテリアとして人気の高いクワイズモのアロカシアの一種です。地下や地上部に根茎を作りますが、寒い時期になると地上部は枯れて、根茎だけが残ります。
アロカシアは種類が豊富で、葉の大きさだけでも10センチサイズのものから人間を覆えるくらいのものまで揃っています。葉の模様や形もバラエティに富んでおり、なおかつ育てやすいため、観葉植物初心者にもぴったりの品種です。とはいえ花を咲かせることは非常に難しく、適した環境で大株に育てなければいけません。うまくいけば6~7月頃に甘い香りがする白い花を咲かせるでしょう。
アロカシアの花言葉は「復縁」「仲直り」です。葉が大きなハートのような形をしていることが、花言葉の由来となっています。
アロカシアの育て方

続いて、アロカシアの育て方について詳しく解説します。
栽培環境・日当たり・置き場

アロカシアは年間を通して日当たりのよい場所で育ててあげましょう。日に当たる時間が少ないと葉が垂れ下がり、葉柄が折れてしまうため気をつけてください。
またアロカシアの葉は日が当たる方向へと傾く性質を持っています。葉のバランスをよくしたい場合は、こまめに向きを変えてあげましょう。
また、アロカシアは暑さに強く寒さに弱い性質を持っているため、春から秋にかけては屋外での栽培も可能です。ただし、気温が15℃を下回る場合は屋内に入れてあげましょう。室内で育てる場合は、エアコンの直風が当たらないように気をつけてください。
葉が金属光沢を持つ品種を育てる場合は室内の明るい日陰かレース越しに日差しが当たる半日なたで育てます。これらは森に自生するタイプのため日差しに弱く、直射日光が当たると葉が黄色くなって枯れてしまいます。年間を通して屋内で育ててあげましょう。
水やり
アロカシアは水を好む植物です。特に5~9月は生長期にあたるため、土が乾くたびにたっぷり水を与えるか、腰水をするなどして、水を切らさないようにしてください。
10月に入るころには水の量を控えめにしましょう。冬になると鉢の土が乾いてから4~5日たったタイミングで水をやるようにします。水やりは日中の暖かい時間に行ってください。
用土
水持ちのよい腐植質で、なおかつ水はけのよい用土を好むため、市販の観葉植物用の土で育てるとよいでしょう。自身で配合する場合は「赤玉土(小粒)6:腐葉土3:川砂1」の割合で植えつけするのがおすすめです。
肥料

アロカシアは基本的に肥料がなくても育ちますが、生長を早めたい場合は肥料を与えるとよいでしょう。肥料は生長期の5~9月に置き肥として緩効性化成肥料『プロミック 観葉植物用』を2ヵ月に1度の頻度で与えてください。
同時に即効性の液体肥料『ハイポネックス原液』を1週間~10日に1回の頻度で与える、もしくはカリ分の高い液体肥料を月に1回与えるとよいでしょう。有機肥料ではなく化学肥料を与えると、コバエの発生予防になります。
冬場は生長が緩慢になるため、肥料を与えると肥料焼けを起こす可能性があるので注意してください。
植えつけ、 植えかえ

アロカシアの植えつけは暖かい5~9月に行うのが一般的です。ただし猛暑日に植えつけると根に負担がかかる恐れがあるので注意してください。葉の艶がよく茎がしっかりしていて、病害虫の影響を受けていない苗を選び、植えつけます。
アロカシアは生育旺盛な観葉植物のため、根が鉢の底から出てくるくらい生長したら必ず植えかえしましょう。特に小さな鉢や中くらいの鉢で育てている場合は、毎年5~8月に一回り大きな鉢に植えかえてください。
土は、水はけがよいものを使い、鉢底には鉢底石をしっかり敷き詰めます。葉が金属光沢の種類のアロカシアは5月半ば~8月までに植えかえましょう。
最初から大きな鉢で育てている場合は、2年に1度根を半分くらい切り落とした状態で、今までと同じサイズの鉢もしくは一回り大きな鉢に植えかえてください。このとき、傷んでいる根はしっかり切り落とします。
葉が残った株は古い用土を3分の1程度落としてから新しい用土に植えかえましょう。冬場に株が枯れてしまっていても、芋が残っていれば再び芽を出す可能性があります。捨ててしまわずに新しい用土へ植えかえましょう。
剪定・切り戻し
アロカシアの剪定は、5~9月の生長期の後半もしくは生長期が終わったタイミングで行います。古くなって傷んでしまった茎や葉をハサミで切り落として風通しをよくしてあげましょう。劣化した葉を見つけたら、随時剪定しても問題ありません。
冬越し
アロカシアは寒さと乾燥に弱い植物です。霜に当たると枯れてしまうため、屋外で育てている場合は霜が降りる肌寒い季節になったら、室内に入れるか温室内でファンヒーターなどを使用して温度管理をしてください。室内で育てる際は、加湿器などで乾燥対策をしましょう。
また、冬の窓際は温度が下がるため、窓際には置かないようにしてください。夜間の寒さ対策として、鉢に緩衝材などを巻いて保温するのも効果的です。
増やし方
子株が出ている場合は、子株を分けて増やすことができます。子株は葉が十分に開いていて株元に根がついているものを選んでください。株分けは植えかえのときに行うとよいでしょう。
また、「取り木」もしくは「挿し木」で増やすことも可能です。取り木は6~7月に行います。切り取った部分は同年の10月までに鉢に植えるようにしてください。また切り取った部分から雑菌が入りやすいので、切り口に園芸用の殺菌剤などを塗りこむと安心です。
挿し木は5~7月に行います。茎の部分を5cmほど切り取って土に挿しましょう。雑菌予防のために、必ず表面を乾かしてから挿してください。
アロカシアを育てる際に気をつけることはある?

アロカシアを育てる際は、病気と害虫に気をつけてください。ここからは、特に注意したい病気や害虫について、予防法や対処法とともに紹介します。
病気
アロカシアを育てる際に気をつけたいのが「軟腐病」です。「軟腐病」は細菌が原因で発生します。この細菌が繁殖することで養水分の通り道が塞がれ、地上部がしおれ、地際が腐って溶けたようになる症状が現れます。
軟腐病にかかっている箇所を見つけたら、その部分を取り除いてしっかり乾燥させたうえで新しい土に植えつけましょう。
軟腐病は高温多湿で空気のとおりが悪い環境を好みます。根や茎に発生したわずかな傷から感染するため、日ごろから水のやりすぎに気をつけたり、植えつけ時には茎や根を優しく取り扱ったりすることが病気の予防につながります。
軟腐病と並んでアロカシアに発病しやすいのが「炭疽病」です。炭疽病はカビの一種が原因となって発症します。葉の表面に黒や茶色の斑点が現れ、そこから次第に穴が開いていき、最終的には枯れてしまう病気です。
炭疽病を発見した場合は、病変した葉を切り取って処理しましょう。菌がほかの葉に移っている可能性もあるため、園芸用の薬剤も散布しておきます。処理が終われば風通しのよい場所に移動させ、しばらくの間経過観察しましょう。
炭疽病は通気性と水はけが悪い土壌を好むため、風通しのよい場所で育てる、水はけのよい土に植えるなどの対策を立てておくと安心です。
害虫
アロカシアに発生しやすい害虫が「ハダニ」です。ハダニが発生すると、葉が白っぽくなったあとにしだいに黄ばんでしまいます。ハダニを見つけたらすぐに殺虫剤を散布しましょう。
乾燥が激しい冬はハダニが発生しやすいため、定期的に霧吹きで葉に水をかけるなどの対策をしておきましょう。用土に害虫対策薬剤を混ぜておくのも効果的です。
屋外にて腰水で育てていたり、新芽の時期になったりすると「ナメクジ」にも注意が必要です。ナメクジが発生するとアロカシアが食害されてしまいます。ナメクジが這ったあとの茎や葉は白く光って濡れています。
ナメクジは夜行性のため、暗くなった夜に見つけやすいでしょう。葉や茎をこまめに観察し、粘膜の筋のような跡を見つけたら専用の殺虫剤を巻いて対処しましょう。
ナメクジは暗くてじめじめした場所を好むため、鉢やプランターの裏および底を定期的に観察することも重要です。
「カイガラムシ」の被害にも注意してください。カイガラムシはその名のとおり殻を持つカメムシの一種で、発生すると見た目が悪くなったり、生育に影響が出たりします。
カイガラムシは殻を持っているため駆除が難しいのが特徴です。アロカシアにカイガラムシがついているのを見つけたら、専用の薬剤を散布したり、歯ブラシでこすり落としたりして退治しましょう。こすり落とす際は葉や茎に傷を付けないように注意してください。
アロカシアの品種紹介

アロカシアにはさまざまな品種があります。ここでは、数あるアロカシアの品種のなかから特に人気が高く代表的なものを紹介します。
● アロカシア・オドラ(クワズイモ)
長く伸びた茎から大きな葉っぱを広げた姿が特徴的で、数あるアロカシアの品種のなかでも一・二を争う人気を集めています。非常に存在感があるので、グリーンインテリアに最適です。葉っぱの形から、西洋では「エレファントイヤー(象の耳)」と呼ばれています。
● アロカシア・アマゾニカ
緑色の葉に白い葉脈が入っているのが特徴です。光沢のある濃い緑の葉に白い葉脈のコントラストが非常にエキゾチックで、見飽きることがありません。室内におくとオシャレな雰囲気を演出してくれるため、インテリアとしても人気の高い品種です。
● アロカシア・グリーンベルベット
光沢のある葉と白い葉脈が、まるでベルベットのように美しいため、その名が付けられました。触り心地もベルベットのように心地よいのが特徴です。アロカシアのなかでも、比較的育てやすい品種のため、観葉植物栽培の初心者におすすめです。
● アロカシア・ゼブリナ
ゼブラが語源となっている「ゼブリナ」という名前がついているとおり、茎にシマウマのようなゼブラ柄が入っています。シャープな印象を与えてくれるため、室内をスタイリッシュに演出してくれるでしょう。コンパクトな品種のため、置き場所を選ばないのも魅力です。
● アロカシア・ドラゴンスケール
葉の表面の黒っぽい模様と、裏面にあるはっきりとした赤線の葉脈がドラゴンを連想させることからこの名が付けられました。立体的なボコボコとした葉が特徴です。葉の裏側と表側でまったく違った表情が楽しめるでしょう。
● アロカシア・ククラタ
別名「シマクワズイモ」といい、アロカシラ・オドラをそのまま小さくしたような品種です。ハート形の葉がとても可愛らしく、全体的にコンパクトな姿をしているため、リビングやキッチンなど室内に飾りやすいでしょう。アロカシアのなかでも寒さに強い品種で、気温3℃前後まで耐えられます。
● アロカシア・ラウテルバキアナ
波打っているような細長い葉が特徴的でスタイリッシュな品種です。まるで剣のようなスマートなフォルムをしているため、飾るだけでお部屋をおしゃれな空間に仕上げてくれるでしょう。葉の表面がグリーン、裏面がシルバーと表裏でコントラストがあるのも印象的です。
● アロカシア・バンビーノ
アロカシア・アマゾニカを品種改良したのがアロカシア・バンビーノです。「バンビーノ」とは小さな男の子という意味ですが、その名のとおり小さくて可愛らしい姿をしています。非常にコンパクトに生長するため、あまりスペースが要らない場所で育てたい方におすすめです。
● アロカシア・クプレア
生長と共に葉の色の変化が楽しめる品種です。光沢のある葉は無機質な質感で、一見すると観葉植物とは思えません。また光の当たり方によって葉の色が違って見えるため、個性的な品種を求めるコレクターから人気を集めています。別名「アロカシアレッドシークレット」とも呼ばれており、葉の裏側は濃いボルドーになっています。
● アロカシア・スティングレイ
魚の「エイ」にそっくりな姿をしている、インパクトのある品種です。流通量が少ないため、希少価値のある品種ですが、そのユニークな姿かたちが人気を集めています。非常に寒さに弱い品種のため、冬越しには注意が必要です。
● アロカシア・ジャクリン
数あるアロカシアの品種のなかでも、群を抜いた葉脈の美しさと切れ込みを持っています。きれいなグリーンのなかに浮かび上がる黒い葉脈と深い葉の切れ込みが、神秘的な雰囲気を演出しています。流通量が非常に少ないため、とても希少な品種です。
● アロカシア・スカルプラム
濃いグリーンのなかに葉脈がランダムに入り組んでいる、個性的な品種です。葉は細く、生長するにつれてゴツゴツとした質感になります。葉のグリーンと茎のパープルのコントラストも非常に美しく、鑑賞のしがいがあります。
アロカシアを育てる難易度

アロカシアを育てる難易度は品種によって異なりますが、耐寒性や耐陰性の強いものを選べばそれほど難しくはありません。比較的乾燥にも強い植物に分類されるため、平日は仕事が忙しくてなかなかお世話ができない、という人でも育てやすいでしょう。
寒さに弱いのが特徴ですが、マンションのように断熱性が高い建物の室内であれば、育てるのも難しくはありません。
ただし、「アロカシア・シルバードラゴン」や「アロカシア・アズラニー」など、品種によっては育てるのが難しいものもあります。観葉植物を育てるのが初めてという方は、まずは育てやすい品種から栽培し、慣れてきたら難易度が高いものに挑戦してみましょう。
まとめ

アロカシアは個性的な色合いや葉の形をしたものが多く、それぞれのオリジナリティが楽しめる観葉植物です。
どの品種もお部屋に置いておくだけで、おしゃれな空間を演出してくれるでしょう。こだわりのインテリアグリーンを探している方は、ぜひお好みのアロカシアを見つけて、その生長を楽しんでください。
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