更新日:2025.05.19
アオキの育て方について解説!水やりの方法や増やし方まで詳しく説明します

アオキは日本の庭や公園などでよく見かける植物で、常緑多年草として一年中青々とした葉を楽しめます。丈夫で育てやすく、初心者でも管理しやすいのが特徴です。
今回は、アオキの育て方について水やりや増やし方などのポイントと共に解説します。
アオキとは?

アオキは日本を原産とする低木で、光沢のある葉と赤い実が特徴的な植物です。日陰でも育ちやすく、都市部の庭や公園にも広く植えられています。また、耐寒性や耐暑性があり、幅広い環境での栽培が可能です。
アオキは古くから日本の庭木や生垣として親しまれ、和風庭園だけでなく、都市部の公園や緑化にも活用されています。
また、盆栽としても人気があり、小さな鉢で育てることで観賞価値が高まります。江戸時代には、アオキの実や葉を観賞する文化があり、茶道の世界でも親しまれていて茶庭にもよく植えられました。
今でも冬の茶会などでは赤い実をつけたアオキが風情を感じさせる植物として重宝されています。
アオキは日本以外でも観葉植物として人気があります。特にヨーロッパでは耐陰性が高いことから室内植物として好まれ、イギリスなどでは「スポッテッド・ローレル」とも呼ばれています。
寒冷地でも育ちやすいため、北米やヨーロッパのガーデニングに取り入れられることも多いです。
風水においてアオキは「安定」と「調和」を象徴する植物とされています。
特に赤い実をつけることから、金運や家庭運を向上させる縁起のよい木として知られています。玄関先に植えるとよい気を呼び込むとされ、昔から庭木として重宝されてきました。
また、花言葉には「初志貫徹」や「変わらぬ愛」などがあります。季節が変わっても変わらない見た目で、枝の部分まで青々としていることが由来といえるでしょう。
アオキの育て方

まずはアオキの育て方から見ていきましょう。
置き場所・日当たり

アオキは日当たりを選ばない植物です。ただし直射日光が強すぎると葉焼けを起こす場合があるため、鉢植えの場合、夏場は木陰や建物の北側などに置くのが適しています。
また、室内で育てる場合は、明るい日陰を選びましょう。ただし、暗すぎると生育不良につながるため注意しましょう。
冬は冷たい風を防ぐ工夫が必要です。屋外では風通しのよい場所に植え、夏場は直射日光を避けるようにします。
屋内では、レースカーテン越しの日光が当たる場所が理想的です。冬の寒さが厳しい地域では、屋内に取り込むとよいでしょう。
鉢植えと地植えの適した環境のポイントは以下の通りです。
- 鉢植え: 直射日光を避けたベランダや玄関先に置くのが理想。移動が可能なため、環境に応じて管理しやすい
- 地植え: 庭の北側や建物の影になる場所に植えると、夏の強い日差しを避けられる
温度と湿度管理
アオキは耐寒性があり、冬の寒さにも比較的強いですが、極端な寒冷地では防寒対策が必要です。
また、高温多湿の環境にも適応できますが、夏場の高温期には風通しをよくし、蒸れを防ぐことが重要です。
実際の適正温度の目安は以下を参考にしてください。
- 0℃以下: 生育はするが、霜対策が必要
- 5℃以上: 戸外での管理が可能
- 35℃以上: 直射日光を避け、風通しを確保
湿度を適切に保つための工夫には、霧吹きを使って葉に適度な湿気を与えることや、マルチング(腐葉土やワラを敷く)で土の乾燥を防ぐことなどがあります。鉢植えの場合は、冬場は屋内に取り込むと安心です。
夏の暑さ対策には朝と夕方の水やりが効果的です。また、風通しをよくするために剪定を行いましょう。
土の選び方

アオキに適した土を選ぶ際は、土の有機質を確認しましょう。市販の培養土を使用する場合は、観葉植物用の培養土をそのまま使います。
ご自身で土を配合する場合は、「赤玉土6:腐葉土4」の割合がよいでしょう。
水やり
アオキは乾燥に強いですが、湿り気のある土を好むため適度な水やりが必要です。
地植えの場合は、降雨に任せられますが、乾燥が続く場合は水を与えましょう。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。
【季節ごとの水やり頻度】
- 春・秋: 週に1〜2回
- 夏: 2〜3日に1回(朝か夕方に)
- 冬: 土が乾いたら少量を与える
鉢植えと地植えでは、水のやり方も分けるようにします。鉢植えの場合は地植えより乾燥しやすいため、季節ごとの水やり頻度を守って行いましょう。地植えの場合は基本的に雨水で十分です。
アオキの元気がない場合は、水やり不足または水のやりすぎが考えられます。水やりが不足しているときには、アオキの葉がしおれたり黄色くなったりします。逆に水をやりすぎると、根腐れやカビの発生につながります。
これらの症状が現れた場合は、水やりが適度ではない可能性があるため方法を見直しましょう。
肥料について
成長期(春から秋)にかけて、緩効性肥料を定期的に与えると元気に育ちます。冬は成長が緩やかになるため、肥料を控えめにしましょう。
肥料の種類は主に2種類です。
- 有機肥料:土の微生物を活性化し、根の成長を助けるタイプ
- 化成肥料:速効性があり、すぐに効果が現れるタイプ
肥料を与えるのには適切なタイミングを知ることも大切です。
- 春(3〜5月): 成長期のため多めに与えましょう。元肥として緩効性肥料を加えます。
- 夏(6〜8月): 成長のピークです。月1回の追肥に緩効性肥料または液体肥料を2週間ごとに与えましょう。
- 秋(9〜11月): 冬に向けた準備を行います。9〜10月頃に栄養補給のため緩効性肥料を施しましょう。
- 冬(休眠期):肥料は控えます。
元肥として緩効性肥料の『マグァンプK大粒』を加えます。
生育の期間中、肥料はそれほど必要としません。2・3月ごろに『プランティア 花と野菜と果実の肥料』を株元にバラまいてください。
肥料は季節によって植物への影響が変わるため、タイミングを知っておくようにしましょう。
もしアオキの様子を見て追肥が必要と判断したら、液体肥料『ハイポネックス原液』を月に1回与えるか、緩効性肥料『プランティア 花と野菜と果実の肥料』を土に混ぜ込むようにして様子を見てください。
アオキの植えかえ・植えつけ

アオキの植えかえや植えつけは、春または秋が適しています。鉢植えの場合は2〜3年に一度、一回り大きな鉢に植えかえるとよいでしょう。
アオキは比較的成長が遅い植物ですが、鉢植えの場合は根が詰まりやすくなります。
- 根詰まりを起こすようになった:鉢底から根が飛び出している、または水はけが悪くなった
- 葉が変色してきた:葉が黄色くなり始めた場合、根詰まりや栄養不足の可能性
- 成長が鈍くなってきた:新芽が出にくくなった、または葉が小さくなる
これらのサインが見られたら、植えかえのタイミングです。
準備するもの
- 鉢(ひと回り大きいものを選ぶ)
- 鉢底石、鉢底ネット
- 新しい土
- 剪定ハサミ
- スコップ
- 割りばしや細い棒(根をほぐす際に便利)
- 手袋
- 新聞紙やビニールシート
植えかえの手順
- 鉢から取り出す:根を傷つけないように鉢の側面を軽く叩きながら、株を引き抜きます
- 根をほぐす:根が絡んでいる場合は、優しくほどきましょう。根詰まりがひどい場合は古い根を三分の一程度カットすると新しい根が出やすくなります。
- 新しい鉢に植える:鉢底に軽石を敷き、用土を入れて植えます
- 水やり:植えつけ後、たっぷりと水を与えましょう
アオキを地植えする場合は間隔を空けることです。最低でも50㎝以上の間隔は確保しましょう。
また、風の通り道にアオキを植える場合は支柱を立てると安定しやすいので試してみてください。地植えする際、植えつけ時期は、春または秋が適しています。
アオキを垣根として利用する場合は、50〜80cm間隔で植えると自然に生け垣が形成されます。ただし、背が高くなるため強風対策に支柱を立てましょう。
アオキの増やし方

ここからはアオキの増やし方を3種類ご紹介します。
挿し木
健康な枝を10〜15cmほど切り取り、水揚げ後に湿らせた土に挿します。新芽よりも充実した若い枝が適しています。発根するまで乾燥させないよう注意が必要です。
挿し木にする枝は切り口が斜めになるようにカットして、発根促進剤を塗りましょう。また、すぐに水につけておくことで成功率が上がります。
枝の準備ができたら、湿らせた挿し木用土に挿して、明るい日陰で水を切らさないように管理します。1ヵ月ほどで発根します。
取り木
枝の一部を傷つけ、湿らせた土や苔を巻き付けて根を出させる方法です。成功すれば、親株と同じ性質の新しい株を得られます。
取り木をする際には適した枝を選ぶことが成功のポイントです。春から初夏にかけて、新しく伸びた元気な枝を選びましょう。太さは鉛筆程度が理想的です。
枝を選んだら樹皮を剝がしましょう。枝の中間部分(10〜15cm程度)を選び、カッターナイフなどで樹皮を2〜3cm幅にリング状に剥がします。樹皮を剥がした部分に発根促進剤を塗ると、発根率が高まります。
次に、水で湿らせた水苔を、剥がした部分にしっかりと巻き付けます。水苔の厚みは2〜3cm程度にしましょう。
さらに水苔が乾かないように、上から透明なビニールやラップで包み、両端を紐やゴムで軽く縛り、固定させます。
そのままの状態で定期的にビニールの中を確認しながら2〜3ヵ月管理します。その際水苔が乾燥していたら、霧吹きで湿らせましょう。
2〜3ヵ月後に根がしっかりと出ていることを確認し、親株から切り離して鉢植えにし、新しい株として管理します。植えつけ後は半日陰で管理し、しばらくは乾燥に注意して水やりを行いましょう。
種まき
種からアオキを育てる方法は、時間がかかりますが、自然に近い形で増やしたい場合に適しています。アオキをじっくりと育てたい方や、種からの成長を見守りたい方には適した方法といえます。
種を採取するにはまず、完熟した赤い実を収穫します。その後、実の中にある種を取り出し、果肉を丁寧に洗い落としましょう。
さらに種の表面をサンドペーパーなどで軽く削ると、水を吸収しやすくなり発芽率が上がります。
種は一晩水につけて、発芽しやすい状態にしてから種まきを行います。土は水はけのよい物(赤玉土小粒と腐葉土を1:1で混ぜたもの)を選びましょう。
清潔な育苗ポットやトレーに土を入れて、種を1〜2cmほどの深さに埋め、軽く土をかぶせます。発芽まで乾燥しないように、適度な水分を保ちましょう。
発芽までは15〜20℃の環境で管理し、直射日光は避けるようにします。発芽するまで半年〜1年かかるため、長期間の管理が必要です。土の表面が乾いたら霧吹きで水やりを行いましょう。
実生苗の本葉が3〜4枚になったら鉢上げ(小さなポットに植えかえ)します。
最初の1〜2年は直射日光を避け、さらに根が十分に張るまでは風通しのよい半日陰で育てましょう。
2〜3年目以降に、地植えや大きな鉢へ移植すると元気に育ちます。4~5年ほど経つとアオキは実をつけ始めるようになるでしょう。
アオキの注意すべき病害虫

アオキを育てている間に、病害虫が寄りつく可能性もあります。被害を拡大させないためにも、病害虫の種類と対処法を知っておくことが大切です。
ここでは注意したい病害虫について解説します。
カイガラムシ
葉や茎に付着し、植物の養分を吸い取ります。発生した場合は、ブラシで取り除くか、殺虫剤を使用しましょう。
アブラムシ
新芽や花芽に集まり、成長を妨げます。見つけたら早めに駆除し、被害を最小限に抑えましょう。
褐斑病
葉に褐色の斑点が現れる病気で、湿度が高い環境で発生しやすくなります。予防として風通しを良くし、発病した葉は早めに取り除きましょう。
炭そ病
黒い斑点が葉に現れる病気で、放置すると葉が枯れてしまいます。発病した葉を取り除き、殺菌剤を使用することで予防できます。
病害虫への対策はほかにも、アブラムシやテントウムシなどの天敵を活用する方法もあります。天敵を使うと薬剤の使用を控えて病害虫を抑えられます。
アオキを育てる際に気をつけること

アオキは葉が茂ると内側の風通しが悪くなり、病害虫やカビなどが発生しやすくなります。風通しをよくするためには適度な剪定を行いましょう。
剪定適期は3月〜4月、または10月が適しています。剪定すべき枝は枯れたものや混み合ったものです。伸びすぎた枝は三分の一程度にカットしましょう。
切り口を斜めにすると、水が溜まりにくく病気を防ぐ効果があります。太い枝を切る場合は切り口に癒合剤を塗ると回復を早めてくれます。
なお、一度に大量に選定すると樹勢が弱るため避けましょう。また、真夏や真冬は剪定でのダメージが強いため植物が弱ってしまいます。剪定は時期を守るようにしましょう。
アオキは病害虫にも注意が必要です。病害虫の発生を防ぐには湿気対策が大切です。特に梅雨の時期は通気を確保するようにしましょう。
また日当たりは適度な明るさを保ちつつも直射日光は避けます。
適切な管理を行っていても葉や実が変色してしまった場合の対処法です。
- 葉が黄色くなる:根詰まり、または水不足の可能性があります。水やりの頻度を増やしたり、植え替えを検討したりしましょう。
- 葉に黒い斑点 : 炭そ病の可能性があるため、剪定と殺菌剤の散布が必要です。
- 実が落ちる:肥料不足または受粉不良のため、肥料を与えましょう。
実を成らすには?
アオキは雄株と雌株の両方が必要な雌雄異株です。そのため、雄株の花粉が雌株の花に受粉しないと実が成りません。
【雄株と雌株の見分け方】
- 雄株の特徴:小さな黄色い花を咲かせるが実がなりません
- 雌株の特徴:花の中心に子房があり、受粉すると赤い実がつきます
雄株がない場合は人工授粉が必要です。雄株の花を摘み取り、筆や綿棒を使って雌株の花に直接花粉をつけましょう。
もし近隣の庭にアオキの雄株がある場合、虫媒花として自然に受粉することもあります。人工授粉を行った場合は適切な肥料と水を与えることで実がしっかり成ります。
アオキの実を美しく育てるためには、花が咲いたら受粉を促すのがポイントです。
また、たくさん実がついた場合は養分が分散するため、1枝あたりの数を2〜3個に間引くのもよいでしょう。
間引き剪定が基本
アオキは放っておくと枝が混み合い、風通しが悪くなります。適度に間引き剪定を行い不要な枝を整理することで病害虫の発生を防ぎます。
まとめ

アオキは丈夫で育てやすい常緑多年草で、適切な管理を行えば美しい緑を長く楽しめます。日陰でも育ちやすく、病害虫にも強い植物ですが、適度な剪定や水やり、肥料の管理が大切です。
また、増やし方も多様なので、ご自身に合った方法で挑戦してみてください。
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