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東京花散歩 新しい温室がオープン!
小石川植物園へ行ってみた

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東京都文京区にある小石川植物園、正式名称は東京大学大学院理学系研究科附属植物園です。名前の通り、東京大学の研究施設であり、一般にも開放されています。

 その歴史は古く、ルーツは1684年に徳川幕府が開設した、小石川御薬園です。そして、明治10年東京大学開学直後に附属植物園となって今日に至ります。日本で最も古い植物園でもあり、世界的にみても有数の歴史を持つ植物園です。

 

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1722年に開設された小石川養生所の井戸

 

その小石川植物園の温室は、1900年に完成した木造西洋式温室がはじまりです。しかし、1945年の空襲で焼失、戦後、残されたレンガ躯体を再利用しながら順次再建、改修しながら1964年に先代の温室が完成しました。その温室も老朽化が進み、2014年に使用を中止、2019年11月に新温室が完成。旧温室のレンガ躯体の保存と外観的特徴を受け継ぎながら、バリアフリー時代に対応した広い通路の確保や、夏季の高温を和らげるため天井全面にスライド式の大きな開口部を設けるなど、最新式の温室となっています。

 

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木造西洋温室の模型。柴田記念館内「小石川の温室いま・むかし」展から

 

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温室入り口の表示と保存されたレンガ躯体

 

 

見どころは小笠原の固有種

植物園の重要な活動の一つに種の保全があります。私たちの住む地球の植物は多様性に富んでいますが、人間による自然破壊や自然環境の変化によって、絶滅に瀕している種類がたくさんあります。そして、小石川植物園新温室での最大の注目は、やはり小笠原諸島固有の植物たちです。

 

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小笠原の固有種としてよく知られるムニンノボタン

 

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シマムラサキ(小笠原固有種)

 

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オガサワラアザミ(小笠原固有種)

 

東京から南へ1000㎞、亜熱帯気候帯に位置する小笠原諸島には、本土では見られない約140の固有種が自生しています。そのうち約90種が絶滅に瀕しているといわれています。新しい温室には小笠原諸島の植物を集めた部屋があり、誰もが珍しい固有種を間近で見られます。

 

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小笠原の固有種が集められた小笠原室

 

新しい温室、見てきました

12月、まだまだ温室前のイロハモミジの並木が美しい季節、新しい温室を体験してきました。入口は高い屋根を持つ中央室で、その両側に先代と同様に左右対称の温室があります。

 

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オープンは紅葉が美しい季節。温室前のモミジのトンネルが見事

 

向かって左側の温室2には、花が咲くといつも話題になるショクダイオオコンニャクの株がありました。どの温室も通路が広く、車いすでも見やすい設計になっています。独立した冷温室では、季節ではないので花はほとんどみられませんでしたが、高山植物が多数あって、春の開花が楽しみです。

 

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温室内で栽培されているショクダイオオコンニャク

 

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温室内のメイン通路は広くまっすぐでバリアフリーとなった

 

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高山植物などが集められている冷温室

 

小笠原の植物を集めている温室5は向かって右側にあります。小笠原室では、冬にも関わらず、いくつかの花も咲き、たくさんの固有種が楽しめます。他にラン室や熱帯植物を集めた部屋など、これまでより、多くの植物を収集・栽培できるようですし、温度管理等も新しい施設としてしっかりしているので、季節に限らず楽しめる園内施設として注目していきたいですね。温室の公開時間は、植物園と異なり10:00~15:00ですのでお気をつけください。

 

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ユズリハワダン(小笠原固有種)

 

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ウチダシクロキ(小笠原固有種)

 

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ムニンヤツデ(小笠原固有種)

 

園内も楽しみなスポットがいっぱい

園内には、興味深い植物がいっぱいあります。例えば、温室東南側にあるニュートンのリンゴの木は、ニュートンが万有引力を発見したリンゴの木の子孫で、メンデルのブドウの木は、遺伝学の基礎を築いたメンデルが実験に使用したブドウの木の子孫です。

 

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温室近くにあるニュートンのリンゴの木(右)

 

植物園入口から左に少し歩いた先には、メタセコイヤの列植があります。メタセコイヤは、当初100万年前に絶滅した化石属だと思われていましたが、その後、中国奥地で現在の種が発見され、種子から育った株が見事大きな木になっています。そのほか、精子が発見されたイチョウやソテツなど、古い植物園だけに由来のある植物も多いものです。

 

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メタセコイヤ

 

また、徳川幕府の小石川御薬園として発足しているだけに、赤ひげ先生で知られる小石川養生所の井戸も残されていたり、薬園保存園もあります。そしてなんといっても大きな木が多いことです。ここが日本最古の植物園だということがよくわかります。

 

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薬園保存園

 

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大きな樹木の多い園内

 

これからは春の植物が楽しみです。大きなサクラの木も数多く、花見の季節には素晴らしい景色になります。また、ハンカチノキやフジやツツジといった樹木類、さらに群れになって咲く春の山野草たちもたくさん見られます。

 

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春は花木が華やか。ハナズオウとリキュウバイ

 

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春のサクラは見逃せない景色。写真はサトザクラの一葉

 

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ニリンソウの群生、野草類も見どころ

 

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春、ツツジが数多く楽しめる

 

春や秋に限らず、植物に癒されていたい、自然の中を歩きたい、というような場所に最適なのが小石川植物園です。冬から春にかけて、新しくなった温室と季節の花や木を見に、訪ねてみませんか。

 

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◎小石川植物園。正式名称は東京大学大学院理学系研究科附属植物園。
アクセス:都営地下鉄三田線白山駅下車徒歩10分、東京メトロ茗荷谷駅下車徒歩15分。駐車場はありません。
定休・開園時間:月曜日定休(月曜日が祝日の場合は翌日火曜日)および年末年始、午前9時から午後4時30分。
入園料:大人500円、小ども150円

 

 

取材・文 出澤清明 
園芸雑誌の元編集長。植物自由人、園芸普及家。長年関わってきた園芸や花の業界、植物の世界を、より多くの人に知って楽しんでもらいたいと思い、さまざまなイベントや花のあるところを訪れて、WEBサイトやSNSで発信している。

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