パクチーの育て方! おすすめ品種や栽培のコツをご紹介します
一昔前はアジア料理をはじめ、限られた料理だけに使用されていたパクチー。最近は女性を中心に人気となり、あらゆる飲食店で気軽に食べることができるようになりました。独特な香りを苦手とする方がいらっしゃる一方、パクチーの魅力にはまってしまった方もたくさん見られます。
パクチー好きの方は、ぜひご自宅で育てた新鮮なパクチーを食してみませんか?今回は、これからパクチーを育てようという方のために、パクチーの基本的な育て方や、家庭で育てるのにおすすめの品種、栽培するうえでのコツなどをご紹介します。
人気のパクチーをご家庭で育てみよう!
一昔前はアジア料理店など限られた料理だけに使用されていたパクチー。
最近は女性を中心に人気となり、あらゆる飲食店で気軽に食べることができるようになりました。でも、やっぱり独特な香り、香草が苦手な方もいらっしゃるのも事実です。パクチーが大好きな方も苦手な方もご自宅でパクチーを育てて新鮮なパクチーを食してみませんか?今回はこれからパクチーを育てようという方のためにパクチーの基本的な育て方や、家庭で育てるのにおすすめの品種、栽培する上でのコツなどをご紹介します。
パクチーの名前の由来
パクチーとはタイの言葉です。和名はコエンドロ、英語ではコリアンダー、中国語ではシャンツァイ(香菜)と呼ばれます。その他、各国でさまざまな名前がつけられています。
コリアンダーは「虫」という意味のギリシャ語が由来とされる説があります。パクチーの独特な香りが、虫のにおいと似ていることからこの名がついたと考えられていますが、正確なところはわかっていません。
パクチーは一年草
一年草とは、その名の通り一年で枯れてしまう植物のことです。パクチーを種から育てた場合、2カ月ほどで収穫できるようになりますが、ある程度収穫を終えたら枯れていきます。何年も育て続けることはできませんが、種をとっておくことで翌年に再び栽培することは可能です。
パクチーの特徴
パクチーの特徴は何といってもその独特な強い香りです。セロリ・三つ葉・パセリを合わせて割ったような香りに例えられることが多く、口に入ると爽やかで清涼感が広がる感じがパクチー好きにはたまりません。
独特な香りと味わいで人気となったパクチーは、βカロテンやビタミンE、カルシウムといった抗酸化成分や、ビタミンCが多く含まれているのが特徴です。高い美容効果が期待できることに加え、豊富な栄養素が含まれる食材として今も熱い注目を浴びています。そのうえ、パクチーには体内に溜め込んだ老廃物を体外に排出するキレート作用があり、デトックス効果も期待できます。
パクチーのおすすめ3種類
タイ・ベトナム・中国などの料理に欠かせないパクチーは、パセリと同じセリ科の植物です。日本でも家の庭やベランダで簡単に育てることができます。それでは、パクチーを育ててみたい人におすすめの品種を3つご紹介します。
日本でもっとも目にする定番のパクチーです。タイでの正式名称はパクチー・ラーといいます。タイ料理の定番トムヤムクンやベトナム料理の生春巻きやフォーなどの料理に入っているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか?パクチー・ラーの種や苗は、パクチーやコリアンダーという名前で販売されています。葉の部分に浅く切れ込みがあり、草丈は40~60㎝まで伸びるのが特徴です。今回紹介する3つの種類の中では実は一番香りが軽いパクチーです。
最近人気が高まっているパクチー・ファラン。ノコギリコリアンダーとの異名を持つこのパクチーは、のこぎりのようにギザギザした大きな葉が特徴です。香りも強く、タイではラープ(タイ風ひき肉のサラダ)などの肉料理やスープによく入っています。繁殖力が旺盛なため、真夏や真冬を避けて春や秋に種まきをすれば、よく育ちます。ただし育ちすぎると葉が固くなってしまうので、食べるときは柔らかい若葉の部分を収穫しましょう。
タイ語でラオスのパクチーを意味するパクチー。日本ではディルという名で知られています。パクチーの品種の中でもっとも香りが強く、後味に少し苦みがあるのが特徴です。西洋では香草としてお肉料理や魚料理の香りづけや飾りに使われています。2月下旬から3月にかけて種をまくと、4月には食べることができ、翌年には土に落ちた種から発芽して収穫できることもあります。
パクチーの育て方
お店で買うとなると少々高くつくパクチーはプランターやベランダ菜園で簡単に栽培できます。家庭菜園の初心者にもおすすめの植物です。
パクチーの栽培には、苗を買ってきて植えつける方法と種をまいて育てる方法があります。パクチー栽培が初めての人には植えつけてから収穫までの期間が短く、比較的簡単に育てられる苗からの栽培がおすすめです。ここでは、パクチーの育て方についてご紹介します。
準備するもの
パクチーを育てるときに準備するものは、苗もしくは種・プランター・鉢底石・土です。パクチーの苗を園芸店で選ぶときは茎がしっかりしていて、根元の葉が枯れていない小さめの苗を選ぶようにしましょう。苗を植えるプランターは1株に対して直径15cm、4株育てるなら容量が5L以上あるものだと安心です。
土づくり・肥料
パクチーは水はけの良い土を好みます。「おいしい野菜を大きく育てる! ハイポネックス 野菜の培養土」や「花と野菜の培養土」で元気に育てられるため、ぜひ活用してみてください。
パクチーの栽培環境
パクチーの生育に適した温度は18~25℃で、真夏や真冬は苦手です。基本的に日当たりの良い場所を好むため、適温の時期はできるだけ日なたに置いてあげると喜びます。
ただし、パクチーは日当たりが良いとぐんぐん育つものの、強すぎる日差しは苦手です。そのため、プランターは風通しがよく、水はけの良い半日陰の場所に置くのがおすすめです。
パクチーの種まき
パクチーの種まき適期は4月~6月です。適温の時期に育てることでのびのびと生長します。育てる地域や環境に応じたタイミングで種まきしましょう。
市販されているパクチーの種は、殻がついたままのことがあります。殻がかたく、発芽に2週間程度時間がかかるので、種まきの前日に、一晩だけ水につけておくことがおすすめです。十分に種を吸水させることで発芽率が上がります。
吸水が終わったら、土と鉢底石を入れたプランターに種まきします。約1cmの溝をつくり、筋まきするのがおすすめです。1cm間隔で種を溝の中にまいたら土をかぶせます。たくさん水を与えて、発芽するまで管理しましょう。
順調にいけば、種まきから2週間前後で発芽します。それまでは土を乾かさないように水やりを続けましょう。
パクチーの植え付け タイミングなどについて
一年草のパクチーは比較的寒さや暑さにも強いのが特徴です。3月~4月頃に植えつけるのが理想です。苗を入手したら、すぐにプランターへ移してあげましょう。
食用としても使えるパクチーの根は移植を好まない直根型で、太く広がりにくい性質を持っています。順調に育てるには、ポットからプランターに植えつけをする際に、根鉢を崩さないで太い根に傷をつけないようにすることがポイントです。また、大きく育ったものは根づきにくいことがあるため、できるだけ苗が小さいうちに移し替えます。
苗は10~20㎝ほどの間隔をあけて植えつけます。根鉢の上部が隠れるくらいの土をかぶせてから株元を軽く抑えてあげましょう。終わったらたっぷりと水を与えます。
パクチーの水やり
パクチーは水を好む植物です。プランターに植えつけした後はしっかり水やりをして、根づいた後も土の表面が乾燥したら、たっぷり水やりをします。
真夏の暑い時期は水切れを防ぐために朝と夕の2回水を与えましょう。気温の高い昼間に水やりすると、根腐れの原因になることがあるため注意が必要です。水が多すぎても株を傷めてしまうため、土が十分に湿っていれば水やりするのは控えましょう。
追肥
また、収穫時に、収穫を少しずつ行い、収穫後も2週間に1度の間隔で、「ハイポネックス原液」を与えると、収穫を長く楽しむことができます。
パクチーを育てるときの注意点やポイント
パクチーを育てていくうえで、注意しておきたいポイントがいくつかあります。美味しいパクチーを収穫するために、お手入れのコツを押さえておきましょう。
パクチーの間引き
プランターで育てている時に葉が密着して風通しが悪くなると病気の原因になったり、育ちが悪くなったりするので、その時は間引きをして株や葉の数を調節しましょう。成長が思わしくないものから間引きして、間引いた株や葉はスープやサラダの香味野菜としていただきます。
アブラムシ対策
パクチーに発生しやすい害虫のひとつがアブラムシです。茎や葉について株を弱らせ、枯れる原因になることがあります。アブラムシは湿気が多く、暖かい場所を好みます。パクチーの置き場所は、できるだけ風通しの良いところを選びましょう。また、株間をあけて風がしっかりと通るようにすることも大切です。パクチーの茎は細く、葉は柔らかいため、指でアブラムシを取ろうとすると株が傷ついてしまう可能性があります。特に大量のアブラムシが発生している場合は、薬剤を噴霧して駆除することもおすすめです。
夏の管理方法
パクチーは高温多湿の日本の夏が苦手です。真夏に直射日光の当たる場所で育てていると、枯れてしまうことがあります。半日陰のところへ移動させる、日よけをつくるなどの対策をとりましょう。
また、暖かい時期は花が咲きやすくなる点にも注意しましょう。ほかの時期よりもこまめな花芽の摘み取りが大切です。ほかにも気をつけておきたいのが、雨の多い梅雨の時期です。雨によってはねた泥がパクチーについたままになると、病気の原因になることもあるため注意しましょう。プランターを雨の当たらない場所へ移す、土をマルチングするなどの対策がおすすめです。
パクチーの収穫について
パクチーの収穫時期は6月~10月です。植えつけをしてから葉が伸びて20cmくらいになったら収穫ができます。種から育てた場合は2カ月頃が収穫時期の目安です。収穫方法や長く収穫するためのコツを確かめておきましょう。
長く収穫するコツ
パクチーはひとつの株にどんどん葉をつけるため、長く収穫していけます。ただし、注意したいのが「とう立ち」です。とう立ちとは、花のついた茎が伸びてきた状態を指します。花が咲いて実がつくと、実をつけることに栄養が回ってしまい、株そのものが枯れてしまいます。パクチーを長く収穫したいときは、開花させないように管理することが大切です。パクチーの花芽がついた茎を見つけたら、すぐに摘み取ってしまいましょう。
収穫時に準備するもの
パクチーは手で摘み取ることもできますが、慣れていないとうまく収穫できないことがあります。清潔なハサミを用意し、切り取るのがおすすめです。
葉の収穫
パクチーの葉を使う場合は、早めに収穫しておくことが大切です。収穫のタイミングが遅れると葉がかたくなり、柔らかい食感を楽しめなくなります。
葉だけを収穫するときは、使う分だけ摘み取ってかまいません。下についている大きくなった葉から、順番に収穫していきましょう。植えつけから収穫するまでの期間が短い春は、株ごと引き抜いて収穫してしまってもOKです。
株や根の収穫
パクチーの茎を使いたいときは、株元からカットして収穫します。花芽がつく前の株を選びましょう。また、パクチーは根を料理に使うこともできます。ちぎれないように土からゆっくりと引き抜いて収穫しましょう。
収穫したパクチーの保存方法
パクチーはどんどん大きくなるため、収穫しても余ってしまうことがあります。できるだけ鮮度を保ちながら保存する方法を覚えておくと安心です。パクチーの保存方法には冷蔵と冷凍の2種類があります。どちらの場合も、しっかりと水気を切っておくことが大切です。水滴がついたままのパクチーは腐りやすくなるため気をつけましょう。
水気を切ったパクチーは、密閉できる容器へ入れておきます。葉をあらかじめ刻んでおくと、サッと料理に使えるためおすすめです。根がついたままのパクチーを保存する場合は、水気を含んだキッチンペーパーで根を包んでおくと乾燥を防げます。
パクチーを冷蔵保存した場合は、できるだけ早めに消費することがおすすめです。冷凍保存の場合は1カ月を目安に使い切りましょう。
パクチーの増やし方
栽培したパクチーは、種を収穫して増やすことができます。たくさんのパクチーを育てたいときは、種をとってみましょう。
種の収穫
パクチーの種を収穫するなら花芽を摘み取らず、茎を残しておきましょう。葉の収穫時期を過ぎた後に花が咲いて、しばらくすると実ができます。この実が茶色くなって乾燥してきたら株ごと収穫しましょう。
種の保存
次の種まき適期が来るまで種を保存しておく必要があります。湿っているとカビが生えてしまうことがあるため、完全に乾燥させましょう。
乾燥させるときは、刈り取ったパクチーの株ごと日陰に吊るしておきます。もしくは、新聞紙のような大きな紙に包んで、日陰へ置いて乾燥させます。株が茶色くなりカラカラに乾いたら、種を集めましょう。数が少ない場合は一つひとつ摘み取ります。多いときは、ふるいにかけて一気に種を落とすと手軽です。
種の活用方法
保存した種は翌年にまた栽培することもできますが、コリアンダーシードと呼ばれる香味料として料理に使うことも可能です。
コリアンダーシードは、葉よりも香りが柔らかいことが特徴です。カレーやサラダ、スープなど、さまざまな料理に合います。和食やお菓子などに加えるレシピもあるので、ぜひ調べてみましょう。
収穫したパクチーを料理しよう
タイ料理やベトナム料理、メキシコ料理などでは欠かせないパクチーは、葉だけでなく種や根も料理に使います。東南アジアや中国では葉の部分を生のまま料理に使うことが多いのですが、欧米やインドでは乾燥させたパクチーの種を挽いてカレーや肉などの煮込み料理に香り付けとして使います。
日本ではパクチーラーメンやパクチーふりかけなど家庭でパクチーを味わえる市販品が増えています。最近はお家で栽培したパクチーを家庭料理に使っているご家庭も少なくありません。パクチーに衣をつけて油でサッと揚げたパクチー天ぷら、パクチーをふんだんに使ったパクチー餃子、市販の焼きそばをエスニック風にしたパクチー焼きそば、生のパクチーたっぷりの生春巻きなど、家庭菜園で取れたパクチーを使って美味しいパクチー料理を楽しむことができます。
おわりに
独特な香りが特徴で、栄養価も豊富で美容や健康にもいいとされるパクチー。収穫したものは、幅広い料理に活用できます。栽培方法が比較的簡単で日本の気候でも育てやすいので、初めて家庭菜園にチャレンジする人も試しやすいのがメリットです。ぜひパクチーをご自宅で育てて、新鮮なうちに味わいましょう。
公開: 2019年8月8日
更新: 2021年6月30日
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