クリスマスローズの肥料を与える時期は?注意点や病害虫対策、株分けについて
肌寒くなってくると、クリスマスローズが元気になる季節が到来します。冬に咲く美しい花を楽しむためには、1年を通して適切な管理を行うことが大切です。花の性質を知り、適した肥料やお手入れのポイントなどを抑えていきましょう。今回は、クリスマスローズの肥料に関するさまざまな情報や、基本的な育て方の流れ、病害虫対策、株分けなどについてご紹介します。
クリスマスローズとは
クリスマスローズは、主に1月~3月に花を咲かせます。有茎種や無茎種があり、品種によって形はさまざま。白やピンクのように淡い色もありますが、濃い紫や黒、茶色などの花をつける品種もあります。耐寒性が強く、寒冷地の戸外で冬越しさせることも可能です。
クリスマスローズに適した肥料とは
クリスマスローズに与える肥料は、チッソ・リン酸・カリが同程度の割合で配合されているものが良いとされています。特に幼苗の時期は、株を生長させるためにバランスよく成分が配合されているものが適しています。花芽が形成され、開花が近づいた株には、リン酸が少し多めに配合されている肥料を与えるのもおすすめです。リン酸は花肥えとも呼ばれ、花つきを良くする効果が期待できます。
上記の三要素だけでなく、カルシウムやマグネシウム、マンガン、ホウ素などの栄養素も与えることで、より丈夫に育てることができます。どの肥料を選べば良いか迷ったら、ぜひクリスマスローズの専用肥料「プロミック クリスマスローズ用」も検討してみてください。リン酸とカルシウムを多く含むだけでなく、クリスマスローズ用に有機(油粕・カニガラ)も配合しているので、丈夫な株を作り美しい花を咲かせることを助けます。
クリスマスローズ栽培の流れとは
クリスマスローズは多年草で、1年を通してお手入れしながら育てていきます。こちらでは、クリスマスローズ栽培の基本的な流れや、施肥の際の注意点などをご紹介します。
土づくり
クリスマスローズは、排水性と保水性を兼ね備えた用土を好みます。地植えの場合、腐葉土や軽石などを混ぜて耕しておきましょう。
鉢植えの場合は、小粒の赤玉土と軽石、腐葉土を4:3:3程度の割合で混ぜたものがおすすめです。「ハイポネックス培養土 鉢・プランター用」等の市販されている培養土を使用することもできます。
元肥
植えつけの前に、用土に肥料を加えておきます。ゆっくりと効果が続く緩効性肥料「マグァンプK 大粒」(10g/5号鉢)を使うのがおすすめです(「マグァンプK 中粒」を使用いただいても問題ありません)。「ハイポネックス培養土 鉢・プランター用」を使用する場合、別途元肥を用意する必要はありません。
植えつけ
クリスマスローズは、10月~3月の涼しい時期に植えつけを行います。根をある程度育ててから冬越ししたほうが良いため、早めに植えつけ作業を済ませておくことがおすすめです。寒さが厳しい真冬は植えつけ作業を避け、春になってから行いましょう。
追肥
クリスマスローズの肥料は、夏以外の生育期に施します。緩効性肥料「プロミック クリスマスローズ用」を使用する場合は、10月~4月にかけて約2か月ごとに1回を目安に施肥します。速効性肥料「ハイポネックス原液」を使用する場合は、10月~4、5月にかけて1000倍に希釈した液肥を、2週間に1回程度の頻度で追肥しましょう。液肥で育てられる場合、翌年も花を咲かせるために、花後に1回お礼肥として「プロミック クリスマスローズ用」(もしなければ「プロミック いろいろな植物用」)、さらに10月にもう1回与えるとよいでしょう。
開花
品種や栽培する地域によりますが、クリスマスローズの開花は1月頃から始まります。開花期間中は水切れに注意し、土の表面が乾いていたら水やりをしましょう。花を咲かせるエネルギーが尽きないよう、肥料切れにも注意が必要です。
開花が終わったらお礼肥を与えます。ただ、気温が上がり生育が停滞する5月~6月に肥料分が残らないように調整しましょう。
花切り
クリスマスローズの花弁に見える部分は萼片で、長期間にわたって散ることなく、美しい姿を見せてくれます。ただ、花をずっとつけたままにしておくと、いずれ種をつくり始めてしまいます。そうなると種のほうに栄養を取られてしまうため、次のシーズンの開花が少なくなってしまうことも。種を採らないのであれば、早めに花を切り落としておきましょう。
タイミングの目安は、開花してから雄しべがすべて落ちた頃です。根元から数cm残して花茎をカットしましょう。
夏越し
開花が終わると、クリスマスローズの生育が停滞する夏がやってきます。夏の間はできるだけ涼しく、風通しの良い場所へ鉢を移しておきましょう。地植えの場合は遮光ネットなどで日陰をつくるのもおすすめです。
夏の間は肥料を控えます。水は土の表面が乾いてから与えますが、湿気が高い場合は根腐れしやすいため、乾かし気味にしましょう。鉢土の表面が乾いた後、さらに1~2日待ってから水を与えると、根腐れの心配がございません。植え替えや剪定のように、負担が大きくなりやすい作業も避けます。10月に入ったら、追肥を再開しましょう。
古葉取り
本格的な開花シーズンに入る前に、古くなった葉を摘み取って株を整理しましょう。タイミングは11月~12月です。基本的に、枯れて色あせたものや傷んだものなどを切り取ります。品種によっては古葉取りの必要がないこともあるため、事前に調べておきましょう。
クリスマスローズの肥料過多・肥料不足のサインとは
クリスマスローズに与える肥料の量は、生育状況によって異なります。株の様子をチェックして、施肥を行うかどうかを判断することが大切です。こちらでは、肥料過多・不足を見極めるポイントをご紹介します。
肥料過多・肥料不足のサイン
クリスマスローズが肥料不足になると、葉が変色して枯れていくことがあります。特に、チッソ不足になると葉が全体的に黄色くなっていきます。
反対に、チッソを過剰に与えた状態のクリスマスローズは、葉がたくさん茂るものの、花つきは悪くなってしまいます。肥料過多も不足も、そのままにしておくと枯れる原因となるケースがあります。見つけ次第対処することが大切です。
ただし、クリスマスローズの生育状態は、肥料以外の要素でも大きく変わります。水やりや日当たり、温度管理、病害虫などが原因でトラブルが起こっている可能性もあるため注意が必要です。さまざまな部分をチェックして、原因を突き止めましょう。
肥料過多・肥料不足の対処方法
肥料過多となった場合は、しばらく追肥を行わずに様子を見ます。健康な状態に戻ったら追肥を再開しましょう。
肥料不足になったら、追肥を行って栄養を補ってあげます。速効性のある液体肥料「ハイポネックス原液」を使うのもおすすめです。
クリスマスローズ栽培で気をつけたい病害虫被害と対処方法
植物を育てているうえで避けられないのが、病害虫による被害です。枯れてしまう原因になるものも多いため、しっかりと対策しておきましょう。こちらでは、クリスマスローズ栽培で気をつけたい主な病害虫や、対処方法についてご紹介します。
アブラムシ
ハダニ
ハダニは、高温と乾燥を好む小さな虫です。植物の葉などに発生して、栄養を吸い取っていきます。数が増えると対処の負担も大きくなるため、見つけたら早めに駆除しましょう。また、葉水を散布することによってハダニの発生を抑えることもできます。乾燥している時期は葉水を与えてみましょう。
灰色かび病
灰色かび病は、文字通り、カビが原因となって生じる病気です。枯れ葉や花がらなどが付着した場所から発生するケースが多く見られます。カビの生えた部分はすぐに切り落とすことが大切です。そのままにしておくと被害が拡大していきます。
ブラックデス
ブラックデスにかかったら、葉や茎に真っ黒のシミができます。最初は小さな斑点程度のシミも、時間が経つほど大きく広がっていきます。最後には株全体が真っ黒になって枯れてしまい、回復することはありません。原因となるのはウイルスで、アブラムシ等の虫によって媒介されたり、剪定時の切り口から侵入したりといった経路で感染します。
ブラックデスには潜伏期間があり、症状が出るまでに時間がかかることもあると考えられています。今は健康的に見えるクリスマスローズも、育てているうちに発症してしまうことがあるかもしれません。
ブラックデスにかかった株は、すぐに引き抜いて処分します。周囲の株に感染している可能性もあるため、そちらも隔離することがおすすめです。
現在、ブラックデス自体に有効とされる薬剤はありません。少しでも被害を防ぐには、ウイルスを媒介するアブラムシやダニなどを防除することが大切です。殺虫剤も活用して、虫が寄り付かないように管理しましょう。
クリスマスローズに必要な株分けとは
大株に育ったクリスマスローズには、株分けが必要となる場合があります。最後に、クリスマスローズの株分けの重要性や方法についてご紹介します。
株分けの重要性
年数を経て大きく生長したクリスマスローズは、新しい芽や根が伸びにくくなることがあります。特に、中心部から芽や根が生えにくくなり、外側へ広がるように展開していくようになります。中心部には古い部分が残り、どんどん込み合っていくことも。蒸れて傷みやすくなるのも難点です。株分けをすることで古くなった部分を取り除き、若芽が生えやすい状態へ導きます。
株分けで必要なもの
クリスマスローズを株分けするときは、新しい土や鉢、刃物もしくはドライバーなどを準備します。刃物やドライバーは、株を分ける際の道具として使います。雑菌やウイルスなどが侵入しないよう、消毒して清潔な状態にしておきましょう。
株分けの方法
株分けが行えるのは10月~3月です。特に生育が旺盛になる、10月~12月に行うとよいでしょう。
根を掘り上げたら、古い土を落として分割する位置を見定めます。あまり細かく分けると生長が悪くなります。ひとつの株につき、芽が3~5個残るように調整しましょう。芽と根の付け根に刃物やドライバーを差し込み、一息で分割します。割り終えたら、新しく用意した鉢に植えてあげましょう。
根がしっかりと伸びてくるまで、用土には肥料を加えないように注意します。1カ月ほど経ったら、株の様子を見ながら施肥を始めましょう。
おわりに
クリスマスローズは何年も育てられる花のひとつです。育てている品種や地域に合った管理方法で栽培することで、より長く花を楽しめます。ご紹介した施肥の方法をはじめ、さまざまなお手入れ方法を確かめて、クリスマスローズ栽培を実践していきましょう。
☘35:クリスマスローズの育て方|鉢植えと地植えでおススメなのは?苗選びのコツや、肥料の与え方もご紹介
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