【トマトの育て方】甘くジューシーな実を育てる方法とは?
トマトは食卓を彩り、さまざまな料理で活躍する人気の野菜です。鮮やかな見た目に加えて栄養価も高く、品種も豊富なのも魅力のひとつです。
家庭の庭やベランダで育てれば、採れたての新鮮な味わいをそのまま楽しむことができます。
今回は、トマトを育てたい方に向けて、栽培の基本や、気をつけたい病害虫までわかりやすく解説します。
ぜひ本記事を参考に、ご家庭でのトマト栽培に挑戦してみてください。
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トマト

学名 Lycopersicon esculentum 科名 ナス科 原産地 南米アンデス地方 分類 一年草 耐寒性 弱 耐暑性 強 栽培カレンダー
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月収穫時期植えつけ・植えかえ施肥
- 目次
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- 【PlantiaQ&A】植物の情報、育て方をQ&A形式でご紹介
- トマトの育て方|基礎知識
- トマトの育て方|栽培カレンダー
- トマトの育て方|主な品種
- 大玉トマト(桃太郎・麗夏など)
- 中玉トマト(フルティカ・シンディーオレンジなど)
- ミニトマト(アイコ・千果・イエローアイコなど)
- トマトの育て方|基本の栽培方法
- トマトが好む栽培環境
- 土づくり
- 種まき
- 植えつけ
- 支柱立て・仕立て方
- 雨よけ
- 水やり
- 育苗中の水やり
- 植えつけ後から収穫期までの水やり
- 肥料
- 活力剤の使い方
- 芽かき
- 摘芯・摘果
- 葉かき
- 収穫
- 収穫のタイミング
- 収穫の方法
- 着果処理
- トマトの育て方|生育不良・生理障害
- 尻腐れ症
- 葉巻き
- 空洞果
- すじ腐れ
- 節間の徒長
- トマトの育て方|病害虫対策
- トマトがかかりやすい病気
- トマト栽培で発生しやすい害虫
- トマトの育て方|連作障害と対策
- 連作障害とは
- 接ぎ木苗を使う
- コンパニオンプランツを活用する
- トマトの育て方|よくある栽培トラブル
- 花が落ちる・着果しない原因は?
- 実が割れてしまう原因は?
- 葉が枯れる・黄変する原因は?
- 株が徒長して弱る原因は?
- おわりに
- #ハイポネックススマイル
【PlantiaQ&A】植物の情報、育て方をQ&A形式でご紹介
☘179:トマトの育て方|美味しく収穫するためのコツ、わき芽かきや摘心の方法は?水やりや肥料などの管理方法もご紹介
トマトの育て方|基礎知識
完熟して真っ赤になったトマトは、ビタミンCやグルタミン酸、βカロテン、カリウム、クエン酸など栄養が豊富に含まれています。
特長的な赤い色は、リコピンと呼ばれる色素によるものです。抗酸化作用が強く、疲労回復や生活習慣の予防にも役立つとされています。
一般的には赤いトマトが多く流通していますが、白色や黄色、緑色などさまざまな品種があります。
トマトの育て方|栽培カレンダー
春に植えたトマトは、夏頃に旬をむかえます。栽培環境や地域により前後しますが、種まきから収穫まではおよそ4ヵ月〜6ヵ月です。
トマトの種はホームセンターや園芸店などで購入できます。
種からでも苗からでも育てることができます。
あまり時間をかけずに育てたい場合は、4月頃から出回るトマトの苗を購入して育てるのもおすすめです。
トマトの育て方|主な品種
トマトの品種は世界で10,000種類以上も存在するといわれており、日本各地でも盛んに栽培されています。
一般的には果実の大きさで分類され、約100g以上が「大玉トマト」、約30g〜60gが「中玉トマト」、約10g〜30gが「ミニトマト」の3つとされています。
大玉トマト(桃太郎・麗夏など)
大玉トマトは果肉がしっかりしており、甘みと酸味のバランスが良いのが特長です。
「桃太郎」は日本でもっとも親しまれている品種のひとつで、甘みが強く、病気にも比較的強いため、家庭菜園でも人気があります。
「麗夏」は果肉がやや硬めで日持ちが良く、高温期でも実がつきやすい丈夫な品種です。
大玉トマトは1株からおよそ20個の収穫を期待できます。
中玉トマト(フルティカ・シンディーオレンジなど)
中玉トマトには「フルティカ」や「シンディーオレンジ」など人気の高い品種があります。
「フルティカ」は糖度が高く、フルーティーな甘さが特長です。皮が薄くて食べやすく、裂果も少ないため、初心者でも育てやすい人気の品種です。
「シンディーオレンジ」は鮮やかなオレンジ色の果実が特長で、カロテンを多く含み、病気にも強く育てやすいため、家庭菜園にも向いています。
中玉トマトは管理しやすく、1株からおよそ50個の実を収穫できます。
ミニトマト(アイコ・千果・イエローアイコなど)
ミニトマトは病害虫に強く、プランターでも気軽に育てられるため、初心者にも人気があります。
サイズは小ぶりですが、甘みが強く、収穫量が多いのも特長です。
代表的な品種の「アイコ」は、甘みと酸味のバランスが良く、プラム型で肉厚な果実が特長です。
「イエローアイコ」は鮮やかな黄色でサラダを彩る品種として知られており、同じシリーズですが「イエローアイコ」のほうが、甘味が強いのが特長です。
また、「千果(ちか)」は実つきが良く、きれいな球形の果実がたくさん収穫できるため、家庭菜園でも人気の高い品種です。
トマトの育て方|基本の栽培方法
トマトを育てる前におさえておきたい、トマト栽培の特長やコツについてまとめています。
トマトが好む栽培環境
トマトは南米のアンデス山脈の高地で生まれたナス科の野菜です。
日当たりが良く、昼夜の温度差や乾燥した気候など、原産地と同じような気候を好みます。
十分な日光に当たらないと苗が徒長してしまい、花数が減ったり、花の品質が落ちたり、花が落ちやすくなったりするので注意が必要です。
日射しが強いと、未熟な果実が日焼けしてしまうこともあるため、強い日差しが当たらないように気をつけましょう。
土づくり
トマトは根を深くまで伸ばすので、地植え栽培の場合は土を深くまでしっかりと耕して、水はけを良くしておきましょう。
地植えの場合
植えつけの2週間前までに苦土石灰をまいて、土の酸性度をpH6.0~pH6.5に調整しましょう。
カルシウムが不足すると尻腐れ症をおこしやすくなるため、しっかりと行うことが大切です。
植えつけの1週間前には、元肥として『今日から野菜 野菜を育てる肥料』などの緩効性肥料と、堆肥または腐葉土を混ぜ込んで深くまで耕します。
排水性を良くするために、畝は幅1.5m、高さ30cmの高畝にしましょう。
雨の侵入や泥はね、雑草の発生を防ぐためにも、畝を立てるタイミングでマルチシートを張ることをおすすめします。
プランター栽培の場合
ガーデニング初心者の方は、市販の野菜用培養土『今日から野菜 野菜を育てる土』などを使うと手軽に始められます。
自分で土を配合する場合は、赤玉土(小粒)7:腐葉土2:牛糞堆肥1の割合で混ぜ合わせましょう。
直径と深さがともに30cmほどのプランターを用意すると、根が良く張り、株も健やかに育ちやすくなります。
大きなプランターを準備するのが難しい場合は、『今日から野菜 野菜を育てる土』を袋のまま使うのもおすすめです。省スペースで気軽に始められます。
種まき
栽培方法や地域によって異なりますが、4月〜5月頃に種をまくのが一般的です。種まきから植えつけまでの育苗期間は約2ヵ月が目安です。
種まきをする前に、トマトの種・9cmポット(または育苗箱、セルトレイ)・種まき用の用土・ビニール温室を用意します。
育苗過程で鉢上げをするので、12cm~15cmのポットも用意しておきましょう。
種まきの方法
トマトの種は、まく前に一晩水に浸して発芽しやすくしておきます。
用意したポットに種まき用の用土を入れ、直径3cm、深さ1cmのまき穴を作りましょう。
種が重ならないように注意しながら、1つの穴に3粒ずつ種をまいてください。その後、軽く土をかぶせて浅植えにします。
種が流れてしまわないように気をつけながら、たっぷりと水を与えてください。
種まき後~発芽までの管理方法
トマトの発芽には温度管理が欠かせません。
種は3日~1週間ほどで発芽しますが、気温が低い時期は発芽適温を保つ工夫が必要です。
夜間の気温が下がる時期は、ポットをビニール温室に入れるか、室内に移動して管理することで発芽適温を確保できます。
日中は温度が上がりすぎないよう、晴れている日は温室から出して調整してください。
発芽するまでは土の表面が乾かないように気をつけて、毎朝の水やりを心がけましょう。
発芽後の管理方法と育苗ポイント
発芽後は、温度管理と間引きを行いながら育苗します。
徐々に温度を下げつつ、日光にしっかりと当てて徒長を防ぎましょう。加温器や保温装置があると安定した管理がしやすくなります。
発芽後は、間引きを2回行います。1回目は、本葉が出てきた頃に小さな芽を間引き、2本立ちにします。
2回目は、本葉がさらに増えてきた頃生長の良いものを残して1本立ちにします。
本葉が4枚~5枚になった頃に、ひとまわり大きなポットに鉢上げを行います。
苗が小さいうちは、底面から吸水させる方法が適していますが、本葉が増えてきたら、土の表面が乾いてきたタイミングで上から水を与えましょう。
苗の選び方
トマトの苗は4月頃からホームセンターや園芸店などで購入できます。良い苗を選ぶには、双葉の色や茎の状態を確認することが大切です。
双葉が鮮やかな緑色で、茎は太く、節と節の間が詰まっているものがおすすめです。葉の裏も見て、病害虫の被害がないかもしっかり確認してください。
また、トマトやナス、ピーマンなどのナス科の植物は、第一花房に花(なければ蕾)がついているものを選ぶとその後の実つきも良くなります。
植えつけ
種まきから約2ヵ月が経ち、第一花房が咲き始めた頃が植えつけの適期です。
天気が良い日の午前中におこなうと良いでしょう。
地植えの場合
マルチを張った畝に、株間が50cmになるように植え穴を掘ります。
植え穴は幅と深さともに30cmを目安とし、あらかじめたっぷり水を与えておきます。
苗は根鉢を崩さないようにポットから苗を取り出し、接合部が土に埋まらない程度に浅く植えつけるのがポイントです。
花房がある方を通路側に向けて植えることで実の向きが揃い、収穫しやすくなります。
植えつけが完了したらたっぷりと水を与え、根がしっかり張るまで土が乾燥しないように管理しましょう。
プランターの場合
プランターに多めに鉢底石を入れて排水性を確保し、土を縁より5cm下くらいまでウォータースペースを残してお入れます。
水で土を湿らせたら、幅と深さが30cmくらいの植え穴を掘ります。根鉢が崩れないように丁寧にポットから苗を取り出し、浅植えします。
植えつけ後にプランターの底から水が滴り落ちるくらいたっぷり水やりをしましょう。根づくまでは土が乾かないように注意して、日当たりのよい場所で育てます。
支柱立て・仕立て方
トマトは生長するにつれて背が高くなり、実の重みで倒れやすくなるため、支柱を立てて株を支えることが大切です。
支柱を使うことで茎や葉が混み合わず、日当たりや風通しも良くなるので、病害虫の予防にも効果があります。
栽培の基本は1本仕立てで、主枝をまっすぐ伸ばしながら1株ごとに支柱を立てて育てます。茎が支柱に届いたら、8の字にゆるく紐を結び、誘引します。
ただし、強く縛ると茎を傷めたり、生長を妨げたりするので注意が必要です。
栽培に慣れてきたら2本仕立てに挑戦してみるのも良いでしょう。これは主枝とわき芽を1本ずつ育てる方法で、収穫量が増えやすくなります。
ただし、枝数が増えるぶん、摘果や樹勢の管理が必要になり、少し難易度が上がります。
雨よけ
トマトは過湿に弱く、雨に当たると裂果などの生理障害を起こす可能性があります。
そのため、畑で栽培するときは「雨よけ」を設置すると安心です。
市販の雨よけ用ハウスを利用すれば手軽に始められますし、自作する場合も支柱やビニール、紐を使えば簡単に作れます。
仕立て用の支柱よりも少し長めの支柱を畝の外側に立て、穴をあけたビニールをかぶせてピンと張り、最後に紐で固定すれば完成です。
雨を防ぐだけでも実割れや病気を大きく減らせるので、特に露地栽培では取り入れたい対策方法です。
水やり
トマトは乾燥気味に育てるのが基本ですが、種まきから発芽までは土が乾いてしまわないよう注意しましょう。
土の表面が乾く前に水を与ることで、発芽を促すことができます。
育苗中の水やり
発芽後は、根が土にしっかり張るまでは乾燥させないように水やりを行います。本葉が増えてきたら、土の表面が乾いてから水を与えるようにしましょう。
水を与えすぎると徒長や根腐れを起こす恐れがあるため、徐々に乾燥気味の環境に慣らすことで、丈夫で元気な苗に育ちます。
植えつけ後から収穫期までの水やり
苗を植えつけた直後はしっかりと根づくまで、土が乾かないように水やりを行います。
根づいたあとは水の与えすぎに注意しながら、土の乾き具合を確認してから与えることが大切です。
実がなり始めて肥大する時期には水を多く必要とするため、毎日の水やりが欠かせません。
水不足になると「尻腐れ病」などの障害が出ることがあります。水を与えるときは、根元にやさしく注ぎ、葉や茎に強くかからないようにしましょう。
肥料
1回目の追肥は、花が咲いて第1花房の実がピンポン玉くらいの大きさになった頃を目安に開始しましょう。
緩効性肥料『今日から野菜 野菜を育てる肥料』 または液体肥料『ハイポネックス原液』がおすすめです。
葉の色や茎の太さを観察し、肥料不足や与えすぎに注意してください。
2回目の追肥は、第3花房の実が同じように育ってきたタイミングでおこないます。
3回目以降の追肥は、株の生育状態を確認しながら1ヵ月に1回程度を目安におこないましょう。
成長が良くないときや葉色が薄いときは、適宜追加で与えても構いません。
『今日から野菜 野菜を育てる肥料』を使う場合は、株元から少し離れた場所に円を描くようにまくのがポイントです。
肥料が直接茎や根に触れないように施肥することで、株を傷めずに栄養を届けることができます。
活力剤の使い方
植物に元気がないと感じるときは、追肥ではなく、まずは活力剤の使用を検討しましょう。
花が落ちる、葉の色が薄い、土の表面に細かい根が見当たらない場合は、根の発育不足や微量要素が不足している可能性があります。
このようなときは、追肥ではなく、微量要素が配合された活力剤『リキダス』を与えて様子を見ましょう。
植物の状態が整ったころに追肥に切りかえると、根への負担を抑えて育てることができます。
一方、下葉が黄色く、葉が上を向いている時は、三大栄養素(チッソ・リンサン・カリ)の不足が考えられます。
この場合は、『ハイポネックス原液』などで追肥を行いましょう。
芽かき
トマトは、茎と葉のつけ根からわき芽が出てきます。そのままにしておくと、養分が分散されて実つきが悪くなるうえに、枝が混みあって管理しにくくなります。
一つ一つの実を大きく生長させるためにも、見つけ次第早めに取り除くようにしましょう。
わき芽が小さいうちは柔らかく、手でつまむだけで簡単に取れます。切り口から病気が入ることもあるため、晴れた日の午前中におこなうのが理想です。
特に、花房の下に出るわき芽は生長が早いため、取り忘れに注意しましょう。
摘芯・摘果
トマトは、主枝が目標の高さまで伸びたら先端を摘み取る摘芯をおこないます。
茎の生長を抑えることで、株の力が実の生長に集中するようになります。
品種によっては実の数を調整する摘果が必要です。
特に大玉トマトは、1房に3個〜4個を残して他の実を間引くことが一般的です。
そうすることで、養分の分散を防ぎ、より大きくて甘みのある実に育ちます。
一方で、ミニトマトの場合は摘果をしなくても十分に育ちます。
葉かき
トマトは実に色がつき始める頃から葉かきをおこないます。
古くなった下葉や、黄変・傷みが見られる葉を取り除くことで、株全体の風通しや日当たりが良くなります。
葉を減らすことで病気や害虫の発生を防ぎ、実の色づきも促進されます。特に梅雨時期や湿度の高い環境では、葉かきによる通気性の確保が大切です。
作業は1週間に1回ほどを目安に、2枚〜3枚ずつ数回に分けて行うのがポイントです。
一度に取りすぎると株が弱ることがあるため、状態を見ながら少しずつ進めましょう。
収穫
定植からおよそ2ヵ月前後で収穫の時期をむかえます。収穫は、梅雨が明けたあとの晴れた日におこないましょう。
完熟して真っ赤になったトマトを選んで収穫してください。
収穫のタイミング
トマトは日中にしっかり日に当たることで光合成を行い、夜のうちに養分を蓄えます。そのため、収穫は朝の早い時間帯におこなうのがおすすめです。
へたの近くまで赤くなった頃が収穫の目安です。収穫時期をむかえた完熟トマトを長くつけたままにすると、実が割れてきてしまうので早めに収穫しましょう。
収穫の方法
トマトを収穫するときは、清潔な園芸用のハサミを使って軸を切り取りましょう。できるだけ実に近い軸を切ることで、他の実を傷つけにくくなります。
切り口から病気に感染するのを防ぐために、ハサミは清潔なものを使いましょう。
また、切り口が乾きやすい晴れた日に収穫する、または収穫したあとに消毒をすることも効果的です。
完熟したトマトは、手で軽く揺らしただけで取れることがあります。実を落とさないよう、手で支えながら切り取りましょう。
トマトのへたと房がつながる部分を離層部と呼びますが、品種によって離層部ごととれるものと、へたの部分からとれるものがあります。
着果処理
トマトは基本的に自然に受粉しますが、最初の花房で実がつかないと、その後の花房も実をつけにくくなる場合があります。
そのため、1段目の花房を確実に実らせるために「着果処理」と呼ばれる人工授粉をおこないましょう。
開花している花房を軽く指で弾いて振動を与え、花粉を雌しべに届けます。
より確実にしたい場合は、市販の着果促進ホルモン剤を散布するのも効果的です。
作業は花粉がよく出る晴れた日の午前中に行うのと成功しやすく、受粉がうまくいけば1週間ほどで実が膨らみ始めます。
トマトの育て方|生育不良・生理障害
ここでは、トマト栽培中によくあるトマトの生育不良・生理障害についてまとめています。
それぞれの対策方法について詳しく解説していきます。
尻腐れ症
尻腐れ症(しりくされしょう)はトマトの果実に発生する生理障害のひとつです。
果頂部と呼ばれるお尻の部分が黒く変色して硬くなり、品質が低下する症状です。
主な原因は、土壌中のカルシウムの不足や、乾燥、高温によって水分が吸収できなくなる不安定さによるものです。
また、チッソ肥料を与えすぎると、根からカルシウムの吸収が阻害される症状が出やすくなります。
なお、活力液『リキダス』には、カルシウムをはじめ各種ミネラルが多く含まれており、尻腐れ症予防に効果的です。
葉巻き
トマトの葉が元気そうに見えても、上向きにくるっと巻いていることがあります。これは病気ではなく、肥料過多や環境変化による生理障害です。
特に、チッソ肥料を多く与えすぎると葉が巻いた症状が出やすくなります。追肥の量を控えて様子をみましょう。
また、水やりにも注意が必要です。水溶性の肥料を使用している場合、水の量が多すぎると肥料が一気に溶けて、チッソ過多になることがあります。
土が乾きすぎないように、少しずつ根まで届くように与えるのがポイントです。朝や夕方など、涼しい時間に水をあげると、葉や根への負担も少なくなります。
空洞果
果実の中のゼリー部分がうまく育たず、空洞ができてしまう状態を指します。果実の形がいびつになり、果肉の中が空いてしまうことがあります。
主な原因は、急激な気温上昇によって実だけが急に大きくなり、内部の果肉に十分な栄養が行き渡らないことです。
また、光合成量が少ないときにホルモン剤を多く使いすぎてしまうことも影響しています。
予防のポイントとして、着果処理でホルモン剤を散布する場合、花房の開花期に限定して、高温期は避けることです。
さらに、水や肥料の量を適切に管理し、花芽の形成期に寒さや暑さの急激なストレスを避けると、空洞果の発生を防ぎやすくなります。
すじ腐れ
トマトの果実に褐色の斑点や、緑色や黄色のすじ状の模様ができる症状のことを言います。
原因は、日照不足や肥料の過不足、特にチッソ過多による過繁茂(かはんも)が関係しています。
葉が茂りすぎると、枝や葉に養分が多く回り、花や果実の生長が不十分になり、すじ腐れが起こりやすくなります。
肥料のチッソ量を調節して枝や葉の過剰な生長を抑えるほか、日当たりのよい場所でしっかりと光合成をしましょう。
過繁茂を避けることで、果実が均等に育ちやすくなります。
節間の徒長
トマトの節間を見ると、いつもより長く伸びていることがあります。これを「徒長」と呼びます。
原因の多くは日照不足です。日当たりの悪い場所で光が当たらない状態が続くと、トマトが光を求めてひょろひょろと長く伸びてしまいます。また、葉や茎の色も薄くなってしまいます。
節間が徒長していると感じたときは日照不足を補うために、プランターや鉢をできるだけ日当たりのよい場所に移動しましょう。
また、追肥のチッソ量を少し控えめにして、葉ばかりが伸びすぎないようにするのも安心です。
さらに、水やりも均一に保つと、根の働きが安定して徒長を抑えやすくなります。
トマトの育て方|病害虫対策
トマト栽培で気をつけたいのは、病気と害虫です。
ここでは家庭菜園で特に注意したいものをまとめています。
トマトがかかりやすい病気
うどんこ病
カビが原因で発生する病気で、感染するとトマトの葉の表面に白い粉が付着するのが特長です。
発見したら病気になった葉を切り取って処分したり、規模が大きい場合は薬剤を散布したりして繁殖を防ぎます。
発生を防ぐために、水はけを良くし、日当たりと風通しのよいところで育てましょう。
青枯病
細菌が原因で、発生するとトマトの株全体がしおれて、枯れてしまう病気です。
水はけのよい土で育てること、高温多湿にならないように水やりを調整する、マルチングをして泥はねを防ぐ、土壌消毒をすることで発生を防ぐことができます。
発生したときは株ごと引き抜いて処分し、ほかの株に広がらないにします。
疫病
葉や茎、実に病斑が生じるのが特長で、土の中に生息するカビが原因で発生します。
雨よけ栽培や、マルチング、水やりの跳ね返りを避ける、土壌消毒をするなどの方法で予防します。
発見した際は、すぐに摘み取って処分してください。
トマト栽培で発生しやすい害虫
オオタバコガ
幼虫はオレンジ色のイモムシで、トマトの実を食べて被害を広げます。見つけたらすぐに捕まえて駆除し、被害が広がらないよう薬剤などで対策しましょう。
幼虫に食害されないためには、成虫に卵を産みつけさせないことが重要です。
成虫は6月~8月頃に飛来するので、防虫ネットを張って侵入を防ぐほか、幼虫が好む窒素肥料を与えすぎず、葉が茂りすぎないように注意しましょう。
アブラムシ
さまざまな野菜に発生し、モザイク病などのウイルスを媒介する害虫です。
チッソ過多の株や、新芽などに発生しやすく、葉の汁を吸って生育に影響を与えます。
見つけたら被害を受けた部分を切り取って処分し、増殖を防ぎます。
シルバーマルチを敷いてアブラムシが嫌いな反射光で飛来を防ぎ、チッソ肥料を与えすぎないように量を調整して予防しましょう。
ハダニ
葉の裏に寄生して吸汁し、株を弱らせてしまう害虫です。数が少ないうちに見つけた場合、粘着テープなどを使って駆除します。
予防策としては風通しのよい環境で育てること、霧吹きで葉水してハダニが苦手な湿度を保つことが有効です。
トマトの育て方|連作障害と対策
トマトを育てるときに特に注意したいのが「連作障害」です。ここでは、トマトの連作障害の基礎知識と対策をご紹介します。
連作障害とは
連作障害とは、同じ場所で同じ科の植物を続けて栽培すると、土の中の病原菌や線虫が増えたり、養分バランスが偏ったりして、生長が悪くなったり病気にかかりやすくなったりします。
トマトはナス科なので、ナスやピーマン、ジャガイモの後に植えると起こりやすいです。
同じ場所で育てる場合は、2年~3年空ける「輪作」で被害を減らすことができます。
接ぎ木苗を使う
畑が狭くて輪作が難しい場合は、病気に強い台木にトマトを接いだ「接ぎ木苗」が有効です。
土の病原菌や環境ストレスに強いため、安定した収穫が期待できます。通常の苗より少し高価ですが、家庭菜園でもその効果は期待できます。
コンパニオンプランツを活用する
トマトの近くに相性のよい植物を植えると、病害虫対策や生育の助けになります。
代表的なのはバジルで、香りが害虫を遠ざける効果があるといわれています。
ほかにも、マリーゴールドは土壌中のセンチュウの被害を減らし、ネギ類は土の病気を抑える効果があるとされています。
輪作や土作りと組み合わせて活用しましょう。
トマトの育て方|よくある栽培トラブル
トマトは育てやすい野菜ですが、花や実、葉の状態にさまざまなトラブルが起こることがあります。
ここでは、よくある症状と対策をまとめました。
花が落ちる・着果しない原因は?
第一花房の受粉がうまくいかないと、その後の花も実がつきにくく、葉ばかりが茂る「つるぼけ」の状態になりやすくなります。
朝に花を軽く弾いて人工授粉を助けると効果的です。
実が割れてしまう原因は?
裂果は乾燥後の急な大雨や多量の水やりで、実が急に水分を吸収することで皮が裂けてしまう現象です。
マルチングやこまめな水やりで土の湿度を安定させましょう。
葉が枯れる・黄変する原因は?
葉に白い筋があればハモグリバエ、株全体がしおれる場合は青枯病の可能性もあります。
下葉から黄色くなるのはチッソが不足しているサインです。病害虫は早期発見・早期対応が大切です。
株が徒長して弱る原因は?
日照不足やチッソの与えすぎで茎が徒長し、弱々しくなります。小さな苗を植えた場合もつるぼけになりやすいです。
日当たりの良い場所で管理し、わき芽かきで風通しを良くしてください。
おわりに
手間をかけて育てたトマトが真っ赤に実ったときの喜びは格別で、達成感もひとしおです。
畑での地植えはもちろん、プランターや鉢でも気軽に育てられることができます。この機会にぜひトマト栽培を始めてみてはいかがでしょうか。
#ハイポネックススマイル
🌱030:ミニトマトがよく育つお手入れ方法(わき芽かきと追肥)
公開:2022年4月18日
更新:2025年10月27日
#トマト #トマトの育て方 #特集