さまざまな料理で使われる生姜(ショウガ)は、ご自宅で気軽に栽培することができます。生姜好きの方は、ぜひ家庭菜園にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。こちらでは、生姜の特徴や基本的な育て方、収穫のコツや保存方法などをご紹介します。
生姜の特徴
生姜は世界各地で食べられている野菜です。食材としてはもちろん、生薬やハーブなど、幅広い用途で親しまれています。まずは、生姜の基本的な特徴をご紹介します。
生姜(ショウガ)の香りや辛み
生姜の大きな特徴といえるのが、独特の香りや辛みではないでしょうか。爽やかでほんのりと甘さを感じる香りは、食欲をそそります。口に含むとピリッと来る刺激があるため、薬味や口直しとしても使われています。肉や魚の臭み消し、お寿司に添えられるガリ、ジンジャークッキーのようなお菓子など、幅広い料理で活躍する野菜です。
根生姜・葉生姜・筆生姜の違い
生姜といえばゴツゴツとした根の部分をイメージする方が多いかもしれません。確かに、一般的に食べることが多いのは「根生姜」と呼ばれる塊茎の部分です。ただし、「葉生姜」と呼ばれる葉の部分を収穫して食べることもできます。
根生姜の収穫時期は秋ですが、葉生姜はそれよりも前の夏頃に収穫できます。また、葉生姜よりもさらに早い段階で摘み取ったものを「筆生姜(矢生姜)」と呼ぶことがあります。焼き魚に添える「はじかみ」に使われるため、食べたことがある方も多いのではないでしょうか。
新生姜とひね生姜の違い
一般的に販売されている生姜は「新生姜」や「ひね生姜」などの種類に分けられます。新生姜は主に6月~8月にかけて流通します。根が若いうちに収穫しているため、柔らかく水分が多いことが特徴です。辛みは控えめで、食感を楽しむために生食することもあります。
ひね生姜は「古根生姜」ともいわれるもので、収穫してから数カ月間貯蔵したうえで出荷されることが特徴です。水分が抜けて固くなりますが、新生姜よりも辛みや風味が増しています。一年を通して購入できることも魅力です。
生姜の基本的な育て方
生姜栽培を始める前に、基本的な育て方をチェックしておきましょう。こちらでは生姜の栽培方法についてご紹介します。
種生姜の選び方
生姜は「種生姜」を植えつけて育てることが基本です。4月頃から園芸コーナーなどで販売が始まるため、お好きな品種のものを探してみましょう。
生姜の初期生育は種生姜の品質に左右されます。状態の良いものを選ぶことが重要です。実際に見て、カビや傷がないか、変色していないかなどをチェックしましょう。みずみずしさがあり、色ツヤの良いものは元気な証拠です。加えて、芽がついているものを選ぶと良いでしょう。
土づくり
生姜は乾燥に弱いため、保湿性のある用土を好みます。畑に地植えする場合、植えつけ2週間前までに苦土石灰や堆肥などを加えて耕しておきましょう。元肥として緩効性肥料も施します。プランター栽培の場合は市販されている野菜用培養土を使うことがおすすめです。
また、生姜は連作を嫌います。過去に生姜を育てた場所は避けて植えましょう。一度生姜を植えてからは、4~5年は連作を避けることがおすすめです。
植えつけ
生姜は温暖な気候を好み、低温の環境では腐ってしまうことがあります。植えつけ適期は4月~5月ですが、遅霜の心配がなくなってから植えましょう。
生姜の生長のために日光は必要なものの、強い日差しは苦手です。半日陰程度の場所を選んで植えると良いでしょう。
種生姜が大きい場合は割って小さくしてから植えつけます。ひとつあたり50g程度の大きさに分けるのが目安です。
深さ10cmほどの穴を掘り、芽が上を向くように種生姜を入れて土を戻していきます。株間は30cmほどあけましょう。最後に水をたっぷりと与えます。
芽出し
生姜は発芽までに時間がかかる植物です。植えつけ後、地面から芽が出てくるまでに1カ月以上かかることもあります。種生姜を購入したら、芽出しをしてから植えることもひとつの方法です。
大きな種生姜は分割して50g程度に分け、育苗箱などに並べます。土をかぶせたら日の当たる暖かい場所へ置き、発芽を待ちましょう。乾燥しないように水やりを欠かさず行うことも大切です。芽が10cm程度まで伸びたら畑やプランターなどへ植えつけましょう。
水やり
生姜は水をたくさん必要とします。プランター栽培の場合、土が乾いていたら水を与えてあげましょう。地植えする場合はプランター栽培よりも水やりの頻度は少なくなります。1週間ほど雨が降らない日が続いていたら水をあげると良いでしょう。
夏は気温が高く、土が乾きやすい時期となります。水切れしないようにこまめに土の状態をチェックしましょう。乾燥しないように敷き藁を敷いておくこともおすすめです。
肥料
生姜栽培では、肥料を切らさないように定期的に追肥することが大切です。6月頃には1回目の追肥を行いましょう。ついでに土寄せや中耕も済ませておきます。2回目の追肥は7月下旬頃で、遅くとも8月までには施肥しましょう。おすすめは、元肥・追肥に使用することができ、バラまくだけで肥料効果が約2~3カ月間持続する『プランティア花と野菜と果実の肥料』です。
生姜の収穫や保存方法
生姜の収穫は、筆生姜・葉生姜・根生姜でタイミングが異なります。たくさん収穫できたときや少し寝かせておきたいときなどは、適切な方法で保存しましょう。最後に、生姜の収穫や保存方法についてご紹介します。
生姜の収穫時期
筆生姜の収穫時期は新芽が3~4枚ついた6月~7月頃です。葉生姜の収穫は8月頃に行います。葉が8枚程度ついたタイミングが目安です。
根生姜の収穫は10月~11月頃に行えます。葉先が枯れて黄色くなってきた頃が収穫のタイミングです。収穫してすぐは「新生姜」として、しばらく乾燥させると「ひね生姜」として味わうことができます。霜や低温で傷んでしまうため、寒さが厳しくなる前に収穫を済ませましょう。
生姜の収穫方法
筆生姜を収穫する場合は根を残し、芽だけをかき取ります。葉を取りすぎると根生姜の生育が悪くなってしまうため気をつけましょう。
葉生姜の収穫では、葉を刈り取るのではなく根も一緒に抜き取ってしまう点に留意が必要です。根生姜を収穫したい場合は必要な分を残しておきましょう。
根生姜を収穫する際はスコップなどで根を掘り上げます。せっかく育った塊茎を傷つけないよう、株元から少し離れた位置にスコップを入れ、根の下から掘り上げるようにしましょう。
生姜の保存方法
秋に収穫した生姜は、常温で長く保存することもできます。夏場は気温が高いため、冷蔵庫に保存したほうが良いでしょう。
常温保存する場合、生姜についた葉は切り落とし、土は軽く落とす程度にします。湿らせたキッチンペーパーや新聞紙などで生姜をひとつずつ包みます。発泡スチロールなどの箱に入れて、ガムテープで密封しましょう。もしくは、もみ殻を箱に詰めて生姜を埋め、水で湿らせてから密封する方法もあります。箱はなるべく15℃程度を保てる場所に保管することがおすすめです。20℃を超えると発芽する可能性があるため気をつけましょう。
また、生姜を畑などに埋めて貯蔵しておく方法もあります。霜を避けるために深めの穴を掘って生姜を埋めておくと、温度や湿度などが安定した状態で保存しておくことができます。
ただし、生姜の貯蔵は温度・湿度の管理が難しく、保存している間に腐ってしまうこともあります。ご家庭で収穫した生姜は、なるべく早めに食べきったほうが良いでしょう。
おわりに
生姜は管理の手間がかかりにくく、育てやすい植物のひとつです。筆生姜や葉生姜、根生姜として、さまざまな方法で味わえるのも魅力となります。ぜひ家庭菜園で育てて収穫し、自家製生姜での料理を楽しみましょう。
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