成長するにつれて名前が変わる“”出世エビ”のクルマエビ(車海老/車蝦)

2021.01.06

旬: 6月~8月 天然
 12月~2月 養殖
主産地:沖縄県、鹿児島県、熊本県

クルマエビ(車海老/車蝦)を選ぶ

基本は生の、活クルマエビを選びましょう

生のクルマエビを選びましょう。その場合、目がイキイキとしており、体に透明感があって、しま模様が鮮明なものを選びましょう。内臓が詰まっている頭部が黒くなっているもの、背わたが溶けたように滲んでいるものは避けましょう。

大きなクルマエビは大きくなる過程で、複数回脱皮をしており、しっかり栄養を取って成長しているので、身がしっかりしていて美味しいことが多いです。複数回脱皮をしたエビは殻が固くなりますが、脱皮をしているのは脱皮をするだけの体力がある証拠で、その分、身が締まっています。

茹でてあるクルマエビは、生で売るには日が経ってしまい、茹でて売っているケースが多いです。天然物のクルマエビの旬は6月~8月、養殖物の旬は12~2月にかけてです。

天然クルマエビと養殖クルマエビの味について

クルマエビは「東京湾の天然」が一番と言われますが、漁獲量は少ないのでなかなか一般的にはお見かけすることがありません。

天然なので、クルマエビの大きさもマチマチです。出荷する際は、ある程度クルマエビの大きさを揃えてから出荷しますので、同じ大きさのクルマエビを揃える間に日数を要し、その間、最初に獲ったクルマエビの身が細くなってしまうことがあります。だったら養殖のクルマエビを食べてみてはいかがでしょうか。

天然クルマエビと養殖クルマエビを同時に食べ比べすると味や香りの差が分かりますが、食べ比べをしなければ遜色ないと思われることも多いですよ。

普段一般家庭で食べる場合、旬を意識して、天然ものがなければ養殖ものに切り替えて食べてみましょう。

車海老?車蝦?

エビには「海老」という表記と「蝦」という表記があります。

伊勢海老などに代表される大柄なエビはあまり泳ぎません。海中を泳ぐよりも、海の中を歩くことの方が得意なのです。こういう大型なエビについては『海老』という漢字を当てていました。

サクラエビ、クルマエビ、ブラックタイガーなどのように小柄で、ひたすら泳ぎ続けている泳ぎの得意なエビのことを『蝦』と表記します。

現在では一般的には『海老』と漢字で表記され、特別に区分されていないようですが、もともと2つの漢字の使い分けには明確な区分がありました。

お腹を丸めたときに、しま模様がちょうど車輪のように見えることからクルマエビという名がつきましたが、英名もクルマプラウンです。

クルマエビ(車海老/車蝦)のおいしい食べ方

クルマエビは、熱を加えると最も風味と甘みが出る

クルマエビは味の濃いエビですので、シンプルな味付けや調理方法でもとても美味しく食べることができます。

当然活きているクルマエビを生のまま食べることもできますが、風味に欠けますので是非、火を通してみて下さい。

頭は味噌が入っているので素揚げに、尻尾や殻も素揚げにするとパリパリと美味しくいただけます。

茹でる場合、沸騰したお湯に塩を適量入れ、殻がついたままクルマエビを入れてください。数分でふわりと浮いてきたら火が通っていますので、色留めに冷水で冷やします。芯まで冷やさず、上面が冷えるだけで十分です。シンプルに刺身や塩焼き、塩茹でなどで食べると素材の味がよく分かり美味しいですよ。

「姿イセエビ、味クルマエビ」クルマエビのおいしさは、遊離アミノ酸であるグリシンに由来します。ほかの旨味成分も、クルマエビはエビ類の中でトップです。

体を丸くした時の縞模様が、車の車輪のように見えるところからクルマエビと呼ばれるようになりました。

茹でた時に曲がらない様に、背をそらせ筋をのばします。身をできるだけ傷つけない様に一気に串を打ちます。

クルマエビは成長とともに呼び名が変わります。魚河岸では、小さいものから順に、「小巻」「才巻(サイマキ)」、「車」「大車」となります。

クルマエビ(車海老/車蝦)の豆知識

加熱しなくても赤くなる秘密

エビの殻に含まれているアスタキサンチンという色素は、タンパク質と結合している時には青色っぽく見え、エビに火を通すと、アスタキサンチンと結合しているタンパク質が離れるために、エビが赤くなります。タンパク質が壊れるとエビは赤くなるので、火を通さなくても、お酢をかけたり鮮度が落ちてきたりしても赤くなります。

お店などでクルマエビをオガクズの中に入れている状態を見たことありますよね。クルマエビなのに水槽ではなくオガクズで大丈夫なのでしょうか?クルマエビはエラ呼吸をしています。エラは胸のあたりの殻の内側にあって、エラに触れる水から酸素を取り込み、二酸化炭素を出しています。つまり、エラの周辺に水分があれば呼吸が出来、エラが乾けば死んでしまいます。オガクズは保湿性がとても高いため、クルマエビのエラの周辺に水分を保持することが出来ます。ですから、オガクズに詰める前に胸のあたりを十分に水分で湿らせておけば水槽でなくてもクルマエビは生きることができます。そして出荷時に、元気の良いクルマエビを低温処理し、オガクズの中で冬眠状態にして市場に出荷します。

 

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