サツマイモ (甘藷)

2020.09.18

時期:10月~1月
主な産地:鹿児島県、茨城県、千葉県

サツマイモ (甘藷)を選ぶ

切り口や皮に蜜のようなものがにじみ出ているものは、甘みが強くおススメ

品種にもよりますが、さつまいもは栽培される土壌によって形が変わります。畑の地表に近い部分は太陽に近いので、土が乾燥してポロポロと崩れる状態。そのため、さつまいもは抵抗なく伸び、細長くなります。反対に畑の深い部分は太陽の光が届かず、土も湿っています。そのため、さつまいもはスムーズに伸びていくことが出来ずに横に広がり、ずんぐりした形になります。

表面の凹んでいる部分は、ひげが付いていたところです。ひげの根が浅く、できるだけ表面の凹凸が少ないツルッとしているものを選びましょう。表面に黒い斑点があるものは、収穫後、流通過程のどこかで保管されているときに、低温障害を受けた可能性がありますので避けましょう。

芽が出ているものも避けましょう。芽は、サツマイモの養分である、でんぷんを使って出てきます。芽を出すのに力を使ってしまっているので、味は落ちてしまいます。ジャガイモの芽と違って毒性はないので、食べても大丈夫ですが、選ばない方が良いです。

痩せて細い物やヒゲ根がたくさん残っているものなどは繊維質が多いものが多いです。

サツマイモの切り口を見てみましょう

サツマイモの切り口を、良く見ると黒い汚れのようなものが付いているものがあります。

このようなサツマイモがあった場合は、ぜひお買い求めください。この黒いものはヤラピンという成分が硬化したものです。新鮮なサツマイモを生で切った時に出る乳液のような汁が「ヤラピン」です。硬化すると黒く変色しますが、変色してもヤラピンの特徴である「整腸作用」は変わらないです。ヤラピンは胃の粘膜を保護して、腸の働き助けてくれます。ちなみにヤラピンは皮に多く含まれているので、サツマイモは皮ごと食べるのがお勧めです。サツマイモを切ると黒く点線が出てきたりしますがこれもヤラピンなので食べても問題ありません。ヤラピンが多く出る芋は甘いものが多いとも云われています。

 

皮にもたくさんの栄養が。皮も一緒に食べよう

サツマイモは、食物繊維の他、ビタミンB1、C、E、カリウムなども豊富。特にビタミンCは、サツマイモ1本でリンゴの4倍以上。サツマイモのビタミンCはジャガイモと同じく、でんぷんに守られて加熱しても壊れにくいです。

また生のサツマイモを切ると断面から白いミルク状の液体がしみ出てきます。この白い液体がヤラピンという成分で、唯一サツマイモにしか含まれていなそうです。ヤラピンは腸の蠕動(ぜんどう)運動を促進し、便をやわらかくする効果(緩下作用)があります。

サツマイモが便秘に効果的なのは、食物繊維とヤラピンの相乗効果が大きいと言われています。実にも豊富な栄養が含まれていますが、栄養の多くは皮、または実と皮の間に多く含まれています。特に、ビタミンCやカルシウムといった栄養は皮に、ヤラピンは皮と実の間に多く含まれます。出来るだけ皮まで食べる調理法で、無駄なく栄養を取り込むようにしましょう。

「サツマイモ」という名前

「サツマイモ」という名前からご存じ“薩摩”のイモ、つまり今の鹿児島の芋だろうと思われる方は多いと思います。

実はサツマイモは日本にあった芋ではないのです。日本に初めてサツマイモが上陸したのは宮古島で、宮古島の役人が1597年に中国から持ち帰ったものと言われています。実際に「薩摩」にサツマイモが上陸するのはその100年後のことであり、薩摩にサツマイモが上陸したのは1705年のことだったそうです。その時はまだサツマイモという名前ではなく「甘藷」や「唐芋」といった名前で呼ばれていました。その後、1732年の享保の大飢饉の際に薩摩藩にあった「唐芋」が幕府に取り寄せられました。その際に薩摩から取り寄せた芋であることから「薩摩いも」と名付けられたとのことです。

もうひとつ、サツマイモの代表的なおやつ、「大学いも」をご存じですよね。大学いもが登場したのは、昭和の初期だとされています。その頃の日本は不況の最中で、学費に困っていた東大生が大学いもを作って売ったところ、学生たちの間で大人気となり、空腹だった当時の学生たちを喜ばせた食べ物であったようです。

大学いもの“大学”は、東大。

サツマイモ (甘藷)を保存する

保存方法次第で長期保存も可能

サツマイモは収穫後も呼吸をしているので、ビニール袋など通気性のないものに保存すると袋の中に二酸化酸素が充満し、早く傷みます。

サツマイモは保管することによって甘みが増します。収穫してから2~3週間くらいすると追熟しはじめ、サツマイモのデンプンが時間をかけて糖分に変わっていき、収穫したばかりの時よりも甘味が増しますので、上手に保存し、甘く美味しいサツマイモにしましょう。

芋掘りで収穫したサツマイモは、サツマイモを洗わず泥つきのまま、日陰で2〜3日乾かします。乾いた泥を手で払い落とし、ひとつずつ新聞紙でくるみます。段ボールや穴を開けた発泡スチロールに入れ、冷暗所で保存します。

購入したサツマイモは新聞紙などに包んで冷暗所においておきます。サツマイモは暖かいところで栽培されるものなので、冷蔵庫に入れておくと低温障害を起こし、痛みが早くなります。

切って保存する場合は、洗わずに切って保存します。サツマイモは、1度濡れてしまうと長持ちしない食材ですので、切ったサツマイモを保存する時は、断面にラップをして新聞紙でくるみます。

サツマイモを洗って切ってしまった場合は、サツマイモが水に浸かるようにし、タッパーに入れ冷蔵庫で保存します。数日は持ちますが、水を毎日変える必要があります。

紅あずま、鳴門金時、紅はるか、シルクスイートなど焼き芋に向いている品種です。

紫イモにはポリフェノールの一種であるアントシアニンが多く含まれています。アヤムラサキ、ムラサキマサリ、アケムラサキといった品種が有名です。

オレンジ芋です。果皮は濃い紅色をしていますが果肉はカボチャのように濃いオレンジ色をしており、カボチャなどと同じようにカロテンが多く含まれています。

紅はるかは干すことでさらに甘みが凝縮されるので干しイモに向いています。安納芋も水分が多く歯触りもよく、ねっとりとして美味しいです

【きんこ芋(干し芋)】(三重県伊勢志摩)

きんこ芋は「隼人芋(はやといも)」のことで、鹿児島県で作られてきた在来種です。 カロテンを多く含むので色がオレンジ色です。だから「にんじん芋」とも呼ばれています。

【海風ほしいも】(茨城)

昔ながらの干しイモです。 やわらかく、イモに粘りがあり、クセがないやさしい甘さです。 甘すぎないのでどんどん食べてしまいます。 噛むほどに甘くなり、味に深みが出ます。

サツマイモ (甘藷)の豆知識

好みのサツマイモは甘さ控えめホクホクタイプ?甘さが強くてネットリタイプ?

▶好みのサツマイモは甘さ控えめホクホクタイプ?甘さが強くてネットリタイプ?

小松菜の命名でも知られている八代将軍 徳川吉宗が「サツマイモ」と命名し、蘭学者の青木昆陽によって全国に広められたサツマイモは、全国的に深刻な食料不足に陥る中、痩せた土地でも育てることができるサツマイモの栽培が盛んだった鹿児島県、長崎県において餓死者が出なかったことがきっかけだと言われています。

そのサツマイモも今では、質感や色、大きさ、デンプン含有量などが異なる多くの品種が流通しています。一般的にスーパーなどで売られているのは、繊維が少なく甘味が強い紅あずま、焼き芋用として知られる、色や形がきれいで味がよい紅赤(べにあか)、全国的に栽培されている細長くて甘味が強い高系(こうけい)などがあります。

「とにかく甘い」のは紅はるか(べにはるか)、安納芋(あんのういも)。

「しっとりタイプ」としては、紅はるか(べにはるか)、安納芋(あんのういも)、太白(たいはく)、パープルスイートロード。

「ほくほくタイプ 」は鳴門金時(なるときんとき)、高系(こうけい)14号、紅赤(べにあか)。

「ほくほく&しっとりタイプ」は、紅東(紅あずま)、シルクスイートです。

自分の好みのサツマイモを探してみても楽しいですね。

ふくむらさき

紅まさり

人参芋

【紅きらら】

ニンジン芋の一種なので果肉がオレンジ色です。 さっぱりとした甘さです。

【太白(たいはく)】

生産は減ってしまい、幻の品種とも言われている果肉が白色のサツマイモです。キレイな白色で、白あんのようです。冷めても美味しいさつまいもです。さっぱりとした甘さです。

【あめりか芋】江戸東京野菜
伊豆諸島の新島にアメリカから伝えられた白いサツマイモです。このサツマイモは鹿児島のこうき芋と同じ品種です。収穫後、貯蔵されているので甘みが強くなり、実も少し柔らかくなっています。天ぷらが美味しかったです。

干し芋製造過程見学

茨城県ひたちなか市の永井農業さんにお伺いしました。
干し芋の製造過程を見学させて頂き、体験もさせていただきました。
干したてのお芋は甘くフルーティーでねっとりと柔らかくはじめての味わいでした。
お土産にいただいた干し芋も美味しすぎて、手が止まりません。
干し芋も種類や製法がたくさんありますが、永井農業さんの干し芋、おススメですよ。

サツマイモの代表的なご当地料理、長崎県島原市編:六兵衛(ろくべえ)

六兵衛ってどんな料理?

六兵衛(ろくべえ)はサツマイモを主原料とする麺料理です。

長崎県内には、島原半島周辺及び対馬で「六兵衛」と呼ばれるサツマイモ使った麺料理が二種類あります。魚介や地鶏などでダシを取った澄まし汁で食べるそばのような麺料理です。

黒っぽい麺とプルプルした食感、サツマイモ由来のほのかな甘さが特色です。島原半島では、サツマイモの粉をぬるま湯で練ったものを用いますが、対馬では、サツマイモを砕いて水にさらしてザルで濾し、濾した液に沈殿したデンプンと、ザルに残ったサツマイモを干して自然発酵させたものを混ぜて団子状にして乾燥した「せんだんご」を水でもどして練ったものを用います。

島原地方では基本的に「六兵衛」と漢字で表記し、対馬では「ろくべえ」とひらがなで表記される事が多いようです。また対馬では古くは「せんじる」と呼ばれていたようです。

六兵衛に必要な材料は?(4人分)

干したサツマイモの粉  400g

山芋          160g

水           2.5カップ

だし汁         3カップ

うす口醤油       大さじ2

小葱          2本

六兵衛の作り方

①さつまいもを干して皮ごとすりおろした、サツマイモの粉を熱湯で練り、さらにすりおろした山芋を入れてよく練る。

②4~5個に分ける。

③穴の開いた鉄板が付いた、大根おろし器を大きくしたような「六兵衛おろし」にのせ、②を手のひらで押し出す。

④鍋に湯をわかし、③を茹でる。

⑤だし汁を調理し、④を加えて小口切りの葱を入れる。

六兵衛、発祥の由来とは?

非常食からスタートした六兵衛は今、島原のソウルフードに

今から約220数年前(1792年)島原市の背後にある眉山が崩落し、有明海には津波が巻き起こり、沿岸一体に大被害を与えたのが「島原大変」です。その後、島原半島は食糧危機に見舞われ、サツマイモを主食とするようになりました。その当時、深江村農家の六兵衛という人がサツマイモを粉末にして山芋を入れ、熱湯でこねて、うどん状にしたものを作ったのが「六兵衛」の始まりと言われています。

島原半島や諫早地方ではその当時、サツマイモが主食作物として重要で、秋に収穫したサツマイモは貯蔵室で保管され、これを米等と一緒に炊飯したり干し芋にして製粉して年間通して保存食とされていたこともこの地で六兵衛が生まれた一因だといわれています。

六兵衛はご当地ではどんな時に食べられる?

六兵衛はかつて大飢饉が襲った際、また戦中・戦後の食糧難の頃にもやはり六兵衛はよく食べられていたそうで、食糧難を乗り切るために食べた非常食が起源ですが、今では島原では小学校の学校給食のメニューに出るようになって子どもたちに普及し、島原の郷土食として復活しました。また、飲んだ後の締めに食べられることも多いようです。

六兵衛の栄養価・効能は?

サツマイモと山芋には不溶性食物繊維のセルロースという栄養が多く含まれています。セルロースは腸を刺激し、便通を促進、便秘を解消する効果が期待できます。また、腸をきれいにするため、大腸がんの予防も期待されています。サツマイモと山芋はともに可食部100gあたり3gでいも類の中でトップクラスです。

サツマイモが便秘に効果的なのは、食物繊維とヤラピンの相乗効果が大きいと言われています。ヤラピンは唯一サツマイモにしか含まれていない特に注目の栄養成分で、切り口から出る白い液体です。腸のぜんどう運動を促進し、便をやわらかくする効果があります。ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビタミンE、カリウムなどサツマイモは実にも豊富な栄養が含まれていますが、栄養の多くは皮、または実と皮の間に多く含まれています。皮ごと利用する六兵衛は美味しいだけでなく、栄養も満点だったのです。

みなとの注目ポイント

僕は島原で六兵衛を食べました。サツマイモなので甘い麺だと想定していましたが、意外にもさっぱりとした味わいでした。食べ始めた時、少し塩分が効いている出汁だと感じましたが、時間が経つと麺に使われているサツマイモの甘みが出汁に溶け出して、ちょうどよい味になりました。

麺は小麦粉が使われているのではないので、プチプチと歯切れよい食感です。以前はアゴ(トビウオ)出汁を使ったり、ワラスボ(有明海に棲息する珍しい魚)の干物でだしを取り、醤油で味付けしたつゆが使われていましたが、現在ではカツオ節や昆布が使われることが多いそうですよ。麺が黒いのは、黒いサツマイモを使っているわけではなく、サツマイモの色素で、熱を加えると黒くなっていくためです。

六兵衛の味はサツマイモに左右され、戦前戦後のころのサツマイモは旨味が少なかったため、ご年配の方は六兵衛にあまりよい思い出がない方も少なくないようですが、最近のサツマイモはとても美味しいので、必然的に六兵衛の味も美味しくなっています。

サツマイモの収穫方法は?

収穫が遅れると味が落ちてしまいますし、芋が大きくなりすぎて割れてしまうこともあります。

一番確実なのは、植え付け後100~110日から~約4ヶ月頃を目安に一度試し掘りをして確認してから収穫します。

また雨の日、および雨が降ったすぐ後には掘らないのが鉄則です。サツマイモはでんぷん質や糖が多く、水分がかかった状態で放置をすると腐りやすいです。サツマイモは表面を乾かした方が長持ちしますので、保存の為に日に当てて乾燥させます。

サツマイモの魅力

サツマイモの魅力は何といってもその美味しさ。江戸っ子たちの好物といえば、イモ。当時、女性の好物は「イモ・タコ・ナンキン」とも言われていました。

江戸時代のイモといえば、「里芋」でした。しかし、幕末頃になるとイモというと「サツマイモ」に代わっていました。サツマイモは、栗の味に似ていると言われており、江戸では、ふかしたサツマイモより焼き芋が主流でした。「栗(九里)より(四里)うまい十三里」と、サツマイモのことを十三里と呼んでいました。日本橋から川越札の辻まで十三里。当時の川越にあるサツマイモが美味しくて評判だったことから出来た言葉です。

しかし秋になると、八里半、十三里…などのいろんなのぼりが立ちはじめます。八里半というのは、九里つまり栗の美味に近いということ、十三里は栗より四里も旨い、という江戸っ子らしいシャレです。現在でも隅田川沿いの浅草には多くのサツマイモをスイーツとして扱うお店が多いことをご存知ですか?浅草から隅田川をさかのぼると荒川を通じて埼玉県の川越に到着します。サツマイモの一大産地である川越から流通の中心である日本橋へ向けて船で大量のサツマイモを運搬していたのです。浅草は日本橋に一番近い船着き場があったため、浅草に芋問屋ができ大量のサツマイモが取り扱われるようになった名残です。月見のときにも、芋をお供えしていたことから、8月は芋名月、9月は栗名月や豆名月と呼ばれていました。

六兵衛、ご当地おススメスポット!

■六兵衛

https://tabelog.com/nagasaki/A4203/A420302/42000620/

現在は居酒屋メニューも提供しているが、1972年に『六兵衛』専門店として創業した時以来の昔ながらの味わいを守っている。箸でも食べやすいようにとやや長めにした麺の甘味が、昆布とカツオの出汁がベースのツユに染みだし最後まで美味。

関連する記事