岩手県の野菜・果物

2023.01.01

北海道に次いで2番目に広い県で山岳に囲まれた地形のため、地域によって気候が大きく異なり、地域特性を活かした多彩な農業が展開されています。
協  力 : 岩手県 農林水産部 流通課
画像協力 : 岩手県

雑穀

主要6穀(ヒエ、アワ、キビ(イナキビ)、タカキビ、アマランサス、ハトムギ)の生産量は、日本一を誇り、全国の約6割を生産します。県内の主産地は花巻地域と二戸地域です。昔は中山間という土地柄と、今のような技術力がなかったので、米ができにくく、昔から雑穀を作ってきました。最近は健康志向により、雑穀が再び注目されています。

ヒエ(稗)

ヒエという名前は「冷え」に由来すると言われるくらいに寒さに強い植物です。他の雑穀に比べて、タンパク質、脂質、食物繊維が豊富で、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルも多く含んでいます。タンパク質が10%近く含まれているので、炊き方によってはもっちりとした美味しさを楽しむことが出来、米の代替用食として用いられることもあります。

アワ(粟)

「アワ」は「ヒエ」と並ぶ日本最古の穀物で、稲が伝来する前、縄文時代にはすでに栽培されていた穀物です。アワの原型は雑草のエノコログサ(ねこじゃらし)と推定されています。タンパク質、脂肪が含まれており、鉄分は白米の6倍含まれています。あっさりとしてクセがないため、あわぜんざい、あわ餅など和菓子の材料としても知られています。

イナキビ(キビ)

岩手県では一般的に「イナキビ」と呼ばれています。実が黄色なので、黄実(きみ)→きびになったと言われています。アワ、ヒエよりも粒が大きく、ビタミンB群や食物繊維が豊富です。ふんわり炊き上がるウルチキビはご飯やおかゆに、卵のようなコクのあるモチキビは、お餅、おこわ、だんご、酒などに用います。

タカキビ(モロコシ)

タカキビはアフリカ原産で、別名モロコシと呼ばれています。実は大きめでかたく赤みのある粒です。キュッキュッとした食感で弾力があります。岩手県では甘い小豆汁にタカキビ粉で作った団子を入れた「へっちょこだんご(うきうきだんご)」があります。岩手県に限らず日本ではタカキビを粉にして団子にした料理があります。桃太郎に出てくる“きびだんご”もタカキビの粉の団子だと言われています。

アマランサス

スーパーグレイン(驚異の穀物)として大注目のアマランサスは他の穀物に比べてカルシウム、リン、鉄分の含有率が高く、国内生産量のほぼ100%を岩手県で生産しています。インカ帝国では主食で、神へのお供物だったと言われています。少しほろ苦いですが、サラダのトッピングなどにも合います。

ハトムギ

ハトムギという名前は、鳩のクチバシの鼻孔部分に似ているからや、鳩が好む麦だからなどと言われています。ハトムギは化粧水やお茶など幅広く利用されていますが、江戸時代から美白やイボ取りなどの民間療法として利用されていた記録もあります。現在はそれだけでなく、利尿作用があるのでむくみ改善、タンパク質、食物繊維など栄養が豊富なことからも注目されています。

リンゴ

岩手県のリンゴ生産量は全国3位。

クッキング用アップル

コックスオレンジピピン

さんたろう

左がふじ、中央はふじのカット、右がシナノゴールド

オリジナル品種

きおう

黄色いリンゴの王様、から「きおう」と名付けられた早生種のリンゴです。果肉はサクサクとした食感で、とてもジューシー。酸味は少なく、やさしい甘さのリンゴです。

紅いわて

紅色が濃いのが特徴の「紅いわて」は、甘みが強く、ジューシーです。果肉はややかためで、シャリシャリとして食感です。切ったあとに、果肉断面が褐変しにくい特徴があります。品種名は「岩手7号」ですが、登録商標名が「紅いわて」です。

紅ロマン

江刺生まれの品種で、極早生リンゴなので夏に流通します。糖度は11度ありさわやかな酸味もあるので、全体的にバランスの良い味です。

冬恋(はるか)

果肉はかためで、ジューシーです。甘みもありますが、酸味が少ないので、甘みをより引き立たせています。JA全農いわてでは、はるかの上級ブランドとして「純情はるか」「冬恋」「プレミアム冬恋」を出荷されています。

江刺りんご(ブランド)

岩手県奥州市江刺で、色や形、糖度、酸味など選果基準をクリアしたりんごだけが「江刺りんご」として市場に流通します。標高300mに位置する江刺は日照量が非常に多いですが、朝晩は冷え込み、日中との寒暖差があります。果樹栽培に適した環境で、且つ、栽培方法も樹木の高さを低く抑え栽培する「わい化栽培」を行い、りんご1つ1つに太陽光が当たるので、美味しいりんごになります。

ぶどう

(左)安芸クイーン (中)シャインマスカット (右)藤稔

紫波町ぶどう園

紫波フルーツパーク

岩手県紫波町(しわちょう)、花巻市大迫町は岩手県でも有数のぶどう生産地です。紫波町では昭和30年頃から、大迫町は明治12年頃からぶどう栽培が始まったとされています。

わさび

一般的に「わさび」と言うと、わさび田での沢わさびをイメージされがちですが、岩手県岩泉町の特産品は「畑(はた)わさび」です。沢わさびは主に根の部分をすりおろして使う、イメージ通りのわさびです。畑わさびは、茎や葉を練りわさびなどの原料にします。岩泉町には古くから自生していましたが、冷涼な気候と山林の中の畑で栽培され、畑わさび生産量日本一を誇ります。

松茸

本州一の森林面積を持つ岩手県は、全国トップクラスの松茸産地です。中でもリアス式で有名な三陸海岸のほぼ中央にある下閉伊郡山田町や岩泉町は特に品質の良い松茸が採れる場所です。三陸沿岸と言うと、海の幸をイメージしがちですが、リアス式海岸特有の急峻な山々に広がるアカマツ林に吹き上げる沢風と三陸の浜風によって風味・香り・形の三拍子が揃った松茸が採れます。

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