新潟県の地野菜・伝統野菜 2

2023.02.12

女池菜 (めいけな)

新潟市の流作場地区の玄的(現 沼垂地区)から種が持ち込まれた「女池菜」は新潟市の女池地区(現 新潟市中央区)を中心に明治時代から栽培されている小松菜の仲間で、とう菜の一種です。 秋に種をまき、冬越しさせて、トウ立ちした新芽と若葉を正月から春先に収穫します。シャキシャキとした食感とぬめりが特徴です。女池菜は雪が積もり気温が下がると、凍結から身を守るために糖分を作り、トウや葉に蓄えます。春になり暖かくなるとトウを伸ばします。甘みとほろ苦さが春の訪れを感じさせる、新潟の春を代表する味覚のひとつです。

長岡菜

明治初期、日本に導入された雪白体菜と、新潟の在来菜類(小松菜・野沢菜)と自然交雑で生れました。体菜・小松菜・野沢菜などの良い点ばかり集めたのが「長岡菜」です。漬け菜として広く利用されており、おすすめの食べ方は漬け物です。草丈が高く、葉は体菜と比べると細く、茎の部分は真っ白で太くやわらかいのが特徴です。もともと“中島菜”と呼ばれていたそうですが、全市的に栽培が普及してきた頃、いつのまにか「長岡菜」と呼ばれ、大正時代以降「長岡菜」の名前で流通した、との話もあります。

大崎菜

苦味が強く味が濃い「大崎菜」は、とう菜の一種で、水かけ菜(水をかけながら育てることからこの名前がついた)の系統です。湧水に恵まれた南魚沼郡大崎地区を中心に、徳川三代将軍家光の時代の寛文年間(1661年〜1673年)から雪の中で湧き水を利用して水をかけ、雪を融かしながら栽培しています。分けつ性が高く、株元から何回も切って、長期に渡って出荷しています。お浸しや味噌汁、炒め物などに利用します。

城之古菜(たてのこしな)・城之古青菜 (たてのこしあおな)

「城之古菜 (城之古青菜)」は、大崎地区で栽培されている「大崎菜」の種が持ち込まれたのがはじまりで、地区の名前をとって「城之古菜 (城之古青菜)」にしたといわれています。城之古菜は、城之古地区の豊富な湧き水を利用して雪を溶かして栽培されます。現在はハウス栽培されていますが、ほうれん草や小松菜と並んで親しまれる地域を代表する葉物野菜です。甘みとほのかな苦みの絶妙なバランスで、お浸しや一夜漬け、サラダなどにして食べられています。

高田シロウリ

旧 高田市地域 (現 上越市) で古くから栽培され、上杉謙信も食べたと言われる「高田シロウリ」。主に奈良漬にしてサクサクとした食感を楽しみますが、煮込んだりしても美味しいです。僕はむしろ煮込んでトロトロの状態が好きです。漢字では「白瓜」や「越瓜」 と書きますが、中国古代の越(えつ)で栽培されていたので越瓜と書きます。

かきのもと

新潟市、燕市などが主な産地の食用菊です。下越地方では「かきのもと」、中越地方では「おもいのほか」と呼ばれています。かきのもとの名前の由来は、「柿の実が色づいてくるころ赤くなるから」という説が一般的になっています。鮮やかな紫色で、苦味やクセのある香りはなく、シャキッとした歯ごたえが特徴です。辛子醤油やめんつゆ、ポン酢を使ったお浸しはもとより、葉物野菜やきのこ、れんこんと和え物、天ぷらにもおすすめです。

くろさき茶豆

新潟市西区の黒埼地区を中心に栽培されている枝豆です。生産者は有機肥料などを利用し土作りに努めていらっしゃいます。昭和初期、小平方地区(現 新潟市西区)の農家の娘が山形県鶴岡市へ嫁ぎ、茶豆の種子を譲り受け、その後、小平方地区に普及し、さらに昭和40年頃には黒埼地区に広がり、当時の村長が「黒埼茶豆」と命名されました。長年の種子選抜から、地域になじんだ品種となりました。

2017年に、国の地理的表示(GI)保護制度に「くろさき茶豆」8品種が登録されました。極早生茶豆、早生茶豆、くろさき茶豆(本茶豆)、小平方茶豆、新潟茶豆、新小平方茶豆、盆茶豆、ぴかり茶豆の8品種です。

肴豆 (さかなまめ)

黒埼の肴豆

長岡市の肴豆

香りが強く、味のいい枝豆です。晩生種でシーズン最後の枝豆といわれます。旬がたった10日間という幻の枝豆です。茹でている時の香りがあまりにも良いので、隣近所の人までつい酒を飲みたくなる、というのが名前の由来とも、サヤの形が魚に似ているから、ともいわれています。茶豆との違いは、中の薄皮がとても薄いのが特徴です。

赤かぶ

赤かぶ漬け  画像提供 : 農水省

新潟県最北の地、山形県との県境に位置する村上市山北(さんぽく)地区で栽培される「赤かぶ」は、日本では僅か3カ所だけしか行われていない焼畑農法で栽培されています。ギュッと身が締まり、果皮が鮮やかな赤紫色のかぶは、酢漬けにされるのが定番です。コリッと歯切れよく、甘酸っぱい赤かぶ漬けです。

かぐらなんばん(神楽南蛮)、おにごしょう

一見、ピーマンのように見えますが、唐辛子です。旧 山古志村(現 長岡市)の在来品種です。見た目が「神楽」の獅子面に似ていることから、この名が付きました。香りのよい果肉には甘みがありますが、種とワタの部分には強い辛みがあります。種とワタを除けば、ピーマンやパプリカと同じように肉詰めにしたり、ピクルスにしたり、そのまま焼いて醤油をかけて食べるのも美味しいです。天ぷら、油炒め、煮浸しも合います。神楽南蛮味噌を作る時は、ワタと種を入れる量で辛さを調整すればお好みの辛さに調整出来ます。

関連する記事